青山貞一ブログ

独立系メディア「今日のコラム」に連動するブログ

2007年11月

原発報道しないメディアをピーターバラカン氏痛烈批判  青山貞一


No Nukes More Hearts
原発報道しないメディアを
ピーターバラカン氏痛烈批判!


青山貞一




 好天の2007年11月18日(日)、来年2月から運転が開始される予定の青森県六ヶ所村の核燃料再処理をストップさせようと、青森県、東京都など全国各地で集会やデモが行われた。

 東京では、市民団体、NPO/NGO、アーチスト、女優、ブロードキャスター、編集者らが連携し「No Nukes More Hearts ストップ再処理と題するイベントを日比谷野外音楽堂で実施、家族づれを含め多数の市民が正午から繰り広げられる原発、核燃料サイクルの危険性についてのトークとさまざまな音楽に聞き入った。

 
 にもかかわらず、マスメディアは全国規模で同日に行われた六ヶ所村核燃料サイクル施設ストップの抗議行動、その一環として東京でひさびさ行われた市民による本格的な大集会と大デモを報道しなかったのである。

 この国のマスメディアはいったいどうなっているのだろうか? この国では、情報操作による世論誘導は政府・与党の専売特許ではない。マスメディアこそ、情報操作による世論誘導の先兵ではないのか! いまさらながら、それを実感した一日であった。


日比谷野音劇場で開催された六ヶ所村核燃料再処理施設
の稼働を止めさせようと各地から集まったひとびと
撮影:青山貞一 Nikon Cool Pix S10

 当日は、トークと音楽をサンドウィッチ状に繰り返す企画で、最初にステージに立ったのはミュージシャンのYaeさん。その後、開催の趣旨説明が行われ、女優の吉本多香美さんがアフリカン・ドラムを背景に踊りを披露した。吉本さんは自然と共生し生きることの大切さ、原発やプルトニウムと人類は共存できないことを切々と訴えた。


撮影:青山貞一 Nikon Cool Pix S10

撮影:青山貞一 Nikon Cool Pix S10

 ふたつめのトークショウは、ロックミュージッシャンの中西俊夫氏、Sugizo氏とともにブロードキャスターのピーター・バラカン氏の3人で行われた。ピーター・バラカンさんは、自分が核廃棄物の問題に最初に接したのは映画の「六ヶ所村ラプソディー」を見たとき以来。あの映画を見たときドカーンと来たと述べた。

 ※ピーター・バラカン氏
 
 ※ピーター・バラカンの「おとなまず」

 原発は世界中にあるが、日本のように何時地震が起きるか分からない国でたくさん立地するのは正気を失う行為だと思うと率直に心境を語った。

 バラカンさんは、さらに日本の新聞、テレビなどのマスメディアが、スポンサーに気を遣うあまり、原発や核廃廃棄物再処理問題に関する報道をほとんどしないこと、自主規制していることについてメディアに身を置く人間として痛烈に批判した。

 バラカンさんといえば、深夜のCBSドキュメントなどで辛口で生真面目なコメントで有名だが、同時にロック音楽の愛好者。今回のようなイベントにピッタリの人選であると思う。


右から中西俊夫氏、ピーター・バラカン氏、Sugizo氏
司会はコピーライターのマエキタ・ミヤコ氏(左)
撮影:青山貞一 Nikon Cool Pix S10


日本のマスメディアが原発報道をスポンサーに気遣い
自主規制していると痛烈に批判したピーター・バラカンさん
撮影:青山貞一 Nikon Cool Pix S10

日本の大メディアが報じないソウルの「反格差社会」の大デモ  青山貞一


日本の大メディアが報じない
ソウルの「反格差社会」
大規模デモ!


青山貞一


 このところ、毎年1から2回韓国のソウルに仕事や研究などででかけるが、行くたびに遭遇することがある。それは、韓国の国民、ソウル市民のデモである。毎回、多くの農民、労働者、学生らが参加している。


ソウル市内ではあちこちでこの種の
FTA反対の意思表示がある。鐘路3街にて

 かつて、私が見たデモの多くはかつてはFTA(自由貿易協定)に反対するものだったが、来月に大統領選を控えた韓国の首都、ソウル特別市では、11月11日、当局の許可が得られないなか、大規模デモが敢行された。

 ソウル特別市で計画されたこのデモには、主催者発表で約5万人の参加を見込んでいたというが、聯合通信によると、警察は韓国各地の農業従事者のソウル入りを現地で阻止したとのことだ。

 この大規模デモは、韓米FTA阻止・非正規職撤廃・反戦のための汎国民行動の日組織委員会が2007年11月11日の日曜日に、ソウル市庁前の大広場で総決起大会を全国に呼びかけていたものである。


2万人を超す全国から集まったデモ隊

 デモの内容は、―祥茲らの米国との自由貿易協定(FTA)への抗議、▲▲侫ニスタンなどで米軍主導の多国籍軍活動に参加する韓国軍への抗議、G標社員の待遇向上、非正規職員の正規雇用化など総じて格差社会への国民、市民の抗議など、多様なものであった。

 デモ隊への参加人数は、警察発表で約2万人。独立系メディアの取材により、そのなかには、JR総連から60〜70名など、日本からも参加していることが分かった。


取材現場に向かう青山(左)、池田(右)。ソウル光化門・市庁前、徳寿宮
の壁沿いにて。この後、機動隊の警備が急速に厳しくなる。
本写真は鷹取敦が撮影。

 上述のように、韓国と米国との間でのFTA(自由貿易協定)をめぐっては従来から農業団体や労組などがソウル特別市で抗議活動を何度も繰り返しており、、私がソウルに出かけたときはいつも、規模に差こそあれFTA反対のでデモが起きていた。

 こうしたFTA反対活動に対する国民の反応は、メディアによる世論調査によると、国民の大多数がFTA反対の意思を示しているという。

 AFPによれば、「韓国は米国にとって第7番目の貿易相手国で、2国間の貿易額は780億ドル(8兆6000億円)に上るり、自由貿易協定が発効すると200億ドル(2兆2000億円)増える」とする研究があるが、同時に「FTAにより韓国と米国の軍事協定が強化される」との見方もあるという。

 上記のFTAをめぐっては、韓米両国で交渉が難航した末、6月に合意が締結したが、発行に向けた進展はほとんどなく、民主党が多数を占める米国議会は、貿易自由化で業績悪化を懸念する米自動車メーカーや食肉業者への配慮から、否決する可能性もでている。

 ところで、11月11日当日だが、大規模デモが予定、実施されたソウル市庁前以外にも、東大門運動場などソウルの各地及び全国各地で大小数々の集会とデモが予定されていた。

 私たちが現場に到着したときは、16車線の道路一帯にデモ隊が押しかけ広がり、全国から集められた2万人以上の警察、機動隊員と対峙していた。その後、デモ隊の一部は木の棒や石などで機動隊のバスの窓を破壊、機動隊は警棒や盾、放水車で応酬し、警察当局は数十人を拘束したと発表したが、今のところ重傷者は報告されていない。

 最終的な警察発表では、約100名の参加者が逮捕され、10名以上の警官が負傷したという。デモの主催者側によると参加者のうち50名以上が負傷したという。

 ところで、信じられないことだが、いつものように日本の隣国、韓国で起きたこれほど大規模な国民、市民のデモについて、大手新聞は以下にある日経新聞の小さな記事以外、報じていない。

ソウル中心部でデモ、衝突・FTA反対の労組員ら

 【ソウル11日共同】韓国のソウル中心部で11日、計約2万人の労働組合員や農民が米韓自由貿易協定(FTA)反対や非正規職雇用撤廃などを求める集会を行い、参加者と警官隊が数カ所で衝突した。韓国メディアによると、100人以上が連行され、約50人が負傷した。左派系のナショナルセンター、民主労働組合総連盟(民主労総)などが呼び掛けた。警察は全国で約6万4000人の機動隊を動員したが、労組員らは各地方で集会を強行した。

 日経新聞


 韓国はアジアでも有数の抗議する国民、たたかう市民が依然として健在な国として有名である。

 韓国メディアの多くは、テレビが政権側、新聞が非政権側の論調となっているが、報じ方は別とし、韓国の新聞、テレビメディアがこぞって報道したこの大規模デモが、日本では上の日経新聞記事だけ、ITメディアのIBTimesが報じているものの、大メディアが報じていないのは異常である。

 周知のように、日本社会ではこの種の大きなデモや集会が、トント開催されていないが、そのひとつの大きな理由は、日本の大新聞、テレビなど大メディアが、政府・与党から流される情報をそのまま垂れ流し、野党や国民、市民側からの情報をほとんど扱わなくなっている実態がある。

 政府の広報と化しているメディアは、何も大新聞とNHKだけでない。民放までもが政府広報紙的役割を積極的に担っていると思える。これこそ大問題である。

 だが、本質的に問題なことは、そのような情報操作による世論誘導の状況が永年続いたため、国民、市民が憲法で保障された自分たちの表現の自由を表明する手段としてのデモや集会の存在をすっかり忘れてしまったことである。

 日本のメディアが、隣国韓国での大規模デモや集会をほとんど報じないこともその一部であると思える。その結果、日本国民はすっかり牙を抜かれ、ヒツジの群れと化してしまっている。まさに観客民主主義の極みである。

 21世紀、大きな課題を抱えている点で、日本と韓国はそれほど違いないと思える。しかし、こと為政者に対する国民、市民の対応は、両国で大きく異なると思われる。その原因の多くは、メディアのあり方にあると思う。

大新聞による自作自演の「大政翼賛」誘導の愚劣 青山貞一


大新聞による自作自演の
「大政翼賛」誘導の愚劣


青山貞一

 私が小沢代表が辞任の意向を表明することを知ったのは、2007年11月4日(日)午後3時過ぎ、政策学校一新塾の入卒塾式で基調講演を終え、塾生への助言指導をしている最中だった。

 独立系メディアの共同代表の池田こみちさんが私の携帯にメールを送ってきた。その場で塾生に小沢代表の辞任意向を知らせたら大きな悲鳴、続いてため息が会場をおおった。

 小沢代表の辞任意向の3日前、11月2日、独立系メディアのもうひとりの共同代表、佐藤清文さんが私に読売新聞の社説につき意見を求めてきた。そう「大連立」を読売新聞の社説が呼びかけたことだ。

党首会談 政策実現へ「大連立」に踏み出せ
2007年11月3日読売社説

 衆参ねじれの下で、行き詰まった政治状況の打開へ、積極的に推進すべきである。自民党総裁である福田首相が民主党の小沢代表との党首会談で、連立政権協議を提起した。いわゆる大連立である。実現すれば、日本政治に画期的な局面を開く。

 だが、小沢代表は、民主党役員会での拒否の決定を福田首相に電話で伝えた。役員会の大勢が、「先の参院選の民意に反し、国民の理解を得られない」としたからだという。 これは疑問だ。

 会期末を目前にしながら、法案は一本も成立していない。国益や国民生活の安定のための重要政策の推進という、政治の責任がまったく果たされていない現状こそが、国民の利益に反することをしっかりと認識すべきである。

 衆院解散・総選挙で、与党が勝利し、政権を維持しても、参院で野党が過半数を占める状況は変わらない。しかも、長ければ10年近く続くと見られる。

 国際社会も日本の経済・社会も大きな転換期にあって、国内の不安定な政治情勢のために、それに対応した政策の推進ができないとなれば、日本の将来は極めて危う い。

 こうした事態を避けるためには、重要な政策を推進するための安定したシステムを構築しなければならない。そうした判断に立って、福田首相が「大連立」を提起したのは、極めて適切な対応だ。

 小沢代表も、政治の現状への強い危機感があるからこそ、党首会談に応じたはずだ。連立協議の拒否で通るのか、ぜひ、再考してもらいたい。

 民主党内には、参院選の余勢を駆って、政府・与党を追い込み、衆院解散で政権交代を目指すという主張が根強い。だが、いたずらに“対立”に走った結果、今日の政治の不毛を生んでいるということを直視すべきだ。

 大連立を選択肢から排除することは、責任政党の取る姿勢ではない。

 各小選挙区で自民党と民主党が競合していることを理由に、大連立を困難視する声もある。だが、これはおかしい。大連立にあっては、大政党同士が、国益や国民生活の問題の解決にどう具体的に貢献し、成果を上げるかを競うことが大事だ。その結果を総選挙で問えばよい。

 大連立への試金石となるのは、インド洋で海上阻止行動に当たる多国籍軍艦船に対する海上自衛隊艦船による給油活動の早期再開だ。


 その一環として、自衛隊の国際平和活動のための恒久法の制定問題も、重要なかぎとなる。

 周知のように読売新聞の社説での大連立の呼びかけは2007年8月16日にもあった。

 言うまでもないことだが、これら読売新聞の社説は、単にメディアの領分を超えるものである。

 そもそも、このような提案であれ進言、さらにその後のシカケを誘導した大メディアの関係者に、日本近代政治史の最大の汚点といえる「大政翼賛会」をどう思っているのか、問いただしたい。

 いかなる理由があろうとも「大連立」による実質「大政翼賛会」は、議会制民主主義の放棄であり破壊であるからだ。これについては、佐藤清文氏が以下の論考の中で歴史と原理を踏まえ明快に述べている。

◆佐藤清文: 大連立構想と小沢一郎代表  

 ところで、上記の読売新聞社説が、福田・小沢会談、その後の小沢辞任意向表明劇の呼び水だったことは間違いないなどと推察していたら、11月7日の夕方、民主党両院議員懇談会の後の小沢代表の記者会見で次のような質疑が飛び出した。

 記者会見で2番目に質問に立った記者は、渡辺恒雄・読売新聞グループ本社会長の側近記者であったが、その記者は小沢氏に対し、次のように質問している。

 Q 連立構想を小沢代表がもちかけた、という報道が「事実無根の中傷」であるとの発言を撤回していただきたい。報道が間違っていると言うのであれば、その経緯を小沢代表から明らかにしてほしい。

 A 私は当事者の一方のはずであるが、私には取材の申し込みすらありませんでした。複数の関係者からの情報に基づいて、と書いているが私や民主党のことを含んでいない。それは公平ではないのではないか、という意味で申し上げました。

 私は政治家同士で内々で話したことについてこれまで一切外部にもらしたことはないが、2カ月前だったか、さる人からお呼び出しをいただき、食事を共にしながらお話をした。

 「お国のために大連立を」というたぐいの話だったが、私はまず、「われわれ民主党は、参議院選挙で国民のみなさんから大きな議席を与えて頂いた。全党、衆議院も力をあわせてがんばろう、勝てる、という雰囲気の中であります」と申し上げた。

 それから「そういうたぐいの話は現実に政権を担っている人が判断する話であって、私どもからとやかく言う話ではありません」と申し上げた。

 先月半ば以降、また連絡があり、「福田総理もぜひそうしたいとの考えだ。ついては、総理の代理の人と会ってくれ」という話があった。私も、むげにお断りできる相手の方ではないので、じゃあ参りますと言って指定の場所に行き、「本当に総理はそんなことを考えているのか」と質問すると、「総理もぜひ連立をしたい、ということだ」。

 「では、あなたも本気か」とその総理の代理という方に質問したら、「おれも本気だ」という話でした。

 総理がその気であれば、総理から直接お話をうかがうのがスジではないでしょうか、と話を返しました。

 そしてあの党首会談の申し入れとなった、というのが事実であり、それが誰であり、どこであったかいうのは調べれば分かりますが、私の口からは申しません。それが事実であり、経過であります。

 すでに周知の事実となっているが、仲介人は「渡辺恒雄・読売新聞グループ本社会長」であり、首相の代理は「森元首相」であるとされている。

 大政翼賛会に通ずる「大連立」をメディアがシカケ、最終的に首相と小沢代表二人だけの会合までシナリオ化しておきながら、結果的にシカケが失敗したとたん、小沢氏やその関係者に取材もせず、一方的に読売新聞は書き放題を行い、小沢氏が辞任意向表明をした会見でメディア批判をしたら、上記のような質問を読売新聞がしているのである。

 そもそも、国政の将来に係わる重要な問題、さらに国政を二分して与党と野党が闘っている問題に、自分たちの社主がしかけてたことを、小沢代表に一切取材せず、一方的に書きまくっている。挙げ句の果てに、その上、先のような質問をする記者が、はたしてジャーナリストといえるのであろうか?

 この一件は、まさに読売新聞による「自作自演」である。

 もちろん、その陰謀、策謀にひっかかった小沢代表の責任は重い。

 だが、与党系メディアがメディアの領分を逸脱し、元首相や自民党幹部を動員して仕掛けたこと、また情報操作による世論誘導によって、小沢代表や民主党のイメージダウン、さらにいえば信用毀損、名誉毀損した罪は極めて重大であると思う。

 明確なことは、これほど重大な問題に関し、当事者のひとりである小沢代表への取材、インタビューをせず、一面トップで結果的に情報操作による世論誘導となる記事を読売新聞そして毎日新聞が掲載したことである。

 両新聞社は、複数の関係者から情報をえていると述べていた。が、複数の関係者とは推定するに渡辺会長ないし自民党幹部のはずである。

 果たして「大連立」を仕掛けた側、それを利用しようとした側の情報だけで、この種の記事を大々的に書けるものであろうか?

 さらに唖然としたのは、こともあろうか毎日新聞が以下にあるような記事を11月4日(日)の一面トップで大々的に掲載したことである。

 下記の記事の8割が何の出典、根拠、ソースを示すことなく、断定的に書かれている。最後の閣僚ポストに触れる部分だけ、自民党関係者からとあっただけだ。



 小沢氏は辞任意向会見で、「朝日と日経以外は...」と述べた。それ以外の筆頭は読売新聞であるが、毎日新聞が上記の記事を何ら小沢氏に取材せず一方的に、しかも断定的に書いたことは、きわめて由々しきことである。

 これは私の推論だが、おそらく自民党幹部は、「大連立」を社説に書き続けている讀賣だけでなく、もう一社、新聞メディアで上記の記事を流せないか、さらにいえば野党系の論調をもつ新聞で流せないかと考え、毎日新聞に一連の信用毀損、名誉毀損に通ずる情報をリークしたのだと思う。

 いずれにしても小沢氏の辞任意向会見、撤回会見で、読売新聞、毎日新聞からの取材がまったくなかったことが明確になったわけだ。

 多くのメディアや評論家は、シタリ顔で小沢代表や民主党の政治的資質をミソくそに論じている。だが本来、論ずべきは、自民党の情報操作による世論誘導の手先、先兵と成り下がってきた日本の大メディアのあり方ではなかろうか?



 ところで、国民の多くは、過去半世紀近く、実質的に自民党が政権を独占し、政官業癒着にもとづく既得権益を極限まで重ねてきたことに怒りを隠さない。社会保険庁問題に象徴される、いわば「官僚社会主義」による犯罪的弊害が露わになってきたことにも辟易としていた。

 その結果、今夏の参議院議員選挙で民主を中心とした野党が大勝した。参院大勝から3ヶ月も経たないなかで、ブレない政治家として君臨してきた小沢代表がこともあろうか、自民党の筋書き通りの落とし穴に、ズボーと落っこちてしまったのであるが、そこには大きな呼び水があったと思える。

 国民が次の衆院選挙で政権交代に大きな期待をもってみまもっていた矢先「大連立」騒動が勃発したのである。

 あまり触れられていないが、私は小沢氏が、岩波書店の「世界」に論文を書いた時点で、間違いなく政府与党に利用されると直感した。

 一連の会見で、小沢氏が論文にある国連中心主義の考え方にどれだけ入れ込み、信奉していることはよく分かったが、たとえ当該領域で原理主義者の小沢氏とはいえ、なぜ、あの時点であの論文を世に問うたかが気になる。

 自民党幹部は、表向きこぞって小沢論文を批判したが、私はあのタイミングで唐突に「世界」に持論を展開、公表したとき、これはいわゆるフィッシングのエサになると思った。小沢氏は簡単に引っかかると感じた。

 国連中心主義政策ををエサにし、福田首相がうまく話しをもちかければ、小沢氏を「大連立」に呼び込めると。もちろん、このことは国民はもとより民主党の多くにも分からなかったことである。

 周知のように、過去、民主党はここ一番でドジ、敗着をすることで、あと一歩で政権交代を逃してきた。菅議員、永田議員など枚挙にいとまがない。しかし、まさか小沢氏が政権奪取直前で、政権から落ちそうになって危機感を募らせている自民党の筋書きに、マンマとひっかかってしまうとは誰も思っていなかった。

 覆水盆に戻らずではあるが、大切なことは半世紀に及ぶ自民党独裁による利権構造、既得権益の継続、官僚社会主義、談合癒着型社会からの脱皮であり、何よりも消費者主権、市民、国民の生活の安定である。

 その意味からすれば、「虎穴にいらずんば虎児を得ず」の猪突猛進、小沢氏が民主党幹部に何ら相談せずにひとりで虎の子を取りに行った愚はあるとしても、まさに雨降って地固まるのたとえの通り、参院大勝で浮き上がり、舞い上がっていた民主党やそれに投票した国民に、神様が気を引き締める一大機会を与えてくれたと思えばよい。

 私たちが本質的に問題とすべきは、自民党政治と大新聞による自作自演の「大政翼賛」誘導である!

 
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