青山貞一ブログ

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2008年07月

<緊急報告◆篝こε株下落が投機マネーを原油崎本に向ける! 青山貞一


<緊急報告◆
世界的株下落が投機マネーを
先物原油に向ける!

青山貞一

 
 緊急報告1では、ここ1年半の「先物原油」と「小売りガソリン」価格の推移を見てきた。ハッキリしたことは、2008年1月以降、WTIの先物原油価格は一本調子で高騰していることであった(その1参照)。

 もし、この傾向がこのまま推移すると、現在1バレル当たり140ドルを超えたWTI原油価格が1バレル=200ドルとなる可能性は否定できない。

 そのとき、日本のガソリン小売り価格は、推定1リットル当たり約257円となる。もちろん、WTI原油価格が1バレル=200ドルで止まるという保証などないが....。

 では、今回の一連のWTI先物原油価格の高騰の原因は何か? 

 まず、いつからWTI価格の高騰が起きているか、だ。

 既に何度も繰り返し述べたことであり、その1の図1から図4を見れば誰でも分かるように2008年1月から一本調子で高騰しているが、図1から図4をよく見ると、2007年6月からWTI価格の起きていることが分かる。 ガソリンの小売価格は波をうっているものの、それでも2007年6月から単調増加していることが見て取れるのである。

 では、次に、この時期に一体何が起きたのか? 
 
 これは多くのエコノミストが指摘するように、これ米国経済がいわゆるサブプライムローンバブル崩壊によって、米国初の経済危機が顕在化した時期なのである。たとえば、以下の記述はWikipediaにおけるサブプライムローンについての記述である。

 サブプライムローン(米:subprime lending)は、主にアメリカ合衆国において貸し付けられたローンのうち、優良顧客(プライム層)向けでないものをいう。狭義には、住宅を担保とする住宅ローンに限定されるが、広義には、自動車担保など住宅以外を担保とするものを含む。一般的に他のローンと比べて信頼度が低いとされている。

 2007年夏頃から、主に住宅ローン(狭義のサブプライムローン)返済の延滞率が上昇し、これを組み入れた金融商品の劣化をきっかけとした金融不安に関わる問題が起きている。

 報道機関がこの問題を扱う際に、しばしば低所得者向けローンであるとの説明が加えられ、収入が乏しい借り手に多額の貸し付けを行ったというニュアンスで取り上げられるが、厳密には信用度の低い人向けのローンである。実際、信用力の評価基準に所得の多寡は含まれていない。

 上の記述に明確に現れているように、2007年の夏頃から米国ではサブプライムローンの返済遅滞問題が顕在化したのである。 

 かくして米国のサブプライムローン返済遅滞問題はサブプライムローンのシステム破綻となる。

 そして、もともとこれを組み入れた金融商品の劣化を招来し、まさに米国発の一大金融不安に発展した。 周知のように、米国で起きたサブプライムローン返済破綻問題は、米国だけでなく、欧州、日本始め世界中の金融機関に甚大な損害をもたらしたことになる。

 巻末に添えたデータにあるように、サブプライムローンによる全世界の損失額は実に日本の一般会計予算額に近い78兆円という報告もある。

 さらにサブプライムローンの影響は世界的な証券大手にも甚大は損失をもたらしている。モルガン・スタンレーが42%の減益、リーマン・ブラザーズが57%、ゴールドマン・サックスが53%の減益と発表している。


米モルガンも大幅減益 2月期、サブプライムで

   MSN産経ニュース 2008.3.19 23:22

 米証券大手モルガン・スタンレーが19日に発表した2007年12月〜08年2月期決算は、高金利型住宅ローン(サブプライムローン)問題に関する損失が膨らんだことから、最終利益が前年同期比42.0%減の15億5100万ドル(約1530億円)と大幅な減益になった。前年同期は26億7200万ドルだった。
 
 米証券大手3社の同期決算が出そろったが、サブプライムローン問題の影響で3社とも純利益がほぼ半減する厳しい結果となった。

 モルガンの07年9〜11月期は同ローン問題絡みの損失が94億ドルに急拡大したため、最終損失は35億8800万ドルだった。今回は黒字に転じ、市場の利益予想を上回った。

 ゴールドマン・サックスは同問題関連の損失が約20億ドルで、最終利52.7%減の15億1100万ドル。リーマン・ブラザーズは損失が約18億ドルで、最終利益は57.3%減の4億8900万ドルの大幅減益だった。

(共同)

 では、WTIの原油先物取引価格の上昇がなぜ、サブプライムローン返済遅滞の顕在化に関係しているのであろうか? 

 この答えは簡単である。

 サブプライムローン返済遅滞顕在化は、即、米国を中心に世界の株式市場における株価の低下を招いたからである。 事実、WTI原油先物取引価格の上昇は、このサブプライムローン返済遅滞顕在化時期に明確に(逆)相関している。

 そこで世界の証券会社、金融機関、ヘッジファンド、機関投資家などは、サブプライムローンによる甚大な損害を挽回するため、サブプライムローンに起因し長期低迷する株式市場を嫌い、2007年夏以降、原油や穀物などの先物市場に過剰な資金を投入し始めたのである。おそらくこれが直接的な先物原油高騰の原因であろう!

 従来、株式市場で巨額の投資、運用をしてきた機関投資家は、低迷する株式市場に見切りを付け、先物市場に一挙に流れ込んだということである。

 一部マスコミや評論家は、原油先物投機について、いわゆるヘッジファンドだけを悪者としている。しかし、先物市場へ流れ込んでいる投機資金(投機マネー)などの過剰流動性の原資は、何もヘッジファンドだけではない。

 身近なところではサブプライムローンの金融商品を扱って巨額の損益を出した機関や各国の社会保険などを原資とした資金用が原油投機に拍車を掛けているという情報もある。いわばサブプライムローンの損失補填のために、各種金融機関、証券会社などがなりふり構わず、こともあろうか原油先物に投資しているということだ。

 もちろん、中国、インド、ブラジルなどの新興国の興隆による原油の実需要の増加もあるだろうが、今回の急騰はそれだけで説明がつくものではない。

<参考データ>

サブプライムローン問題の損失、世界全体で78兆円!!
2008-03-20 at 12:45:24

サブプライムローン問題に関連した損失が世界全体で8000億ドル(約78兆円)に上るとの試算を、IMFが発表。2007年9月には、2000億ドルとの試算を発表していたのが、わずか半年で4倍化した結果に。

サブプライム損78兆円/IMF試算 保険会社にも拡大(読売新聞)
損失の全容つかめず/サブプライム 9月予想の4倍(読売新聞)


 

つづく

<緊急報告1>まったなし!「油上の楼閣」を破壊する原油高騰! 青山貞一

 

<緊急報告1>
まったなし!
「油上の楼閣」を壊滅する
原油高騰!


青山貞一


 2008年5月24日、CNNが米国産標準油種(WTI)のニューヨーク取引所における原油価格が急騰し、1バレル=135ドルを突破したと報じていた。


図0 2008年1月までのWTI先物原油価格
    この時点では最高で1バレル=100ドルであった!

 現時点でのWTI原油価格はどうか?

 ※1バレル=159リットル

 青山貞一:外交なき「油上の楼閣」ニッポンの行く末は暗澹

解説: WTIとは

 ウエスト・テキサス・インターミディエートの略で、西テキサス地方で産出される硫黄分が少なくガソリンを多く取り出せる高品質な原油のことを指す。そのWTIの先物がニューヨークマーカンタイル取引所(NYMEX)で取引されている。

 原油価格の代表的な指標にはこのWTIのほか、欧州産の北海ブレント、中東産のドバイがあり、これらが世界の3大原油指標と言われている。

 そのなかでも、WTI原油先物は、取引量と市場参加者が圧倒的に多く、市場の流動性や透明性が高いため、原油価格の指標にとどまらず、世界経済の動向を占う重要な経済指標の1つにもなっている。

出典:http://chartpark.com/wti.html


 図1は、2007年6月から今年に入ってのWTI原油スポット価格の推移である。2008年1月時点で1バレル=100ドル前後を推移していた価格は、その後、一本調子で上昇し続け、2008年7月上旬現在、1バレル=140ドルの最高値を更新した。

                     単位:バレル、米ドル

図1 WTI原油スポット価格のここ2年間の推移
    出典:米国政府公式エネルギー統計

 図1−2は、2006〜2007年と2007〜2008年の2年度について、原油のスポット価格の比較をした結果を示している。今年(2008年)の先物原油価格の高騰がいかに急激なものであるかがよく分かる。

          単位:バレル、米ドル
 
 図1−2 WTI原油スポット価格の年度比較
      出典:米国政府公式エネルギー統計

 これに伴い、原油が実際に契約される価格(契約価格)は、2008年7月上旬現在、図2にあるように、1バレル=130ドルに達している。これを2007年1月の価格に対比すると、わずか1年半のうちに原油の取引価格は実に3倍に上昇したことになる。

                     単位:バレル、米ドル

図2 WTI原油契約価格のここ2年間の推移
    出典:米国政府公式エネルギー統計

 では、米国国内におけるレギュラーガソリンの小売り価格はどうか? 

 図3と図4は、それを示している。

 WTIスポット価格が2008年1月以降一本調子で急騰していることを受け、米国内のレギュラーガソリンの小売り価格も一本調子で価格上昇している。

 図3及び図4からそれをみると、全米平均値で1ガロン当たり410セント、西海岸地域の平均で450セントとなっている。

 これを1ガロン =約3.78リットル、1ドル=106円で1リットル当たりの小売価格に変換すると、全米平均で1リットル115円、西海岸平均で1リットル126円となる。

                     単位:ガロン、米セント

図3 全米平均のガソリン小売価格の過去2年の推移
    出典:米国政府公式エネルギー統計
   
                     単位:ガロン、米セント

図4 西海岸平均などガソリン小売価格の過去2年の推移
    出典:米国政府公式エネルギー統計

 この春、青山、池田らが米国カリフォルニア州をレンタカーで1000km以上走行したときの1リットル当たりのガソリン価格が95円であったことを考え合わせると、カリフォルニア州(西海岸)では、すでに1リットル当たり、3月の時点で95円だったものが7月上旬では126円に急騰していることが分かる。

 ◆青山貞一:カリフォルニア州のガソリン価格

 米国では日本のような前提税率などの高額のガソリン税がないことから、日本のように1リットル180円台という超異常な高価格にはなっていないものの、これでも前代未聞の高価格である。

 これらとどまることを知らない原油の高騰は、我が国でもガソリン、軽油、灯油価格など移動手段の燃料高騰はもとより、何十年の時間をかけ「油の楼閣」となっている日本の工業、そして漁業、農業にも甚大は影響を及ぼしている。

 こうなると高速道路はもとより一般道の交通量すら減少し、自動車保有台数も減少することになる。日本のように100%近く油を海外に依存し、築き上げられてきた「油上の楼閣」経済は、音をなして瓦解する可能性すらある。

 まさに「油上の楼閣」経済の崩壊である! 
 
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