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2008年11月

燃料サーチャージは高すぎる! 国際線収支分析「私論」 ∪田→ロサンゼルス路線編  青山貞一


燃料サーチャージは高すぎる!
国際線
収支分析「私論」
∪田→ロサンゼルス路線編

青山貞一
掲載月日:2008年11月16日


 ここでは、JALやANAの国際線の燃料サーチャージ額の妥当性を検討することを目的として、概括的にジャンボジェット機が成田からロサンゼルスまで片道運行する際の収支分析を試みる。

 航空会社から詳細な情報が開示されているわけではないので、以下の分析では、あくまで私的な収支分析であることを最初に断っておく。

 第二編はJALの成田→ロサンゼルス路線について分析する。


1.前提条件

 ここでは収支分析の前提として以下の諸条件をおくものとする。

1−1 路線

 \田→ロンドンの片道巡航(第一編)
 ∪田→ロサンゼルスの片道巡航(第二編) 

 参考:JALの国際巡航路線

1−2 航続距離

 〔鵤隠亜ぃ横娃娃襭蹇弊田→ロンドン路線)出典:JAL

 ¬鵤供ぃ沓娃娃襭蹇弊田→ロサンゼルス路線) 出典:Google Earth



1−3 航空機


 ジャンボジェット(ボーイング747ー400)
出典:Wikipedia

 JALの747航空機、最新所有及びリース一覧
機 種 所有機 リースイン機 (合計)
Boeing747-400 36 1 37
Boeing747-400F(含 747-400BCF) 5 2 7
Boeing747-200/300 9 0 9
Boeing747-200F 3 1 4
 出典:JAL

1−4 乗客数

 いずれも片道とし乗客数が
 。械毅或諭
 ■械娃或諭
 250人
の3ケースを前提に収支計算を行う。

 以下に示す747−400には、エコノミー319座席、ビジネス64座席、ファースト14座席がある。この割合、座席数は航空会社により異なるが、ここでは以下を前提とした。

出典:ボーイング社

1−5 航空チケット料金

 HIS、オールウェーズ、eツアーなど、旅行代理店の実売価格を前提とした。これは格安チケット、エコノミーチケット、ビジネスチケットを調査し、平均的な実売価格を前提とした。

 具体例
 http://www1.tour.ne.jp/search/air/air_dtl.php/313225/2009/2/17/
 http://www1.tour.ne.jp/search/air/air_dtl.php/295361/2009/2/17/

1−6 燃料サーチャージ料金

 いずれも片道とし、
 仝従の3万3千円、
 ⇒菁1月以降実施されるとされる片道2万1千円、
航空会社/行き先 2008年
9月30日発券分までの
燃油
2008年
10月1日発券分からの燃油
日本航空/北米・メキシコ・欧州・中東・オセアニア \28,000 \33,000
全日空/欧州・北米・中東 \28,000 \33,000
 2辰┐栃卞撮泳円
の3ケースを想定する。

1−7 燃料価格と燃料費用

 以下は灯油の1ガロン(3.8リットル)当たりの価格は、この一年以下の図のように変化しているが、本収支分析ではJALが先に示した1バレル当たりの価格が何を指しているのか不明なため、JALがいうロンドン線の燃料使用量と価格をもとに燃料費用を用いている。

 なお、ロスは巡航距離で按分した燃料費用をもちいた。


出典:http://www.wtrg.com/daily/oilandgasspot.html

 以下は、先物原油価格の最新データ。ピークは2008年7月で147米ドルまでいったが、現在は58米ドル。

出典:http://www.wtrg.com/daily/oilandgasspot.html

1−8 為替レート

 1米ドル=100円

 以下は過去1年間の円米ドル為替レート。


出典:Yomiuri online


2.収入

2−1 燃料サーチャージ(片道)

’確船機璽船磧璽犬3.3万円の場合
 
 350人×3.3万円=1155万円
 300人×3.3万円= 990万円
 250人×3.3万円= 825万円

燃料サーチャージが2.1万円の場合
 
 350人×2.1万円= 735万円
 300人×2.1万円= 630万円
 250人×2.1万円= 525万円

G確船機璽船磧璽犬1万円の場合
 
 350人× 1万円= 350万円
 300人× 1万円= 300万円
 250人× 1万円= 250万円

2−2 航空運賃(片道)

 前提:航空運賃は代理店等へのコミッションを除いた額


 国際航空運賃は過酷な安売り販売に曝されていることは否定しない。たとえば、成田−ロサンゼルス往復のJALのエコノミー航空運賃(往復)は、サーチャージ、空港利用税、保険などを除外したチケットは、時期にもよるが代理店で格安券を45000〜60000円で購入できる(以下のURL参照)。

 http://www1.tour.ne.jp/search/air/air_dtl.php/313225/2009/2/17/
 http://www1.tour.ne.jp/search/air/air_dtl.php/295361/2009/2/17/

 ここでは代理店の手数料等を差し引いた後の航空会社の取り分として片道分の格安運賃を2万円、エコノミー5万円、ビジネスクラスを15万円とした。

‐莎劼350人の場合
  250人× 2万円(格安、片道)    = 500万円
   70人× 5万円(エコノミー、片道)= 350万円
   30人×15万円(ビジネス、片道) = 450万円 
   −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
                       小計 1600万円

⊂莎劼300人の場合
  200人× 2万円(格安、片道)    = 400万円
   70人× 5万円(エコノミー、片道)= 350万円
   30人×15万円(ビジネス、片道) = 450万円 
   −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
                       小計 1500万円

乗客が250人の場合
  180人× 2万円(格安、片道)    = 360万円
   50人× 5万円(エコノミー、片道)= 250万円
   20人×15万円(ビジネス、片道) = 300万円 
   −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
                       小計 1160万円


3.支出(成田→ロサンゼルス路線)

3−1 燃料費


 以下はJALの説明

∪田→ロサンゼルス

 東京から1万200キロの彼方にあるロンドンに、約13時間でお客さまと貨物を輸送するジャンボジェット機B747-400(エンジン4発)の総消費量は16万6,000リットル、200リットルドラム缶にして約830本、60リットル燃料タンクの普通乗用車であれば約2,800台分の燃油を消費する。

 ロサンゼルスについて距離の比で燃料の費用を換算すると、燃油価格が1バレル30米ドルの場合約340万円、これが80米ドルに跳ね上がると3倍弱の約920万円になる。

 東京からロサンゼルスまでの直線距離6,700キロの比で換算すると、1バレル30米ドルの場合約220万円、これが80米ドルに跳ね上がると3倍弱の約600万円になる。

http://www.jal.com/ja/corporate/claim/key12/index2.html

 参考:ジャンボ満タン時の航続距離14,815 km、巡航速度Mach(マッハ)
      0.855、913 km/h 、概算で連続巡航時間は16時間となる。

 ジェット燃料は、現在1ガロン=3.8リットルとしてジェット燃料費が1ガロンが2.2ドル程度である。仮に1ドルを100円とした場合、16万リットル×57.9=926万円、ロサンゼルスに換算すると約609万円となる。以下は最近までの燃料価格の推移。

 ※燃料費:ロンドン線の片道の燃料費  約926万円/片道
 ※燃料費:ロサンゼルス線の片道の燃料費  約609万円/片道


 
3-2 人件費

.僖ぅ蹈奪反遊鑒
 平均年収2000万円とし250日勤務として計算
 平均8万円×3人日=24万円

客室乗務員人件費
 現在客室乗務員は派遣が多くなりかつてのような高収入は得られないが、ここでは敢えて3万円とする
http://www.bekkoame.ne.jp/~jcau/ca.pdf
 平均3万円×10人日=30万円

整備及び貨物要員の人件費
 平均年収500万円とし250日勤務として計算。ただし年齢は35歳としている
 平均2万円×5人日=10万円

 ※人件費小計 64万円/日


3−3 旅費

 行き先でのホテル宿泊(定宿宿泊費+日当)

 2万円×13人=26万円
 ※宿泊費・日当合計 26万円/泊


3−4 顧客サービスとしての食費

 350人×0.3万円=105万円
 300人×0.3万円= 90万円
 250人×0.3万円= 75万円

 ※食費 (350人)105万円/日
       (300人) 90万円/日

       (250人) 75万円/日


3−5 ジャンボジェット機の1巡航当たりの損料

 ジャンボジェット(機体+エンジン)は1機約220億円とする。本来航空機器は買いきりでなく、リースだが、ここでは国際線のジャンボジェット機のライフサイクルの巡航回数を2万回と仮定した。

 220億円÷2万回=110万円/回

 ※機器損料合計 110万円/回


3−6 航空機整備費

 
ここでは航空機の整備費を1フライト当たり、機器損料の2割としている。

 ※航空機整備費 22万円/回


3−7 空港利用料(着陸料)


 ジャンボジェット1機につき約100万円(1トン当たりの重量で利用料は決まる)。

 ただし、ここでは成田からロサンゼルスやロンドンに行くので、この費用は含めない。成田から海外に出て、成田に帰ってくる場合、一人一律2400円の空港利用料がかかるが、これは海外から成田に到着する場合の着陸料の一部を意味する。



4.収支分析(成田→ロサンゼルス路線) 

4−1  燃料サーチャージが片道3万3千円の場合

 ‐莎劼350人の場合
 収入合計 2455万円
 支出合計  931万円         
−−−−−−−−−−−−
        
1524万円/片道

 ⊂莎劼300人の場合
 収入合計 2190万円
 支出合計  916万円
−−−−−−−−−−−−
        
1274万円/片道

 乗客が250人の場合
 収入合計 1785万円
 支出合計  901万円
−−−−−−−−−−−−
          
884万円/片道

 いずれも収支は黒字である。

4−2  燃料サーチャージが片道2万1千円の場合

 ‐莎劼350人の場合
 収入合計 2035万円
 支出合計  931万円         
−−−−−−−−−−−−
        
1104万円/片道

 ⊂莎劼300人の場合
 収入合計 1830万円
 支出合計  916万円
−−−−−−−−−−−−
         
914万円/片道

 乗客が250人の場合
 収入合計 1385万円
 支出合計  901万円
−−−−−−−−−−−−
         
484万円/片道


4−3  燃料サーチャージが片道1万の場合

 ‐莎劼350人の場合
 収入合計 1650万円
 支出合計  931万円         
−−−−−−−−−−−−
         
719万円/片道

 ⊂莎劼300人の場合
 収入合計 1500万円
 支出合計  916万円
−−−−−−−−−−−−
        
584万円/片道

 乗客が250人の場合
 収入合計 1485万円
 支出合計  901万円
−−−−−−−−−−−−
         
584万円/片道


5.考察(成田→ロサンゼルス路線)

 上記の分析では、会社組織としての役員報酬、社員給与、チケッティング要員などの地上要員、管理費、固定費などは含まれていない。

 現状でJALやANAは燃料価格が激落しているにもかかわらず燃料サーチャージを3万3千円もとっており、シミュレーションでは乗客が250〜350名の場合、大幅な黒字となっている。このサーチャージは、燃料の費用がピークに達したときのものであるが、激落したの現在も据え置くことで、航空会社は巨額の利益をあげていることになる。成田ーロサンゼルス路線では、ロンドン路線以上比べると片道3万3千の燃料サーチャージによって暴利を得ていると言っても過言ではない。

 JAL,ANAは来年の1月以降、燃料サーチャージを片道2万1千円に下げると国土交通省に届け出た。片道2万1千円の場合、250〜350名のいずれの場合も約1100万円から約500万円黒字となっている。

 今後、燃料価格の下落が継続することが想定される。その場合には、ロサンゼルス路線では燃料サーチャージが片道1万円でも大幅な黒字が見込めるはずである

 上記の分析はあくまで1ドルを100円とした場合であって、1ドルが90円になれば乗客が200名以下でも黒字となる。実際、現状では1米ドル=94−96円となっている。

 JALやANAがロサンゼルス路線でも高額なサーチャージをとっているのは、きわめておかしい。なぜなら北米といってもニューヨークやマイアミまでの遠距離もある。

 ニューヨークなど北米でも西海岸より遠い路線では、巡航距離が大幅に多いが、ロサンゼルス路線ではその半分強の距離である。北米で一律の燃料サーチャージ設定自体がきわめておかしい。たとえば、ロサンゼルスでサーチャージを片道1万5千円とした場合にはニューヨーク路線では2万5千円とするなど、より距離にあわせて燃料サーチャージとすべきである。

 上記は筆者が過去の論考で何度も指摘してきたことだが、航空会社はまさにどんぶり勘定で一律3万3千円としてきた。

 そもそも燃料価格が激落し為替も円高となっているのに、JALやANAは国土交通省に10月1日以降もサーチャージ料の値上げを申請し、国土交通省は何ら行政指導をすることなく、値上げを認めている。

 このようなずさんな価格設定をしている限り、利用者は国際線の利用を抑制する。

 来年以降のサーチャージ値下げ申請に際しても、航空会社は経済不況で需要が下がっていることを理由としている。しかし、現実は燃料価格の下落、為替の円高を利用者が熟知しており、航空会社の現実をみずに燃料サーチャージをあげてきた体質にいやけをさしていることがあることを直視すべきである。

燃料サーチャージは高すぎる! 国際線収支分析「私論」 \田→ロンドン路線編   青山貞一

 

燃料サーチャージは高すぎる!
国際線
収支分析「私論」
\田→ロンドン路線編

青山貞一
掲載月日:2008年11月16日


 ここでは、JALやANAの国際線の燃料サーチャージ額の妥当性を検討することを目的として、概括的にジャンボジェット機が成田からロサンゼルス又は成田からロンドンまで片道運行する際の収支分析を試みる。

 航空会社から詳細な情報が開示されているわけではないので、以下の分析では、あくまで私的な収支分析であることを最初に断っておく。

 まず第一編はJALの成田→ロンドン路線について分析する。


1.前提条件

 ここでは収支分析の前提として以下の諸条件をおくものとする。

1−1 路線

 \田→ロンドンの片道巡航(第一編)
 ∪田→ロサンゼルスの片道巡航(第二編) 

 参考:JALの国際巡航路線

1−2 航続距離

 〔鵤隠亜ぃ横娃娃襭蹇弊田→ロンドン路線)出典:JAL

 ¬鵤供ぃ沓娃娃襭蹇弊田→ロサンゼルス路線) 出典:Google Earth



1−3 航空機


 ジャンボジェット(ボーイング747ー400)
出典:Wikipedia

 JALの747航空機、最新所有及びリース一覧
機 種 所有機 リースイン機 (合計)
Boeing747-400 36 1 37
Boeing747-400F(含 747-400BCF) 5 2 7
Boeing747-200/300 9 0 9
Boeing747-200F 3 1 4
 出典:JAL

1−4 乗客数

 いずれも片道とし乗客数が
 。械毅或諭
 ■械娃或諭
 250人
の3ケースを前提に収支計算を行う。

 以下に示す747−400には、エコノミー319座席、ビジネス64座席、ファースト14座席がある。この割合、座席数は航空会社により異なるが、ここでは以下を前提とした。

出典:ボーイング社

1−5 航空チケット料金

 HIS、オールウェーズ、eツアーなど、旅行代理店の実売価格を前提とした。これは格安チケット、エコノミーチケット、ビジネスチケットを調査し、平均的な実売価格を前提とした。

 具体例
 http://www1.tour.ne.jp/search/air/air_dtl.php/313225/2009/2/17/
 http://www1.tour.ne.jp/search/air/air_dtl.php/295361/2009/2/17/

1−6 燃料サーチャージ料金

 いずれも片道とし、
 仝従の3万3千円、
 ⇒菁1月以降実施されるとされる片道2万1千円、
航空会社/行き先 2008年
9月30日発券分までの
燃油
2008年
10月1日発券分からの燃油
日本航空/北米・メキシコ・欧州・中東・オセアニア \28,000 \33,000
全日空/欧州・北米・中東 \28,000 \33,000
 2辰┐栃卞撮泳円
の3ケースを想定する。

1−7 燃料価格と燃料費用

 以下は灯油の1ガロン(3.8リットル)当たりの価格は、この一年以下の図のように変化しているが、本収支分析ではJALが先に示した1バレル当たりの価格が何を指しているのか不明なため、JALがいうロンドン線の燃料使用量と価格をもとに燃料費用を用いている。

 なお、ロスは巡航距離で按分した燃料費用をもちいた。


出典:http://www.wtrg.com/daily/oilandgasspot.html

 以下は、先物原油価格の最新データ。ピークは2008年7月で147米ドルまでいったが、現在は58米ドル。

出典:http://www.wtrg.com/daily/oilandgasspot.html

1−8 為替レート

 1米ドル=100円

 以下は過去1年間の円米ドル為替レート。


出典:Yomiuri online


2.収入

2−1 燃料サーチャージ(片道)

’確船機璽船磧璽犬3.3万円の場合
 
 350人×3.3万円=1155万円
 300人×3.3万円= 990万円
 250人×3.3万円= 825万円

燃料サーチャージが2.1万円の場合
 
 350人×2.1万円= 735万円
 300人×2.1万円= 630万円
 250人×2.1万円= 525万円

G確船機璽船磧璽犬1万円の場合
 
 350人× 1万円= 350万円
 300人× 1万円= 300万円
 250人× 1万円= 250万円

2−2 航空運賃(片道)

 前提:航空運賃は代理店等へのコミッションを除いた額


 国際航空運賃は過酷な安売り販売に曝されていることは否定しない。たとえば、成田−ロサンゼルス往復のJALのエコノミー航空運賃(往復)は、サーチャージ、空港利用税、保険などを除外したチケットは、時期にもよるが代理店で格安券を45000〜60000円で購入できる(以下のURL参照)。

 http://www1.tour.ne.jp/search/air/air_dtl.php/313225/2009/2/17/
 http://www1.tour.ne.jp/search/air/air_dtl.php/295361/2009/2/17/

 ここでは代理店の手数料等を差し引いた後の航空会社の取り分として片道分の格安運賃を2万円、エコノミー5万円、ビジネスクラスを15万円とした。

‐莎劼350人の場合
  250人× 2万円(格安、片道)    = 500万円
   70人× 5万円(エコノミー、片道)= 350万円
   30人×15万円(ビジネス、片道) = 450万円 
   −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
                       小計 1600万円

⊂莎劼300人の場合
  200人× 2万円(格安、片道)    = 400万円
   70人× 5万円(エコノミー、片道)= 350万円
   30人×15万円(ビジネス、片道) = 450万円 
   −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
                       小計 1500万円

乗客が250人の場合
  180人× 2万円(格安、片道)    = 360万円
   50人× 5万円(エコノミー、片道)= 250万円
   20人×15万円(ビジネス、片道) = 300万円 
   −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
                       小計 1160万円


3.支出(成田→ロンドン路線)

3−1 燃料費


 以下はJALの説明

\田→ロンドン

 東京から1万200キロの彼方にあるロンドンに、約13時間でお客さまと貨物を輸送するジャンボジェット機B747-400(エンジン4発)の総消費量は16万6,000リットル、200リットルドラム缶にして約830本、60リットル燃料タンクの普通乗用車であれば約2,800台分の燃油を消費する。

 費用換算すると、燃油価格が1バレル30米ドルの場合約340万円、これが80米ドルに跳ね上がると3倍弱の約920万円になる。

http://www.jal.com/ja/corporate/claim/key12/index2.html

 参考:ジャンボ満タン時の航続距離14,815 km、巡航速度Mach(マッハ)
      0.855、913 km/h 、概算で連続巡航時間は16時間となる。

 ※燃料費:ロンドン線の片道の燃料費  約926万円/片道

∪田→ロサンゼルス 別途第2編で示すこととする。


 
3-2 人件費

.僖ぅ蹈奪反遊鑒
 平均年収2000万円とし250日勤務として計算
 平均8万円×3人日=24万円

客室乗務員人件費
 現在客室乗務員は派遣が多くなりかつてのような高収入は得られないが、ここでは敢えて3万円とする
http://www.bekkoame.ne.jp/~jcau/ca.pdf
 平均3万円×10人日=30万円

整備及び貨物要員の人件費
 平均年収500万円とし250日勤務として計算。ただし年齢は35歳としている
 平均2万円×5人日=10万円

 ※人件費小計 64万円/日


3−3 旅費

 行き先でのホテル宿泊(定宿宿泊費+日当)

 2万円×13人=26万円
 ※宿泊費・日当合計 26万円/泊


3−4 顧客サービスとしての食費

 350人×0.3万円=105万円
 300人×0.3万円= 90万円
 250人×0.3万円= 75万円

 ※食費 (350人)105万円/日
       (300人) 90万円/日

       (250人) 75万円/日


3−5 ジャンボジェット機の1巡航当たりの損料

 ジャンボジェット(機体+エンジン)は1機約220億円とする。本来航空機器は買いきりでなく、リースだが、ここでは国際線のジャンボジェット機のライフサイクルの巡航回数を2万回と仮定した。

 220億円÷2万回=110万円/回

 ※機器損料合計 110万円/回


3−6 航空機整備費

 
ここでは航空機の整備費を1フライト当たり、機器損料の2割としている。

 ※航空機整備費 22万円/回


3−7 空港利用料(着陸料)


 ジャンボジェット1機につき約100万円(1トン当たりの重量で利用料は決まる)。

 ただし、ここでは成田からロサンゼルスやロンドンに行くので、この費用は含めない。成田から海外に出て、成田に帰ってくる場合、一人一律2400円の空港利用料がかかるが、これは海外から成田に到着する場合の着陸料の一部を意味する。



4.収支分析(成田→ロンドン路線) 

4−1  燃料サーチャージが片道3万3千円の場合

 ‐莎劼350人の場合
 収入合計 2455万円
 支出合計 1253万円         
−−−−−−−−−−−−
        
1202万円/片道

 ⊂莎劼300人の場合
 収入合計 2190万円
 支出合計 1238万円
−−−−−−−−−−−−
          
952万円/片道

 乗客が250人の場合
 収入合計 1785万円
 支出合計 1223万円
−−−−−−−−−−−−
          
562万円/片道

 いずれも収支は黒字である。

4−2  燃料サーチャージが片道2万1千円の場合

 ‐莎劼350人の場合
 収入合計 2035万円
 支出合計 1253万円         
−−−−−−−−−−−−
         
782万円/片道

 ⊂莎劼300人の場合
 収入合計 1830万円
 支出合計 1238万円
−−−−−−−−−−−−
         
592万円/片道

 乗客が250人の場合
 収入合計 1385万円
 支出合計 1223万円
−−−−−−−−−−−−
         
162万円/片道


4−3  燃料サーチャージが片道1万の場合

 ‐莎劼350人の場合
 収入合計 1650万円
 支出合計 1253万円         
−−−−−−−−−−−−
         
397万円/片道

 ⊂莎劼300人の場合
 収入合計 1500万円
 支出合計 1238万円
−−−−−−−−−−−−
        
262万円/片道

 乗客が250人の場合
 収入合計 1485万円
 支出合計 1223万円
−−−−−−−−−−−−
         
262万円/片道


5.考察(成田→ロンドン路線)

 上記の分析では、会社組織としての役員報酬、社員給与、チケッティング要員などの地上要員、管理費、固定費などは含まれていない。

 現状でJALやANAは燃料価格が激落しているにもかかわらず燃料サーチャージを3万3千円もとっており、乗客が250〜350名の場合、大幅な黒字となっている。このサーチャージは、燃料費がこの夏ピークを迎えたときのものであり、激落した現在でも据え置くことで、航空会社は巨額の利益をあげていることになる。

 これは燃料サーチャージを燃料の原価に比べ大幅に高くとっているためであり、異常な状態にある。

 JAL,ANAは来年の1月以降、燃料サーチャージを片道2万1千円に下げると国土交通省に届け出た。片道2万1千円の場合、250〜350名のいずれの場合も黒字となっている。

 今後、燃料価格が1ガロン2ドル以下が継続することが想定される。その場合には、燃料サーチャージが片道1万円でも300名以上の乗客があれば黒字が見込める

 乗客が200名程度となると赤字になる可能性がでてくるが、上記の分析はあくまで1ドルを100円とした場合であって、1ドルが90円になれば乗客が200名でも黒字となる。実際、現状では1米ドル=94−96円となっている。

 JALやANAがロンドン路線で高額なサーチャージをとっているのは、北米及び欧州路線で一律のサーチャージを取っているためではないかと思える。

 ニューヨークなど北米でも西海岸より遠い路線では、巡航距離が大幅に多いが、ロサンゼルス路線ではその半分強の距離である。北米で一律の燃料サーチャージ設定自体がきわめておかしい。たとえば、ロサンゼルスで片道1万5千円とした場合にはニューヨーク路線では2万5千円とするなど、より距離にあわせて燃料サーチャージとすべきである。

 上記は筆者が過去の論考で何度も指摘してきたことだが、航空会社はまさにどんぶり勘定で一律3万3千円としてきた。

 そもそも燃料価格が激落し為替も円高となっているのに、JALやANAは国土交通省に10月1日以降もサーチャージ料の値上げを申請し、国土交通省は何ら行政指導をすることなく、値上げを認めている。

 このようなずさんな価格設定をしている限り、利用者は国際線の利用を抑制する。

 来年以降のサーチャージ値下げ申請に際しても、航空会社は経済不況で需要が下がっていることを理由としている。しかし、現実は燃料価格の下落、為替の円高を利用者が熟知しており、航空会社の現実をみずに燃料サーチャージをあげてきた体質にいやけをさしていることがあることを直視すべきである。

末期的症状呈する麻生内閣 \策より政局そのものの定額給付金  青山貞一


末期的症状呈する麻生内閣

\策より政局そのものの定額給付金

青山貞一


掲載月日:2008年11月15日
無断転載禁



 朝令暮改、ブレまくる麻生太郎内閣が、案の定、迷走に次ぐ迷走から、ここに来て末期的症状を呈している。

 民主党のしていることをさんざん「政策より政局」と誹謗・中傷し、自らは「政局より政策」と、ことある度に言い続けてきたのが麻生総理だ。

 しかし、麻生総理ががしていることは一から十まで、まさに「政策より政局」、さらに言えば選挙対策的愚作である。しかも、後述するように、その愚作のために巨額の公金、税金を使っている。

 とりわけ酷いのが「定額給付金」問題だ。麻生総理は、当初一律に給付と明言しながら、二転三転、閣内はもとより自民党の有力代議士からも批判が頻発し、挙げ句の果ては自治体に丸投げとなった。

 当然のこととして自治体側は大迷惑だ。どの首長も単なる迷惑であることを超え、怒っている。

 そもそも、まさに公職選挙法違反すれすれの政権による金ばらまき選挙対策と言っても過言でない2兆円ものバラマキを経済対策、不況対策の目玉として提案したのは、麻生総理自身であった。にもかかわらず、高所得者には給付しないとか、高額所得者には自主的に辞退してもらうとか、1800万円以上には給付しないなど、迷走に次ぐ迷走となった。

 挙げ句の果ては、給付の窓口となる自治体が自ら給付方式を決めて欲しいということになったのだ。

 そもそも安倍、福田と一年ぽっきりで政権を投げ出した自民・公明の政権が選挙管理内閣として苦肉の策として、出来レースそのもので選んだのが麻生太郎内閣だ。当人は「文藝春秋」で臨時国会冒頭解散を宣言していた。

 にもかかわらず、自民党本部が行っている総選挙結果を予想する調査で民主党に負けていることが次々に分かるや、まさに「政局より政策」として、金融危機や株価下落など経済対策を優先するとして、次々に総選挙を先送りしてきた。

 何のことはない、麻生総理そのものが、いかに「政策より政局」に邁進し、保身的に総選挙を先送りしてきたのだ。

 その結果、政権政党はこの間、愚作のアホ丸出しの「定額給付金」問題で迷走するだけでなく、自治体を含め膨大な時間を浪費してきた。

 何と言っても首相始め閣僚、首長など高額所得者がこの間、自民党の選挙対策のために公金、税金を使うという前代未聞のトンデモ策に膨大な時間を費やしてきたのである。

 当然、自治体の首長、関係者を含めれば数1000人に及ぶ高額所得者が、「定額給付金」問題をどうするかについて時間を費やしてきたのだから、そのための社会的費用は膨大である。

 ここで社会的費用を簡単にシミュレーションしてみよう!

 仮に首相、内閣、代議士、首長、副知事、助役など全国で約4000人の高額所得者が5日間にわたり「定額給付金」問題に腐心してきたとすれば、1日の歳費、報酬を平均7万円として、4000人×7万円×5日間=14億円となる。ただしここでは首相から助役までの1日当たりの平均給与を年収から逆算し7万円とした。

 さらに今後、給付の窓口とされる自治体がこの愚作を具体的に実施するとなると、一市町村で平均100人の職員が1週間係わることとなれば、職員一人の一日の平均給与を2万円とし、2200市町村×100人×7日×2万円=308億円となる。ただしここでは自治体職員の1日当たりの平均給与を年収から逆算し2万円とした。

 これらは言うまでもなく血税から支払われることになるから、公職選挙法違反すれすれの自民・公明による「選挙対策のバラマキ」(鳥越俊太郎氏、14日の報道ステーションでの発言)のために国、地方の税品が数100億円支払われることになりかねないのだ!

 もし、自治体がいくら迷惑がっても、この愚作を実施すれば、地方自治法の監査請求、住民訴訟が頻発する恐れがある。いうまでもなく監査請求、住民訴訟は、公金の不正、不当な使用に対する訴訟だ!

 しかも、麻生総理の思いつきではじまったこの「定額給付金」愚作は、結果的に自民・公明の選挙対策になるどころか、麻生政権の内閣支持率をさらに下げさせ、かつ有権者の自民党離れを加速化させることになっている。

 事実、各新聞社などの世論調査によれば、「定額給付金」問題に限らず、朝令暮改でブレまくる麻生政権への支持率は、当初から安倍、福田政権より低かったが、ここに来てさらに下がり、自民党への支持率も民主党より低くなっている。

 すなわち、有権者、国民は、仮に10000円なり12000円をもらったとしても、それはそれ、決して自民・公明に買収されないことが明白になってきたのである。

 その重要な理由は、いうまでもない単に「定額給付金」問題が迷走しているからだけではない。3年後に消費税を上げると麻生総理が明言したことにある。

 麻生総理はこれについても、相変わらず前言を覆すような発言をしているが、国民は小泉を含め4代続いている世襲で世間知らずな内閣の言うことにヘキヘキとしている。国民は、衣の下に鎧を見ているのだ。

 いうまでもなく2兆円があれば、もっともっと有意義に使う政策、施策は腐るほどあるはずだ。 

 ところで、この「定額給付金」問題の極めつけとして、総務省は、「定額給付金」を装う振り込め詐欺に注意をという注意乾期を始めたという。まさに笑止千万だ。

 「政局より政策」としてはじまった自民・公明の国費を選挙対策に使うような対策が、振り込め詐欺の一因となるとして、総務省が警告を出したというのだから何をかいわんやである。

 いずれにせよ、与党に甘く、野党に厳しい日本の大マスコミも、さすがにこの「政策より政局」そのものの定額給付金問題には、一斉に「フザケルナ」という論調となっている。自公政権にとっては、まさに自公ならぬ自業自得だ。

「給付金」装う振り込め詐欺に注意を 総務省

 総務省は14日、定額給付金の給付手続きを装った「振り込め詐欺」を防ぐため、ホームページで注意喚起を始めた。同省や自治体職員をかたり、電話でATM操作を指示したり、実際には生じない「手数料」振り込みを求めたりするケースなどを挙げ、そうした手続きを政府や自治体が求めることはないと強調している。

 「給付は早くても来年3月から」(同省関係者)だが、既に給付が始まったと誤解している人も多く、住民への連絡や給付手続きは始まっていない点も注意喚起した。

 市区町村判断で設ける可能性がある所得制限についても、「高額所得者なので、この口座まで返金してください」といった手口もあり得ると総務省は警戒している。

日経新聞(1008年11月14日 23:58)

イタリア経済とマフィア〜消費税より高い「みかじめ料」   青山貞一


イタリア経済とマフィア
消費税より高い「みかじめ料」?

青山貞一

掲載月日:2008年11月13日
無断転載禁



 この2月、ひさびさにイタリアにでかけたが、成田空港の銀行で1ユーロが170円を超えていたこともあるが、イタリア、とくにローマの物価の高さにへいこうした。

 たとえばローマ空港の公式両替で両替したとき、通常の手数料以外にも訳の分からぬ手数料がついていて、結局1ユーロ200円近くとなった。


ローマのフィウミチーノ国際空港。ここの両替は
トンデモだ!ここでは両替しない方がよい!


 さすがに地下鉄や鉄道、バスなどの公共料金や博物館入場料などは、問題なかったが、空港やテルミニ駅、さらに町中で売っている清涼飲料水はベラボーに高い。


ローマの玄関口、テルミニ駅
警官はいてもほとんど役に立っていない

 たとえば日本で1本高くても150円で売られている500ccのコーラなどの清涼飲料水は2−3ユーロ、もし1ユーロが200円なら400〜600円もする。単なる水でも500ccのペットボトルで2ユーロしていた。

 ちょっと気の利いたレストランでは、昼食が一番安いビジネスランチでも1600円以上、ディナーとなると、簡単に一人当たり5000円から10000円となる。もちろん、たいした店でなくてこれだ。

 私たちはローマの初日に窃盗にあい相棒がスッテンテンになったこともあって、旅行中、出来る限り質素倹約につとめたのだが、それでもローマの物価には驚くばかりだった。


ローマはスリだらけと聞いていたが、それは事実だった
有名なスペイン広場の階段

 ホテルもテルミニ駅蕎麦の相当ボロで狭いホテルでも、90〜120ユーロはする。15000〜20000円と言ったところだ。もちろん立派な由緒あるホテルならまだしも、木賃宿に毛の生えたようなところでもこのありさまだった。

 これはナポリでも似たり寄ったり、ソレントでやっと少し良くなったが、やはり生活実感からして、飲食がらみが高いと感じていた。


ソレントのレストラン

 .....

 日刊ゲンダイの2008年11月13日号を読み、イタリアの物価の異常に高い原因が氷解した。記事のタイトルは「イタリア、マフィアが最大のビジネス、売り上げ15兆円」。

 イタリア国内の最大ビジネスは、フェラールでもフィアットでも、さらにアルファロメオでもなく何とマフィアが一番の売り上げを稼いでいるというのだ。

 日本ならさじずめトヨタや日立製作所、パナソニック、ソニーといった上場の巨大企業が最大のビジネスとなるが、それでも2008年3月の決算では、日立製作所の売り上げが11兆円、パナソニック(当時は松下電器産業)が9兆、ソニーが8.8兆円と、イタリアのマフィアには遠く及ばないのである。

 ではイタリアのマフィアは、どんな手口で15兆円もの売り上げ?を得ているのだろうか?

 イタリアの流通業界団体が11月11日に出した犯罪組織に関する調査報告書によれば、マフィアは年間約1300億ユーロ、日本円で約15兆8600億円もの売り上げを上げているという。

 同報告書によれば、マフィアは、ナイトクラブ、レストラン、精肉・鮮魚市場などに対する「みかじめ料」や「高利貸し」で何と、国内総生産の6%に相当する額を稼いでいるというのだ。

 もちろん、それ以外に麻薬取引、暗殺、密輸、密造、共謀、恐喝及び強要などの刑事犯罪に通ずる行為やカジノ、博打的なものもあるが、ひとびとの生活や観光客に関連したものが多いことが分かった。

 さらにローマではいたるところにスリや窃盗団がいるが、それらもすべてではないが、マフィアに関係していたり、「みかじめ料」の対象となっている。

 
 そういえば、私たちがローマで経験した両替率の異常さ、レストランや飲食料の高さはいずれもこの「みかじめ料」も帰因しているのだろう。

 同報告書は、金融危機を背景に銀行が貸し渋りに動けば、マフィアによる高利貸の被害が増える恐れがあると指摘している。

 それにしてもマフィアの年間売り上げが15兆円にはおどろいた。
 

悪夢のブッシュ政権八年、腐っても鯛の米国と腐り切る日本   青山貞一


悪夢のブッシュ政権八年
腐っても鯛の米国と
腐り切る日本
青山貞一
掲載月日:2008年11月6日
無断転載禁



 米国と言えば、ブッシュ大統領の8年、とくに2001年9月11日以降の米国は、単独行動主義を鮮明にしアフガン、イラクに大量の軍隊を英国などを巻き込み投入した。ブッシュ政権は、大統領自身がそうであるように石油、天然ガス利権に満ちた閣僚が多数存在していた。

 かくしてブッシュ政権の8年は、米国民のみならず世界各国のひとびとにとって、まさに悪魔の8年であったに違いない。

 米国だけでなく世界各国を巻き込み対テロ戦争として行われたアフガンそして、イラク戦争は、なんのことはない、エネルギー新植民地主義、さらにエネルギー新帝国主義とでもいえる侵略戦争の様相を強めただけであったと云っても過言ではないだろう。

◆青山貞一:長編コラム 正当性なき米国のイラク攻撃
◆青山貞一:エネルギー権益からみたアフガン戦争、「世界」、岩波書店 

 当初、サブプライムローンは、一見して米国の低所得者層への住宅政策のように思われた。しかし、2006年にサブプライムローン債権が価格下落に転じ、2007年になって世界的にサブプライムローン問題が顕在化するに及び、このサブプライムローンシステムがけっして低所得者層に住宅を提供するための政策などではないことが分かったのである。

 それは私利私欲のために世界各国をアフガン、イラク戦争に巻き込んだブッシュ大統領や閣僚が、挙げ句の果てに抱え込んだ米国の財政赤字解消戦術と無縁ではない。

 ブッシュ政権は、巨額の戦費を拠出するためにバブル景気、それも実体経済と無縁にカネを捻出する金融資本主義的バブルを徹底して推し進めてきたのである。

 そして2008年春に始まったサブプライムローンバブル崩壊に端を発する株価の激落は、機関投資家を先物原油や先物穀物への投資に向かわせた。その結果、本来1バレル当たり50−60米ドルであった原油を7月には150ドル弱まで暴騰させたのである。エネルギー権益に満ちたブッシュ一族は実はここでも利権を得ていたのである。

 本来、世界中の生活や生産のもととなる原油を投機の対象としたWTI先物原油へのヘッジファンドなど機関投資家のカネの集中を米国政府は監視し、規制すべきであった。実際、米国下院の民主党はそのような法案を提出していたが、ブッシュ政権は法案化を阻止し、それがきっかけとなり先物の原油や穀物価格は暴騰したのである。

◆青山貞一<緊急報告0>外交なき「油上の楼閣」ニッポンの行く末は暗澹

 同時期、ブッシュはガソリンにエタノールを混合させる燃料をトウモロコシなど穀物を原料に製造する政策を具体化した。その結果、先物穀物価格が暴騰し、それに端を発した食物価格の高騰は、貧しい途上国の人々だけでなく、格差社会のもと日々の生活もままならない人々を直撃した。

 ブッシュがアル・ゴアと闘った大統領選で間違って当選したブッシュだが、その後の8年を見ると、ブッシュがしたことの多くは、無謀な規制緩和による大企業や金持ち優遇、中東の天然ガスや石油を世界を巻き込む侵略戦争による搾取、そのための巨額の戦費による財政悪化、挙げ句の果ては米国初のサブプライムローンのシステム崩壊による世界的金融、経済危機の招来と、踏んだり蹴ったりであった。

 これは世界各国に対し劇的な悪影響をもたらすだけでなく、本場米国の国民にあっても同様だったはずだ。ごく一部の富裕層や金融バブルの恩恵を受けたものを除けば、圧倒的多くの米国民にとっても悪夢の8年であったに違いない。

......

 そんなブッシュ政権にひたすら追随、盲従してきたのが日本だ。

 米国の巨額な戦費を米国債の購入だけでなく、アフガン、イラクへの戦後復興の名の下での巨額財政支援を積極的に行ってきたのは小泉総理以来の日本である。

 ところで、周知のように日本では小泉氏がマスメディアを使って行った情報操作による世論誘導による郵政民営化選挙で衆議院議員の2/3に迫る議席をとって以来、ブッシュ政権への盲従をさらに強めた。

 小泉氏は政権途中で安倍、福田に総理の座を実質禅譲した。しかも正当性も正統性もない安倍、福田政権は、それぞれわずか1年で政権を放り出し、その後、またまた実質禅譲によってトンデモの麻生政権が誕生した。この間、一切総選挙はない。

 民主主義の根幹をなす民意を無視し、ひとたび世論操作で得た多くの議席をもとに、小泉、安倍、福田、麻生の各政権はブッシュ政権同様日本を壊してきたのである。

 これら小泉、安倍、福田、麻生の各政権に共通していることといえば、いうまでもなく二世、三世の国会議員である。まさに「親の七光り」そのものである。

 国会議員としての資質をもっているとは思えない三百代言的政治家、小泉氏、幼稚で稚拙な右翼思想をもった安倍氏、それにまったくリーダーシップをもたない不作為の福田氏、どれも首相、総理以前に国会議員としても不適格者と言われても仕方ない人ばかりだ。

 日本はブッシュが政権にいた8年の間、そんなトンデモの宰相を総理としてきたのである。親の七光り、二世、三世、さらに安倍、福田、麻生に至ってはまったく国民の審判を得ないで総理となった「日本の民主主義の民度を象徴する人物」である。

......

 ブッシュによるやりたい放題、悪夢の8年を米国や世界は経験したが、そこはチェック・アンド・バランスの国、「腐っても鯛」である。

 昨日、バラク・オバマ氏が圧倒的大差で第44代の米国大統領に当選した。

 オバマ氏はアフリカ系黒人の血を引く政治家だ。オバマ氏はわずか上院議員一期で黒人初の米国大統領になった。

 コロンビア大学、ハーバード大学ロースクールを卒業した弁護士でもあるというから、エリートには違いないが、米国民が選んだ米国のリーダーである。

 米国は建国以来の危機にあることは間違いないが、その頂点で親の七光り、二世、三世でもない、しかもアフリカ系黒人をリーダーに選んだのである。

 腐っても鯛の米国、およそ民主主義から程遠い世襲で民意をまったく反映しない総理をいただく日本。

 日本でも大統領制をと言いたいところだが、最低限すぐさま総選挙を実施して欲しいものだ!
 
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