青山貞一ブログ

独立系メディア「今日のコラム」に連動するブログ

2009年09月

八ッ場ダムの地元上毛新聞社、国交省から随意契約で広報業務を受注! 青山貞一


青山貞一@東京都市大学

初出:2007年8月16日
再掲:2009年9月29日
無断転載禁



 我が国では巨大公共事業の時代は終わったかに見える。しかし、首都圏ですら従来型の土木系公共事業としての巨大なダム、道路事業が日進月歩の勢いで進められている。

 首都圏で現在進められているダムで最も巨大なのは、八ツ場ダム(やんばダムと読む)である。

 21世紀の愚行か!?八ッ場ダム」にも書いたが、この八ツ場ダム計画は、利根川改定改修計画の一環として昭和27年に調査に着手されている。

 一時中断を経て昭和42年に実施計画調査を開始した。昭和45年に建設に移行し、平成13年6月に補償基準の調印が行われている。まさに、巨大公共事業にありがちな半世紀に及ぶ建設の歴史がある。

 ダムの諸元だが、規模は?流域面積/湛水面積が707.9K?/304ha、?総貯水容量/有効貯水容量が107500千m3/90000千m3、?堤高/堤頂長/堤体積が131m/336m/1600千m3といずれも巨大である。

 八ツ場ダムの巨大さは以下の写真で明らかである。歴史的資産である川原湯温泉はじめ現在のJR吾妻鉄道の軌道、国道145号線などの道路も水没する

 ところで、以下の八ツ場ダム関連の広報紙を見て欲しい。

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 広報紙を見ると一面の右に、発行は国土交通省八ツ場ダム工事事務所、編集は何と地元の地方新聞、上毛新聞となっている。

 しかも、2007年1月15日号(第16号)は、代替地分譲へと題しているが、その実は澁谷慎一(国土交通省の八ツ場ダム工事事務所長)、片田敏学(群馬大学工学部教授)、高橋康二(上毛新聞社長)の三人の座談会が掲載されている。

 みだし見ると、「2007年を記念すべき年に」、「ダムの必要性が拡大」、「忘れかけた台風被害」、「積極的な広報活動も」など地域住民にひたすらダム建設の必要性を鼓舞するものばかりであることが分かった。

 2,3頁には巨大な見出しとして「ダムに対する正しい理解を」とある。

 広報紙は、八ツ場ダムの広報センターでもあるやんば館にゆけば誰でももらえる。バックナンバーも見れる(ただし、バックナンバーは在庫がないといわれた)。

 やんば館の女性説明員に聞いたところ、この広報紙は年に4回発行しているという。また上毛新聞はじめ朝日、読売など一般紙などに折り込まれ流域の水没対象地域などに世帯に配付しているとのことだ。

 率直なところ、なぜ、第三者的、客観的立場を堅持すべき新聞社が、国策で進められる巨大な土木系公共事業、八ツ場ダムの建設促進のための広報紙の編集をするのか、大いに疑問を感ずる。

 日本新聞協会の倫理綱領から見ても問題があるのではないか!

新聞倫理綱領                2000(平成12)年6月21日制定

 21世紀を迎え、日本新聞協会の加盟社はあらためて新聞の使命を認識し、豊かで平和な未来のために力を尽くすことを誓い、新しい倫理綱領を定める。

 国民の「知る権利」は民主主義社会をささえる普遍の原理である。この権利は、言論・表現の自由のもと、高い倫理意識を備え、あらゆる権力から独立したメディアが存在して初めて保障される。新聞はそれにもっともふさわしい担い手であり続けたい。

 おびただしい量の情報が飛びかう社会では、なにが真実か、どれを選ぶべきか、的確で迅速な判断が強く求められている。新聞の責務は、正確で公正な記事と責任ある論評によってこうした要望にこたえ、公共的、文化的使命を果たすことである。

 編集、制作、広告、販売などすべての新聞人は、その責務をまっとうするため、また読者との信頼関係をゆるぎないものにするため、言論・表現の自由を守り抜くと同時に、自らを厳しく律し、品格を重んじなければならない。

 自由と責任 表現の自由は人間の基本的権利であり、新聞は報道・論評の完全な自由を有する。それだけに行使にあたっては重い責任を自覚し、公共の利益を害することのないよう、十分に配慮しなければならない。

 正確と公正 新聞は歴史の記録者であり、記者の任務は真実の追究である。報道は正確かつ公正でなければならず、記者個人の立場や信条に左右されてはならない。論評は世におもねらず、所信を貫くべきである。

 独立と寛容 新聞は公正な言論のために独立を確保する。あらゆる勢力からの干渉を排するとともに、利用されないよう自戒しなければならない。他方、新聞は、自らと異なる意見であっても、正確・公正で責任ある言論には、すすんで紙面を提供する。

 人権の尊重 新聞は人間の尊厳に最高の敬意を払い、個人の名誉を重んじプライバシーに配慮する。報道を誤ったときはすみやかに訂正し、正当な理由もなく相手の名誉を傷つけたと判断したときは、反論の機会を提供するなど、適切な措置を講じる。

 品格と節度 公共的、文化的使命を果たすべき新聞は、いつでも、どこでも、だれもが、等しく読めるものでなければならない。記事、広告とも表現には品格を保つことが必要である。また、販売にあたっては節度と良識をもって人びとと接すべきである。


 これでは、上毛新聞は建設費が当初2110億円、それが4300億円、最終的に一兆円を超すとされる巨大公共事業の批判などなど、できようもない。地方紙が国策による巨大ダム建設のつゆ払い、先兵となっているといわれても仕方がないだろう。

 広報紙の大きさは夕刊紙などと同じ、いわゆるタブロイド判である。8頁だてである。上記の号では、1,4,5,8の各頁がカラーとなっている。やたら大きな写真が目立つ。見出しや本文の文章はまさに、国土交通省の一方的な宣伝、広告である。

 まさに本特集の一大テーマである、情報操作による世論誘導そのものと思える。

 さらなる大きな問題は、いうまでもなく国土交通省から上毛新聞に流れるカネである。

 当初、国土交通省に対し情報開示請求をしようと考えたが、まずはホームページで検索してみたら、以下のPDFがでてきた。
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 実物はこちら→ 随意契約結果書

 上のPDFを見ると、まず契約が随意契約である事が分かる。

 国土交通省は、随意契約の言い訳じみた理由を延々説明している。しかし、いずれも随意契約の理由たり得ないものばかりである。

 とくに、「昨今のダム事業批判によってもたらされている不安感、不信感の払拭のため八ツ場ダム事業の必要性を継続的にPRするとともに...というくだりは、信じがたい言い訳、言い分である。

 もちろん、昨今のダム事業批判には、誤ったものがないとはいえないが、大部分はそれなりの合理性や科学性をもっているだろう。自分たちの言い分は全て正しく、住民団体やそれを支援する学者らが言うことは間違っている、ということ自体時代錯誤的言い訳だ。これは官僚や行政がもつ「無謬性」というが、まさに傲慢そのものである。

 国土交通省は上記のような言いがかり的なことを述べ、自分たちのしていることはすべて正しく、それを関係住民に一方的に説得する上で広報紙を使うという姿勢がみえみえだ。いまさらながら呆れる。

 過去10年近く、建設省河川局が長良川、吉野川、徳山ダム、川辺川ダムなど、全国各地のダム事業や河川事業で激しい国民や勇気ある学者らの批判に曝されたことを、国土交通省は一体何とこころえているのであろうか? 
 
 地元唯一の地方紙、地元の地理、情勢に詳しい、新聞の販売網を持っているなどがあるが、そもそも広報の主体は国土交通省であり、過去から現在まで企画内容をみると、いずれも八ツ場ダムの工事、補償、土地分譲などに係わるものばかりであって、特段、地域の地理、情勢に詳しい新聞社である必要はまったくない。

 さらに、八ツ場ダム広報センターであるやんば館で聞いたように、できあがった広報紙を読売、朝日などを含む新聞すべてに折り込みで配付しているのであるから、何も上毛新聞でなくとも編集能力があればどこでも編集はできる。また印刷は、上述したようにタブロイド判で8頁、半分がカラー程度なら、それこそ今時、どこの印刷屋でも印刷できるだろう。

 年間の契約金額だが、9,043,755円(約900万円)となっている。

 わずか8頁のタブロイド判広報紙を年4回発行するだけで、一回当たり240万円もかかるだろうか? もちろん、発行部数によるが。

 上毛新聞はABCの調査による発行部数では約30万部とされているが、やんば館での説明では水没地域を中心に関連流域の世帯が対象であるといっていた。当然、配付数は人口数ではなく世帯数である。

 以下は群馬県吾妻郡の最新人口及び世帯数である。以下の町村のうち、ダム建設で直接的影響を受けるのは、長野原町の一部と東吾妻町の一部である

群馬県吾妻郡の最新人口及び世帯数
中之条町17,259人6,141世帯
長野原町6,366人2,408世帯
嬬恋村10,582人3,785世帯
草津町7,386人3,628世帯
六合村1,791人743世帯
高山村4,304人1,172世帯
東吾妻町16,563人5,782世帯
  出典:群馬県

 となると、おそらく印刷部数は4000部から6000部と推定される。ひょっとするともっと少ないかも知れない。私の知る限り私たちの別荘がある吾妻郡嬬恋村の世帯には配付されていない。

 タブロイド判8頁、うち半分をカラー、それを5000部印刷する場合の印刷費用は、デジタルカラー印刷はじめ印刷方式にもよるが、せいぜい50万円程度(一部100円程度)であろう。 ちなみに折り込み費用は、8頁のパンフの場合一部当たり12円〜20円のはずだから5000部としても10万円程度である。

 編集費、座談会がある場合の謝金、取材費、配付費の合計を一号あたり平均50万円としても、印刷費を加えた合計費用は、年4回発行で400万円がいいところであろう。

 私が代表をしているシンクタンクでも自治体の環境計画関連で類似のパンフを製作したことがあるが、受託費は400万円にも満たない。新聞社の場合、印刷費はさらに安くなるかも知れない。

 もちろん、見積もり条件は上記と異なるかも知れないが、特命随意契約でわずか年4回、各8頁の広報紙を製作、配付するだけで904万円超は「破格の高額」といわざるを得ない。

 結局、この広報業務を上毛新聞社に高額かつ随意契約で国土交通省が出すのは、双方にとって大いにプラスがあるからに他ならない。

 それにしても、地方紙が国土交通省から巨大ダム事業にかかわり広報紙の作成配布業務を随意契約で受託した上で、、社長自らが座談会でダムの必要性を積極的に説くさまを見ると、これが果たして新聞かと思えてくる。信じられないことだ。

 ただ、これは上毛新聞だけの問題ではないだろう。愛知万博と中日新聞はじめたくさんあるはずだ。

 いずれにしても、これは客観性を装った新聞メディアが、その実「情報操作と世論誘導」を率先遂行していることになる。 しかもその背後に上記のような露骨な利害関係があるとすれば、なにおかいわんやである。

大マスコミが報じないJALの深刻な経営危機! 青山貞一


大マスコミが報じない
JALの深刻な経営危機

青山貞一

東京都市大学大学院教授

15 September 2009
初出:独立系メディア「今日のコラム」


 このところ日本航空(JAL)に対し米国デルタ航空、アメリカン航空などからの出資問題が新聞、テレビ報道で囂しい。事情を知らないひとからすれば、昨今のJALをめぐる報道は海外航空会社のJAL争奪線にすら見える。

 だが、実態はJAL争奪戦どころか深刻な資金繰りの悪化にどう対応するか、いわば資金不足の自転車操業状態にある。もし、JALが通常の企業であるならとっくに倒産している。

 JALにはここ3年間で4500億円が投入されている。それは増資、優先株発行、銀行融資などを含めてのことだ。

 4500億円と言えば、民主党が中止を宣言している公共事業の象徴、八ッ場ダム事業の表向きの総額(4600億円)に相当する額であり巨額なものだ。

 本来なら4500億円の資金投入でJALの経営が何とかなるはずだが、問題は4500億円の投入でもJALが再生できないところにある。

 JALは2009年6月には日本政策投資銀行と大銀行から政府保証を付け1000億円の融資を受けているが、さらに今期中に2000億円規模の融資を受けなければならない状態にあるといわれている。

 いずれにせよ、ここ数年繰り返してきたJALの資金不足は一段と深刻化している。

 その理由は、まず激しさを増す一方の航空業界の国際競争にJALが対応できないことにある。もともとJALが日本の日の丸を背にした親方日の丸の国策会社としてつくられたことに帰因している。

 周知のように、いくらJALが経営危機に見舞われてもパイロット、フライトアテンダントの給与は高額なまま、7つもある労働組合、いまや99空港となった日本の地方空港への無理な対応、そのための路線と機材の集約と削除、海外他社と比べ過剰な人員の整理など課題は山積している。

 国際線ひとつをとってみても、米国でも多くのキャリアーが倒産している。カナダは3社あった国際線はエアーカナダ1社になっている。そもそもEUでもドイツ(ルフトハンザ)、フランス(エアーフランス)、デンマーク(スカンジナビアン)、イタリア(アリタリア)、オーストリア(オーストリア)、ロシア(アエロフロート)など、英国のブリティッシュ空港、バージンアトランティックを除けば、国際線は一国一社となっている。

 果たして日本に国際線のキャリアーが2社(JAL、ANA)が必要なのかが以前から問われているし、事実、JALにとって国際線への対応はかなりの負担になっている。

 国際線は国内線に比べ搭乗率は良いが、それでもJAL、ANAは北欧線、EU線ともに激しい国際競争にさらされている。日本の空港がハブとなっていない現状も、たとえば国内線と連携がとれず、結果的に巨大ハブ空港をもつ韓国(大韓航空)に太刀打ちできない状態にある。

 事実、JAL、ANAは国際線で何とか採算をとっているが、それでもIATA加盟の国際的キャリアーとのチケット安売り合戦にさらされ、搭乗率がそこそこあっても経営状態は良くない。したがって、国際線ではJALが撤退しANAに一本化させる案も前からでている。

 ただ、上述したように狭い日本に99もの地方空港がつくられ、しかも2000m以上の滑走路をつくってきたため、そこにジャンボや中型機を投入するには、機材、パイロット、地上要員ともにJALにとっては大きな資金面での負担となる。

 JAL、ANAともここ数年、いくら地方の知事が路線廃止の中止を要望しても、福島空港のようにバッサリと路線を撤収しているのはそのためだ。地方空港は国際線と異なり、搭乗率は平均して低い、その上でジェット機着陸料など空港利用料が他国の空港に比べて途方もなく高いこともある。搭乗者がすくなくとも空港利用料が同じであるから搭乗者が少ない地方空港に就航するとなると機材、パイロット、整備要員に加えこの利用料が大きく高校会社の経営にのしかかってくる。

 したがって、将来、国際線をANAに一本化し、JALを国内線だけに就航させる場合でも、経営改善は容易ではないと言える。

 これはこんな狭い日本のなかに、平均して1県2空港を各知事と国土交通省(前は運輸省)の官僚と一緒になり、次々と空港を建設してきたことと無縁ではない。

 ちなみに以下に示すように、日本と面積でほぼ同じの米国カリフォルニア州には、民間空港は16カ所しかない。これに対し、日本には富士山静岡空港を含め99カ所の民間空港がある。
 これも公共事業天国ニッポンの負の帰結であると言える。

 今後を展望しても、長距離路線を別にすれば、国内路線はさらに高速化するJR新幹線や高速料金無料化との関係でも経営は厳しくなるだろう。

 さらに国際線でも、すでに日本の地方都市の住民は、EU諸国に行く場合、地方都市→仁川→EU諸都市の方が、地方都市→成田→EU諸都市よりはるかに格安となっており、大韓航空の利用者が急増している現実がある。

 いずれにせよ、

1)アジアのハブ空港などの戦略性をもたない行き当たりばったりの日本の航空運輸・空港政策と

2)全国的な公共事業天国による100カ所にも及ぶずさんな空港立地

3)それに親方日の丸の放漫経営体質

がJAL、ANAのとどめのない経営悪化を加速化していると言わざるを得ない。

 大メディアは 西松JAL社長は、「年収960万円」「都バスで出勤」の倹約者などとたたえているが、JALは、もはや崖っぷちにある。

ジブリ高畑勲監督が東京最後の里山破壊を痛烈批判


ジブリ高畑勲監督が「オオタカが舞う」
多摩丘陵最大級の里山「破壊」を痛烈批判!
 
映画『平成狸合戦ぽんぽこ』の舞台
“消滅”の愚行

横田 一
 
初出:フライデー


12 September 2009
独立系メディア「今日のコラム」
無断転載禁


 「近くに里山があるのは宝物を持っているのと同じです。なぜ人口減少時代に南山を潰して宅地開発をするのですか!」

 こう怒るのは、宮崎駿監督の盟友であるスタジオジブリの高畑勲監督だ。

 17日に東京都稲城市で、「平成狸合戦ぽんぽこ」(宮崎駿企画、高畑勲原作・脚本・監督)の上映会が開かれ、約400名が参加。続くシンポジウムにも招かれた高畑監督は「自分の映画だけれども感激した。

 ここ南山で見て身近に感じたためだろう」と切り出し、市内に広がる里山「南山」を破壊する開発計画を批判したのだ。

 上映会とシンポが合体したのは他でもない。

 映画の展開と現実の動きが重なり合うためだ。映画では、狸たちが住処の多摩丘陵を守ろうと結集、変化術を駆使して宅地開発を阻止しようとする。

 一方、舞台となった多摩丘陵でも今、東京近郊最大の里山・南山を切崩す工事が開始、住民有志が中止を求めて立上ったのだ。

 高畑監督が現地を訪ねたのは3ヶ月前。

 すぐに南山に魅せられ、「心の穏やかな気持ちを作るところは残していかないといけない」と開発反対の声を上げ、色紙には「南山は都民のオアシス ぜひ残して!!」と書き記した。これを知った住民有志は高畑監督に反対運動への支援を要請、この日の集会開催につながったのだ。

 監督に続いて、南山の地権者の内田竹彦氏(「元気塾」代表)が「都心から20?圏と近いのが南山の魅力です」と訴えた。

 たしかに新宿から京王線に乗って30分ほどで最寄りの稲城駅に到着し、そこから10分ほど歩けば、「南山」の入口に着く。さらに木漏れ日が差し込む雑木林を入っていくと、都会の喧騒とは無縁の緑豊かな別世界が次第に広がっていく。

 「この一帯だけが地権者の反対などで開発が遅れた結果、奇跡的に広大な里山が残ったのです。ここを残して、周辺の子供や老人やサラリーマンが気軽に来れる里山にする。この前も自閉症の子供さんが来て、元気になりました」(内田氏)。

 種々の動植物が息づいているのも南山の魅力だ。絶滅危惧種のオオタカをはじめトウキョウサンショオウオやタマノカンアオイなど希少生物の宝庫で、専門家も「これほど生物多様性に富んだ里山は珍しい」と称賛する。

 しかし11日、この南山を約88?(東京ドーム19個分)も切り崩し、宅地を造成する大規模な区画整理事業「南山東部土地区画整理事業」の工事が本格的に始まった。

 事業主体は、約260人の地権者らが作った「区画整理組合」。総事業費402億円のうち、税金が68億円(市税20億円、都税48億円)、残りの335億円は造成地を売った利益でまかなう計画だ。個人や企業が所有する山林をニュータウンとして開発、インフラ整備費を市と都が出す「官民共同事業」である。先の内田氏は「根底には税金対策がある」と話す。

 「一帯は70年代に市街地として開発する『市街化区域』に指定され、固定資産税や相続税が高騰。地主は莫大な税金を支払うために宅地開発をして売却益を出そうとしているのです。しかし専門家は『南山の地層(稲城砂層)を一度崩したら流動化する。造成した宅地が地震で液状化して住宅が倒壊する恐れがある』と指摘しています。倒壊リスクのある宅地に買い手がつくのかは疑問で、貴重な里山破壊に血税を投入した挙句、不良資産と借金だけが残る可能性もあります」。

 南山開発に対して、稲城市内外から「里山を残して欲しい」という声が一斉に上がった。「全市民的論議を求める署名」は短期間で2万人も集まった。稲城市民は約1万1千人で、約8万2千人の全市民の6人に1人が署名したことになる。

 しかし愚行を避ける代替案はある。たとえば、行政が南山を買収か借用をする構想が提案されている。「東京都の緑地保全指定」を活用するもので、開発見直しは都が鍵を握っているともいえる。

 ちなみにポスターに「環境第一」と明記する石原知事は、オリンピック招致で環境重視を訴え、「CO2排出量の25%削減」の目標も掲げた。南山開発への都税投入は、この方針と矛盾する。8万本の木を伐採する南山開発は、CO2吸収源の森林減少を招くからだ。高畑監督も呆れていた。

 「招致のために森林を作る計画を立てる一方で、長い年月がかけて出来た里山破壊に加担している。金が動けばいいとしか思っていないのではないか。(知事は)南山のことが全く分かっていない」。

 国際問題にも発展する可能性も出てきた。世界各国で植林活動を続ける国連の平和大使のポールコールマン氏は2日、120名の住民と共に南山で植樹した。その際、同氏は「オリンピック招致委員会に手紙を書く。それでもダメなら国際オリンピック招致委員会に手紙を書いて、南山開発のことを訴える」と約束したのだ。

 反対派の稲城市議も招致委員会に「住民が国際オリンピック招致委員会に直訴しかねない」と警告。ロードレースのルートが市内を通る可能性もあるため、「選手に里山破壊の工事現場を見せるつもりか」と指摘した。「環境破壊都市・東京」を世界に発信、「都知事はエコ詐欺師か」と言われる事態を招くというわ
けだ。

 しかし石原知事は、南山の現地視察や代替案の検討をする意向は示していない。オリンピック招致に血税を使いながら、招致にマイナスな環境破壊にも税金を投入するのは、ブレーキとアクセルを同時に踏むようなものだ。税金の無駄遣いであり、「南山開発」は即刻、中止すべきだ。


 以下は、この間の経緯

<経過>

5月2日、ポールコールマン氏が南山で植樹イベント(約120名参加)。
    その時、石原知事に手紙を書き、開発見直しをしない場合には
    IOCにも”直訴”することを予告。

5月17日、高畑監督を招いた映画上映イベントを稲城市で開催。
5月22日、フライデー6月6日号に「ジブリ高畑勲監督が多摩丘陵最大級
     の里山「破壊」を痛烈批判! 
     映画『平成狸合戦ぽんぽこ』の舞台“消滅”
     の愚行」(横田一)が掲載される。この中で、ポールコールマン氏
     のことを紹介。

5月27日、ポールコールマン氏が石原知事に出した手紙を入手。

5月29日、定例記者会見で手紙について質問。

6月6日、都内でポールコールマン氏を囲んで、作戦会議。
      参加者は横田と稲城市民有志。ここでポール氏が29日の
      定例記者会見に英語の字幕をつけたミニ番組をパソコン上
      で紹介。6月中旬の石原知事のスイスでのプレゼンに合わせ
      て、この動画やフライデーの記事や稲城市民の訴えを持
      っていくといいとの提案が出る。
     (以下はポール氏の「大宇宙と小宇宙」に詳細な経過があります)

築地市場の豊洲移転、新農水大臣が不許可で決着か!


築地市場の豊洲移転、
新農水大臣が不許可で決着か!


青山貞一


September 2009
初出:
独立系メディア「今日のコラム

 先の東京都議選結果はもとより衆議院議員選挙結果で、東京都の石原知事がこの間、強引に進めてきた以下の事業は窮地に追い込まれる可能性が大きい。

 単に窮地に追い込まれるだけでなく、おそらく次回の知事選挙を待たずして辞職せざるを得なくなる可能性すらあるだろう。

(1)東京都築地市場の豊洲への移転事業
(2)新銀行東京事業
(3)東京外郭環状道路事業
(4)首都圏中央連絡道路事業
(5)オリンピック東京誘致事業

 いずれも巨大な税金、公金、地方債の不正・不当な支出が絡む問題である。

 とくに(1)と(2)は、東京都議会で選挙以前から与野党の間で紛糾してきたが、東京都議選後も、以下の記事にあるように“新銀行東京”と“築地市場移転”の特別委委員会設置で混迷の度合いを深めてきた。

東京 都議会、“新銀行東京”と“築地市場移転”の特別委委員会設置で混迷
2009/08/10(月)

 東京都議選後、初めてとなる10日の臨時議会を前に、各会派の代表者会議が9日開かれたが、 民主が新設を目指す新銀行東京と築地市場移転の特別委員会に自民が強硬に反対。 主要な議事の協議に入れず、5回目の会議も夜まで空転した。

 午後2時すぎからの会議で自民は、民主が特別委の設置を白紙撤回しなければ、 議長選挙や常任委員会の委員選任、議会運営委員会の設置など臨時議会に必要な議事の協議はできないと主張。

 公明は第1会派の民主と第2会派の自民が会議の前に話し合うべきだとしたが、 共産は会議での議論を要求。公明は共産の意見に反発して退席し、自民も席を立ったため、会議は中断した。

 民主は自民を会議の場に戻そうと、常任委員会の各会派の配分で100パーセント譲歩しても構わないとまで持ち掛けたが、自民は特別委の取り下げにこだわり、交渉は難航した。

日刊スポーツ 


 しかしながら、都議選で大敗した自公は、身の程知らず、特別委員会設置を妨害するなどもっての他だ。

 こんな議会運営の最低限のルールすら無視する自公に東京都の有権者は怒り心頭となった。

 その後、東京都議の民主党以上?に、東京都築地市場の豊洲への移転事業と新銀行東京事業に批判を強めてきた国政レベルの民主党が総選挙で怒濤の308議席をとるに及び、自公の悪あがきも限界に来たようだ。とくに東京選出の菅直人代表代行(現時)は、築地市場の豊洲への移転事業と新銀行東京事業批判の急先鋒である。

 今後、豊洲問題と特別委員会設置の設置は時間の問題である。

 ところで、私は昨日、石原都政が抱える諸問題について知人と議論した。その中で当然のこととして築地市場の豊洲移転問題にも話しが及んだ。

 築地市場移転問題は、周知のように移転先である豊洲の土地が工場跡地であり、さまざまな汚染物質により土地が高度に汚染されていることが事の発端である。東京都は巨額の測定分析費を投入しているが、金をかけ調査をすればするほど、土壌汚染の深刻さが浮き彫りとなるばかりである。

 こともあろうか、東京都民の食の安全をあずかる中央市場が汚染のメッカに移転すること自体、言語道断である。反対を強行に押し切ろうとする東京都や石原知事には、裏があるのではないか、利権があるのではないかと思われても仕方がないくらいだ。

 ところで従来、この築地市場移転問題は、計画、事業主体である東京都への汚染問題での批判という観点が重視されてきたが、よく考えてみれば、豊洲への移転は、当然のことながら、移設とはいえ中央市場の新設となる。したがって、法的には当然のこととして東京都が国に許可を申請し、国が許可を下すという許認可手続が存在する。

 以下に根拠法である卸売市場法(昭和四十六年四月三日法律第三十五号)の条項のうち、許可の基準について示す。この卸売法が最終改正されたのは平成一八年三月三一日である。

 ひとことで言えば、今後、民主党など野党が多数派となった東京都議会で。特別委員会が設置され、結果的に築地市場の豊洲移転が中止となればそれまだだが、そうならない場合でも、同問題を最終所管する国の農水省が卸売市場法を根拠に、今後、東京都から提出が予想される許可申請を不許可とすればそれで終わりである。

 この間、東京都が巨額を使い行ってきた環境調査、環境アセスメント調査、各種土壌汚染分析結果に見られるように、こともあろうか世界一の規模となる食品の中央市場の立地先が汚染まみれである事実があれば、当然のこととして、農水省は堂々と不許可とすることができる。というのも、卸売市場の許認可は、以下の許可基準だけでなく、環境配慮、食品衛生などを配慮してなされるからである。

 もちろん、東京都はそれを不服として万一、国に対して行政訴訟を起こすことは可能だが、私見ではまず東京都側に勝ち目はない。もちろん、民主党など野党が多数派をとっている東京議会が未然に計画を撤回すべきである。 

第十条  農林水産大臣は、第八条の認可の申請が次の各号に掲げる基準に適合する場合でなければ、同条の認可をしてはならない。

 当該申請に係る中央卸売市場の開設が中央卸売市場整備計画に適合するものであること。

 当該申請に係る中央卸売市場がその開設区域における生鮮食料品等の卸売の中核的拠点として適切な場所に開設され、かつ、相当の規模の施設を有するものであること。

 業務規程の内容が法令に違反せず、かつ、業務規程に規定する前条第二項第三号から第八号までに掲げる事項が中央卸売市場における業務の適正かつ健全な運営を確保する見地からみて適切に定められていること。

 事業計画が適切で、かつ、その遂行が確実と認められること。

卸売市場法
(昭和四十六年四月三日法律第三十五号) 最終改正:平成一八年三月三一日法律第一〇号

政権交代の不安を煽る大マスコミ  青山貞一


政権交代の不安を煽る
大マスコミ


青山貞一


September 2009
初出:独立系メディア「今日のコラム」


 周知のように、民主党はもともと鳩山由起夫氏と菅直人氏が創設した政党だ。

 その民主党はあと一歩まで自公政権を追い込みながら、いつもここ一歩でドジをこき、自民政権を延命させてきた。

 そんな民主党に活を入れ、若手を育て、寄り合い所帯に磁場を与えてきたのは、いうまでもない、代表となった小沢氏であった。事実、一昨年の参議院議員選挙で小沢氏は、未熟な民主党を参院第一党に導いた。

 その後、小泉首相の後を継いだ安倍、福田そして麻生内閣は、猫の目政権で、一度も総選挙の洗礼がない、すなわち単に正当性がない内閣であっただけでなく、知性も見識も責任感もなく、およそまともな政権運営はできないヘナチョコ内閣であった。対外的にも、G7諸国、さらにはG20諸国のなかで、これほどお粗末な政権はなかったのではないか。

 忍耐強い日本国民も、郵政民営化問題というシングルイッシューで300議席を獲得した小泉政権が、規制緩和と市場原理主義によって結果的に弱肉強食の格差社会をつくってしまったことに怒りを隠すことはなかった。

 2009年1〜2月、世襲トリオの鳥をつとめたアホウならぬ麻生政権の内閣支持率が10%台と最低なり、これでやっと日本でも政権交代が起こると国民が思った途端、トンデモなことが起きた。

 3月3日KYの東京地検特捜部が突如、小沢一郎代表の公設第一秘書を公職選挙法違反の容疑で突然逮捕したのである。

 そしてこの3月以降、自民公明両党はもとより、東京地検、大マスコミが一体となり、徹底的な小沢一郎代表への総攻撃と中傷がはじまった。

 小沢氏に係わる公職選挙法容疑での逮捕については、元東京地検特捜部に在籍した郷原教授がその異常な手法を徹底批判した。しかし、東京地検の連日連夜の作為的リークを大マスコミが鵜呑みにして連日紙面トップで報道するに及び、小沢一郎氏の名誉、信頼は毀損された。さらに悪者イメージが徹底して植え付けられることになる。

 さらに4月後半には自公政権、東京地検特捜部、大メディアの総攻撃の甲斐があってか、アホウならぬ麻生内閣の支持率が10%台から何と30%台まで盛り返したのである。しかし、注目すべきは、小沢一郎氏への総攻撃にもかかわらず、国民の民主党への支持はそれほどさがらなかった。

 その後、郷原教授の批判だけでなく、一部識者による東京地検特捜部に対する「国策捜査」批判が出るに及んで国民、有権者の目にも、東京地検特捜部の捜査のあり方への批判が強まった。そのひとつの理由は、東京地検は政権与党にいて職務権限をもつ二階大臣の疑惑にはまったく追求するそぶりがなかったからである。

 おそらく一部識者だけでなく、国民、有権者が東京地検特捜部の捜査のあり方に大きな疑問を感じたのは、二階問題にあったと思う。

 その後、官房副長官に就任している漆間氏がまさに「国策捜査」と思われても仕方ない発言をするに及び、自公政権、東京地検特捜部、大メディアの総攻撃の背景が見えてきたのである。

 それが何かと言えば、小沢一郎氏が半世紀以上続いてきた利権にまみれた実質独裁政権である自民党政治を本気で命を賭け「政権奪取」し「政権交代」を実現させることへの恐怖であり、怯えであったと思える。

 永年、現状を追認し、単なる金銭だけでなくポストを含め既得権益、利権をむさぼってきたのは、何も「政」「官」「業」だけではなかった。「政」「官」「業」のトライアングルのおこぼれをもらう「報」、すなわち「大メディア」も自民党政権下で甘い汁をたんまりすってきたのである。

 4月以降、人事異動後の東京地検特捜部は一端静かになったものの、自公政権と大メディアは、西松建設問題での身内の問題にはまったく触れず、他方、小沢攻撃の手を緩めることはなかった。

 この後、小沢氏を民主党の代表の座から引きずり下ろす異常な挙にでる。このときの大メディアの対応は異常そのものだ。二階大臣や自民党大物の疑惑はそっちのけで、一極集中的に小沢代表を責め立てた。それも東京地検特捜部の一方的なリーク情報をもとに。
 
 5月になり小沢氏は、断腸の思いで自ら代表を降りることを宣言する。

 そして民主党は鳩山由紀夫を代表に選ぶことになるが、この代表戦に際しても、自公政権と大メディアはまたしても異常な挙にでたのでる。それは、鳩山由起夫氏を小沢氏の傀儡として批判、攻撃し、徹底して岡田克也氏を代表にすべきと誘導したのである。まさに公党の代表選挙に選挙妨害をしたと言ってよいだろう。

 しかし、民主党の代表選では、鳩山由紀夫氏が選ばれ、鳩山代表は岡田克也氏)を幹事長に指名し、さらに選挙担当の代表代行に小沢一郎を指名した。

 自公政権の幹部と大マスコミは、こともあろうか鳩山代表を一方的に小沢代表代行の傀儡として徹底的に攻撃を再開したのである。

 結果として大マスコミは、小沢代表の秘書が逮捕されてから小沢氏の代表続投はおかしいと繰り返し小沢代表を辞任に追い込んだ。小沢代表が辞任し鳩山新代表が選ばれると、今度は一転して「傀儡だ」「院政だ」と攻撃したのである。

 自公政権幹部ならまだしも、大マスコミのこのような攻撃論調は、小沢批判、鳩山批判に名を借り、その実、民主党による政権奪取、すなわち政権交代を断固としてさせないことにあるとさえ思えた。

 しかしどうだろう。そこまで自公政権、東京地検特捜部、大マスコミがタッグを組んで阻止をもくろんだ、政権交代阻止は挫折する。半世紀以上続いた権力亡者、自民政権は、その傲慢、驕りの故に自壊したのである。

 選挙対応の代表代行となった小沢氏は、小沢氏、鳩山氏、それに民主党への選挙妨害とさえ思える自公政権や大メディアの総攻撃と誹謗中傷にもめげず、8月30日投開票の衆議院選挙で、308議席という地滑り的、歴史的な勝利をあげたのである。

 興味深いのは、慢心しやすい若手議員が多い民主党を束ね、同時に全国各地で人材を発掘し、140名もの新人議員を当選させたのは、いうまでもなく小沢一郎氏であった。

 いちから人材を発掘し、政権与党の自公や東京地検、大マスコミの総攻撃の中、ひたすら民主党を勝利に導いたのは、いうまでもなく小沢一郎氏である。それはまさに剛腕・小沢が選挙など地道な実務を仕切り、多士済々の若手の可能性がある有能な政治家が集まる民主党をがチェンジすることだ。
 
 にもかかわらず、壊滅的に負けた自民公明両党だけでなく、大マスコミは、負け惜しみ、犬の遠吠えだろうが、依然として308議席という地滑り的、歴史的な勝利に導いたと言える。

 そして、大メディアは、またしても鳩山代表そして小沢代表代行への執拗な攻撃を開始した。いわく「かいらい政権」だとか、「二重権力」だなど、これはまさにためにする攻撃、批判、ネガティブキャンペーンだ。 

政権交代の「不安」煽る大マスコミ

 半世紀以上続いた政権の交代は海外でも関心が高い。米紙ワシントン・ポストは民主党の勝利を「有権者は自民党と麻生首相を罰した」といち早く速報。他の海外メディアも大々的に報じ、論評はおおむね好意的なのに、肝心の日本の大新聞・テレビが取り上げるのはなぜか「ネガティブキャンペーン」のような報道ばかり。何かヘンじゃないか。

日刊ゲンダイ
  2009.9.4

民主、順当人事と理解が多数=自民は早くも「かいらい批判」

 民主党の鳩山由紀夫代表が3日、小沢一郎代表代行の幹事長への起用を決めたことに、来年夏の参院選を考慮すれば順当な人事と理解を示す意見が多い。一方、小沢氏が実権を握る「二重権力」を懸念する声も漏れる。野党に転落した自民党は「これでかいらい政権批判ができる」と対決する構えだ。

 「小沢代行に幹事長を引き受けていただきたいと申し上げるつもりでいた」。鳩山氏は3日夜、記者団にこう述べた。小沢氏は衆院選で308議席獲得の「最大の功労者」。連立政権協議をしている社民、国民新両党との調整や、野党に転落した自民党が反撃をうかがう国会を乗り切るため、鳩山氏は小沢氏の「剛腕」に頼った格好だ。

 こうした事情に、幹部クラスの間では「あれだけの結果を出したのに文句をいう人がいるのか」と当然との受け止めが多い。また、衆院で300議席を超える巨大与党になったため、「小沢氏の力を借りないと党内をまとめきれない」との見方もある。

 反発も党内にはある。ある中堅議員は、小沢氏が海部内閣時代に自民党幹事長を務めたことに触れ「小沢氏が真ん中に座って鳩山氏を操作する体制になる」と指摘した。

 一方、自民党の細田博之幹事長は「表の立場に就かなければ裏に回って(実権を握って)いた。そういう意味では実質変わらない」と断じた。党幹部の一人は「来年の参院選は戦いやすい。二重権力構造ができあがり、(小沢氏が)表に出てきたということだから」と語った。

時事通信(2009/09/04-00:54)

 そんな中、音無の構えだった東京地検特捜部でも不穏な動きが出ているようだ。

挙圧勝も無視 民主党を揺さぶる検察

 民主党が圧勝し政権交代が起きるのに、まだ検察がコソコソ動いている。鳩山代表の故人献金問題と西松建設事件の小沢ルートの捜査で、揺さぶりをかけている。目的は何か? 検察トップの総入れ替えや、意外な人物の法相起用をにらんで、これを阻止するために民主党に揺さぶりをかけているとの見方もある。

日刊ゲンダイ 2009.9.4

 それにしても、今回の総選挙結果から分かったことは、次のことである。

 それは自民や大メディア、検察が小沢一郎氏をここまで恐れ、怯えるのは、小沢氏が私心や利権でなく、本心から日本社会を民主主義の国、すなわち政権交代可能な国にする実力をもっている人物であるからである。未来永劫、政権交代が不可能と思われいた実質自民独裁国家を政権交代させるために小選挙区制を提案、導入したのもそういえば小沢氏である。

 逆説すれば、自民党や霞ヶ関の省庁、それに経団連だけでなく、大メディア幹部や地検、警察などの司法関係幹部は政権交代すると広義の意味での利権、権益、うま味がなくなるということである。

 東京地検特捜部は小沢氏を私心で企業から金を集めたかの風評を流布してきたが、これは大筋で間違えだ。小沢氏が集めた政治資金は命を賭して実現すると公言した政権交代、日本の民主主義政治のために使ったとみるべきであろう。

 自民党と大メディアは、過去、ずっと「情報操作による世論誘導」によって自らの権益を確かなものとしてきが、日本国民もやっとのことで、「情報操作による世論誘導」の呪文から解き放され、単なる金銭的利害を超え民主主義の重要さを認識しつつあると思える。

 それにしても、小沢氏問題、民主党による政権奪取問題を離れても、さしたる見識、知性もなく、不勉強きわまりない。いつまでもステレオタイプの質問、横並びのアホ記事を書き続ける日本のメディアに将来はないだろう。彼らにあるのは世間知らずの傲慢、唯我独尊、無謬性である。それはまさに霞ヶ関の官僚や司法関係者と同類である。

 日本の大新聞、テレビは広告収入の激減だけでなく、「社会の木鐸」としての役割を自ら放棄したことによって自壊するのである。

データで見る政権選択選挙  青山貞一


データで見る政権選択選挙

青山貞一


31 August 2009
初出:独立系メディア「今日のコラム」


 第45回目の衆院選は2009年8月30日に投開票され、8月31日未明、全議席が確定した。

 結果は、事前の予想通り、民主党が300議席を超す308議席を獲得して地滑り的な圧勝、実質半世紀以上続いてきた自民党政権が終わり、政権交代が確定した。

●政党別獲得議席数:

 以下は、第45回衆院選の確定結果を示している。

        第45回 衆院選の確定結果
今回 小選挙区 比例区 選挙前
自民 119 64 55 300
公明 21 0 21 31
改革 0 0 0 1
無所属 0 0 - 0
民主 308 221 87 115
社民 7 3 4 7
国民 3 3 0 4
大地 1 - 1 1
日本 1 1 0 0
無所属 2 2 - 0
共産 9 0 9 9
みんな 5 2 3 4
諸派 0 0 0 0
無所属 4 4 - 6
計(定数) 480(480) 300(300) 180(180) 478
作成:独立系メディア

 第45回 衆院選の確定結果(政党別各獲得議席数)

 凡例:上表の今回(合計)部分をグラフ化したもの

 第44回 衆院選の確定結果(政党別各獲得議席数)

 凡例:上表の前回(合計)部分をグラフ化したもの

 野党第1党が選挙で過半数を取り政権を奪取するのは戦後初めてのことであり、同時に一党が総選挙で308議席を取得したのも戦後初めてである。

 一方、自民党は選挙前の300議席から一気に119議席に落ち込んだ。多くの閣僚経験者が小選挙区で落選するなど、歴史的な惨敗となった。これは自民党が1955年に結党されて以来初めてのことである。

 民主党では、小沢代表代行の選挙戦術が的中した。小選挙区で10名立てた女性候補はいずれも大接戦となり、結果は5勝5敗、僅差で敗れた候補はいずれも比例代表で復活している。

●投票率:

 推計で69・34%と、前回の67・51%を2ポイント弱上回った。

 各党の獲得議席は、次の通り。

●小選挙区: 



 内訳は、小選挙区が民主221、自民64、社民3、国民新3、みんな2、日本1、無所属6。

 民主党は選挙前の54議席から167増やした。逆に自民党は226議席から162減らした。公明党は小選挙区に立候補したで太田昭宏代表、北側一雄幹事長ら8人全員が落選し、選挙前の31議席から10減らした。

 共産党(選挙前9議席)と社民党(同7)は同議席で横ばい。国民新党(同4)は1議席減、みんなの党(同4)は1議席増、改革クラブ(同1)は議席を失った。新党日本(同0)は小選挙区で初の1議席を得た。

●比例代表:

 比例代表の内訳は、民主87、自民55、公明21、共産9、社民4、みんな3、新党大地1。

 なお、民主党は岩手、新潟、愛知など8県で議席を独占し小選挙区で221議席と自民党を圧倒した。比例でも87議席を獲得したが、近畿ブロックでは候補者が足りなくなり、2議席が他党に回っている。

 他方、自民党は岩手、秋田、新潟、長野、愛知、大分などの13県で全敗。小選挙区は64議席にとどまった。また比例は55議席と伸び悩んだ。

 公明党は、8小選挙区全部で廃退し、東京12区では太田昭宏代表、大阪16区では北側一雄幹事長が落選し、結党以来最大の打撃を受けた。

 結果を受け麻生太郎首相は退陣、党総裁の辞任を表明した。

  鳩山由起夫代表は会見で「勇気をもって政権交代を選んでいただいたことに心から感謝する」と勝利宣言した。今後、9月中旬に予定される特別国会で鳩山由紀夫代表が首相に選出される。同時に社民、国民新両党との連立内閣が発足することになる。

 今回の選挙で民主党は衆参両院で過半数を占めるため、「ねじれ」は解消する。民主党は自民党の官僚丸投げを徹底的に批判し、立法による行政のコントロール、官僚主導の打破を掲げてきたことから、戦後長い間つづけられてきた実質自民党独裁の日本の政治が終焉し、政権交代が具体化する。

 今回の衆院選挙の勝利のかなりの部分は、地に足が着いた現場主義の小沢代表代行の底力が見逃せない。民主主義の根底をなす政権交代に小沢氏はひとかたならぬパッションを燃やしてきた。

 来年には参議院議員選挙がある。一昨年同様、ここでも小沢代表代行による選挙戦術がいかんなく発揮されるだろう。

 いずれにせよ、実質半世紀にわたり虐げられてきた国民、有権者の怒りが政権交代への大きなうねりとなり、今回の結果となったことは間違いないところだ。

「勇猛果敢」な才女が多数当選!  青山貞一


「勇猛果敢」な
才女が多数当選!


青山貞一


31 August 2009
初出:独立系メディア「今日のコラム」


 今回の選挙では、民主党小沢一郎代表代行の選挙戦術が的中した。小選挙区で立てた多くの女性候補はいずれも大接戦となり、結果は以下の通り。僅差で敗れた候補は一人を除きいずれも比例代表で復活当選している。


出典:ZAKZAK

 以下は結果一覧である。落選したのはただひとりだ。

選挙区 女性候補名 年齢 当落 自公候補者
北海道5区 小林千代美 40 町村 信孝
青森2区 中野渡詔子 38 江渡 聡徳
福島2区 太田 和美 30 根本 匠
群馬4区 三宅 雪子 44 福田 康夫
神奈川1区 中林美恵子 48 松本 純
神奈川3区 岡本 英子 44 小比木八郎
東京10区 江端 貴子 49 小池百合子
東京12区 青木 愛 44 太田 昭宏
東京17区 早川久美子 38 平沢 勝栄
東京23区 節渕 万里 41 伊藤 公介
石川2区 田中美絵子 33 森  喜朗
愛知1区 佐藤 夕子 46 篠田 陽介
愛知7区 山尾志桜里 35 鈴木 淳司
京都5区 小原 舞 35 谷垣 禎一
愛媛1区 永江 孝子 49 塩崎 恭久
高知3区 中山 知意 31 × 山本 勇二
長崎2区 福井衣里子 28 久間 章生
○:当選、△:比例復活、×:落選

 以下は女性立候補者のプロフ概要。

 以下、当選した勇猛果敢で秀逸な女性議員の何人かを紹介しよう。

・福田えりこ氏

 下の写真は社会経済的弱者の側の立場に立つという民主党のシンボルとなった福田えりこ氏。防衛大臣などを歴任した久間氏を小選挙区で打ち破って初当選した!

 1980年10月30日、長崎県長崎市に生まれる。幼少時代は父の仕事の関係でロンドンに在住。1999年、長崎県立長崎西高等学校卒業、広島修道大学人文学部人間関係学科心理学専攻入学(病気により中退)。

大学在学中の2001年4月、出生時の血液製剤投与によるC型肝炎ウイルスへの感染が判明(当時20歳)。2004年4月、実名を公表し、薬害肝炎九州訴訟の原告となる。


2009年8月6日西彼杵地区福田えりこ総決起集会より

 以後、講演活動の他、各種メディアに積極的に登場するなどし、精力的な活動を続けている。また、原告の一人として薬害肝炎救済特別措置法の成立にも大きく貢献した。2008年9月18日、民主党代表小沢一郎より第45回衆院選への出馬要請を受け、これを受諾。長崎2区に同党公認候補として出馬する事が決定し、長崎市内で記者会見を開いた。


・青木 愛氏

 下は東京第12小選挙区で公明党の太田代表を打ち破った青木愛氏。

 青木氏は東京都墨田区生まれ、千葉県南房総市(旧千倉町)育ち。

 千葉県立安房高等学校、千葉大学教育学部卒業(教育学士)、千葉大学大学院教育学研究科博士前期課程修了(音楽教育専攻・教育学修士)。千葉県立安房高等学校ではX JAPANのYOSHIKIとTOSHIは同級生。

 2003年の第43回衆議院議員総選挙で初当選。その後、参議院議員を経て今回衆議院議員に返り咲いた。元テレビ朝日のテレビタレント・歌手・保育士という異色な経歴な持ち主だ。


東京12区公明・太田代表VS民主の「女刺客」青木愛氏


・太田和美氏
 
 下は永田メールで挫折した民主党を千葉から変えた民主党のジャンヌダルク、太田和美氏

 2005年、25歳6ヶ月で千葉県議会議員補欠選挙に当選し、46年ぶりに議会最年少を記録。2006年、自民党公認で当選した松本和巳陣営の選挙違反事件に伴う衆議院千葉7区補欠選挙で初当選。


永田メールで挫折した民主党を千葉から変えた太田和美氏

 補選には当初、選挙区で松本に敗れ比例復活で当選した内山晃が鞍替え出馬すると見られていたが、当時党員資格停止中だった永田寿康の堀江メール問題で党の支持率が低迷していたことから鞍替え出馬を見送り、4月7日に選出された小沢一郎新代表の許で太田が補選への出馬を表明。その際、党国会対策委員長を務めていた渡部恒三から「民主党のジャンヌ・ダルク」「民主党の由美かおる」と評された。

 「負け組ゼロへ」をキャッチコピーに、選挙カーにはほとんど乗らず自転車で選挙区内を回り地元出身をアピールする戦術に徹し、自民党公認の斎藤健に対して955票という僅差で勝利、初当選を果たした。


・田中美絵子氏

 最後の最後まで石川2区の小選挙区で森元総理を追い込んだ田中美絵子氏(比例復活)。


2009衆院選石川2区 たなか美絵子自転車街宣

 田中美絵子氏は河村たかし衆議院議員(現在、名古屋市長)の元秘書。石川県金沢市出身。帝京女子短期大学・明治大学政治経済学部卒。現在は、明治大学大学院に在学中で、小松市白江町に住む。衆議院議員(1期)。司馬遼太郎を愛読しており、特技は弓道2段。

 森喜朗の選挙区である石川2区より2009年衆院選に民主党公認で出馬。井上和香似の美人が大物現職に挑むとして読売ウィークリーなどで取り上げられ話題になる。小選挙区では森に敗れ落選するも、比例で復活当選した。


・三宅雪子氏

 首相を4人出している群馬で福田康夫元首相をギリギリまで追いつめた三宅雪子氏(比例復活)。


福田康夫元首相をギリギリまで追いつめた三宅雪子氏

 三宅氏はフジテレビ政治部の番記者時代、小沢氏がその優秀さに惚れ込み、これまでにも水面下で何度か出馬要請してきた。まさに最高級の隠し玉。歴史的選挙を前にして口説き落としたとされる。

 その三宅氏は最近までフジテレビ国際局に勤めていた。岸信介内閣の官房長官、三木武夫内閣の運輸相を務めた「昭和の大物政治家」故石田博英氏の孫で、父は外務省アジア局次長や駐シンガポール大使を務め、小沢氏とも親交が深かった外交官の故三宅和助氏。

出典・参考 Wikipedia

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