青山貞一ブログ

独立系メディア「今日のコラム」に連動するブログ

2010年02月

(拡充版)地検特捜部、小沢不起訴と暴走大メディアによる小沢氏名誉毀問題を徹底検証する!  青山貞一

 昨年3月,小沢氏第一公設秘書の突然逮捕にはじまった東京地検特捜部の「爆発」は、最初の事件、すなわち西松建設事件でも検察側証人(西松総務部長)が公判で当初証言を覆し検察は真っ青、今後の裁判でも敗色が濃厚となった。

 これは大メディアがほとんど報じていないが事実である。

 焦った地検特捜部は、昨年末から大メディアとあうんの呼吸で連携、再捜査を大々的に敢行した。鹿島建設東北支社などの主要ゼネコン、中堅ゼネコン2社へのガサ入れと元支社長などへの事情聴取、そしてこの1月には、大久保秘書を含む3名の小沢氏秘書を突然逮捕した。

 さらに小沢氏への2回、取り調べを行ったものの、小沢氏からは水谷建設からのカネの授受はもとより収支報告記載も全面否認され、数度にわたる政治団体などへの家宅捜査でも物証は皆無だった。

 しかも本件に無関係の女性秘書への違法な取り調べの実態が「週刊朝日」に赤裸々に暴露された。何とも信じられないことだが、特捜部は今なお、戦前の特高、公安紛いの酷い取り調べを行っていることが上杉隆氏の記事で分かったのだ。

 以下は「週刊朝日」に掲載された女性秘書への違法な取り調べの実態について言及した上杉隆氏署名記事部分である。


1月26日(火)の昼ごろ、石川事務所に「タミノ」と名乗る男から電話があった。女性秘書に検察庁に来てほしいという。

女性秘書が「今日も押収品の返却ですか?」と確認すると、タミノは「そうです、あと、ちょっと確認したいことがあるので」と返した。

よく聞き取れなかったので、もう一度確認すると、「返却です」と答えた。

女性秘書は、1月15日の石川逮捕以来2度(22日、25日)検察庁から呼び出しを受け「押収品」の返却に応じている。

今回も同様の案件だと信じた女性秘書は、ランチバッグ一つで検察庁に向かった。

霞が関から議員会館のある永田町からは一駅である。前日と同じように、コートも着ずに薄着で出かけた。ランチバッグの中には千円札と小銭、ティッシュとハンカチ、携帯電話だけである。

検察庁に着くと前回までとは違う部屋に案内される。

するとそこには民野健治という検事が待っており、いきなりこういい始めたのだ。

「被疑者として呼んだ。あなたには黙秘権があるので行使することができる。それから〜」

事情を把握できずパニックになった女性秘書が、ほかの秘書か弁護士に連絡したい旨を告げると、民野健治はそれを無視して、逆に、携帯電話の電源を切るように命じ、目の前でスイッチをオフにさせたのだ。

それが昼の1時45分。だまし討ちの「監禁」はこうして始まった。

任意の事情聴取は、文字通り「任意」である。

よって、被疑者であろうが、参考人であろうが、当事者の同意が必要なのは言うまでもない。

仮に、拒否しても、その場を立ち去っても問題はない。

拒否も国民の当然の権利である。

ところが今回「聴取」というだまし討ち監禁は、そうした意向を問うこともなくスタートしている。

民野健治は、女性秘書に小沢と石川が共謀していたことを認めるよう迫り続けた。だが、彼女がそんなことを知る由もない。

女性秘書は石川が小沢の秘書をやっているときは、別の民主党議員事務所に勤めていたのだ。

しかも、当時は与野党に分かれており、自由党の石川秘書についてはその存在すら知らなかった。

そんな彼女が、小沢事務所の会計事務のことを知るすべはない。

その旨を正確に述べると、検事は次のような言葉を並べるのだった。

「いいんだよ、何でもいいから認めればいいんだよ」

「早く帰りたいなら、早く認めて楽になれよ」

「何で自分を守ろうとしないの。石川をかばってどうするの」

こうした言葉をさんざん浴びせられたが、知りようもない事柄を語れるはずもない。

そこで黙っていると民野健治はこう言い放った。

「あんた、何も言わないのは愚の骨頂だよ」

取り調べ室では時刻もわからない。もうずいぶん時間も経過したのだろう。

ふと見るとそれまでブラインドから差し込んでいた外の光が暗くなっている。

3歳と5歳の子供が待っている保育園に迎えに行かなければならない。

夫でも誰でもいいから迎えに行かなければ、幼い子供たちも心配するだろう。

取り調べ可視化 これじゃ無理だ。

女性秘書は検事に対して、繰り返しお迎えの許可だけを懇願する。

一時的でもいい、必ず戻ってくる。せめて電話を入れさせてほしいと哀願し続けたのだ。

そして、母親の子供を思う気持ちが昂ったその時、検事の発した言葉が、先の「何言っちゃってんの?そんなに人生、甘くないでしょ?」という台詞だったのだ。

その言葉を聞いて、母親はパニック状態に陥った。

手が震え出し、自然に涙がこぼれてくる。

ついには呼吸が荒くなり、過呼吸状態に陥った。

飲み物を所望する。

ご希望をどうぞ、と言われたので、「お茶をください」と言った。

すると民野健治は事務官を呼び、庁内にあるローソンに買いに行かせた。事務官が戻ってきてお茶を出すと同時に検事はこういったのだ。

「120円、払ってください」

一方、昼間に出かけた女性秘書の帰りがあまりに遅いため、石川事務所のスタッフたちもさすがに心配になってきた。

ちょうどそのころ、検察庁から一本の電話が入った。

「○○さん(女性秘書の名前)からの伝言です。今日は用事があるので事務所には帰らないとのことです」と、男の声で名前も名乗らず、それだけ言うと一方的に切れたという。

日が暮れて数時間がたつ。

子供の迎えの時刻が迫ってからは「せめて主人に電話をさせてほしい」「ダメだ」というやり取りの繰り返しになる。

あの小沢一郎の事情聴取ですら、準備に準備を重ねて弁護士を連れ、自らのホテルの部屋という条件で行われたのだ。しかも4時間半である。

一方、女性秘書の「監禁」時間はすでにこの時点で5時間を超えている。

だんだん思考能力も低下してきた、と、のちに弁護士にも語っている。

この母親が何百回、同じ「哀願」を繰り返したころだろう。

ようやく検事が「じゃあ、旦那にだけは電話していい」と認めた。

検事の目の前で携帯のスイッチをオンにし、画面に夫の電話番号を表示し、それを見せながら発信ボタンを押した。

子供の迎えだけを頼んだ。

それから次に弁護士への通話をお願いし、しばらくして同じように許可された。

弁護士が検事と「聴取」の中断を交渉し、午後10時45分、事務所を出てから約10時間ぶりに女性秘書は「監禁」から開放されたのだった。

結局、「押収品」は一つも返してもらえなかった。

つまり、東京地検特捜部は、最初からこの若い母親をだまして「監禁」することが目的だったのだ!


出典:検察暴走! 子ども”人質“に女性秘書「恫喝」10時間
週刊朝日2月12日号 上杉隆署名記事部分


 以下は、東京共同法律事務所の日隅弁護士のコメントだ。

 ここで、見過ごせない問題は、新人秘書が調べの前に弁護士に電話したいと言ったにもかかわらず、民野検察官がそれを拒否して携帯電話の電源を切らせ、そのまま取調べを5時間以上続けたという点だ。完全に、弁護権を侵害している(逮捕中でも本人が弁護士に連絡したいと言ったら連絡させる必要がある。ましてや任意なら完全に自由にアクセスさせる必要がある)。

 また以下は東京地検が週刊朝日編集部に充てた抗議の概要に関する日経新聞の関連記事である。


 東京地検は3日、衆院議員、石川知裕容疑者(36)らが逮捕された収支報告書虚偽記入事件を扱った週刊朝日2月12日号の記事について「まったくの虚偽だ」として、山口一臣編集長あてに抗議文を送ったことを明らかにした。検察当局が捜査関連記事で出版元に抗議するのは異例。

 記事は「子ども“人質”に女性秘書『恫喝』10時間」の見出しで、ジャーナリスト上杉隆氏が執筆。

 関係者の証言として、特捜部が1月26日に石川容疑者の女性秘書をだまして事情聴取に呼び出し、「主人に電話をさせてほしい」、「ダメだ」などとやりとりがあった、と報じた。

 山口編集長は「記事は丁寧な取材を重ねたもので、自信を持っている」とコメントしている。


 一方、逮捕された女性秘書の主、石川氏は北海道の選挙区で国民から選ばれたれっきとした衆院議員、それも特捜部の3回目の事情聴取に応ずると地検に返事をした矢先、しかも通常国会3日前に逮捕されたのだ。

 大メディアの標的、関心は全て小沢氏に向けられているが、現役の国会議員がこのような形で逮捕されること自体、きわめて異常、異例なことだ。

 郷原信郎教授は、この石川議員らの逮捕そのものについても疑問を呈している。以下はその最新談話である。

★郷原信郎:小沢問題についての検察会見を“リーク”する(1) 内憂外患

 振り返って、この1年、東京地検特捜部は、司法(記者)クラブに従順な番犬のように屯(たむろ)する大メディアを使って、それこそ連日連夜、昼夜を問わず国民に情報操作による世論誘導という「風を吹かせた」ことも異様なことだ。

 また通常、一切弁解しない小沢氏であることをいいことに、小沢氏をあたかも真っ黒で極悪非道な人物のように仕立て上げてきたことも、大いに問われなければならない。

 そして今日(2009年2月4日)、案の定と言うべきか、立件は本丸の小沢に最終的に遠く及ばなかったのである。

 2月4日の司法クラブ会見での佐久間達哉・東京地検特捜部長と報道陣(これは司法クラブ傘下各社記者)との主なやりとり。ただし、「主なやりとり以外は不明」である。

 ――小沢氏は嫌疑不十分で不起訴ということだが

 「共謀には共犯者の行為を通じて自らの犯罪をする意思が必要。有罪を得るだけの証拠が足りなかった」

 ――検察内部で積極論と消極論があったのか

 「個々の検察官によって証拠の見方は違う。お互いに確認しながら一つの結論を引っ張ってきた」

 ――虚偽記入の動機は

 「土地購入の原資を隠すことが目的」

 ――原資は解明できたのか

 「原資が何も分かっていなければ、起訴とならない。(土地代金の原資となった)4億円は陸山会の前に一度、小沢議員に帰属している。どういう金かは公判で明らかにする」

 ――この4億円の一部はゼネコンからのものか

 「それは言えない」

 ――小沢氏が記者会見で説明した原資は違うのか

 「今日の時点では否定も肯定もしない。必ずしも小沢議員の説明をそのまま認定しているわけではない」

 ――今後、陸山会以外の(小沢氏関係の)政治団体は追及するのか

 「具体的なことは念頭にない。現時点で立件すべきものは立件した」

 ――小沢氏の供述調書は公判の証拠として出すか

 「一般論としてはそう。これから検討する」  

 以上

 あれだけ執拗、ネチネチ、頻繁にガサ入れし、事情聴取していた特捜部だが、上の質疑を見ると、ほとんど何も肝心な物的証拠が得ていないことが分かる。

 また、そもそも地検特捜部が小沢氏を標的とした本当の目的も見えない。昨年もそうだったが、この時期における起訴は拘留期限、政治資金規正法上の時効、さらには3月末が自分たち検察関係者の定期異動などもある。

 結局、東京地検は小沢氏の秘書3名を無理矢理起訴したものの、まさにこれは大山鳴動してネズミ一匹しかでてこず、それさえ先の西松事件公判で明らかになったように、立件はしたものの公判が維持できるかどうか分からないはずだ。

 なぜなら、3人の秘書は、今回、またしても明らかになった戦前を彷彿とさせる地検のトンデモ取り調べのもとで、無理矢理証言させられ、署名させられた可能性があるからだ。今後、公判の中で証言を覆す可能性だってないとはいえない。

 そもそも、捜査の指揮をとった佐久間達哉・東京地検特捜部長は、かの福島県元知事の佐藤栄作久氏を逮捕、起訴した張本人だが、その後の控訴審、仙台高裁では、佐藤氏の実質的無罪が確定しているからである。

 すなわち、地検が力を入れた水谷建設からのカネ問題は、佐久間達哉・東京地検特捜部長が上記の佐藤氏の事件に関連し、現在、刑務所にいる元水谷建設会長から得た情報が元になっていると言われる。

 だが、その元会長自身、供述の信用性に重大な問題があるのだ。そんな人物の言うことを真に受け、1年近く小沢問題を引っ張ってきたとするなら、どうにかしていると言うのが郷原氏らこの道の専門家の見立てである。

 以下は郷原氏の談。

 「しかし、その水谷建設からの5000万円の裏献金の事実については、供述を行ったとされる水谷建設の元会長の供述の信用性に重大な問題がある。

 佐藤栄佐久前福島県知事の汚職事件では知事の弟が経営する会社の所有する土地を水谷建設が時価より1億7000万円高く購入することで「1億7000万円」の賄賂を供与したとの事実で現職の知事が逮捕・起訴されたが、控訴審判決では「賄賂額はゼロ」という判断が示された。

 しかも、この事件に関して、水谷建設元会長が、捜査段階や一審では、執行猶予欲しさに検察に迎合して事実と異なる供述をしたと佐藤氏の弁護人側に告白したことを弁護人が控訴審の公判の中で明らかにしている。

 今回の小沢氏側への5000万円の裏献金の供述についても、脱税で実刑判決を受けて受刑中の同元会長が、仮釈放欲しさに検察に迎合して虚偽の供述行った可能性が十分にあり、供述の信用性はかなり低いと言わざるを得ない」

と。こんな人物の言うことで、小沢氏が水谷建設から1億円をもらったかのごとく、まことしやかの記事を多くの大メディアが書いてきたとするなら、トンデモナイことだ。地検は証拠不十分ということだろうが、大メディアの大暴走による人権侵害はどうなるのか?

 このように昨年3月の西松建設問題での大久保公設第一秘書の逮捕、起訴と言い、佐藤栄作久氏の逮捕、起訴と言い、ずいぶん杜撰な見込み逮捕であり、捜査であり、立件である。

 こうなると、石川議員らを起訴しても公判維持が困難となっていると言う現実が待っている可能性は十分あるだろう。

 かくして、司法捜査的には東京地検の歴史的、決定的な敗北となった。

 私見では、一刻も早く「記者クラブ解体」、「ザル法政治資金規正改正」、「取り調べ可視化法」や「企業団体献金全面禁止法」の制定を急ぐことが立法府の責務だと考える。また早期に「検察庁幹部人事を国会承認とすべき」であると考える!


 閑話休題


 ここからは、今までは敢えて書かなかったことだが、今日は敢えて書きたい。

 日本の大メディア記者の法的知識の欠如と人権意識のなさには唖然とするばかりだ。

 憲法にある「推定無罪」の認識のかけらもなく、みんなで書けば怖くない、背後に地検がいれば怖くないと、何でも書き飛ばす司法クラブや政治部の記者は、小沢氏の名誉、信用を徹底的に毀損したことをどう考えているのだろうか?

 刑事であれ、民事であれ、彼らが所属している新聞社やテレビ局の多くは株式会社だ。記事を書き売って食っている組織である。

 その株式会社やその集合体の社団法人(共同通信や時事通信は社団)の社員である記者は連日連夜記事を書き公衆に流し続けている。

 記事や映像中で「顕示した事実」が真実あるいは真実に相当するものであれば、内容が公共公益的なものである以上、記者や新聞社・テレビ局の名誉毀損や信用毀損には当たらない。

 すなわち、たとえば刑法は「行為が公共の利害に関する事実に係り、かつ、その目的が専ら公益を図ることにあったと認める場合には、事実の真否を判断し、真実であることの証明があったときは、これを罰しない」(第230条の2の1項)という特例をもうけている。

 そして(1)表現された事実が、公共の利害に関する事実にあたり(「公共性」の要件と言われる)、(2)目的が専ら公益目的であり(「公益目的」の要件と言われる)、(3)真実の証明があれば(「真実性」の要件と言われる)、「罰しない」というわけだ。

 刑事事件では名誉毀損は故意犯であるから、判例上「事実が真実であることの証明がない場合でも、行為者がその事実を真実だと誤信し、その誤信したことについて、確実な資料、根拠に照らして相当の理由があるときは、故意がなく、名誉毀損罪には該当しない」とされている(最高裁昭和44年6月25日判決)。

 このことを裁判では「真実性」の証明に対し、「相当性」の証明といっている。

 真実性はなくとも、相当性があれば名誉毀損は免れるわけだが、地検特捜部が小沢氏の不起訴を決め、水谷からのカネの授受の証拠をつかめなかったということは、確実な資料、根拠に照らし相当な理由などないことになるのである。

 安念教授らは、上記(1)から(3)の要件に加え、反論する機会についても成立要件に加えているが、小沢氏が政権与党の幹事長であるから、反論の機会はいくらでもあるので、これは除外されるだろう。

 このように、連日連夜新聞、テレビが記事や報道で顕示した事実に真実性はもとより相当性もなければ、いくら内容に公共公益性があっても名誉毀損や信用毀損は成立する。

 多くの有名、無名を問わず政治家に係わる名誉毀損裁判、とくに今回のような政治家に係わる裁判で、メディア側が失敗し損害賠償の対象となるのは、言うまでもなくグレーゾーンをあたかもブラックであるかのように書いていることだ。しかも最終的にそれを自らブラックであると証明することはできず、相当性についても証明できない場合である。

 もっぱら、刑事事件での名誉毀損、信用毀損、侮辱は、親告罪であるのに加え、訴え先が東京地検か警視庁となるので、何とも滑稽な話ではある。しかし、民事もある。こちらは損害賠償提訴である。

 また民事の名誉毀損裁判(通常、民法709条の不法行為)の成立要件はほぼ上記の刑事の名誉毀損の成立要件を起訴としている。したがって、民事の損害賠償事件として新聞やテレビ局を謝罪広告などを含め訴える場合にも、上記の最低限3つ、多くて4つが要件となる。

 ちなみに、不法行為の民法上の条項は、

第5章 不法行為
第709条 故意又ハ過失ニ因リテ他人ノ権利ヲ侵害シタル者ハ之ニ因リテ生シタル損害ヲ賠償スル責ニ任ス

であり、故意だけでなく過失による他人の権利の侵害も損害賠償の対象となる。

 たとえば、知人のあるジャーナリストが相当前、群馬県の小さな村の村長が農水官僚に送ったとされる餞別についてある有名な商業雑誌に書いた記事に関連し、その村長から起こされた名誉毀損裁判では、そのジャーナリストの記事を読めば読者は誰でも、その村長がカネを農水官僚に渡したと思えると高裁、最高裁は判断し、ジャーナリストと出版社に数100万円の損害賠償賠償を命じている。

 今回の小沢氏問題のような刑事事件に関連する場合には、実際小沢氏が水谷から金をもらっていなくても、どの読者が、また誰が記事を読んでも、カネをもらったかのように思う書き方をすれば、高裁、最高裁判例上、名誉毀損ないしそれに準ずることになるのである。

 当時、友人や出版社の編集長と、これでは警察なり地検が最終的に会見し発表しない限り、何も書けないよなぁと議論したものだ。

 こともあろうか、今回は、その検察庁しか知り得ないと思える情報、それも同一人物が次々に話すことが連日多くの紙面をにぎわした。グーグル検索では、1日単位で500本以上、小沢氏関連の「勝手な記事」が囂しく掲載されていた。
 
 かの故三浦和義氏がまだ健在だったころ、獄中で大メディアを相手に民事の名誉毀損裁判を本人訴訟で800件以上提起し、その70%以上で勝訴したことを思い起こす。

 ある新聞社は、共同通信から配信した記事を転載しただけだから、とトンデモナイ言い訳をしたが、裁判所は通信社の記事を鵜呑みにした新聞社にも名誉毀損を判決した。ひとつひとつの損害額は100万円未満のものが多かったようだが、数が数、それも本人訴訟で対応したので、賠償額は数1000万円に及んだはずだ。

 小沢氏は三浦氏とは違うので、そんなことはしないだろうが、連日数100規模のあることないこと、それもソースすら不明の記事で名誉を毀損され、信用を毀損され、侮辱を受けたと新聞、テレビを訴えたとしたなら、得られる賠償額は間違いなく、数10億円に及ぶのではないかと推察できる。これは笑い事ではない。

  これも小沢氏のことだからだからいちいち、目くじらを立てて、新聞やテレビ各社を刑事で名誉毀損、信用毀損、侮辱で告訴したり、民事で損害賠償提訴することはないかもしれないが、専門的に見れば十分勝機があると思える。

地検特捜部小沢不起訴と暴走大メディアによる小沢氏の名誉毀損問題  青山貞一

 昨年(2009年)3月、小沢氏第一公設大久保秘書の突然逮捕にはじまった東京地検特捜部の「爆発」は、最初の事件、すなわち西松建設事件でも検察側証人(西松総務部長)が公判で当初証言を覆し、検察は真っ青、今後の裁判でも敗色が濃厚となった。これは大メディアがほとんど報じていないが事実である。

 焦った地検特捜部は、昨年末から大メディアとあうんの呼吸で連携、再捜査を大々的に敢行した。鹿島建設東北支社など主要ゼネコン、中堅ゼネコン2社へのガサ入れとともに元支社長などへの事情聴取を敢行、そしてこの1月には大久保秘書を含む3名の小沢氏秘書を突然逮捕した。

  さらに小沢氏に2回取り調べを行ったものの、小沢氏からは水谷建設からのカネの授受はもとより収支報告記載も全面否認され、数度にわたる政治団体などへの家宅捜査でも物証は皆無だった。

  しかも本件に無関係の石川議員女性秘書への違法な取り調べの実態が「週刊朝日」に赤裸々に暴露された。何とも信じられないことだが、特捜部は今なお、戦前の特高、公安紛いの酷い取り調べを行っていることがフリージャーナリスト、上杉隆氏の記事で分かったのだ。
 
 一方、逮捕された女性秘書の主、石川衆議院議員は北海道の選挙区で国民から選ばれたれっきとした衆院議員、それも特捜部の3回目の任意の事情聴取に応ずると地検に返事した矢先、しかも通常国会3日前に逮捕されたのだ。大メディアの標的、関心は全て小沢氏に向けられているが、現役の国会議員がこのような形で逮捕されること自体、きわめて異常で異例なことだ。

   振り返って、この1年、東京地検特捜部は、司法(記者)クラブに従順な番犬のように屯(たむろ)する大メディアを使って、それこそ連日連夜、昼夜を問わず国民に情報操作による世論誘導という「風を吹かせた」。これも民主主義国家としては、きわめて異様なことだ。また通常、一切弁解しない小沢氏であることをいいことに、小沢氏をあたかも真っ黒で極悪非道な人物のように仕立て上げてきたことも、問われなければならない。

 そして今日、案の定と言うべきか、本丸の小沢立件には最終的に遠く及ばなかったのである。 まさに大山鳴動してネズミ一匹。司法捜査的には東京地検の歴史的、決定的な敗北となった。一刻も早く「記者クラブ解体」、「ザル法政治資金規正改正」、「取り調べ可視化法」や「企業団体献金全面禁止法」の制定を急ぐことが立法府の責務だ。

 閑話休題

 ここからは、今までは敢えて書かなかったことだが、今日は敢えて書きたい。

  日本の大メディア記者の最低限の法的知識の欠如と人権意識のなさには唖然とするばかりだ。

 彼らには憲法にある「推定無罪」の認識のかけらもなく、みんなで書けば怖くない、背後に地検がいれば怖くないとばかり、何でも書き飛ばす司法クラブや政治部の記者は、小沢氏の名誉、信用を徹底的に毀損したことをどう考えているのだろうか?

 彼らが所属している新聞社やテレビ局の多くは株式会社だ。記事を書き売って食っている組織である。

 その株式会社やその集合体の社団法人(共同通信や時事通信は社団)の社員である記者は連日連夜記事を書き公衆に流し続けている。

 ここで名誉毀損、信用毀損の法理について若干述べたい。

 新聞記事やテレビの報道映像の中で「顕示した事実」が真実あるいは真実に相当するものであれば、その内容が公共公益的なものであれば、記者や新聞社・テレビ局の名誉毀損や信用毀損は問われない。

 たとえば刑法では「行為が公共の利害に関する事実に係り、かつ、その目的が専ら公益を図ることにあったと認める場合には、事実の真否を判断し、真実であることの証明があったときは、これを罰しない」(第230条の2の1項)という特例をもうけている。

 そして法理の上では、(1)表現された事実が、公共の利害に関する事実にあたり(「公共性」の要件と言われる)、(2)目的が専ら公益目的であり(「公益目的」の要件と言われる)、(3)真実の証明があれば(「真実性」の要件と言われる)、「罰しない」というわけだ。

 刑事事件では名誉毀損は故意犯であるから、判例上「事実が真実であることの証明がない場合でも、行為者がその事実を真実だと誤信し、その誤信したことについて、確実な資料、根拠に照らして相当の理由があるときは、故意がなく、名誉毀損罪には該当しない」とされている(最高裁昭和44年6月25日判決)。

 このことを名誉毀損の法理、そして裁判の審理では「真実性」の証明に対し、「相当性」の証明といっている。

 仮に真実性がなくとも、相当性があれば名誉毀損は免れるわけだ。しかし、地検特捜部が小沢氏の不起訴を決め、水谷からのカネの授受の証拠をつかめなかったということは、確実な資料、根拠に照らし相当な理由などないことになる。となれば彼らが書き飛ばしてきた記事では、「真実性」の証明はもとより、「相当性」の証明も出来ないことになる。

 安念教授(成蹊大学)らは、上記(1)から(3)の要件に加え、名誉毀損を受けた者の反論する機会についても成立要件に加えているが、小沢氏が政権与党の幹事長であるから、反論の機会はいくらでもあるので、これは除外されるだろう。

 このように、連日連夜新聞、テレビが記事や報道で顕示した事実に真実性はもとより相当性もなければ、いくら内容に公共・公益性があっても名誉毀損や信用毀損は成立する。

 多くの有名、無名を問わず政治家に係わる名誉毀損裁判、とくに今回のような政治家に係わる裁判で、メディア側が失敗し損害賠償の対象となるのは、言うまでもなくグレーゾーンをあたかもブラックであるかのように書いていることだ。しかも最終的にそれを自らブラックであると証明することはできず、相当性についても証明できない場合である。

 上記に関連し重要な判例がある。私の知人のあるジャーナリストが相当前のことだが、群馬県の小さな村の村長が補助事業などでさまざまな便益を受けた農水官僚に送ったとされる餞別について、ある有名な商業雑誌に記事を書いた。

 その記事に関連し、村長から起こされた名誉毀損裁判では、「ジャーナリストが書いた記事を読めば読者は誰でも、その村長がカネを農水官僚に渡したと思える」と高裁、最高裁は判断し、ジャーナリストと出版社に数100万円の損害賠償賠償を命じた。

 今回の小沢氏問題のような刑事事件に関連する場合には、実際小沢氏が水谷から金をもらっていなくても、どの読者が記事を読んでも、小沢氏がカネをもらったかの書き方をしてきた。となると、それひとつだけをとっても高裁、最高裁判例上、名誉毀損ないしそれに準ずることになるのである。

 当時、私は友人のジャーナリストや出版社の編集長と、「これでは警察なり地検が最終的に会見し発表しない限り、何も書けないよなぁ」と議論したものだ。

 こともあろうか、今回は、その検察庁しか知り得ないと思える情報、それも同一人物が次々に話すことが連日多くの紙面をにぎわした。グーグル検索では、1日単位で500本以上、小沢氏関連の「勝手な記事」が囂しく掲載されていた。
 
 かの故三浦和義氏がまだ健在だったころ、獄中で大メディアを相手に民事の名誉毀損裁判を本人訴訟で800件以上提起し、その70%以上で勝訴したことを思い起こす。

 ある新聞社は、共同通信から配信した記事を転載しただけだから、とトンデモナイ言い訳をしたが、裁判所は通信社の記事を鵜呑みにした新聞社にも名誉毀損による損害賠償を判決した。ひとつひとつの損害額は100万円未満のものが多かったようだが、数が数、それも本人訴訟で対応したので、賠償額は数1000万円に及んだはずだ。

 小沢氏は三浦氏とは違うので、新聞、通信社、テレビ相手に損害賠償請求などしないだろう。連日数100規模のあることないこと、それもソースすら不明の記事で名誉を毀損され、信用を毀損され、侮辱を受けたと新聞、テレビを訴えたとしたなら、得られる賠償額は間違いなく、数10億円に及ぶのではないかと推察できる。これは笑い事ではない。

 ただ、専門的に見れば小沢氏側の勝機は十分あると思える。
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