2008年6月7日、東京都港区三田で開催された「仙台・北陵クリニック事件の再審決起集会」に参加した。北陵クリニック事件では、さしたる物証もないまま、薬学、医学、化学などの世界ではおよそ考えられない不可思議なロジックと、大阪県警科学捜査研究所による血液、尿などに含まれるとされる筋弛緩剤の分析とその鑑定をもとに、守大助さんの無期懲役刑が確定してしまった。

 三審制のどの審議でも、判事は弁護側が執拗に指摘した杜撰な捜査を見抜けず、未来ある若者を無期懲役に陥れてしまったのである。 この事件が教えるところは、冤罪は何も警察、検察の専売特許ではなく、裁判所もトライアングルの一部であるということだ。我が国の司法には、いまさらながら憤懣やるかたない。 同様に、警察や検察情報だけで世論を操作、誘導するマスメディアの恐ろしさを今更ながら感ずる。

 ところで2008年2月、その名もずばり、「
冤罪File」と言う季刊雑誌が発刊された。冒頭の集会にいらした今井さんという方から第2号(左の表紙参照)をいただいたのだが、大学と自宅を行き来する田園都市線の車内でしっかり読んでみた。 さすが、どの記事もずっしり重く秀逸だ。しかも、記事はどれも「冤罪が起こる日本の警察、検察、裁判の核心の現場」に鋭くせまっている。あっという間に全ての記事を読んでしまった。

 私自身、大学の教え子が昨年の今頃、危うく冤罪となるところを、川崎市の小山弁護士らの献身的な尽力で初審の横浜地裁で勝訴した。しかも、横浜地検は何と控訴を断念した。ということは、いうまでもなく物的証拠がなにもない事件で、警察と検察がいかに取り調べの自白、それも当初、思い描いたシナリオにそって事件をでっち上げているかを如実に示すものである。

 本「冤罪File」には、実際にあった冤罪あるいは冤罪に類する事件を全国からくまなく集め、弁護士や当事者に直接インタビューするなど、高見の評論ではない、現場に密着した記事で構成されていて、大変読み応えがある。

 450円も手頃だ。 今後に大いに期待したい!