今度の日曜日(2010.4.18)、福島県内で「産廃問題シンポジウム」があり、いつものように広田次男弁護士、坂本博之弁護士(ともにゴミ弁連弁護士、環境行政改革フォーラム司法担当幹事)と一緒に講演にでかけてきます。私は福島県内の産廃問題での講演はすでに20回を超えています。
今回は、福島県北部の中通り、川俣町にある廃棄物処理法制定以前に立地され稼働してきた「産廃処分場」をめぐる問題で、すでに産廃業の許可が取り消され、施設は操業停止命令が出されている古い最終処分場を巡る問題です。
当日は川俣町長、二本松市長、南相馬市長、関連市町村議員、福島県議会議員らが住民とともに大勢参加されると連絡がきています。
◆東北地方とりわけ福島県と産廃処分場
さて関東北部から東北地方は、永年にわたって東京など大都市で発生し、あるいは燃やされた「産廃」が最終的処分される場所となっています。国が何ら抜本的な廃棄物処理法の改正、改革をしないため、廃棄物問題はヤミからヤミに葬られ、かつ利権の種となっています。
たとえば岩手県の産廃不法投棄や宮城県南の丸森における産廃処分場問題も産廃事件では有名ですが、福島県では過去10年、いわき市、郡山市、小野町、双葉町、原ノ町(現在南相馬市)、二本松市などでは産廃業者が処分場を画策し、地元住民、農民らと激闘を繰り返してきました。
また茨城県でも東海村でも産廃施設の立地を巡る紛争が現在起きています。さらに埼玉県北部の寄居町にも巨大な産廃処理施設が稼働しています。
◎ゴミ弁連による福島県内でのシンポジウム開催例(郡山市)
http://gomibenren.jp/gomiben-koriyama20060423.html
とりわけ南相馬市は、江戸時代の歴史的ため池・堤がある場所に東京の産廃業者が産廃の最終処分場と焼却場の立地を行い、今までに10以上の訴訟が住民側、業者側から提起されています。これについてはその都度、報告してきました。業者は数度変わっておりますが、いずれも東京など首都圏の業者です。
◎青山貞一:福島県浜通りに残された秀逸な歴史的風景が
危機に瀕しています!
http://eritokyo.jp/independent/aoyama-col18198.htm
当初から産廃問題に立ち上がった酪農者、櫻井さんは、その後市民におされて市議になり、さらにこの1月、南相馬市長となられ産廃問題と対峙していますが、未だに解決に至っていません。
◆不明朗な民主党の産廃政策!?
周知のように、政権交代時の民主党の公約なりIndexには、こと「原発」と「産廃」問題にはまともな対応がありません。信じられないことですが、民主党は「原発」について茨城県にある日立製作所の電機労連出身の大畠衆議院議員が昔から自民党同等に積極推進派であり、何度か党内で問題になりました。
政権交代後の民主党は明らかに積極推進となりました。こと「原発」について、民主党は積極的な成長路線をとっていると言えます。
鳩山総理は、「原発」と「新幹線」を日本の最新技術として、海外にまで売り込みに行っています。他方、「産廃」については完全にアンタッチャブルを決め込んでいます。
これはなぜでしょうか?
現地で見ると原因、理由は明らかであり簡単なことです。
立地域の環境や健康だけでなく農業、漁業など産業に甚大な影響をもたらすことで、地域住民から嫌悪される「産廃処理・処分施設」の立地と運用は、その実、巨額の利益を生む資金源であり錬金術であるからです。
福島県内の産廃問題をつぶさに見ていると、産廃は明らかに暴力団の資金源となっています。それだけではありません。
永年にわたり国から地元市町村に至る自民党系政治家に、またかなり前から民主党系政治家にとっても「裏」の重要な資金源になっているのです。
そのため、こと産廃問題での法制度的な対応は絶えず遅れるだけでなく、たとえば長野県で私達(梶山弁護士、青山東京都市大教授、北村上智大教授)らが3年かけ知事の依頼に応じて立案した産廃規制のための新条例案も、自民党系県議だけでなく、民主党系県議によってつぶされてしまいました。
◎長野県条例案のリンクはすべて長野県側によりはずされています!!
http://eritokyo.jp/independent/nagano-pref/haikibutsu-jourei1.htm
長野県では田中県政時代でも県の生活環境部長が退職するとすぐに長野県産廃協会の事務局長となっていました。自民県議だけでなく民主系県議もこれを容認していたのです。
ちなみに長野県の国会議員は先に参議院で青木議員の電子賛否投票を行い辞職した若林参議院議員(自民)、また北澤防衛大臣(民主)をみれば分かるようにどうしようもありません。
その後も、国ではたとえば廃棄物処理法の抜本的改正などの動きもありません。触らぬ神にたたりなしを決め込んでいるのでしょう。
このように、こと日本社会の環境問題と政治家の実態は、すくなくとも産廃問題の現場を見ない限り、まったく分からないというのが、私の実感です。