2010年8月27日、法務省は死刑を執行する拘置所内にある死刑場を報道陣に初めて公開した。公開とはいっても、21人の記者のみ、写真やビデオは代表一社のみ、記者から法務省関係者への質問は不可など、きわめて変則的、限定的な公開であった。
日本の死刑場については、過去2度、実際に見たことがあるという元衆議院議員の保坂展人氏が自身のブログで何度も解説しているので、ご覧になった方も多いと思う。
今日、部分公開された死刑場は、一部を除き、ほぼ保坂氏が書かれた図面に近いものであった。しかし、保坂氏も指摘しているように、今回の部分公開では、肝心な絞縄(こうじょう)はなかった。また記者らは執行後、人体が落ちる地下室には入れなかった。
出典:中日新聞 2010.8.27
なお、中日新聞の記事によると、今回公開されたのは、(1)所持金品の扱いや遺言の有無を確認、宗教的な話をする「教戒室」、(2)拘置所長が正式に執行を告知する「前室」、(3)死刑囚が立つ踏み板とロープを掛ける滑車がある「執行室」、(4)執行室の踏み板を作動させる3つのボタンが並ぶ「ボタン室」、(5)検察官や拘置所長らが見守る「立ち会い室」である。
ところで、大島渚監督が「絞首刑」という映画を製作していたことをご存じであろうか?
この映画は死刑廃止活動の一環として大島監督が製作したものであるが、そこに出てくる「死刑場」は、東京都葛飾区小菅(こすげ)にある東京刑務所にあった死刑場をモデルにしている。しかし、映画の跡、小菅の東京刑務所は再開発され、下の写真にあるように巨大な高層ビルとなり、それに伴い死刑場も作りかえられている。
葛飾区小菅にある東京刑務所
出典:Wikipedia
しかし、今日部分公開された現在の死刑場と大島監督が製作した映画の「絞首刑」の「死刑場」は、大部分が近似した空間構成、構造、施設となっている。
以下は、大島監督が製作した映画の「絞首刑」にでてくる「死刑場」の主要部分を示すYouTube動画である。上記のように現在の死刑場は昔のものと異なるものの、その構成、構造は近似したものであり、そこでどのようにして実施の処刑が行われているかが映画を通じてよく分かる。
大島渚監督の映画「絞首刑」の一部
出典:YouTube