欠陥住宅って何?

日々の住宅検査の事を中心に私事を交えて記載しています。

2012年02月

欠陥住宅って何?まさか自分の家が!その6

バルコニーにはFRP防水が施行されるのが一般的に
なっています。

防水施工には、決まりごとがあります。
それを無視した施工は、必ず問題が生じてきます。

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FRP防水の立ち上がり部を下から見上げた写真です。
水切りの下端で防水層が終わっています。

本来水切りの取り付ける前に水切の上まで防水層
を立ち上げなければいけません。

P1120590

その結果、防水層の中に雨水が侵入し、下地合板
が波打っています。



欠陥住宅って何?まさか自分の家が!その5

断熱材は、建物全体をすっぽりと囲んでこそ意味があります。

魔法瓶を連想して下さい。
お湯を断熱材がすっぽり包むことによって、お湯の温度
を一定に保つわけです。

建物も全く同じことです。断熱材に隙間があったり、施工
されていない箇所があると、そこから熱の出入りが生じます。

P1120658

この写真は、2階押入の天井裏ですが、断熱材の施工が
ありません。

P1130182

同様のお宅の1階押入の床下にも断熱材の施工が
ありません。

このような箇所があると、外気温の影響を受けると
共に、暖房効率が落ちることになります。


欠陥住宅って何?まさか自分の家が!その4

屋根裏に構造的な問題を抱える住宅は本当に多いです。

P1120655

この写真は、雲筋かいといって小屋組みの剛性を
保つために取り付ける斜材です。

N50を2本以上使用して留めるものです。

使用されている釘は、N釘ではなくNC釘です。
これは、釘が細くせん断力は、N釘の半分以下です。

雲筋かいがひび割れ、外れています。
建築当初からこの状態なのか、地震を受けてこのよう
になったのかは分かりませんが、現状は、雲筋かいに
求められる性能はありません。

P1120625

更に、この箇所は、釘の留め付けがありません。
両端のみ釘で留められていますが、ぶよぶよと
たわむ状態です。

続く




欠陥住宅って何?まさか自分の家が!その3

木造住宅には、金物を接合部に多用します。
金物は、付いていれば良いと云うものではありません。

どれだけ確実に緊結できているかが問われます。
P1120640

指でナットを廻すと外れてしまう状態です。

P1120642

これでは、地震の際には、金物の固定が無いことに
等しいことになります。

続く



欠陥住宅って何?自分の家がまさか!その2

前回の住宅の引き続き

天井の野地板の各所にカビが発生しています。

P1120624

特に釘、ビスが野地板に打ち込まれた周辺部
を中心にカビが広がっています。

P1120631

雨漏れで、野地板の上を流れる雨が、釘、ビスの
へこみに溜まり、一旦雨水が屋根と防水シート
の中に入ると、乾燥しないため、その周辺がカビ
ているものと推測します。




欠陥住宅って何?自分の家がまさか!その1

先日、注文住宅で築12年の建物の押入れの天井に水
しみが出てきたとのことから、一度家全体を一度検査して
欲しいとの依頼がありました。

知り合いを通じて大工さんが屋根裏を調べたら、結露では
ないか。と言われたとのことです。

屋根裏を調べると、場所によって被害の状況に大きく違い
があります。

P1120634

屋根の野地板が黒く変色している箇所があります
が、距離が少し離れると影響が薄れます。

P1120646

これは、結露ではなく雨漏りの可能性が高いです。
また雲筋かいが大きく割れていますね・・・



ウレタン吹付断熱材

ウレタン吹付断熱は、隙間無く断熱材を施工出来る
メリットがあります。

しかし、吹付に厚みのむらが出る欠点があります。

厚めに吹いて、余分な箇所を削り取るくらいの施工
が必要です。

下の写真は、厚み66mmを示しています。
図面記載の厚みは、80mmとなっています。

部分的に厚みが薄い箇所がある程度ではなく、
全体に厚みが薄く仕上がっています。

これでは、得ようとする断熱性能が当然低く
なります。

P1120949

このように吹付断熱材の厚みまでを確認するのは、
保険会社や役所の検査ではしてくれません。






中古住宅の購入は慎重に!

誰しも住宅を購入するのは、人生においてそうそう何度も
あるものではありません。

大きな買い物です。

自動車なら、何百万単位ですが、住宅となると桁が違って
きます。
既製品の自動車の新車なら、そうそう当たり外れはありません。
ほぼ品質は一定です。

しかし、住宅はどうでしょうか。既製品ではなく1軒ごとに手作りです。
プレハブメーカーとて、家1軒をそのままトラックに載せて運んでくる
訳ではありません。

我々は、大手ハウスメーカーや建売業者の新築工事開始から
建物完成までの検査をしています。
最大10回の検査をしますが、どの検査でも是正すべき事項が
何かしら出てきます。
 
言い換えると、我々のような者が検査に関わっていない建物
は、何らかの問題を抱えたまま完成している物件が多くある
ということです。
 
まして、中古住宅は、新築当時の状態やその後のメンテナンス
工事の状態により千差万別です。


P1120158

上の写真は、先日検査した中古住宅の筋かい部分

筋かい(構造上非常に重要な耐力壁となる箇所)


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筋かい部分の下部

釘1本のみで留められています。既に錆びています。

地震や強風の際に抵抗するための構造部分ですが、
筋かいを手で押すと動きます。

地震がきたらどうなるかは、素人の方でも想像
出来ると思います。


人生に何度も無い大きな買い物をするのに、”その
建物が実際は、どのような状態であるかは分からないが、
外見上綺麗にリフォームされているし、大丈夫だろう!
と外見だけで判断して購入決定!

果たしてこれで良いでしょうか・・・・

大切な財産を無駄にしてはいけません。
どうすべきか。よくお考え頂きたいところです。












中古住宅の裁判物件

築23年の中古住宅を購入なさった方が入居後
建物に問題が生じて当方が検査することになり
ました。

その検査報告書が出来上がり、これをもとに
裁判をすすめることになります。

依頼主の辛いお気持ちは痛いほど理解できます。

その方から以下のようなメールを頂きました。
住宅の購入をお考えの方に参考になればと思い
そのメールをご紹介させていただきます。

佐野先生へ
 
お世話になります。
 住宅検査報告書の作成ありがとうございます。
 
内容すべて確認させていただきました。
 正直なところ予想以上でした。
 
しかし、これで自分がどういった住宅を購入し
 居住しているのかが明らかになりました。
 
本当にこういった検査を購入決済前に望んでいました。
 
私には建築の知識がありませんので
 専門家の方にきちんと検査していただきたかったのです。
 
ショックはありますが、求めていた事です。
 心から感謝申し上げます。
 
私の方はこれで十分です。
 
よろしくお願い申し上げます。

中古住宅購入前の検査

先日、築30年の木造住宅2階建を中古住宅として
購入を検討しておられる方から検査依頼がありました。

検査結果抜粋

① 外部に構造クラック(乾燥によるひび割れではなく
   構造上の問題からできるひび割れ)が各所に発生
   している。基礎から2階までに及ぶひび割れもある。

② 床の硬質性が無く各所でぶよぶよしている。
P1120131

③ 1階、2階共に各所で雨漏りがある。

④ 筋交い(建物歪を防ぐ壁内部の斜材で耐力壁となる。)
  が釘1本でとめられており、手で押すと動く状態

⑤ 屋根裏に断熱材の施工が無い。

⑥ 風呂釜の施工時に外壁が破壊されそのままになってる。

問題は沢山ありますが、その中でも雨漏りは、
新築当初からおきていたものと思われます。

雨漏りの補修はされているが、適切な補修では無く、
現在も雨漏れがある可能性も高いと判断しました。

新築当初からサッシと壁の取り合い部分の構造上の欠陥
により雨漏れがあった建物だと判断しましたが、その根本
的な欠陥が是正されない限り、雨漏りは一時的に止まっても
また必ずおきてきます。

検査の依頼主は、相当場所や価格更には間取りもが気に
入っておられたようですが、購入見合わされたと思います。

中古住宅の購入においては、場所、価格が購入動機となり
ますが、肝心の建物がその価格に見合うものでなかった
場合、大きな後悔を残すことになります。

現在、構造上危険で粗悪な中古住宅を購入した方の裁判物件
に関わらせて頂いておりますが・・・・
購入前に我々が検査していたら、購入を間違いなく見合わされた
だろうと思うと歯がゆい思いです。


えっ私胃がんですか!

胃がんの手術から1年4ヶ月が経ちました。
手術後定期的に検査を受けて来ましたが、
昨日がその最終日となりました。

採血とCTの結果は良好で、何の問題も無いと
松下病院の外科担当医である清水大先生から
お墨付きを頂きました。

清水先生は、声優なみの渋い声の持ち主で
大変気さくな素晴らしい方です。

この先生のブラックジャック並の名手術で私の
命が繋がりました。
命の恩人であり、感謝する気持ちは消えるものでは
ありません。

命を繋いで頂いたことに感謝し、人様のお役に
立てるよう日々精進していきたいと改めて思う次第です。

松下記念病院の皆様にお礼と感謝を申し上げす。

           胃が3分の1の佐野公則より

プロフィール

欠陥住宅って何?

私が検査にお伺いします。

一級建築士 
土地家屋調査士 佐野公則​

自己紹介
住宅検査関西
青山建築コンサルタント代表

関西を中心に住宅検査をおこなう
一級建築士であると共に
土地家屋調査士として登記業務もおこなっている。

後悔しない住宅造り、住宅購入
の案内人として、日々欠陥住宅、
新築住宅、中古住宅の検査をおこない、建築の素人の方々の安心、安全な住い造りをサポートしている。

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