自民党総裁選が近づいている。
 
8月17日付のJapan Times (https://goo.gl/f9zMQQ)や、27日付のフジサンケイビジネスアイ(https://goo.gl/81XUpC)にて詳述したので、ここでは略記に止めるが、個人的には石破氏の勝機はほぼないと思っている。
 
安倍氏が国会議員票(405票)の7~8割を固める中、石破氏が地方票(405票)の大半を固めて決選投票に持ち込むこと、そして、決戦投票で逆転することは、ほぼ不可能だからだ。
 
誰が担っても地域の活性化は容易ではないが、2014年からの地方創生担当大臣時代の石破氏が、任期中に目立った成果を残せなかったことが、この要因として大きいと思う。もはや地方票で地滑り的勝利を収めることはほぼ無理であろう。(※上記エッセイ中に詳述したが、石破氏は何もやらなかったわけではない。むしろかなり色々な施策を実現した。それでも難しかった。)
 
結局、地方創生は、常識から少し外れた考えと行動力を持つリーダー(始動者)がいないと始まらない。クリエイティブ・クラス、という言葉もあるが、当該地域にそうした人材が見当たらなければ、外から来てもらうしかない。ただ、現実には、異能の「異邦人」を地域が真剣に受け入れることは容易ではない。
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小学生の時分、私の物の見方に大きく影響を与えた「転校生」が2人いる。偶然にも名字が2人ともアルファベット表記だとKで始まるので2人のK君と呼ぶことにする。
 
一人目のK君は、確か2年生の時に転校してきた。当時、クラスではドッジボールが流行っており、圧倒的な運動神経を誇るY君の力が群を抜いていた。端的に言って、彼の球をクラスの誰もがまともに取ることは出来なかった。そんなY君の渾身のタマを、転校生のK君は初日からいとも簡単に取って見せ、「え、Yのタマを取ったってことは、俺が一番強いってこと?」とうそぶいて見せた。K君の剛速球を今度はY君が意地で取り返した。あたかも、彼の球を取れなかったら、我々クラス全員がK君の下僕とならざるを得ないような悲壮感と共に。
 
二人目のK君は、確か3年生の時に転校してきた。当時、クラスでは、雨天時の長い休み時間に将棋を指すことが流行っていた。通例は、初手に飛車道か角道を開けるところから勝負がスタートするが、このK君は、左の香車の前の歩を突出し、元々歩のあった場所に角を寄せて、そこから相手陣の王の前に角を成りこませるという、今考えると他愛もない手だが、当時の我々からすると驚天動地の新戦法を使ってクラス中の男子をアッと言わせた。
 
この二人のK君の衝撃から得た私の教訓は、「異能のよそ者」はコミュニティの成長にとってとても大事だ、ということだ。ドッジボールの例で言えば、Y君の球は取れないと諦めきっていた我々のクラスに「そんなことはない」という現実をもたらし、また、K君の下僕になってなるものか、とY君を中心に、クラスの2番手・3番手グループだった私も含め、皆、意地になって技術を向上させた。将棋のK君で言えば、その新戦法を皆が真似し、やがてその弱点も分かるに至って、我々のクラスの棋力は飛躍的に向上した。
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建設業などを中心に国家的な人手不足が大問題となる中、ついに日本政府も外国人の受け入れに舵を切り始めている。欧州諸国等で頻発するホームグロウンテロ(移民2世・3世といった、国籍的には当該国の市民でありながら、社会に溶け込めずにテロリスト化した若者等が引き起こすテロ)などを見るに、大掛かりな移民の受け入れは個人的にも止めた方が良いとは思う。
 
しかし、少数の優秀な外国人を積極的に受け入れる話は、それとは少し違う。そこにまで窓を閉ざしたらコミュニティの成長はなく、やがては滅びる。様々なサラリーマン等と話をするに、どこか日本人のホンネとして、「今のままが良い」「このまま何とかなるのではないか」と思っている気がしていてならない。そして、それは地域にも、そのままあてはまる。どこかホンネでは、「異能の異邦人」(よそ者)が来ることを本能的に回避しようとしているところが多い気がする。
 
上記の2人のK君は、転校当初は「異能の異邦人」であったが、卒業時分には、皆と仲良くなり、クラス委員や卒業式に答辞を読むくらいまで「内輪化」した。むしろ中核人材となった。「永遠の異邦人」はいないことに我々はもっと目を向けるべきだと思う。
 
筆頭代表CEO
朝比奈 一郎