12月8日、ブルームバーグの配信記事です(http://www.bloomberg.co.jp/news/123-LVTS9007SXKX01.html)。

「超党派150人からなる国会議員は、早い段階での法案提出の可能性を視野に入れながら各党内での調整を急いでいる。・・・

世界に合法的なカジノがある国の数は120カ国以上。マカオは2006年にカジノ収入で米国を抜いて世界トップとなった。東洋証券のリポートによると、マカオの10年のカジノ収入は、前年比58%増の1883億パタカ(約2兆円)余りで、米ラスベガスの約4倍の規模にまで拡大している。

 古賀氏は、「国際観光時代の娯楽として、カジノは世界で受け入れられている。先進国の中で唯一カジノを実現できていないのが日本だ。乗り遅れてよいのか」と、カジノ実現の必要性を訴える。カジノ議連で会長代行の自民党の岩屋毅衆議院議員も「せっかくの海外からの優れた投資をみすみす逃すことにつながる」と指摘する。

 今回の議連法案は、民間事業者がカジノを運営して得た収益の一部を国と地方自治体に納付し、東日本大震災の復興財源に充てることが目玉のひとつとなっている。カジノの法制化では、施行後2年以内に政府に対し具体的な法整備を義務づける。・・・

 大阪商業大学の佐和良作教授などが行った09年のカジノ研究によると日本にカジノが開設された場合、市場規模は最大3兆4400億円、経済波及効果は最大7兆6600億円、潜在的雇用数は78万7200人。「日本に全く新しい産業を生み出し、極めて大きな経済効果が見込める。特に雇用面での効果は大きく、社会問題化している若者雇用にプラス」と、佐和教授は肯定的に評価する。」のだそうな。

 さて、多数の政治家、学者の先生方が、狂奔していますが、彼らは、日本に現に存在するギャンブル被害を直視しなければなりません。ギャンブル依存症の患者が一人いれば、通常その周囲がいろんなことに巻き込まれています。家族、友人、果ては、依存症患者による犯罪などなど・・・。

 潜在的雇用数が78万7200人・・・?現在、パチンコ依存症で苦しんでいる方が200万人弱だとして、これにカジノでギャンブル依存症になる方を加えたら、途方もないことになります。そして、依存症患者の周囲の人々も入れるならば、パチンコ、カジノの存在により不幸になる人の数は、優に数百万人に及ぶことでしょう。78万7200人の雇用を生み出して、数百万人を不幸にする産業。本当にいいんですか?パチンコのような明らかなギャンブルさえ手をつけられずに、また、200万人近いパチンコ依存症患者のケアが全くできていないのに、さらに「毒」を盛ることになるカジノ合法化は容認できません。

 同じ記事中に、吉田のコメントが紹介されているので、引用します。

「依存症問題対策全国会議の事務局長を務め、多重債務者支援に取り組む吉田哲也弁護士は、カジノ法案提出の動きに対し「日本には既に相当数のパチンコ依存症患者がいるなかで、これ以上依存症患者を増やしてどうするのか。法案には明確に反対」と警鐘を鳴らす。

レジャー白書2011によると、日本のパチンコ市場は、公営競技場や宝くじ市場とともに縮小傾向だが、10年の売上高は19兆4000億円とマカオを大きく上回る大きさだ。

吉田弁護士によると、ある統計では約200万人近いパチンコ依存症患者が存在する。依存症の完治は困難で、周囲の人々を借金問題などで不幸にすることになるという。「法制化は決して経済面や雇用面などプラスだけのバラ色だけではないことを知って欲しい」と語る。」