ちょっと拙ブログの主旨からはずれるんすが、コメント欄に投稿するには少々込み入っているので、当方のエントリーに致しました。

 

もともとアゴラの
口蹄疫殺処分は、食肉輸入の非関税障壁を維持することが目的である  井上晃宏(医師) : アゴラ


に対する
bobby さんの一連のトラックバック

マーカーワクチンは口蹄疫対策のイノベーション

リスク管理から見た口蹄疫対策

政治が招いた口蹄疫禍


に対するコメントから派生しました。突然当エントリーに出くわした方は、なんのこっちゃかわかりづらいですが、どうぞご勘弁を。

 

bobby さんの口蹄疫に関する最新の記事に対するfoobirds さんと私のコメントに対して、口蹄疫コントロールに決定的に有効なワクチンが市販されているというのが、bobby さんのご意見で、その裏付けとして動物専門の製薬会社Intervetの製品広告を示しておられます。

 http://www.foot-and-mouth-disease.com/Binaries/68_33112.pdf


このpdf資料には日付がありませんが、内容は
2001年の22nd Conference of the OIE Regional Commission for Asia, the Far East and Oceaniaで発表されたもののようです。


この
Chekit-FMD-3ABCというのはマーカーワクチンではなく、抗体検査のことです。

3ABCとはNSP抗原の一種で、この3ABC に対する抗体口蹄疫感染動物に現れるが、ワクチン接種によっては出現せず実際の感染の証拠になるのだそうです。

製造元の
Intervetによれば、2070例の牛サンプルで特異性99.95%、1029例の豚サンプルでは99.71%の特異性だそうです。ここでいう特異性とは口蹄疫にかかってない動物に検査をした場合に、結果が陰性と出る比率=%です。


それでは口蹄疫にかかった動物に検査が陽性と出る率はどうかというと、これを感受性といい、資料が参照しているオリジナル研究の文献では(
1997年)

100(ワクチン接種後口蹄疫感染137例)としています。


Intervetの資料からは、この
Chekit-FMD-3ABC大変感度の良い検査ということができます。


問題は、口蹄疫の流行時にはコントロールのために何万頭もの殺処理が行われることが珍しくないということです。ということは、研究の
137例の感染個体で100100中の検査でも、1000頭の感染例に検査したら750でしか陽性にならず、250の殺処理すべき感染例を見落として、かえって流行を広げてしまうかもしれません。


しかし、そんなことを言っていたら、いつまでたっても市販検査薬の許可など出せません。というわけで、これは大変見込みがありそうとなれば、市販許可は出るのです。後は実地でどれだけ役に立つか見きわめることになります。つまり、


市販許可直ちに=万能


ということにはならないのです。現在の勧告をくつがえすほどの有効性が確認されれば、それ自体が改めて発表され、
OIEの勧告は書き変えられることでしょう。


またこの宣伝広告自体、
10ページで

・・・success in FMD control depends on many control mechanisms, of

which vaccination and testing is only one. Stringent zoosanitary measures remain

essential to success.

口蹄疫のコントロールは多くのコントロール・メカニズムに依拠しており、ワクチン接種とそれに関連する検査というのはこれらのコントロール・メカニズムの一つにすぎない。厳重なる動物の衛生管理が、口蹄疫コントロールの成功に不可欠であることに変わりはない。

と明言しています。


どうも、
foobirdsのおっしゃるように、科学というものに対して期待と信頼が過大だという気がするのですが。

しょせんは我々人間のすることですよ。