鳩山由紀夫「週刊現代」6月22日号によれば、鳩山民主大躍進とのこと。選挙区別の当落予想がでていましたが、最終的に民主党283議席、自民党130議席という予想だそうです。さて多分総選挙絡みで死刑問題を考えている人はあまりいないと思いますが、これについて考えてみます。 果たして民主党政権下において死刑制度は存置されるのか、廃止されるのか。

おそらく死刑制度は廃止に向かって大きく踏み出すか、少なくともモラトリアム(執行猶予期間)に入るのではないかと思います。民主党が単独過半数割れであれば確実に、また民主党単独過半数であってもおそらくモラトリアムには入るのではないでしょうか。

亀井静香自民党、民主党がお互いに単独過半数割れであれば、民主党は国民新党、社民党との連立政権を模索するでしょう。この場合、国民新党からは亀井静香代表代行が入閣する可能性があります。亀井静香代表代行(死刑廃止議連会長)は自身の閣僚経験時にはあまり死刑問題について積極的な発言をしていませんでしたが、もし民主党が死刑廃止の方向へ踏み出すとなれば積極的に動くことになるでしょう。社民党からの入閣は誰になるか不確定ですが、阿部知子氏は福嶋瑞穂党首との軋轢があり、辻本清美氏は詐欺事件の余韻もまだあるため、保坂展人氏(死刑廃止議連事務局長)に入閣の目があるかもしれません。つまり連立政権となれば「死刑廃止を推進する議員連盟 」の会長と事務局長がそろって入閣する可能性があるわけです。入閣しないにせよどちらにせよ社民党は党是として死刑廃止を掲げていますから、死刑廃止には積極的な運動を行うと思われますし、日本共産党も党是として死刑廃止を掲げていますから、閣内協力まではしないにしても廃止法案、モラトリアム法案には積極的に賛成すると思われます。こうなると日本は今年度中に死刑廃止、またはモラトリアムに入る可能性はかなり高いと思われます。

細川律夫さて問題は民主党大勝、単独過半数の場合です。現在の民主党のシャドーキャビネット(次の内閣)法務担当(民主党の呼称ではネクスト法務大臣)は細川律夫氏ですが、民主党では珍しく死刑執行についての非難談話を出しています。

2007年12月07日(談話)死刑執行に対する談話
http://www.dpj.or.jp/news/?num=12343

平岡秀夫平岡秀夫元ネクスト・キャビネット法務大臣はテレビのバラエティ番組で舌禍事件を起こしたほどの死刑廃止論者でしたが、細川律夫氏も同様であろうと思われます。 どちらにせよ細川律夫氏がサインをすることは考えにくい。民主党が党として死刑存廃について考えをまとめる可能性はわかりませんが、おそらく実質的モラトリアムにはいると思われます。さて「友愛」をスローガンにしている鳩山由紀夫ネクスト総理大臣は死刑制度についてあまり表立った発言はしていませんが、どう考えているのでしょうか。

実は実弟の鳩山邦夫前法相はその就任中死刑問題について積極的に発言しており、その中で鳩山由紀夫氏の死刑についての考えについて少し語っています(下記談話参照)。これによれば死刑存置は必要と考えていると思われますが、ただ細川律夫氏、平岡秀夫氏ともに鳩山氏が任命したものですから、心底では死刑廃止に積極的かもしれません。いずれにせよもしかしたら今年、死刑制度についてこのまま一足飛びに死刑廃止はないかもしれませんが、一大改革がある可能性は高いと考えて差し支えはないと思われます。

鳩山邦夫なお,民主党幹事長である兄と,電話で2・3度話しているのは事実でございます。それは,政治的な思惑とは全く別に,兄弟として,今は非常に良好な関係にあり,共に「友愛塾」を立ち上げる間柄でございますので,どうだろうということで意見を求めました。その際,兄が,今私が申し上げたのと同じように,「死刑という制度がなくなるとか,執行が停止されるというようなことがあれば,凶悪犯罪が著しく増加することは見えている。犯罪抑止効果という観点で,自分は死刑廃止論は採らないというふうに言っていまして,そのことを,昨日も,皆さんの取材の中で,申し上げたことは事実です。「勝手に名前を出してごめんね」と,昨日の夕刻,電話をいたしましたら,「自分のところにも取材がいろいろ来ている」と,「ただ,考え方は人命尊重の観点で,凶悪犯罪を減らす,そういう観点で問題がない。ただ,自分は民主党の幹事長という立場でなくて,一国会議員あるいは兄として,アドバイスをするならば,刑事訴訟法が期待している状況になっていないということは大問題だぞ,お前」と,こう言っていました。

2007年09月28日閣議後記者会見

鳩山邦夫友愛と死刑の関係ですか。それは,時々,委員会等でも御説明申し上げていますように,兄と「友愛塾」を来年4月1日に立ち上げます。祖父が友愛青年運動を起こしました,もちろんこれの根底にはオーストリアのクーデンホーフ・カレルギーさんの思想があるわけです。友愛の考え方というものを,現代にマッチした言い方をすれば,これは福田内閣と同じになってしまうかもしれませんが,「共生」だと思います。ですから,私は「自然との共生」ということを申し上げて,桃源郷を目指すべきだと。環境革命をやれというのは,正に人間と自然が共生していく中で,お互いがうまくいく,自然もうまくいく,人間もうまくいくと。「共生」の考え方というのは,とても命を大事にします。死刑はモラトリアムの方がいいのではないかというふうにおっしゃる方がいますが,私はそうではありません。人の命を何よりも大事に考える鳩山邦夫としては,殺人という信じられない凶悪犯罪を何としてでもなくしたい,抑止力を高めたいという思いと,人の命を絶つ行為,殺人に対して慎重な判断で死刑というものが確定した場合には,やはりそれは執行されるべきであるという思いがあります。懲役という懲らしめの刑があるのと同じように,やはり人の命を絶つ殺人という行為に対しては,死をもって償うというのでしょうか,そういうことはあってしかるべきと考えます。それは「友愛」の考え方,人の命を大事に考えるが故に,人の命を無にするような行為は絶対許さないということではないでしょうか。その考えは,兄弟たぶん共通だろうと思います。

2007年11月30日閣議後記者会見

鳩山邦夫昨日,参議院の法務委員会で質問が出た件ですが,例の,終身刑というのでしょうか,重無期刑というのでしょうか,あるいは仮釈放のない無期懲役というのでしょうか。特にどの名前をとっているか分かりませんが,死刑と無期懲役の間にギャップがありすぎると。死刑は御承知のように死刑で,無期懲役は10年経つと仮釈放の可能性が出るということで差が大きすぎるので,そのギャップを埋めるための議員連盟というのができたと。そのことについての質問を受けました。毎度お答えしていますように,いわゆる仮釈放のない終身刑というものについては,死刑に代わって死刑を廃止して終身刑にすべきだという考え方と,無期懲役は甘すぎるから死刑は死刑として粛々とこれは執行し,無期との間に差がありすぎるから,終身刑を設けるという両面からの要請があるわけですが,ギャップがありすぎるから真ん中に何かあってもいいのではないかという考え方については,全面賛成ではありませんが,多少は理解しますとお答えしました。ただ,終身刑というのは徐々に死刑を執行するようなものですから,かえって残酷であると,人格が完全に破壊されると思っています。絶対出られないわけですから。かえって残虐な刑ではないかというふうな思いもありますし,10年以上経てば無期懲役で仮釈放が認められることがあるとは言いますが,実際平均25,6年は刑務所に入っており,かなり長期にわたっていますから,何も終身刑を設ける必要はないというような,そういう意見ももちろんいろいろあります。ありますが,やはりギャップは大きいですからね。その間に何かあってもいいという考え方は,私は理解をするということを昨日答弁しました。両面から求められる終身刑ですが,その両方,つまり死刑廃止の観点の方と,死刑はあくまでもあって無期が甘すぎるからという観点の両方のメンバーが合体されて,議員連盟でしょうか,勉強会ができたということを聞いて,これは不思議というか,考え方が根本的に違うものが一緒になって勉強するのも一つの形だなと思っています。超党派でございますから,新聞報道によると民主党の幹事長もそのメンバーになっているようでございますが,あくまで世論の動向というのは重要視しなければなりませんが,死刑は存置すべきであるという意味では,兄弟間の完全な合意がなされていますことを御報告申し上げます。

2008年05月9日閣議後記者会見