何回かエントリーで書いたように、6月6日と7日はさる学会用務で上京していたのですが、ある程度感触をつかむために、6日の夕方練馬の石神井公園駅周辺で学会でも報告する関係の方々にご挨拶して、そのあと、ちょうど当日行われていた二つの研究会のどちらかに参加したいと思って池袋に戻っておりました。

 その二つのうち一つは、一つは「立憲デモクラシーの会」主催による、安保法案関係の研究会で、開会は山口二郎先生、杉田敦先生や樋口陽一先生、しかも、なんと京都大学名誉教授の佐藤幸治先生が基調講演をするとのこと。私の印象では、佐藤先生は、「権威」的な(つまりと方によっては「保守的な」)先生かなと勝手に思っていたので、こういった啓発的な取り組みに積極的に基調講演するというのは、かなりのことなのかしらと勝手に思っており、行ってみたいなと思っていたからでした(でも結局行かなかったんですが)。私が憲法が専門でもないし、また会場に相当な人がつめかけてるとのSNSからの情報もあったので、距離もあり断念しましたが、相当な注目だったようですね。主催者のサイトがありますので、ご参考までに。

立憲デモクラシーの会のサイト
シンポジウムのご案内 「立憲主義の危機」

 私としては、関心はあるのですが、専門でもないので、ある程度の一般教養的な情報をというあたりですが、この問題(当然ですよね。もちろんある一定数ですが)反響があるらしく、特に政府の参考人発言でいきなり注目が集まった(しかも「自民党推薦なのにその政党に不利な証言をしたかに見える参考人」としてという注目ですが)、長谷部先生が、TBSの荻上チキさんがMCを務めるsession22というラジオ番組で、特集が組まれており、それがまた秀逸な内容でしたので、こちらに貼っておきます。

2015年06月09日(火)「安保法案は違憲!?渦中の憲法学者・長谷部恭男教授に訊く」(証言モード)

 ポドキャスでも聞けるので、一度聞いていただければいいのですが、各政党指名する参考人て当日にならないと本人にはわからないことが多いんですね。それにしても立憲主義という観点からにしても、かなりある種の専門でない人にも意識して語っている憲法学者の長谷部先生も木村先生も秀逸なわかりやすさだし、荻上さんの要点を抑えた質問もわかりやすい。この時間内にこの内容という、そういった意味では、なんとコスパが高いといいますか、ある意味「ブラックな」とでも言いたくなるぐらいにクオリティが高いなと感じました。
 私がなんだかだいうこともないのですが、変な話、長谷部先生の話が、もう当たり前になって、「一般常識すぎて話がならない」ってレベルになるようなことがあれば、っていう過程は難しそうなんで、今後は、この落とし所、どうなるのだろうかと思ってます。さすがに官僚もそこまでバカではないだろうから、どう落とし所を作ってくるのかしら。。。ある意味これで通そうというのが自信の表れかもしれんですし。その後のことも考えると、97%近くの学者が異議申し立てしているに近い状況ってのは、どう収集され、かつ誰の役割でどう収束するのか。。。その辺りが見えないですね、それまではやはり気が抜けない。


 さてさて、話を戻して、で結局参加したのは、こちらの研究会でした。
 「18歳選挙権と教育」学習・意見交換会
 主催者のサイトはこちら。
 全国民主主義教育研究会
 
 こちらの講師は、藤田英典先生。教育社会学ご専門の研究者で、政府の審議会委員や座長なども歴任された著名な方です。
 
 皆さんは、6月4日に公職選挙法が改正され今は選挙(で投票する)権の下限年齢が20歳であるのを、18歳から可能にしようという案が、衆議院で全会一致(つまり与党から野党=日本共産党や諸政党までってことですね)で可決され、今後は参議院の審議を待ってる状態だってことをご存知でした?。
 一応、資料や記事を貼っておきますが。
衆議院の審議での資料pdf「公職選挙法等の一部を改正する法律案 概要」
朝日新聞デジタル「18歳選挙権、6月4日衆院採決 来夏の参院選で適用も」
藤田英典-wikipedia

 で私はこの問題に関して、大枠反対する論拠はないなという程度の認識でした。ただ記憶では、1970年代とか80年代、どちらかというと「革新」系とされる政党からの主張で、この引き下げが提案されていたような記憶があり、なんで今更、さらに与党案でというのが、気になっておりました。その辺りは理屈ではないのですがモヤモヤとしていたわけです。

 で、この研究会に参加したら、ある部分氷解したのが、この年齢引き下げの問題と同時に、少年法の部分的な上限適応年齢引き下げも議論されていると。さらには、民法上の成年年齢の引き下げも議論されていると。ここまでくると、少し自分がモヤモヤしていたかなんでわかってきました。藤田先生の解説は、私としては政策批判としてはかなり説得力を感じたのですが、それは当たってるかどうか置いておいて、いわゆる野党の人たちのこの問題に対する見解が聞こえてこないと。でも、藤田先生も紹介していたんですが、このあたりの懸念は新聞でも紹介はされていたようなんですね。 
朝日新聞デジタル「民法・少年法、議論進まず 18歳選挙権、審議入り」

 さらに別の新聞社でも、また違う角度からの懸念、すなわち、18歳で投票させるために、慈善教育を行うことになるとして、それでいいのかという論点での論説があったので、こちらもリンクを貼っておきます。
産経ニュース「18歳選挙権 教室を政治の場にするな」

 で結局この問題の私のモヤモヤは、いろいろな懸念材料が、各新聞社の立場が違いながらも懸念がある、つまりは国民の中でもいろいろな議論がありそうなのにもかかわらず、全会一致で決まった、その辺りが原因だとわかったわけです。
 でも調べると、例えば、「確かな野党」がキャッチフレーズの「日本共産党」は、しんぶん赤旗まで見ていると、いろいろと懸念材料を示した上で、賛成の立場から討論していると。うーむ。 
 
 まあそれはそれでおくとして(なんでおくかといえばすべての政党が賛成したわけですから)、政策批判としての藤田先生の視点は、鋭く描く説得力あっても、次の視点で課題店に対応する複眼的な取り組みも視野に入れなければならない。だから質疑の時間で、「政策批判を踏まえた上で、どのような取り組みが必要だと思いますか」と聞いてみました。
 それで藤田先生が細くしてくれたのですが、あまりメディア等でもいろんなニュースが多すぎて、見かけないんですが、実はこの間、いろいろな取り組みが学校教育制度の変更として行われていると。特に道徳が教科科目となってしまった。今までと異なり、あるいは高等教育のような場面だと、多少議論をしながら指導と学習と研究をゼミナールなどだと教員と学生が行ったり来たりもできるわけですが、今回の対象の小・中学校教育だとそれは難しでしょうね。少なくとも、道徳に対して単なる知識だけで評価するということは、保守派の方々も抵抗があるのではないかと思うのですが、そういった点をフォローくださり、で、そういった「改革」の中でも、以前、道徳の副教材として批判もあった「心のノート」が、再度またこの度「私たちの道徳」として復活をしたらしいのですが、そのあたりも含め、道徳の時間を、教員がいろいろと単に教科の科目のように「正解は一個でそれをどう導き出すか」のような形で行うのではなく、いろいろと検討する回を重ねて、多様性を導き出すような教育実践が今後は必要とのお話をしていただきました。
 ただこの時に、「江戸しぐさ」を取り入れた道徳の実践に触れられ、割合それを肯定的に捉えられていたのは少し奇異な感じがしました。なぜならば、江戸しぐさがある種の倫理性を持ってるストーリーで一定わかり易い物語として効果があるところはあるとして、歴史的には全く根拠のないものであるという研究もあり、その辺りの妥当性は、もう少し様子を見たほうがいいのでは、と私は思っているからです。藤田先生も指摘されてますが、道徳は、科目でもないしまして、「エモーショナルに一方向に導く」ようなことがあってはならないのであり、論理的に習得されるという点に力点を置かれてましたがその意味ではまさに江戸しぐさもエモーショナルな教材のような気が私はしているものですから。

心のノート - Wikipedia

 あと、藤田先生が指摘はしていましたが、実は、法によって、「成年」年齢の年限は実は結構グラデーションがあるように私は思っておりまして、確かに今の法制がベストと思わないですし、「いい加減」もしれませんが、一方で、一律に学年で切り分ける「学級」的な発想のような気がして、ある部分臨機応変的な部分を適宜作ることも必要な気がしています(意図して作る場合は)。
 
 あとは、私が注目するのは、東京大学の小玉先生はじめ実践の研究が取り組まれているシティズンシップ教育ですが、それに関してはまた別のエントリーで書いてみようかな。
 とにかくこちらの研究会は研究会で刺激になりました。

J-CEF日本シティズンシップ教育フォーラム

 というあたりで、明後日はオープンキャンパスです。
 ではそろそろ準備日。

朝日新聞デジタル「道徳、教科に格上げ 有識者会議案、15年度導入目指す」



関連資料
成人年齢引き上げ関係
「成人年齢の引き下げ」に関するYahoo!ニュースまとめ
しんぶん赤旗「“18歳選挙権”が可決 共産党賛成 「民主主義発展に寄与」 大平氏が討論」
しんぶん赤旗「若者に丁寧に答えて 18歳選挙権で参考人質疑」


安保法制関係
毎日新聞「安保法制:政権に不信感 憲法学者、批判続々 「立憲主義の危機」シンポに1400人」
安全保障関連法案に反対する学者の会



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