2004年10月24日

    

自働運動ってやつ

移ろい


野口整体の中でとても大事なこととされているものに、活元運動というものがある。
僕の師匠の岡島瑞徳師は自働運動と呼んでいるが、同じものだ。

その名の通り、体の力を抜いてポカーンとしていると勝手に出てくる運動で、だから、自働運動。
元々の、活元運動という名前は、元を活かす運動という意味合いで、つまり人間が元々持っている力を活用する運動ってことですね。

いわゆる無意識に起こっている運動を、体全体でせいせいやらせてあげようというのが、自働運動なんです。
無意識の運動、つまり、欠伸とか、まばたきとか、寝相とか、内臓の動きとか、そういうやつ。
自分で意識はしてないのに、勝手にやってくれている分野の運動。
そういう健やかさを保つためのことというのは、ひとりでにやっていることなんです。

教えられてやるのではないし、考えてやるのでもない。
それを頭でやろうと思うから不安になるけれども、体はとうに知っているし、とっととやっているんです。
だから余分なことに頭を使わないで、自然に従っていけばいい。
意識で考えてそうしているのではない。
自働運動は、常にそこに還るものです。

人は、裡の要求、「いのち」自身の要求によって生活し、行動しています。
〈オレ〉という自意識が意識してやっていることなんて、ホントにちっぽけなものです。
その「いのち」自身の要求は、全て運動系の働きで果たしています。
出力先は、運動系しかないからです。

だから人間の体の中の要求を、ドンドン運動系に出していくべき。
要求が素直に現れるようになれば、自然に健やかなんです。
頭で細工するよりも、体に任す方がよっぽど的確。

それでさてさて、
実を言うと、僕は整体に出会うまで「何故死んではいけないのか」とずっとずっと想い続けてました。
「殺しちゃいけない」「死んじゃいけない」とよく言いますが、何故なのか全然腑に落ちなかったんです。

ありきたりの説得ではなるほどなんて思えなかったし、そういう意味では、誰の説明も僕の納得のいくものではありませんでした。
だから最近の若い子に「どうして殺しちゃいけないの?」って逆に訊かれでもしたら、とても困ったことになるなといつも想っていたものです。

ea74e797.datそれを僕に教えてくれたのが、なんとこの自働運動だったんです。
初めて自働運動が出た頃、僕の場合は、最初はあまり大きな運動が出なかったんですが、まるでパンクスのようにヘッドバンキングを繰り返し、やる度にものすごく気持ちが悪くなって自働運動をするのがイヤでした (^o^)。
確かにパンク・ロックは大好きでよく聴いてはいましたが、よっぽど首が硬かったんでしょうね。

それがだんだんほぐれてきたのでしょう、あるきっかけでものすごく大きな運動が出た夜がありました。
止めようったって止まらない、体に力を入れていると一応止まるけど、ふと気を抜くとガラガラと動き出しちゃう。
止まらなくて止まらなくてどうにも困った夜がありました。

そうやってグァラグァラと動かされているときに、
「どう考えてもこれはオレが動こうと思って動いているわけじゃない。だけどオレは動いている。オレじゃないオレが動いている」
と、何だかそれがすごく可笑しくて、こみ上げてくる笑いも抑えられずに、ゲラゲラ笑いながらグァラグァラと動いてました。

深夜に独りでやっていたからよかったようなものの、端から見たら随分異様な光景だったろうと、今となっては思います。
「あぁ、オレはオレじゃないところで生きているんだなぁ」と、妙にそのとき腑に落ちたんですね。

オレがオレがと思っていたその〈オレ〉は、アタマであり自意識であり、だけどそんなことはお構いなしに〈いのち〉はグァラグァラと生きている。
今想えばバカバカしいくらいに当たり前のことなんですが、何かホントに目から鱗が落ちたみたいでした。
まぁ、つまるところは「鈍感でしたね」というだけのことなんですが、僕にとっては自働運動は決定的でした。

〈オレ〉ではなく〈いのち〉が生きている、ただそれだけ。その〈いのち〉が死ぬまで生きる。
〈いのち〉が生きようとする以上、〈オレ〉はそれを妨げてはいけない。
それがその〈いのち〉への礼というものです。
だからそれを殺してはいけない、自分のだろうと他人のだろうと。
それだけのことでした。

それならば逆に、その〈いのち〉が生きたいように生きるのが、我が〈いのち〉への礼というものです。
〈いのち〉の自働運動を生きる、それだけが生きることであり、死ぬことなんだなぁと想っています。

そうであるなら、我が〈いのち〉の声、裡なる要求にジッと耳を澄ますしかない。
フッと〈きく〉しかない。
フッときくというか感じるというか、という次に動いている、フッと感じたと思ったらフッと動いていた、
何てことはない、生きること自体がそもそも自働運動なんですね。

ホントはわざわざするまでもないことなのかもしれない。
とはいうものの、それを教えてくれたのは自働運動なのだから、それはホントにありがたいことです。
整体の、自働運動も行氣も愉氣も、みなここに繋がってくる。
〈オレ〉などいない、〈いのち〉の問題。

整体への学びが多少深まってくると、「何故死んではいけないのか」なんていう若い頃の憂鬱も、
「明日の朝、目が開かなかったらいいのに」なんていうセンチな気分も、
僕の場合は、結局は、腕の使い過ぎや筋肉疲労の蓄積による胸椎三番・四番、頸椎三番・四番の硬直からくるものだ、ということが分かってきたりも、します (^o^)。

そうすると、人生には元々さほど深刻なことなどないんだなということが実感されて、ホントにバカバカしくなってもきます。
と同時に、多少敏感になってくると、そんなことにクヨクヨメソメソしている暇もないほどに、世界は未知なる驚きで溢れ返っていることも実感されて、次から次へとビックリしているうちに一生が終わってしまうんだろうなぁ、と感じたりしています。

整体の世界では、愉氣も整体指導も、また稽古のときも、常に礼に始まり礼に終わります。
でも、それは言うまでもなく、〈あなた〉への礼ではない。
あなたという〈いのち〉への礼だ。

そういうことを踏まえるならば、まず何よりも自分の〈いのち〉への礼を尽くすべきなのだ、と思います。
我が〈いのち〉の要求を大事にする、ちゃんときく、我が〈いのち〉の要求を素直に生きる、
そこに全ての始まりがあるように想うのです。



野口整体に関する記事は「光るナス@らくらく塾」に、だんだんとりまとめ中。

*前後のエントリーは左上の「過去の記事とシリーズ」からとべます♪

陽だまり

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この記事へのコメント
自働運動、面白そうですね。
体からのメッセージって、私、鈍感でよくわからないからなあ。
やってみたいです。
Posted by まきこ at 2004年10月24日 21:26
今思いついたがロックンロールは自働運動そのものだ。
ころがるがままにころがってゆく。
自分じゃ止められないんだなあ。
Posted by Izumi at 2004年10月25日 10:53
えぇ、なかなかいいもんですよ、自働運動。
とにかく体調をファイン・チューニングするには最高だし、全身で知覚する感じが、どんどん繊細になるような、そういうところがありますかねぇ。
そうそう、入りの悪いラジオの電波を拾いやすくなる、みたいな?(って分かる人にしか分からないけど (^o^))

何より、勘が育ちますよ。

音楽陶酔系の人には、ニュアンスが感覚しやすいかも、ですね!
Posted by アキラ at 2004年10月25日 15:07
読み返してまーす。

いい話や(●^o^●)ホロリトシマシタヨーー。

そうですよねー。生命はただそこにある生命エネルギーって言うか・・・それと自我は別っちうか。

火の鳥(手塚治虫)を思い出しましたね。
Posted by スシファイ at 2006年12月28日 16:32
おぉ〜、ありがとう!
そう? 褒めてくれてる?
そんなにいい話かなぁと思って、自分で読み直してみました。
いや〜、わたしが書いたとは思えないいい話ですね、確かに (^_^;)。

僕は火の鳥、読んでないんですよねぇ。
面白い? 図書館で借りれるのかな?

最近、脳死関連の本読んで、「裡なるいのちの要求」自体がある種の「自意識」を持っているだろうと、想うようになりました。
もちろん「オレ」という「自我」とは別ものですけどね。
Posted by アキラ at 2006年12月28日 23:25
いやいや、基本的に整体モノの方が読みやすいってのはあってバックナンバーをつらつらと読んでるんですが、良い話が多いですよ。本にすればー?(^_^)/

火の鳥文庫本でよければ貸しまっせー。
Posted by スシファイ at 2006年12月29日 09:26
マジ! 貸して貸して〜♪

本と言えばですね、実は風邪の経過のしかたやケアのしかたを、整体を知らない人でも簡単にトライできるようにブックレットにしたんです。
『元気のコツ 〜風邪をひこう〜』ってんですけどね。
現在、1部300円でバラまき中。
一家に一冊♪ お宅もどう?
お友だちにもどうでっしゃろ?
Posted by アキラ at 2006年12月29日 15:26
新年の講座で持って行きます。文庫本13冊なので帰り道はちょっと嵩張るのをご承知ください。

ブックレットは3冊ばかり買おうかなあー。
いやいや4冊にしようかなあー。
4は死に通ずるから5冊買います。よろしくー(*^_^*)
Posted by スシファイ at 2006年12月29日 21:08
あ、ありがとうございます!
重いのにすんません。楽しみです。

ブックレットも講座の時に持っていきますので、
内容をみていい感じだったらゲットしたってください♪
なかなかいいと思うよ〜。
Posted by アキラ at 2006年12月30日 00:16
いつもありがとうございまーす!

この前、とても嬉しくて楽しかったものだから、
八ヶ岳整体クラブのことをブログに書いたんだけど、
このエントリーを読んで、
<自分のいのち>というものへの理解が
まーだまーだ浅いな〜と思いました。

アタマじゃなくて、
しっかり腑に落ちないとわかった感じがしないもんね。
このいのちをもっともっと実感したいっす。
自働運動じゃ〜。

>まず何よりも自分の〈いのち〉への礼を尽くすべき
本当にそうだなぁ。そこだよなぁ。
紙に書いて、いろんな場所の壁に貼ってみよう。
Posted by ゆめ at 2010年09月29日 17:43
・ゆめさん

まいど、ど〜も〜♪

ゆめさんとこへも行きましたが、また後で遊びにいきますね〜。
そうそう、アレルギーのこととかも、ちょっとやれたらいいな・・とか思ってたんです、こないだは。

生きてるのは「オレ(アタシ)」じゃない、〈いのち〉なんですよねぇ。。。
こないだの会のときの話に出たように、「オレ」「アタシ」はたったの3%。
ナンボのもんじゃい・・って感じでしょ? (^o^)
磨くなら、97%の方を磨いていきたいですよね。

ぜひ、97%の方へ「乗っかっていく」感じで、乗り乗り自働運動、愉しんでください。 o(^-^)o
Posted by アキラ@ゆめさん at 2010年09月29日 22:06
はじめまして。
一年ほど前から野口整体を知り、ときどきブログを読ませて頂いています。

私は野口整体にひかれるものがあり、整体協会に入会しました。個人指導を月に一度、場合によっては二度ほど受けたり、月一度の活元会やゆき会は時間が合えば参加してきました。

活元会、ゆき会はトータルで4回ほどですが、周りの皆さんのような動きがでません。
先生の誘導?のようなものがあると少し動きますがそれでも未だ皆さんがいうような動きはでてきません。

野口先生の本を読み、自分の身体のことを知りたい、自分で身体を整えられるようになりたいという思いがあり始めたのですが、活元会や個人指導では「教えてもらう」ことが少なくよくわからぬまま、理想と現実の違いに迷っています。

光るナスさんがされている勉強会のようなもので学ぶほうが自分にとってはいいのかとも思っています。

何かアドバイスがありましたらお願いします。
Posted by うめ at 2017年02月11日 13:38
・うめさん

こんにちは、初めまして。
よろしくお願いします。

活元運動は、なかなか出ない方もいらっしゃいます。
これは晴哉先生の時代にもあったようですので、そういう方たちが一定程度はいらっしゃるのだろうと思います。

活元については、とにかくやり込んでいくしかないかと思います。
僕自身も 初めは小さな運動しか出ていませんでしたが、あることをきっかけに大きく出るようになりました。
それまでは、ちょこっとゆらゆらするだけでも、とにかく続けていたことがよかったのだと思います。

僕が月に一度 東京でやっている勉強会は、人に対して働きかける側の勉強が主になっているので、自己ケアについてのいろいろなことは、それを目的にはやっていないのです。 (^_^;)
Posted by アキラ@うめさん at 2017年02月12日 08:52
あきらさん

お返事ありがとうございます。
ちょっと諦めかけていましたが
継続したら…
でてきてくれかもしれませんね
希望が出てきました^_^
もう少し続けてみます。
Posted by うめ at 2017年02月12日 09:30
・うめさん

えぇ、もう少し続けてみてください。

活元の誘導法の最初の「鳩尾を弛める」やつを、とにかく徹底的にやることです。
それから出来るだけ脱力して、初めは少し自分で気持ちよくゆらゆらさせてもかまわないと思いますよ。

そのうち、自分でやってるわけではないような動きを感じたら、それに身を委ねてみる・・・
とまってしまったら、また少し自分で気持ちよくゆらゆらさせてみる・・・
ということを、繰り返していくといいと思います。 (^^)
Posted by アキラ@うめさん at 2017年02月13日 09:41