東京ヨリ打電ス。

ツイッターで書ききれないことの個人的メモ帳。 新聞とか本とかの覚書。政治、外交、安全保障、歴史など。

2011年08月

日本海軍についてのメモ(海軍は三国同盟に反対したのか?等)


従来の日本海軍の戦略は、フィリピンは占領するが、それ以上は拡大しない。
アメリカ海軍が主敵なので、フィリピンまで遠征してくるのを待ち、決戦。
しかし、真珠湾攻撃は新しい戦法。自分から攻勢をかける。山本五十六の考え。


日露戦争後、
陸軍はvsソ連
海軍はvsアメリカ。日本は海洋国家になるべきという思想。
従って、海軍はソ連と協調して背後を安定させておきたい。
日露協会という半官半民の組織のトップは海軍の斉藤実、次席は加藤寛治だった。


海軍は日独伊三国同盟に反対したとされるが、本当か?
注意すべきは、三国同盟が締結される前の構想と実際の同盟が対象とする仮想的が異なったという点。
1936年、日独防共協定、37年、日独伊防共協定が結ばれたが、これらは反ソ連の性質を持つ。
ソ連と協調していたかった日本海軍はこの協定を強化することに反対。
ただし、日伊防共協定には賛成。ヨーロッパにおいてイギリスをけん制したかったから。
 ※日本海軍は容共だったわけではない。
1938~39年頃、同盟化の議論があり、山本五十六、米内、井上ら海軍重鎮はこれに反対した。
通説としては、日米開戦必至という観点から海軍は同盟に反対と言われる。
しかし、そのような話は当時なされていなかった。
ここで、1939年に独ソ不可侵条約が成立してしまい、反ソの性質が失われる。
かわりに仮想的が英米に変化した。
結果として1940年に成立した日独伊三国同盟の仮想的が英米になったことで、日本海軍も了承。
 ※日独伊ソ連合構想もあった。

★日本海軍はドイツ海軍と良好な関係を気づいていた。
第一次世界大戦では敵同士であったが、終戦後から両国で技術交流があった。
ドイツは軍技術を他国で保存したかった。
日本は戦利品のUboatを研究したが、ドイツの技術者を呼び寄せさらに技術獲得。
また、日本はまだ航空技術が発達していなかった。
日本は空母の技術があったので、ドイツに「赤城」を公開(最高機密)。
その代わりにドイツは航空技術(艦上爆撃機や分厚い装甲など)を日本に提供した。
 ※日本はゼロ戦のような機体が軽い航空機は作れたが、強度ある重厚な機体は作れなかった。
 ※陸軍同士はあまり良好な関係ではなかった。ドイツは中国の軍事顧問をしていた。
  ナチスが台頭してから陸軍の交流あり。

軍事組織についての雑記(8/10)

軍隊は近代的で合理的である、という見方がある。ある程度事実だけど、理想状態とも言える。つまり現実は合理的・効率的でないことが多い。


軍隊は階級ピラミッド社会というのが基本的特徴。

そして古今東西、軍隊は一般社会における「どうしようもない人間」を吸収する役目も負ってきた。

ダメ人間が就職できるのは軍隊だけで、軍隊側もとりあえず戦力として彼らを受け入れざるを得ないという社会とのつながり。

軍隊には優秀な人材がたくさんいる。

しかし残念ながら、幹部を含めて大半は平凡なサラリーマンとして勤務しており、取り立てて考える能力があるわけでもなく、真面目に目の前にある仕事をこなしている。

真面目に仕事するのは悪いことではないが、特に自分の仕事外のことは考えないし、組織の思考に無意識に染まってしまっている。


さらに、ピラミッドの底辺にいるダメ人間たちには思考能力が全くない。(底辺にいる人間の全てがダメ人間という意味ではない)


これは母体数が大きいことも関係して、民間企業より目立つ軍隊特有の現象に思える。


軍隊は毒を持っている。

多かれ少なかれ、個と自由が否定され、そのうち思考が麻痺、停止してしまう。

階級とか学歴に関係なく、毒におかされていく。


しばらく前、米軍の士官が激変したことがあった。ある分析では、若いやる気のある士官が、組織にがっかりしてしまい途中で退役してしまうのが原因のようだ。

上司である上級の士官たちが仕事に対しつまらなそうで、視野が狭く、自由がなくやりたいことがやれない・・・ 上司たちの「つまらないオヤジ」になり下がった姿に絶望的になり、軍隊を去るという。


たぶん最近の若者の傾向とも言えるが、硬直度は一般企業より軍隊の方がずっと高いだろうし、ピラミッドの底辺が広いという点で、「どうしようもない人間」が存在する割合が大きい。


軍事組織は、見た目としては華々しいかもしれないが、がっかりする度合いも相当なものである。

同盟と基地存続は誰の意思か?

軍事同盟は、成立時どんなに強固だったとしても、国際情勢によって前提条件が変わればあっさり終了してしまうものです。

よく、アングロサクソン系と同盟を組めば安泰だと主張する人々がいますが、絶対的な安泰はありません。

彼らは日英同盟を歴史の教訓として挙げますが、一つ無視されている事実があると思います。

※日英同盟はうまく機能していたが、アメリカ(第三国)が介入して同盟が終わってしまった。あるいは、日本(自国)が同盟を手放してしまった。そして、日本は次にドイツを同盟国に選び、太平洋戦争へと突入。イギリスとの同盟時代はなんと良い時代だったことか!


それは相手国あってこその同盟であるということ。

同盟を存続させるには、相手国の意思が必要であり、日英同盟の教訓話においては実はイギリスの意思がいかなるものだったかは言及されることがほとんどありません。

日英同盟が破棄されることになったのは、アメリカが無理やり両国を引き離したからではなく、イギリスが日本を同盟国として必要としなくなったためです。

(両国は同盟を結び、一応、山本権兵衛や財部彪らがロンドンに行き、協約の内容を詰めたりしたものの、実際は軍事的に相互に援助するつもりは毛頭なく、イギリスは途中から協約を破棄したいと思っていた。ただし、外交的にはそのようなことはストレートに表明されていない)

※上記の内容は、管理人があるテーマをイギリスでの先行研究やイギリスの公文書を用いて研究していた過程で知りえたもの。

※余談ですが、管理人が通っていた国立公文書館はロンドン郊外のキューにあり、キュー・ガーデンズという大きな王立植物園も近くにあります。管理人も休日にそこに行きましたが、財部日記に、キュー・ガーデンズを訪れたと書いてあったのを読んだ時、なんだか感動しました。私が行ったところに、権兵衛も来てたんだ!と。


つまり、いくら自国が同盟は大切だと思っていても、相手国がもう必要ないと思っている場合があり、国際情勢と相手国の戦略の変化に気づかなければ、自国の同盟大事政策は意味をなさなくなります。

在外基地についても同様に、相手国(基地保有国)の本当の意思とか戦略を考慮しなければなりません。

自国(基地所在国)がどんなに「基地は我が国に必要です」と主張したところで、国際情勢の変化を受けて、相手国が将来的な戦略として在外基地を引き上げようと考え準備していたら?

基地があることを前提とした自国の政策は、ある時、行き詰ってしまいます。


相手国の必要性や存在は自国にとって事実であり、理想でもある。しかし、理想が絶対化されると相手国の戦略の変化が見えなくなってしまうことがあります。


現在、日本には沖縄の米軍基地が当たり前のように存在しており、それに賛成する人も反対する人もそれぞれいるわけです。

しかし、実はどちらも自分たちの希望を主張しているだけで、相手国の米軍が在外基地を今後どうしたいか分析した上で、日本の立場や理想の政策を説明する人はいないような気がします。
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