April 30, 2005

狐になれなかった蝙蝠。

 すでに幾つかの記事には出ていることだが、公衆メディアでも話題になり出したので、書いておく。
 
 4月20日、衆議院議員第一会館で、「ジュべネイル・ガイド」と名乗るNPOが、国会議員たちの前で、法規制を訴えた。週刊新潮5月5・12GW特大号によれば、彼らが行った発言とは、「最近は幼い少女を性欲の対象にしたゲームが氾濫し、社会問題化しています」が要旨。
 
 『少女アダルトアニメやゲームについて考える』と銘打たれた、この勉強会は、そもそも、子供の人権保護を訴える議員たちによって開かれたモノであり、今回については、野田聖子議員の肝いりによるモノだったと言う。・・・いつ、社会問題などになったのか?・・・普通はそれを誇大妄想とでも言いそうだが、兎にも角にも、エロゲーに関して法規制を訴える発言が、公的な場で議論される羽目になったのは、確かと言える。

 さて、ここからが、このネタの面白いところで、もし、お金に余裕がある人は、週刊新潮5月5・12GW特大号のP24−25、P184−185を参照して欲しい。一応、このNPOの発言内容にリンクして、配付された資料であるらしいのだが・・・
 
 ・・・アクティブですな。紛うことなく。(特にP184)
 
 新潮の記事は、エロゲーへの偏見と、そして、ほんの少しの共感で満ちている。なぜ、アクティブを中心に、ゲームイラスト&ゲーム場面がさらされることになったのかと言うと、このNPOの代表者が、元々、アクティブの経営者だから・・・というオチが付く。つまり、自分の制作したものを資料にして、かつて、自分がいた業界を告発したということなる。・・・さらに、この「ジュべネイル・ガイド」の理事には、現役のゲームプランナーもいるようで・・・非常に、謎の行動をしていると言える。紙面を見る限り、このブランドは「S」、その理事は「O」となっているものの、アクティブ関係という流れで考えると、分からないでもない。お粗末と言えば、お粗末なコトをしたモノだ。

 「ジュべネイル・ガイド」の基本的な発言の主旨は、コンピュータソフトウェア倫理機構(以下、ソフ倫)批判であるようだ。「これら凶器いうべき有害なものを野放しにしているソフ倫は、私たちの言うことに聞き耳を持ってくれません」(前述、紙面より)との発言からも、それは分かる。ただし、そのソフ倫の理事長を5年も歴任した、この現「ジュべネイル・ガイド」理事長・長岡道子女史が発言して、「はい、そうですか」と頷けるかと言えば、そうでもない。5年も主導的立場にいながら、それを変革できなかったのであればトップ失格だし、主義主張が認められずに辞任することになったからと言って、反対に法規制に動くとなれば、我々、ゲームユーザーからすれば、裏切り行為に等しい。長岡女史の主張からすれば、「美少女は“アート”であり、幼児が“社会問題”」であるということであり、エロゲー業界全体への批判、そして、法規制の意図は無いと発言している。しかし、提出されたという資料のグラビアを見る限り、何をもって、“幼児と判定するか?”かは、曖昧だ。それは、多分、法規制を考えるだろう国会議員のセンセイ方も同じコトだろう。このメッセージからは、相変わらず、「エロゲーは絶対悪」とのイメージしか伝わってこない。

 ソフ倫における癒着疑惑と、意味不明の倫理基準には、業界のみならず、ユーザーからも批判があり、元を辿れば、Nitro+やage等のメーカーのソフ倫脱退、メディア倫理機構への鞍替えなども、その体質に問題があったと言える。現在のように、ソフ倫とメディ倫のダブルスタンダード体制は、ユーザー面からすれば、あまり良いことではない。作品の倫理基準が違うことで、流通面が限られる場合があり、それは結果としては、ユーザーのゲーム入手の幅を狭める要因になっていた。ただ、その突破口として、メディ倫系メーカーが直販に力を入れ始めた結果、メーカーによる通信販売が広まり、さらに偏狭的だった倫理基準も改正されていき、良い面がみられ始めたことも事実である。しかし、ヲタ市場が約1000億に達する現在において、この倫理機構を制すれば、巨大な利益が見込めることも確かであり、今回の問題については、その統括を巡る駆け引きの焦臭さが漂う。

 仮定に過ぎないが、今回の「ジュべネイル・ガイド」の活動が実った場合、今まで、“有害な情報”を垂れ流していたソフ倫とメディ倫は、エロゲーにおける影響力を、法律によって喪失してしまう恐れもあった。その場合、新規の倫理機構を立ち上げることになり、それは、当然、政治家のバックアップを得た「ジュべネイル・ガイド」が発展的解散をすることで、後釜に座る可能性もあったのかもしれない。

 自己批判をすることで、最大限の自己利益を得る。 

 なかなか、見事な深謀遠慮だったものの、十日と経たずに、過去をすっぱ抜かれて、この始末である。残ったのは、相変わらず、エロゲーの悪評ばかり。しかも、それが、かつての業界出身者のエゴから始まったとすれば、これほど、ユーザーを馬鹿にした話もない。「もっとも肝心な部分(幼女モノを批判する論旨)で、もっとも無理のある論理(エロゲーの経営者であり、さらにソフ倫の元締めだったのに、ソフ倫批判した上に、自分自身の倫理基準については曖昧)が持ち出されたのは残念至極。」(紙面より、括弧内は筆者追加)と皮肉られているのに、私でも、納得するしかないのが悲しすぎる。

 どっちつかずの蝙蝠では、虎の威を借る狐にもなれない。
 
 現在は、「HPの運営に関しまして」と評して、以下のような載せている。
 
 
 ・・・あくまでも、自分たちは“被害者”だと思いたいらしい。


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この記事へのコメント
当時それほど、彼女にとってソフ倫理事長の要職(^_^);が魅力的だったとは思えないのですが、こんなことになっていたとは・・・。
今、彼女の側にいる人が何か囁いたのかも知れません。キミがその昔、輝いていたあの理事長にまたなろうよって。

どちらにしても私は、自らゲームをやらないゲーム会社の経営者には違和感があり、価値観を共有できないでいます。思考回路が違うので、諦めています。
勝手な書き込みすいません。
Posted by 江島みなみ at January 28, 2013 07:43