April 05, 2006

「さくらのさくころ」評。

■ OHP:「さくらのさくころ -『はるのあしおと』Pleasuable Box-」



 『桜鈴奪還』にて、悪役がハマリ過ぎる彼女の雄姿に。

 


 さくらのさくころ。


 

 ……うーん。好悪分かれるだろうなー……これ。「はるのあしおと(2004,minori)」をどういう風に捉えたかが、大切かと。パッケージを前にしてお聞きしますが、皆さんはどう捉えてました?

……萌えゲ? ぷにゲ?……オーケー、オーケー、貴方達は合格。何の躊躇いもなく、箱を開きなさい。

……え? 何を語ろうがエロゲはエロゲだろうって?……うん、うん、それも正しい。じっくり味わうと良いですよ。

……ああ、成長物語。シナリオが良かった? その上、Hシーンはスキップする? ……えーとね、あんましお勧めしない。PS2版まで、のんびり待つと良いですよ。どっかのメーカーのせいで発売遅れたという噂も聞きますが、クオリティは期待できると思いますから。


 ………ただ、最初にハッキリと言っておきますね。「はるのあしおと」はエロゲです。どんなに素晴らしい成長物語だろうが、どんなに純な恋を描き出そうが、燦然と輝く倫理機構の紋は背負わなきゃならない。その紋を認められないのであれば、「はるのあしおと」を語る資格は無いのですよ、本来は。私はエロゲを信者買いする人ではないので、これだけは言っておきますね。

 

 ………。

 さて、はじめましょうか。―――「さくらのさくころ -『はるのあしおと』Pleasuable Box-(2006,minori)」は「はるのあしおと」のファンディスク扱いとなる作品。内容については、“予想以上にエロゲしています”―――と言えば十分な気が。元々、「はるのあしおと」は純愛系作品群の中でも群を抜いてHシーン描写が密でした。そのファンディスクですから、当然といえば当然です。

 中核となるサイドストーリー“えっちなおはなし”は全部で8話で構成。Hシーン中心のショートストーリーです。プレイすれば分かりますが、時間軸としては智夏ルート。シリアスな部分はあまり無く、どちらかと言うと、コメディ的ノリ、物語の筋はHシーンを引き立てるためにあるとした方が良いですね。特にオチは智夏を除いて全部同じですし。


 「その……男の子は、いつもえっちなことがばかり考えているのかなって……」
―――緑川,「小さな意地悪」

 「ふふ……樹ちゃんの、えっちな味……」
―――青井,「現実と妄想の時間」

 「んふぁ……。和美の言ったとおりだね。変な味……」
―――浅黄,「現実と妄想の時間」

 「でも。出るところとか面白かったよ。びくびくして白いのがどばぁって感じで」
―――赤根,「現実と妄想の時間」

 「もっと……って、欲しい……」
―――桃園,「私の桜乃先生」

 「樹くん……あのね、気持ちよくて……動けないの」
―――智夏,「智夏先生の相談室」

 「わたしは同性だなんて些細なこと、気にしませんから」
―――ゆづき,「初めてはクッキーの味」

 「がまんなんて……して、ない……!」
―――和,「初めてはクッキーの味」

 「きたくなったら、我慢しないでいいからね……」
―――悠,「目覚めは爽快?」

 「キスはね、好きな人としかしないのよ、私」
―――あおい,「お姉さまにお願い!」

 「……こうやって、あたしの舌でここをぐりぐりされるのが気持ちいいんだ?」
―――白波瀬,「夢見る頃を過ぎても」


 どんなに可愛い顔をしていても、えっちへの興味は誰にでもある。直球と言えば、馬鹿みたいな直球ですな。ですが、そのシナリオ構成はさすがminori。技ありです。各々のショートストーリーの視点は、それぞれが関係していて、これが面白い繋げ方をしています。言うなれば、全8話はひとつの流れになっている。はるおとファンならば、8話全部見たときに、膝を叩けるぐらいの余裕が欲しいところ。なぜなら、この作品最大のハイライトは、その終わりの瞬間に始まるのですから―――。

 天国から地獄へ、自分から突き落ちていくような……その現実回帰こそが「はるおと」の味。それを思い出させてくれた最後の白波瀬でした。この“えっちなおはなし”、一部では評判良くないらしいですが、個人的には、minoriが、エロゲーメーカーである自分を忘れていない感じがして印象良いです。


「幼い印象のグラフィックに対して、エゴが剥き出しになるさま、セックスのあとで将来に不安を抱くさまは、それなりの修羅場を経験した人は、思い出して胃が痛くなること請け合いになっている。」

 
 “さくらのさくころ”は、そんな“はるのあしおと”の女性的なエロティカルな部分をだけを抜き出しているかのよう。だから、作品イメージをどのように捉えているかが大切になる。それは、この成長物語が“エロゲであることを前提にして”作られたという現実に、プレイヤーが耐えられるか否か。それは、花札のHシーンも同じ。


 純であるということは、必ずしも清潔な関係だけを指しはしません。純だからこそ、えっちなことも在り得る。ある意味、少女たちの妄想の集合体である“さくらのさくころ”が示す……“はるのあしおと”との乖離は、男女関係の拗れをあくまでネガティブに捉えていた本編に対して、開き直ったポジティブな性的関係の可能性を提示します。それはご都合主義。でも、それこそがエロゲ特有の性愛描写であったはずです。


 「そこはやはり皆様健康な18歳以上。Winのアカツキには、ご褒美があって然るべきだと思います。」
―――OHP,花札説明


 本編のシリアスな雰囲気をまったくもってファンディスクに持って来なかったminori。教頭代理は、“誰も過去を知らない”ミステリアスさ、お茶目で子供っぽくて、憎めないのが良いところ。下手にキャラクターイメージを壊すより、私はこれで良いと思いますね。

 

 

 “想い出には手を触れない”という選択。




■ 制作:minori
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■ 評点:ErogameScape「さくらのさくころ」
ErogameScape ID: 9791



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