April 15, 2006

強さ、忌々しさの先に。

 他球団ファンにとって忌々しいことだが、今年のジャイアンツは強い。昨日の今季最長の5時間11分……上原を打ち崩し、中継ぎ陣があれほどの仕事をしながら、ベイスターズはジャイアンツを破れなかった。今のジャイアンツの怖さは、勝ち続けることではなく、このような“負けない”雰囲気が満ちていることにある。それはWBC余波でマリーンズやホークスが苦しんでいるように、唯一、WBCに参加した上原がいまだ結果を出せないにも関わらず、チーム自体は11勝2敗1分という結果が何よりも物語る。はや優勝確定などという報道もチラホラ出て来た。個人的に、原辰徳・読売監督が、監督としてそこまでの人だとは思っていないが、現有戦力を使い回すことが上手い……つまり優秀な策士の素質があることは、もう認めざるを得ないところまで来ていると思う。

 元々、ジャイアンツの選手層は厚い。昨シーズン、投手陣だけで考えても、野間口、内海、真田、鴨志田といった1.5軍とも言うべき輩が二軍にいた。これらは、チームが新陳代謝を行い、チャンスを与え、良い指導者さえいれば、いつでも一軍に来れそうだった連中。野手でも、元木という重石が取れたことにより川中に出番が回り始め、清原・ローズが去り、その代換として李が加入したことにより、ようやく基本的な流線型の打線が組めるようになった。垂涎の小坂−二岡の二三(二遊でもあるけど)番、他球団だったら四番打ってもおかしくない李−高橋由−小久保−阿部の四五六七番は、もはや卑怯の領域にあり、ノッっている矢野は、セ・リーグでは特に嫌がられる"打てる八番"。その上、李・高橋由・小久保は何時でも四番ができる打者が揃う。

 阿部の結果次第、星の成長次第と言うのはあると思うが、将来的な流れとして、星が捕手としての地位を確立し、阿部の一塁手コンバート→李を放出とは考えていそう。つうか、これに小関が入ったらどうするのよ? 小坂を(守備要員などにせず)腐らせずに使うとすれば、それでなくとも、二遊三は小坂・仁志・小久保とゴールデングラブが三人いて、毎年その最右翼になっている二岡とオールマイティ川中で、備えも万全、外野は、右・小関、中・高橋由で後は左翼をどうするかという話か……。打撃の清水の使い分けをやっていくのであれば、右翼を将来性の矢野・スピードの鈴木で使い分けていくことも考えられる。怪我したけれど、中翼では亀井を当てて、そういや山田は左翼なんだし、あぶれたのは一塁で使っても良いんだから……うわぁ……自分で考えてて嫌になってきた。

 調べもせずにだらだら愚痴っているんで、間違っているところもありそうだけど、現有戦力で考えればどうも大きな穴が無いのが、今のジャイアンツではあると思う。問題の投手陣は尾花コーチ加入でおそらく再生する。第一、彼はそれをホークスで、当の昔に実践している人。広岡、野村、王という監督として名を成した三者に仕えた経験がモノを言う筈で、選手側に意識改革さえできれば、投手王国復活はそう難しくないだろう。

 挙句、原監督自身は幾つかあるジャイアンツカラーの中でも、一番やっかいな堅守の野球・藤田野球の後継者。藤田氏とは違って投手出身ではないとはいえ、技術面を尾花コーチ他、その脇が固めるのであれば、「人使いの藤田」とも言われた流れは復活する。藤田氏は選手に対する温情采配、信頼性の高さがよく話題になるが、本質的にはコーチ陣への信頼性が高い人だったと私は見ている。各コーチの指導力、観察力、自らの方針の浸透を信頼していたからこそ、選手への信頼性も高まる道理。これは藤田野球が、理論的な管理野球であったからであって、長嶋氏(現・名誉監督)や堀内氏(前監督)のように采配に奇をてらったり、我が強いとこうはいかない。

 だから、ジャイアンツが崩れるとすれば、怪我。亀井や桑田のように故障してしまうとどうにもならない。ポイントは、クローザーとして確立しそうな豊田、精神的支柱になりつつある小久保、生え抜きで引っ張ってきている二岡の三人。これが離脱するとちょっと危険。他にムードメーカーの象徴的存在の矢野は“どのポジションでも良いから”とにかく使っているのが良いような気がする。代打だろうが交代要員だろうが。アレは将来的なことを考えても、試合感覚を抜けさせない方が良い。

 そして、高橋由が早速登録抹消の今日、小関加入が決まった。金銭トレードで小坂、無償トレードで小久保、落穂拾いで小関ねぇ……。

 この三者の場合、その移籍加入は必ずしも本人だけのせいとは言えず、前所属チームのフロントが責められるべきではあるんだが、あんまし欲しがり病を見せ付けられても。小久保の時は、さすがに他チームファンからも同情されたけれど、マリーンズはまだ分からないとして、ホークスにしてもライオンズにしても、主力が不調だったらすぐに次が出てくるのが近年常態化している。ジャイアンツも矢野みたいにようやくその傾向が出てきているんだから、補強しないでもいい気がする。チーム構成的に長嶋野球を引き継いだ前政権。それが原監督の頭にあるとすれば……ならば、ジャイアンツの怖さは一時的なモノに過ぎないと言えるのだが。


 とりあえず何が言いたいのかというと、小久保返してくれないかなぁ……という話。


 ただし、現在のホークス事情からすれば、これも痛し痒しなところがジャイアンツとは違ってくる。年齢的にも、能力的にも、小久保は“衰えていない”と言うのが実はネック。現状、ジャイアンツの主軸、キャプテンまで付ける選手が、ホークスに戻ればどうなるか。確実に主軸を打てるし、レギュラーにも当然なる。ところが、小久保、井口、城島と去られたホークスの方は、補強したはずのバティスタ切ったし、大村を入れているとはいえ、鳥越・柴原といった小久保当時の一軍メンバー・30台前半の彼らですら、いまや20代の若手に取って代わられつつある。パ・リーグは全般的に若手の台頭が著しい。今後10年を考えると、小久保自身や城島がそれで成功したように、多少の害悪は目をつぶって若手を使い続けた方が良いという論理があって、特にホークスはそれが強い。

 無論、そのためにはベテランの牽引が欠かせないから、小久保の復帰に望まれるのは、おそらく秋山(現・二軍監督)の再現であることは間違いないし、小久保もそれは分かっているだろうが……“若手はどう思うか”が問題。90年代後半、小久保らが表立って出てきた頃のホークスは、発展途上で勝利に餓えまくっていた時期。対して、若手とベテランのバランスが良い現在は、選手育成と、常勝チームという二つの課題を無難にこなしている。長年の懸案だったダメフロントは、SBへの身売りでようやく決着した。よって、今では資金面としても、王監督がGMとなったフロントも、現場陣もキッチリ回っていて、チーム内の意識改革から始めなければならなかった秋山らの加入時期とは、大きな差がある。そこに小久保が戻ってしまうと、不協和音とはいかないだろうが、若手育成が鈍化する可能性は否定できない。

 だが、同時に城島無しの松中一人では不安なのも事実で、二年連続プレーオフ敗退は、やはり頼れる打者、強力なチームリーダーの必要性を感じさせる。ほぼ同世代の城島⇒的場のバトンタッチが上手くいったように、小久保が表立っても、四、五年後にスムーズな世代交代さえできれば問題はないのだけど。

 ……(西日本スポーツあたりは大々的に煽っているが)大部分のホークスファンからしてみれば、小久保復帰はほぼ既定路線。上記のように、復帰に対して危惧があるとしても、その選手としての能力、そして外様に冷淡なジャイアンツですら支持を得たリーダーシップと指導能力にケチを付ける者はいない。……だから、それを抑えるとすれば今季の成績。原監督次第と言えるため、一ホークスファンとしては、今年の強いジャイアンツは忌々しいワケだ。



■ 関連:The Road To 勝峅金時代を築いた男」

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この記事へのコメント
えーーー!小久保はホークスに返したくないなぁ・・とか。
今の巨人は単純に雰囲気が良いように思う、所謂「負ける気がしない」
と言うムードが漂っていて、見ていても安心・・他チームからすれば
嫌な話だが・・。その雰囲気の中心にあるのが原監督なのかな?
前監督の堀内氏はその指揮云々よりも人望に欠ける所があったように
見える・・それは選手の使い方とかあんまり上手には見えなかったし
選手とのコミュニケーション能力が低いよね、ちゃんと話とかしている
感じには見えない所も多々あった・・清原にしてもローズにしても
あの監督の元では不満が多かった事であろう・・。
その点が原監督は違うのではないのだろうか?よく選手と話す
簡単な事だけど意外と難しい事なんかなぁ・・。
Posted by JW1 at April 16, 2006 02:20
>指揮云々よりも人望に欠ける所があったように見える

私的な意見ですけど、投手出身・捕手出身監督は自らのプレイが自己完結してしまうポジションなだけに、采配もまた自己完結しがちな気がしますね。もちろん、藤田氏なんかは投手出身でも気配りの人であったことから考えれば、個人の資質は大きいのでしょうけど。他球団ファンから見れば、堀内氏の場合は、マスコミによって悪役に仕立てられた感じが強いなぁ……。その点はジャイアンツならではの悲劇ですかね。

また、同じく私的な意見を言えば、監督は投手経験がある野手出身、特に内野手が一番良いのでは?……という意見があります。つまり、そういうこと……正直、堀内氏だったら100%小久保が戻ってくると踏んでいたんですが、原監督になって、その確率が五分五分ぐらいまで下がった気がするんですよ。なぜなら、元四番サード、怪我に苦しめられた現役時代(しかもアキレス腱と膝という違いあっても同じ足の故障)、(ONという)先駆者と比較され続けている選手成績ってのは、実は原監督と小久保の共通点ですから。

下手すると、今の小久保の苦しみをもっとも理解しているのは、原監督かもしれないと思うぐらい。

さらに言えば、ホークスにとって小久保は“将来的に必要な選手ですが”、私が見るに、ジャイアンツにとっては、もはや“絶対にいないといけない”選手になっていますね。性格的なものもあるでしょうけど、かつてのクロマティみたく、李が“ジャイアンツに愛される外国人四番”になれるとは到底思えない。今の立場は松井秀の代理ともいって良いでしょうが、そういった精神的コアはジャイアンツがエリート集団だからこそ必要で、それを小久保が担っている点は否めないと思います。

つまり、ジャイアンツにおける小久保のスタンスって、“今、必要とされている”選手。その重要性を誰よりも分かっているのは、同じような立場にいた原監督。それを承知で、私は言うわけです、返してください……ってね。

そういう精神的コアになれる人材をジャイアンツは、生え抜き含めて、幾つ潰してきたのか。私は堀内氏ですら、その犠牲者と見ます。ですから、現場陣はここでは批判しますまい。問題なのは、12球団中、もっとも信用ならん読売フロント陣。使い捨てにされそうなのが目に見えているですよね……。

まあ、最終的には小久保の判断ですし、小久保がそのままジャイアンツで指導者の道まで歩くっていうならば、それはそれで球界にとって良いことです。そこまでやって貰えるならば、おそらくホークスファンも納得するんでしょうけど、今までの流れからして、読売がそんなに柔軟に物事を考えられるようになった……とは思えないんですよ。

だから、私たちは小久保復帰を望むのですね。
Posted by 9791 at April 16, 2006 05:21