2010年07月23日
「大暑」
二十四節気はその名の通り、1年間=365日が15日毎に区切られて、季節が移ろう様・・・。
正平調(神戸新聞2010/07/23)「大暑」から。
夏本番を待ちかねたように、セミたちが鳴いている。朝は窓の外で響く大合唱で目が覚める。
◆きょうは二十四節気の「大暑」。暦の上では夏の絶頂期に当たる。梅雨明けから最高気温が30度を上回る真夏日が続き、但馬地方では6日連続で35度を超す猛暑日を記録した。こうした暑さが、まだしばらくは続くだろう。
◆「夏は暑いのが当たり前です」とは、司馬遼太郎氏が書いた幕末の志士、大村益次郎のせりふだ。「暑いですね」というあいさつに、ぶっきらぼうに応える。官軍の立役者は風変わりな人物として描かれる(「花神」)。
◆たしかに夏は暑いが、こう猛暑日が続くと、さすがに体に障る。先日、農作業に出た高齢者が亡くなったのも、熱中症が原因らしい。元気な人はつい張り切る。だが異常を感じてからでは遅い。「夏は暑いもの」とたかをくくらず、早めの休息と水分補給を心がけたい。
◆あの清少納言も夏の暑さに弱かったか、枕草子に愚痴をつづる。「扇子の風はぬるいし、氷水に手を浸してもみたけれど…」。しかし、いら立つとろくなことはない。JR西日本で信じ難い社員の不祥事や事故が続いたが、まずしっかりと頭を冷やし、何が悪かったか、自分たちの姿を見直すことが大切だ。
◆家の前にセミの抜け殻が落ちていた。また1匹、朝の合唱に加わったのか。猛暑はやっかいだが、身近な自然の営みに目を向け、心に涼を呼び込む余裕がほしい。
自然の営みに目を向け、心に涼を呼び込む余裕、なるほどネ、心の余裕ネ・・・。
凡語「睡眠不足」(京都新聞2010年07月23日)から。
目のうずく男がいた。医者が目をくりぬいて洗い、陰干ししていると犬に食べられてしまった。さあ大変と、犬の目を取ってはめた。すると男は以前よりよく見えるうえ、「目をつぶったらスーっと寝られる」と大喜び。
▼おなじみの落語「犬の目」である。今ほど、この男がうらやましい季節はないだろう。連日の猛暑が夜半に及んで寝苦しい。目をつぶるだけで眠れるとは、まさしく夢のような話ではないか。
▼不眠は怖い。不安・抑うつ臨床研究会などの編著「睡眠障害」(日本評論社)には、眠れない日が続いて血糖値に異常をきたす例が報告されている。糖尿病の危険因子にもなるという。
▼一方で、「8時間眠らないといけない」といった固定観念が不安をあおり、不眠の悪循環を起こすこともある。この場合、医師は「数日眠れなくとも、心身に重大な障害は生じない」と話す。なんだか睡眠を軽んじているようだけど。
▼息子のマンション投資が心配で、不眠症になった患者の例が紹介されている。睡眠薬も効かず、頻繁に電話してくる。だが半年くらいたったころ、ぴたりと連絡が途絶えた。
▼ある晩、庭の芝生に寝ると満天に星が輝いていた。広い宇宙に比べたら、不眠症なんてちっぽけだ−そう思うと眠れるようになったそうだ。犬の目では物音がする度に起きてしまう。じきに秋になると見通すおおらかな目に替えて、寝苦しい夜を乗り切ろう。
庭の芝生に寝ころがり、満天の星を眺め、広い宇宙に思いを馳せれば「不眠症なんてちっぽけだ」と−そう思うと眠れるようになったそうだ・・・。犬の目では物音がする度に起きてしまう、たまらないネ。じきに秋になると思えば、寝苦しい夜を乗り超えられるであろう・・・。
おしまいは、怪談の話し・・・。
夕歩道(2010年7月23日)「怪談は借金八百兆円」から。
からんころんと闇夜に響く下駄(げた)の音、あれは焦がれ死にしたお露の幽霊がおとこの元へ通う音…。幕末から明治の噺家(はなしか)三遊亭円朝の代表作のひとつ怪談牡丹灯籠(ぼたんどうろう)。聞けば夏でも背筋はひんやり。
その円朝を聞きに人が押し寄せ、下足棚はいっぱい、満員のはずなのに客席の後ろ二割ほどがらりと空いている。これは怪談でなくはなしの一言も聞き逃すまいと、客が前へ前へと詰めたせい。
昨今、本物の怪談は借金八百兆円、からんころんの不気味な音すら聞こえそうな日本の国庫。来年度予算の削減案もどこへやら。いい話なら前へ詰めても聞きたいが話者の影薄し。おお、怖い。
はなしの一言も聞き逃すまいと、客が前へ前へと詰めたせいで、客席の後ろ二割ほどがらりと空いている三遊亭円朝の怪談話し。
今時、いい話をして前へ詰めても聞きたい政治家の「話者の影」薄し、おお、怖い・・・。
正平調(神戸新聞2010/07/23)「大暑」から。
夏本番を待ちかねたように、セミたちが鳴いている。朝は窓の外で響く大合唱で目が覚める。
◆きょうは二十四節気の「大暑」。暦の上では夏の絶頂期に当たる。梅雨明けから最高気温が30度を上回る真夏日が続き、但馬地方では6日連続で35度を超す猛暑日を記録した。こうした暑さが、まだしばらくは続くだろう。
◆「夏は暑いのが当たり前です」とは、司馬遼太郎氏が書いた幕末の志士、大村益次郎のせりふだ。「暑いですね」というあいさつに、ぶっきらぼうに応える。官軍の立役者は風変わりな人物として描かれる(「花神」)。
◆たしかに夏は暑いが、こう猛暑日が続くと、さすがに体に障る。先日、農作業に出た高齢者が亡くなったのも、熱中症が原因らしい。元気な人はつい張り切る。だが異常を感じてからでは遅い。「夏は暑いもの」とたかをくくらず、早めの休息と水分補給を心がけたい。
◆あの清少納言も夏の暑さに弱かったか、枕草子に愚痴をつづる。「扇子の風はぬるいし、氷水に手を浸してもみたけれど…」。しかし、いら立つとろくなことはない。JR西日本で信じ難い社員の不祥事や事故が続いたが、まずしっかりと頭を冷やし、何が悪かったか、自分たちの姿を見直すことが大切だ。
◆家の前にセミの抜け殻が落ちていた。また1匹、朝の合唱に加わったのか。猛暑はやっかいだが、身近な自然の営みに目を向け、心に涼を呼び込む余裕がほしい。
自然の営みに目を向け、心に涼を呼び込む余裕、なるほどネ、心の余裕ネ・・・。
凡語「睡眠不足」(京都新聞2010年07月23日)から。
目のうずく男がいた。医者が目をくりぬいて洗い、陰干ししていると犬に食べられてしまった。さあ大変と、犬の目を取ってはめた。すると男は以前よりよく見えるうえ、「目をつぶったらスーっと寝られる」と大喜び。
▼おなじみの落語「犬の目」である。今ほど、この男がうらやましい季節はないだろう。連日の猛暑が夜半に及んで寝苦しい。目をつぶるだけで眠れるとは、まさしく夢のような話ではないか。
▼不眠は怖い。不安・抑うつ臨床研究会などの編著「睡眠障害」(日本評論社)には、眠れない日が続いて血糖値に異常をきたす例が報告されている。糖尿病の危険因子にもなるという。
▼一方で、「8時間眠らないといけない」といった固定観念が不安をあおり、不眠の悪循環を起こすこともある。この場合、医師は「数日眠れなくとも、心身に重大な障害は生じない」と話す。なんだか睡眠を軽んじているようだけど。
▼息子のマンション投資が心配で、不眠症になった患者の例が紹介されている。睡眠薬も効かず、頻繁に電話してくる。だが半年くらいたったころ、ぴたりと連絡が途絶えた。
▼ある晩、庭の芝生に寝ると満天に星が輝いていた。広い宇宙に比べたら、不眠症なんてちっぽけだ−そう思うと眠れるようになったそうだ。犬の目では物音がする度に起きてしまう。じきに秋になると見通すおおらかな目に替えて、寝苦しい夜を乗り切ろう。
庭の芝生に寝ころがり、満天の星を眺め、広い宇宙に思いを馳せれば「不眠症なんてちっぽけだ」と−そう思うと眠れるようになったそうだ・・・。犬の目では物音がする度に起きてしまう、たまらないネ。じきに秋になると思えば、寝苦しい夜を乗り超えられるであろう・・・。
おしまいは、怪談の話し・・・。
夕歩道(2010年7月23日)「怪談は借金八百兆円」から。
からんころんと闇夜に響く下駄(げた)の音、あれは焦がれ死にしたお露の幽霊がおとこの元へ通う音…。幕末から明治の噺家(はなしか)三遊亭円朝の代表作のひとつ怪談牡丹灯籠(ぼたんどうろう)。聞けば夏でも背筋はひんやり。
その円朝を聞きに人が押し寄せ、下足棚はいっぱい、満員のはずなのに客席の後ろ二割ほどがらりと空いている。これは怪談でなくはなしの一言も聞き逃すまいと、客が前へ前へと詰めたせい。
昨今、本物の怪談は借金八百兆円、からんころんの不気味な音すら聞こえそうな日本の国庫。来年度予算の削減案もどこへやら。いい話なら前へ詰めても聞きたいが話者の影薄し。おお、怖い。
はなしの一言も聞き逃すまいと、客が前へ前へと詰めたせいで、客席の後ろ二割ほどがらりと空いている三遊亭円朝の怪談話し。
今時、いい話をして前へ詰めても聞きたい政治家の「話者の影」薄し、おお、怖い・・・。

