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 「光の王女」リーゼロッテ。サブタイトルにそう冠された8話では現在の姿はいっさいみせず、エルエルフの脳裏に浮かぶ10年前の光景としてなんどか断片的に登場するだけ。それでもそんな曖昧な回想描写だけでなく、リーゼロッテその人もエルエルフとの関係も「そうではないシーン」で決定的なモノがこっそり示唆されてるでしょう、という話。
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 (ちなみに「現在の姿」は5話で描写済み)。

 2話、コクピット内で銃を突きつけたまま、ハルトをひたすら観察し思考し続けるエルエルフ。そんなエルエルフはガン無視してショーコとがっつり携帯ノロケトークをかまし、熱キャパ100を超えて行動不能になったヴァルヴレイヴに業を煮やすマジキチハルト。「何でだよ!ショーコが生きてたんだ!」「約束したんだ!」「絶対帰るって!なのに、これで終わりって…」
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約束したんだ!」と叫んだ直後に画面はエルエルフのアップに切り替わる。この言葉でハルトに「撃ち抜かれてる」。混在する「自分に語るモノローグ」と「相手に語るダイアローグ」の差に注視。エルエルフはこの瞬間に今後の計画をすべて決め、以降はすべて、彼の立てた計画を遂行するための「演技」に入ってる。エルエルフのほとんどの台詞は心理操作のテクニックであり、彼の本心そのままじゃない。
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 「約束と聞いた瞬間からエルエルフは一切見まわさないし心の言葉も吐かない。深層に直撃したんで口も閉じきれずハルトから目が離せない。そのまま微動だにしない状態で666超えのトライをハルトに促すんだわ。エルエルフがハルトという男を右腕にしようと決めた瞬間がココ。
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 「この化物め!(…なんて畏れてません)」
 「すでに予言だ!(…なんて自惚れてません)」

 「世界」とは誰でもない「自分自身」のことで、「他人」とは自分が「自分自身」を投影させるもの。つまり「エルエルフはかつて約束した」。…誰と、何を?「」は言わずもがなリーゼロッテ
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 「何が"はんぶんこ"だ。その甘さが…」

 ここまでのリーゼロッテ関連の描写から、彼女がその甘さ故によろしくない状況に陥っている、おそらくドルシア中央に幽閉されてるらしきことが窺える。エルエルフはドルシアを革命すると言い、これをイメージそのままに繋げると「エルエルフはドルシア政権を打倒しリーゼロッテを救出するのが目的だ」と捉えてしまうのだけど、彼が語らない「目的」、じつはそれとは違うコトだったら…?
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 2話でエルエルフが決断し要請し続けた契約、8話でついにそれを受け入れるハルト。エルエルフは拘束されたままショーコの携帯を通じて彼の声を聞き続けるのだけれど、ここでふたたび「撃ち抜かれてる」。
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 「夢…

 このひとこと。
 エルエルフにとって「」は重大なキーワード。撃ち抜かれたふたつの言葉、ハルトとリーゼロッテの相似、エルエルフとハルトの相似、ヴァルヴレイヴのちからが何のためにあるかをあわせると、導き出される答えはひとつ。「かつてエルエルフは"リーゼロッテの夢を叶える"と彼女に約束した」。それを言葉どおりに果たすコトが彼の願い。
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 リーゼロッテ本人視点でも「夢」とはストレートに願い、欲望のこと。それを「俺が叶える」と誓ったエルエルフと共に、彼らふたりで「願い」の二重構造ができてんだ。「物語におけるヴァルヴレイヴの本質とは"願いを叶える"者」だから、彼らにとってもVVVはなくてはならないモノなのね。リーゼロッテの救出だけが本当の目的じゃない、と。
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 んじゃリーゼロッテに代わってエルエルフが実現を目指す」ってなんだ?…その手段としての革命」、いやしかしリーゼロッテは現状を嘆くタイプか?「今を壊す」「血が流される」ことを願うようなひとなのか?そうじゃないな。リーゼロッテはとことんに「甘い」。今とは違う素晴らしい明日を語るタイプだ。甘ったるい理想の世界を。
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 つまり目指す革命、そこではドルシア政権打破がゴールじゃない。あくまでそれは前段であって、その先の「理想郷の構築こそがエルエルフにとっての革命の主旨。リーゼロッテの願う、甘く清らかで"ありえない"理想の世界、それが「第三銀河帝国」なんだ。第三銀河帝国の樹立と永続、やはりそれこそがこの物語のゴール。
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 「勝ったり負けたり、そういうのがない世界がいいな」「はんぶんこ…」
 「(ビキビキビキ)」 これは怒髪天を突くのも止む無し。

リーゼロッテの願う理想郷はハルトの甘い理想の世界そのもので、エルエルフはハルトにリーゼロッテを見、リーゼロッテに掛けられなかった言葉を掛ける。それが1話の鍵を巡る相克の図。ひたすらな「甘い世界の実現を誰よりもエルエルフ自身が本気で目指してるからこそ、彼にはどうしてもあのときのハルトが許せなかったんだ。
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 「コーヒーは砂糖入りがおいしいんだ!」
 「苦すぎる君に合わせたら、ちょうどいい味になる!」

 「w (バカめ。砂糖よりもの方が甘い)」

 そんな本質的な絶対の同志エルエルフとハルトは幾度かの主義の相克の末ついにガッチリ団結する。互いが互いの右腕に。その軌跡のすべて。

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 一回戦・1話
 横たわるハルトに右腕で鍵をちらつかせるエルエルフ
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 二回戦・1-2話
 横たわるハルトに右腕で銃を向けるエルエルフ
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 三回戦・3-4話
 横たわる山田越しにハルトに右腕でVを向けるエルエルフ
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 四回戦・7話
 横たわるハルトに右腕を差出すエルエルフ
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 五回戦・8話
 横たわるエルエルフにショーコが右腕でかざす携帯越しに右腕でVを向けるハルト
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 六回戦・8話
 横たわるエルエルフにヴァルヴレイヴの右腕を差出し包みとるハルト

 6回すべて、シチュエーションを変えたうえで、「同じ芝居」で対決してんぞ、こいつら…。

 このふたりが主義を対決させる6シーンすべてが「Aが横たわりBが足元側に立つ」「Bが右腕をAに差し出す」「BがAに語りかけ」「AがBに答える」。AとB(=ハルトとエルエルフ)を入れ替えつつ、毎回几帳面に横たわる理由」と「右腕を差し出す理由を変えてんの。細けぇー!
 
 一回戦はエルエルフが「自分を犠牲にするなと叱り、言い返せないハルトが無言のまま終わる。二回戦は「君の言うとおりだ」とあっさり主義を曲げるハルトをエルエルフは見限り無言で撃つ。三回戦は契約を迫るエルエルフに自分の主義を曲げないハルトが断固拒否を宣言。四回戦はエルエルフが「信じろ」と言い、ハルトが不承不承それを無言で呑む。五回戦はハルトが「信じる!」「甘くていいんだ!」とはっきり宣言し、エルエルフが微笑み団結する。六回戦はハルトが「自分を犠牲にするなと叱るが、エルエルフはいや犠牲になるつもりはない、これはお前を「信じていた」からだと返す。何これ完璧じゃん。
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 エルエルフにとって必要だったのは、言葉として語ったハルトの能力だけでも主義だけでもない。「あくまで自分の甘さを貫いたうえで、自分を認め相手を認め信じあえる同志としてのハルト」なんだと。その条件がすべて揃ってはじめてふたりは手を取り合える。
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 契約を迫る構図も契約受理の構図も「意図してそうしてある」ってのは、直前に差し出されるサトミの携帯(マイク?)は左腕でだったり、銃を構えても両手持ちだったり、シグナルがちゃんとあるんですよ。ナイフでキチッと刺し殺した死体相手にわざわざ銃を出す。わざわざ山田が教室にお邪魔虫として居て、エルエルフに不自然に倒されてるのに、ハルトはやられた山田には微塵も意識を向けないw エルエルフが冷酷な殺人者でハルトがお優しいんなら、まず先に山田が刺されたかどうか心配するモンでしょう?でもそうさせない。その意図。

 で、ハルトはついに自らの」ピースサインを出しエルエルフと契約するのだけれど、彼はここで「"悪魔と取引する"ようなもの」だとタカヒに諌められ、それは承知のうえだと告げる。「取引だ、エルエルフ!」「"勝利"のために、"平和"のために!」。
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 それまでのハルト、生き残ろうとか守るとかは何度となく言っていても、ドルシアに"勝とう"なんてひとことも発してなかったのに、ここでとつぜんのこのセリフですよ。ショーコのV=勝利を合わせ、ショーコを通じてエルエルフに宣言する。この芝居がかった言い回しで成立させたやりとり、そのまんまド直球に「ショーコの勝利+ハルトの平和+エルエルフの悪魔」じゃろw

 少年たちが悪魔と取引(V)してでも勝利(V)を掴み、第三銀河帝国という平和(V)の理想郷を実現するお話。それが革命機ヴァルヴレイヴ(VVV)。