December 19, 2007

―グアムのダイビングショップ物語71― 意外に賢いロウニンアジ

guam1219aji
困っていたんであります。

「口の中に木が入ったら困るでしょ?」
小学校のときの、尊敬いたします先生がそう教えてくれたのであります。
確かに、そんなもんを口に入れられでもしたら、堪りませんねえ。
ちゃんと喋ることができないどころか、ヨダレは垂れ流しになるは、顎は外れそうになるはの大騒ぎとなることでしょう。
それほどに、困り果てまして、右往左往していたのであります。
何が?って・・・、ギャブギャブ2のロウニンアジが困っていたのであります。

今日は、ベテランダイバーと一対一のダイビングでありまして、昨日は何とか苦心しまして、ブルーホールへ。その結果、他のダイバーグループの方々にご迷惑をお掛けいたしまして、大変申し訳なかったのでありますが、作戦的には大成功のブルーホールだったのであります。
そこで、今日のボートの行き先はクレバスであるということになっていたものでありますから、ちょっと遠出をいたしまして、バラクーダの群れにご案内したい。そう考えていたのでありますが、何と例の赤旗が・・・。
やむなく、と言いますか、何でそうなるのか少しわからない部分もあったのでありますが、アメリカンタンカーとギャブギャブ2へのダイビングへと急遽変更になったのでございます。

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例によりまして、一番乗り好きでありますので、ギャブギャブ2のリーフに着きましたときには誰も人影がなかったのであります。
まずは、ファインピクスの使い方で悩んでおりました部分が解明いたしまして、それならばあれを撮ってみよう!
そう思いまして、試し撮りに最高の被写体、ホルトハウシのイソギンチャクに向かったのであります。
あれだけ悩んでいたのでありますのに、バッチリですよ。
それならば、今度はダスキーアネモネフィッシュの幼魚。しかもニモ似の子が白いイソギンチャクに棲んでいるところを激写。
これは、トリミングしてはあるのでありますが、その他の修正はなし。
なかなかの色合いでありまして、これが望んでおりました色なのであります。

満足しつつ、グアムには初めて潜りに来てくれておりますFukuiさんを、あのバケツのところへとご案内したのであります。
しかし・・・、あの激しいバトルは一切なく、それどころか、まるでアトランティスがお休みで、バケツが空っぽなんだよ!っていう寂しい状態であったのでございます。
何か、様子がおかしいのであります。
あるべきものがない。そういう景色であることにはすぐ気がついたのでありますが、はて?何がないのか・・・?
そうなんであります。あの白い逆さ吊りのバケツのとってが破壊されまして、水底に転がっていたのであります。
ロウニンアジたちは、その転がったバケツの周辺を泳いではみるものの、なす術もなく、ただ右往左往するのみで困り果てていたのであります。

これは放っておけないのであります。
「ちょっと待ってろよ。今直してやるからな!」
そう言いまして、バラバラに沈んでおりますバケツの部品を捜索してみますと、あいつらのパワーは並みのものではありませんようで、とってがひん曲がっちゃって、元のバケツの位置に戻すのが大変。グニグニとこちらもひん曲げ戻しまして、何とか元の位置に。
その間、中にたっぷりと餌が入っておりますバケツのことが気になって仕方がないロウニンアジたち。ときどき、心配そうに近くまで寄って来まして、様子を伺うものの、また遠巻きにしまして、大人しく待機しているのであります。
正直言いますと、決死の覚悟であったのであります。
そりゃあそうなんであります。
餌の入っているバケツを持って行っちゃうかもしれないのであります。そうなったら俺たちはどうしたらいいんだよ?!ってことで、必ずや攻撃を仕掛けてくるだろう・・・。そういう覚悟はしてみたものの、あいつらは大人しく、バケツが修理されるのを待っていたのであります。

バケツを逆さ吊りにいたしまして、ロープにもやい結びで固定します。
そして最後の仕上げは、バケツに少しエアーを入れまして、宙吊りの完成なのでありますが、徐々に餌の準備が整うに従いまして、お預けを食っておりますロウニンアジたちの行動がエキサイトしてくるのであります。
ブーン!
待ちきれないやつが、すぐ傍を通過していきます。
そして、カーン。
まるでゴングが鳴ったかのように、各コーナーから勢いよく飛び出してまいりましたっていう感じで、バケツから離れるや否や、猛烈な勢いでバケツ目掛けて来たのであります。
ドーンドーン!
あのバケツが突っつかれます音が、ギャブギャブ2に響き渡ったのであります。
これだけ暴れん坊ぶりを発揮しますロウニンアジたちであるのですが、しっかりとバケツを直してくれるってことがわかっていたんでしょうかねえ。
よくもあそこまで、大人しく待っていたものであると感心するのであります。



























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この記事へのコメント
お行儀良く待っていてくれて良かったですね。
一緒に食べられてしまったら笑われます。
壊したのはあの伝説の大きな生物でしょうか?
Posted by b_777rainbow at December 20, 2007 20:45
よ〜く考えてみますと、毎朝、アトランティスのスタッフが、あのバケツをセットしているんですよね。
そのときに、どういう装備でダイビングしているかはしりませんが、ちゃんとバケツをセットするまでは『待て』っていうことで躾られているのかもしれないですね。
Posted by 師範 at December 22, 2007 15:04