荒木田歯科医院(群馬県伊勢崎市)診療日記

ー インプラント、歯周病、院長が綴る診療日記、研修の記録 ー

あいうべ体操

 近年食物の軟質化、生活パターンの変化などにより、口唇の周りの筋肉、舌を動かす筋肉などが弱く、いわゆる「口ぽか」になっているお子さんが目立っていると言われています。

 「口ぽか」は口呼吸を招き、歯並びが悪くなったり、歯肉の炎症や口内炎ができたり、虫歯になりやすくなったりします。また全身的にも、鼻が悪くなる、のどの炎症が起こりやすい、風邪を引きやすい、胃腸に問題が起こる、などの悪影響があると言われています。

 これを解消するため、私たち歯科医の間でも最近話題になっているのが、この「あいうべ体操」なのです。やりかたは超簡単。

 まず、大きく口を開けて「あー」、次に、唇を横に引いて「いー」、さらに、唇を突き出して「うー」、最後、にべろを思い切り出して「べー」。それぞれ1秒ずつ、10回を1セットとして行なって下さい。声は出しても出さなくても結構ですが、お子さんは大きな声で行うと楽しいでしょう。できたら毎日3セット行なって下さい。

 大人やお年寄りにも同じように良い効果があるので、一緒にどうぞ。

スポーツドリンクの落とし穴

 さて、今年も暑い夏になりそうですが、熱中症の危惧もある中、水分補給について気になる方も多いと思います。このような時、いわゆるスポーツドリンクが強い味方と思われるでしょう。

 しかしよく間違えがちなことですが、「スポーツドリンク」と「経口補水液」は全く別のものなのです。水に糖分とミネラルを加えてあることは同じなのですが、その濃度が全く異なります。スポーツドリンクには多量の砂糖が含まれており、逆にミネラルの比率は少ないのです。あくまでも「激しい運動」の後に用いるためのものであり、水分吸収に最適なレシピではないのです。

 「健康によい」というイメージで、水と同じようにこれらの飲料を「だらだらと」飲んでいると、常に砂糖が歯面に供給されます。砂糖は歯垢を作る細菌の栄養分であり、虫歯を作るもとになります。それだけでなく血糖値を上昇させて食欲を抑え、ご飯が食べられなくなってしまいます。ジュースのように時々嗜好品として取るのは良いと思いますが、いつも飲ませる事はよくありません。夏の水分補給には、「麦茶」が最適なのです。

 なお、いざというときの経口補水液は、自分で作ると市販品に比べてずっと割安です。レシピは様々な所で手に入ると思いますが、参考までに一例を上げておきます。


500mlのペットボトルの水 

②食塩1.5g 

③ブドウ糖10g5gのスティック本)

④重曹1g(ふくらし粉) 

⑤レモンかオレンジの絞り汁少々  

◎これらを混ぜれば出来上がり。ただし必ず冷蔵庫で保存.

摂食嚥下のリハビリテーション

「最近、むせやすくなった」

「ごはんや水、お茶が飲み込みにくい」

「食事の時間が長くかかるようになった」

「お薬を飲む時、引っかかるようになった」

「口から食べ物や水がこぼれやすい」

・・・・・・

  このようなことに、思い当たることはありませんか。もしかすると、「食べる/飲み込む」機能が衰えてきているのかもしれません。

 健康な時、「食べる/飲み込む」ことは、何も考えなくても普通にできると思います。しかし実はけっこう複雑な一連の作業を行なっているのです。

 

 まずは食べ物を口の中に入れて保持すること。これには唇

や顔面の筋肉が複雑に協調し働

、はじめて食べ物を漏らさないでいられます。

 次に噛み砕くこと。歯や入れ歯

がきちんとしていることはもちろん必要ですが、それ以外に

も舌や頬の筋肉によって食べ物を咬み合わせの面に持って行ったり、口の中で取り回しています。またその時につばがないと、食べ物がうまく動きません。

 そして細かくなった食べ物を飲み込むこと。この時も舌が大活躍し、食塊を口蓋に沿って喉の方に運びます。そして喉の方ではそれを食道の方に送り込みます。この時、食べ物の通り道と息をするための空気の通り道が交差するため、気管の入り口には「ふた」があり、食べ物や水分が流れ込まないように閉じる作用を行います。

 

 これらの様々な動作は、当然いろいろな「筋肉(ちなみに舌も筋肉の塊です)」とそれをコントロールする「神経系」によって行われています。ですから、例えば口腔や咽頭の癌になったためにこれらの筋肉の一部を切除してしまったり、脳卒中や神経疾患によってコントロールする神経がやられてしまった場合、「食べる/飲み込む」機能が上手くできなくなってしまうのです。そのため、これらの病気になった後、摂食嚥下のリハビリテーションが必要になる場合が多いのです。


 さて、上のような病気以外でも、高齢になると「食べる/飲み込む」機能が低下してくる場合が多くあります。歳をとると様々な力が衰えてくることは、残念ながらお分かりだと思います。これは様々な筋肉が萎縮したり、筋肉をコントロールする神経が鈍くなってきたりするからです。前述のような「食べる/飲み込む」機能を行うための筋肉や神経も、同じように機能が低下してくる場合があります。多くの場合毎日何気なく、無意識のうちに行なっている動作なので、それが筋肉などの衰えから来ているとは感じづらいのです。

 

 そして、知らず知らずのうちにこの機能が劣化していく中で、誤嚥性肺炎や低栄養の問題が発生してきます。誤嚥性肺炎とは、飲み込みの時の喉での「交通整理」が上手く行かないため、気管支から肺に食物や唾液が流れ込み、その時同時に口腔内の雑菌も入っていくことにより、肺炎を起こすものです。また低栄養とは、知らないうちに食べる量が減ったり食物の質が変わったりして、栄養不足になることです。これらの変化はお互いに影響し会い、悪循環に陥ります。すなわち肺炎で床に伏せれば動かない事で筋肉はより廃用になり、食べられなくなり、低栄養になり、そのために免疫機能が低下し、肺炎を起こしやすくなり、・・・ と言うように負のスパイラルに陥るのです。


 この様な悪循環に至るのを防ぐため、「食べる/飲み込む」機能の低下に早期に気付き、それを取り戻すためのトレーニングなどを行うことが介護予防、健康寿命の延伸につながります。また今は健康な方でも、継続的に機能の状態を検査し、その低下を防ぐことが重要と考えています。


 そのため当院では簡単なスクリーニングの検査を行い、必要であればトレーニングの方法などを指導していきます。


マイクロサージェリーコースの受講

久しぶりに更新します。

 去る11月29・30日(土・日)、澤田先生のマイクロサージェリー2日間実習コースを受けてきました。3年前のやはり11月に、同じく澤田先生 のマイクロエンドのコースを受講しました。このコース自体人気で受講待ちの人がいるようですが、そのアドバンスコースであるマイクロサージェリーコースは さらに詰まっているようです。3年前に登録をしてお知らせをもらっていましたが、どうしても避けられない他の日程と重なっていまい、今回3度目にして満を 持して受講することが出来ました。

 澤田先生は東京医科歯科大学の歯内療法学の教室に残り、有名なペンシルバニア大学に留学され、その後四ツ谷で日本でほとんど最初の「歯内療法専門 医」として開業された先生です。大学ではわたくしの3年ほど後輩に当たります。雑誌の記事や論文多数はもちろん、数年前に書かれた著書は歯科業界ではベス トセラーの一つになり、講演等でも引っ張りだこの先生です。

 マイクロサージェリーとは顕微鏡を用いて行う手術のことですが、歯科においては主に歯周療法と歯内療法で行われます。歯周療法では、歯周形成手術 と言われる歯肉や結合組織の移植や移動術、歯内療法では歯根端切除が主なものですが、今回はもちろん歯内療法に関連するものです。いずれの手術も昔から存 在するものですが、それを顕微鏡下で行うことにより繊細な切開、剥離、縫合、また最小限の侵襲で行うものです。

 1日目は朝からモリタ本社で、講義と実習をみっちりと行いました。実習は各人にマイクロスコープがあり、あらかじめ送っておいた根充済みの抜去歯 やそれを使って作った顎模型を用い、もちろん顕微鏡下で術式内のキモを練習しました。細い糸・針を用いた縫合の実習は、手羽先を切開して行いました。この 縫合ができるかどうかが最も不安だったのですが、結構できるものだと自信を持ちました。充実した実習でした。

 会場に到着するとたまたま顎補綴で1年下だった後輩がいて、お互い心強いものがありました。また昼食時間に自己紹介タイムがあったのですが、確か 3年前のマイクロエンドのコースで一緒だった顔見知りがいたり、また医科歯科の15年くらい下の後輩がいたりしました。そんな事で1日目終了後の懇親会で は楽しいひと時を過ごすことが出来ました。

 2日目午前は四ツ谷の澤田デンタルクリニックでライブオペの見学でした。診療室のスペースや患者さんへの負担から、ビデオ画面を介してのライブオ ペでしたが、様々な道具や道具立て、段取りなどライブならではの勉強が出来ました。午後は駅前の主婦会館の会議室で、最後の講義が行われました。極めて充 実した2日間でした。

 顕微鏡下の治療はなにか全く特別なものという意識がありましたが、エンドの治療がやってみれば普通の事になったのと同じで、実習をやってみれば結 構行けるのではないかという感想です。大変になったら顕微鏡を外せば続けられるわけで、これから歯根端切除術はマイクをサージェリーを行うと宣言します。

補綴学会2014

 また大分間が開いてしまいました。ブログにしてもフェイスブックにしてもマメに更新、投稿する方を尊敬申し上げます。

 さて、23日金曜日の診療終了後に、補綴学会に参加するために仙台に出発しました。仙台まで大宮経由で約2時間ちょっと、速いものです。今年は東 北大学の佐々木先生の教室が主幹で、青葉山の仙台国際会館で行われました。駅近くのホテルに宿泊しましたが、歩いて行ってみると30分以上、結構歩き街が ありました。

 例によって開業医として参加している私としては、特別講演やセミナーなどを主に聴いて回りましたが、今年はとにかくCAD-CAMと高齢者歯科す なわち摂食嚥下関係やリハビリ関係のはなしが多く、今まさに問題になっていることだと思いました。特にまさに現在肺炎で入院中の父親を抱えている私として は、非常に身につまされる学会でした。特に特別講演「老いても最後まで生活者たらんために-補綴歯科医療に期待するもの-」東京大学高齢社会総合研究機構 特任教授の辻哲夫先生、および臨床リレーセッション「サルコペニアの予防と改善に寄与する補綴歯科を目指して-他職種連携による高齢者の口腔機能、栄養、 運動機能の改善-」 東京大学高齢社会総合研究機構准教授の飯島勝矢先生など は、非常に参考かつ感銘を受ける講演でした。

 ところで2日目の今日、父親の容態が一時急変して、昼過ぎに呼び戻されました。同じ学会に出ていた息子と一緒に急いで帰りましたが、何とか落ち着いて持ち直しました。

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