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2009年08月

9月6日に「伴淳映画祭」 〜喜劇王(米沢出身)の足跡たどる〜

2009年08月31日
 米沢出身の故伴淳三郎を顕彰する「伴淳映画祭」が9月6日に開催される。4回目となる今年の上映作品の目玉は昭和26年公開の「吃七捕物帖・一番手柄」。「アジャパー」という一世を風靡(ふうび)した伴淳のギャグが生まれるきっかけになった記念碑的映画だ。

アジャパー一世風靡の「アジャパー」

 この作品をきっかけに伴淳は主役の座をつかみ、「アジャパー天国」「名探偵アジャパー氏」(28年)、「アジャパー氏 夢の国へ行く」(29年)が立て続けに公開されたことからもその人気の程がうかがえる。
 映画祭で伴淳について語ってくれるのは「名探偵アジャパー氏」でチーフ助監督を務めた瀬川昌治監督。この最初の出会いから14年後、瀬川監督と伴淳は「喜劇・競馬必勝法」(42年)をヒットさせ、以後も「競馬必勝法・大穴勝負」「競馬必勝法・一発勝負」(43年)とシリーズを共にする。
 
ゲストは瀬川昌治監督

 「喜劇・大安旅行」(43年)を第1作とするフランキー堺主演の人気シリーズも全11作中8作で瀬川監督・伴淳コンビは一緒だった。現在、伴淳を語れる唯一の映画監督である。84歳になった今も自らの企画による新作に意欲を燃やしているほか、俳優を養成すべく今春から「瀬川塾」を開塾するなど、映画への情熱は衰えることを知らない。
 
「競馬必勝法」など上映

 映画祭で上映するのは上山競馬場で撮影した瀬川監督の「競馬必勝法・一発勝負」。もう一本の上映作は敢えて題名を伏せたスニークビューです。映画祭を企画・主催する「伴淳の会」が「吃七捕物帖」と同じくらいに上映を待ち望んでいた作品です。乞うご期待!
 会場に展示するポスターや看板も懐かしい。問い合わせは米沢市市民文化会館(0238・23・8510)まで。

資料提供:やまがたコミュニティ新聞オンライン<荒井幸博のシネマつれづれ>


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アマルフィ 女神の報酬 〜世界標準のミステリー大作〜

2009年08月17日
世界標準のミステリー大作

アマルフィ クリスマスを控えたローマ。主要8カ国首脳会議に出席する外務大臣を迎え入れる準備に日本大使館はてんてこ舞い。そんな最中、外交官の黒田康作が赴任する。
 
日本人少女誘拐事件

 赴任早々に日本人少女失踪事件が起きる。他の大使館員は本来の業務に忙殺されているため、黒田が少女の母親の通訳を命じられる。
 失踪は誘拐だった。犯人から母・紗江子にかかってきた電話に黒田が父親を名乗って出たものだから、行きがかり上、紗江子の夫として事件に深く関わっていく。テロが頻発するイタリアでは誘拐犯との身代金取引は違法。ところが黒田と紗江子は敢えて犯人との身代金取引に応じる――。

アマルフィ2全編イタリアロケ!

 フジテレビ開局50周年記念作品として全編イタリアロケという日本映画では初の試みを敢行。現地人スタッフ・キャストも多く関わる中、文化の違いや様々な制約を乗り越えて完成させた西谷弘監督の手腕は評価されていいのではないか。
 「ローマの休日」でおなじみのスペイン広場をはじめ、カピトリーニ美術館、コロッセオ、そして地中海沿岸の小さな港町アマルフィ。すべてが歴史的文化財のような建物・風景がさり気なくサスペンスに引き込んでくれる。

アマルフィ3織田裕二の意気込み

 主人公の黒田を演じるのは織田裕二。20代前半で「東京ラブストーリー」の永尾完治という当たり役に出会い、吉田栄作、加勢大周とともに「平成(トレンディ)御三家」と脚光を浴びた。
 だがアイドル的に扱われるのを潔しとせず、三谷幸喜作品「振り返れば奴がいる」でアウトロー医師を演じて俳優としての幅を示す。そして「踊る大捜査線」の青島俊作役でドラマ・映画界のトップランナーの一人になる。今回の黒田役の迫真の演技からは、織田が40代になってからの代名詞とするべく取り組んだ意気込みが伝わってくる。
 
イタリアに行きたくなる

 原作は実力派ミステリー作家の真保裕一の書き下ろしで、脚本も担当。天海祐希がやや颯爽(さっそう)とし過ぎていたり、脇役の人物像をもう少し掘り下げて欲しいといった若干の不満も残るが、それでもイタリア観光したくなること請け合いのサスペンス・エンターティメント作品に仕上がっている。

資料提供:やまがたコミュニティ新聞オンライン<荒井幸博のシネマつれづれ>


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