むしむしとした梅雨空が続いています。洗濯物が乾かない日々。早くスカッと晴れて欲しいものです。

 ちょっとした晴れ間の見えた日、前々から伺いたいと思っていた世田谷区砧にある『笑恵館』へ見学にいきました。『笑恵館』は、共同住宅を中心とした地域コミュニティを形成している場です。

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伺ってみると、1960年と1975年に建設された古い木造アパートをそのまま活かしていました。
オーナー様のご尊父は画家だったそうで、壁に飾られた絵画からその記憶を感じました。

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多目的室に飾られた絵画

この場所は、築の古いアパートの経営、土地の相続、そしてなによりも住み慣れた町で人生を全うしたいというオーナー様の考えを受け、2012年に初めは「多世代型シェアハウス」の研究から始まったそうです。しかし、シェアハウスは内に開かれているが、それよりももっと地域に開きたいのでやりたいことはシェアハウスではないという考えに至ったそうです。そして、相続、法人化、NPOの検討など様々な問題と対峙しながら、会員制の『みんなの家』として、共用部を地域に開放するという現在のスタイルに至ったそうです。

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大きな杉玉とオープンなデッキ空間が人を迎える

『会員は家族』という考え方がとても素敵だと感じました。

実際は会員以外にも開かれていて、垣根を感じない場所でした。食堂にパン屋さんが入っているのですが、私たちが伺っている間にも、若い女性客が買いにいらしていました。若い人から高齢者、子育て世代とまさに多世代に利用される場所になっていました。共用部で行われるイベントは、笑恵館主体のイベントと、会員が企画するものがあり、毎日のように開催され賑わいがある様子です。
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休憩所にはパンのいい匂いが・・・

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ご説明いただいた一般法人土地資源協会の松村様もお話下さいましたが、オーナー様の考え方が本当に素晴らしいと感じました。以下、ホームページから引用させていただきます。

“上記の願いが実現するなら過密都市での住宅不足や空家利用の問題、一人住いの不安、そして終末期在宅ケアの推進などが一挙に解決される一例になるのではないでしょうか。そしてこの願いが実現したなら、土地や建物を子供に相続するのではなく、私の後もそのまま利用、活用して頂けるようにしたいと思っています。”

引用:笑恵館ホームページ ごあいさつ より

 本来であれば子に土地などを残したいと考えることがほとんどだと思うのですが、非営利の考えで地域に活用して欲しいという、地域や社会への思いが、何よりも『笑恵館』の源なのだろうなと感じました。

 弊社でもこのようなコミュニティのある建物を見学したり、自分たちでも設計したりしていますが、事業収支という問題は資本主義の社会の中では非常に決断の難しいところです。
しかし、単に営利を求めず、人とのつながりを作る事が、結果として価値を生むということを様々な事例から感じるこの頃です。
そして恐れずにチャレンジすること、上手くいかなくてもしなやかに軌道修正しながら事業を楽しむこと、の大切さを感じます。

 『笑恵館』は、今後も試行錯誤を繰り返され、より地域に溶け込んで行く場所かと感じました。
見学させていただきありがとうございました。

ホームページ 笑恵館