帝塚山学園、奈良学園(郡山・登美が丘)など私立小・中・高に特化した個別指導の学習塾 『教育工房あ~く』

教育工房あ~く 個別指導学習塾の効果的勉強法ブログ

突然の訪問 二題

この1週間に,あいついでお二人の訪問客があった。 その話をしてみたい。

一人は,この1月の私立中学入試で無事合格した小学6年生のお父さんが,昼間突然お越しになった。

【お父さん】
突然すいません。ちょっとよろしいですか。 うちの子が私立中学に合格はしたのですが,今まで英語を習っていないので,どうすればいいかと思いご相談に来ました。


【岡田】
 そうですね。確かに私立中学校の英語の進度はかなり早いですね。例えば(と言って,難関私立中学校が主に使う「New Treasure」を取り出して説明する)ですね,この教科書のLesson1のsection1を見てください。ここに,key pointとして、am,areの平叙文と否定文と疑問文およびその応答がありますね。これがわずか半ページにまとめられていますね。これを1週間程度で進んでいきます。

【お父さん】
そんなに早くですか。わたしは公立中学校に行っていたのですが,詳しいことは忘れましたが,もう少しゆっくりだったと。


【岡田】 そうです。今でも公立中学校では,これだけを1か月以上かけてやっています。入学後は何かと学校行事があり,4月5月の連休もはさんでいますから,5月半ば近くまで続きます。

【お父さん】
と言うことは,早めに始めておかないといけないということですね。


【岡田】 4月の入学式までには,Lesson1の内容は最低でも,終わっておいた方がいいのではと思います。


  現在西大和学園の英語の講師として子供たちを見ていると,英数の2科目は出来るだけ早めに始められることをお勧めしたい。出鼻の躓きは,意外 と自信の喪失につながるケースがある。とりわけ英語のアルファベットと音の関係を,フォニックスのような手法で学んでおくことが重要だ。知らない単語が読 める,使える―この語感を育てることが特に重要だ。例えば、allの読みが分かれ ば,ball,call,dall,fall,mall,tall,wallが読めるし,それぞれの意味を与えてやれば単語の習得にもなる。これを使っ て、This is ~.の文が広がっていく。


  もう一人の訪問者は,この塾の卒業生だ。何と15年ぶりに再会した。今年で31歳になるという。昨年結婚して今年の7月には第1子が誕生する という。話を聞いているといろいろと苦労もしたようだ。

 奈良の私立高校を卒業した後(悲願の公立高校に落ちたためだが),立命館大学理工学部に進学したも のの,選んだ学科が数学科だったこともあり,卒業後の就職のことを悩んでいた矢先,お父さんが不慮の死を遂げた。先行きへの心配を払しょくするため立命館 を辞め,やってみたかった獣医になるため大学受験勉強を再開した。何とか国公立大学獣医学科に入学を果たさんと努力はしたものの,短期間ではうまくいか ず,北里大学獣医学科に合格した。再び親の脛をかじり無事卒業して,埼玉県の動物病院に勤務した。向こうで今の奥さんと出会ったものの,母親を奈良に一人 では置いておけず,昨日奈良に戻ってきて,来月から王寺の動物病院で働くとのこと。夢は40歳までに自分の医院を開業し,子供を何としても自分が行けな かった国立大学に入れることだと話してくれた。

  彼との思い出は,最後に来ていた高校生の頃ではなく,小学生の算数を教えていたときの印象が一番強い。クリクリ坊主の頭で、少し言葉を噛みし めながら話す仕草が懐かしい。今ではもうすっかり社会人の品格が出ている。こんな風に育っていってくれたとこと誇らしく思う。

 彼は最後に「でも今思うと, あの小学校の頃にもっと真面目にしておけば良かったなって。親にもあまり苦労かけずに済んだんではないかと。」だが,その苦労があるからこそ,今があるの だよ。人は別の道をやり直すことはできないのだから,この道を,これしかないこの道をどう充実させるかが何より大事だ。自分の夢に向けて,頑張ってほしい といって別れた。多くの子供たちと接する機会が持てた,そして今も持てている自分の生きざまを改めて感謝させてもらった。

今年の入学試験を振り返って(1)

1月18日(土)19日(日)の2日間にわたって行われた大学入試センター試験を皮切りに、
全国一斉に中学・高校・大学の入学試験が各地で行われ、もうすぐ収束しようとしています。

今年のセンター試験では、国語が昨年に続き難易度が高く、
易化すると予想していた高等学校や予備校の先生方が
二次対策に向け方針変更をさせられました。

また、中学入試においても、東大寺学園の算数と理科の難易度が急激に上がり、
国語や社会の得意な生徒が合格するという逆転現象が起き、
中学受験担当の大手塾の担当講師が右往左往しています。

このため灘中学校には合格したが、東大寺学園には入学できなかった生徒が少なからずいます。

理系志望者が多く在籍する東大寺学園としては、
優秀な生徒を洛南や洛星にとられてしまったのではないでしょうか。

こうした番狂わせは入学試験でもままあるのですが、
中学入試のように幼い年齢の子供たちに無意味な傷を負わせないためにも、
例えばセンター試験で平均点が他教科よりも高すぎたり低すぎたりしたときに行う
調整点システムようなものを、一定の基準で設けるのがいいのではないでしょうか。

大学入試においても、関西大学が行っている中央値方式や
偏差値方式も考慮できるのではないかと思います。

何れにせよ、つらい思いをするのは不合格だった生徒だけでなく、
合格した生徒の側にも早晩起こります。

と言うのは、6か年中高一貫校はどこも理系志望の生徒を、
何としてでも東大や京大に送り込むシステムを取っているからです。

わたしが教えた生徒の中にも、算数はそれほどでもなかったけれど、
中学高校の何れかで数学に目覚めた子供が居なかったわけではありませんが、
はっきり言ってわずかです。

無事に合格できたことを心からお祝いしますが、
同時に今すぐ中学の数学を先取りすることをお勧めします。

入学試験は、たかが入試だとも言えます。
が、同時に人生の何割かを決める「踏み絵」でもあります。

喜んでいる君も、悲しんでいる君も、今自分自身に与えられた状況を冷静に分析して、
さらなる高みに向かって一歩を踏む出す決意をしてください。



大学入試制度改革に向けて

最近、大学入試制度改革に関して様々な情報が飛び交っています。
例えば英語の入試にTOEFLを導入するとか、センター試験を2段階に分けるとか…。

それには主に3つの要因があります。

1つ目は、推薦入試・OA入試の拡大により、入学者の学力が低下したことです。

2010年度の結果で見ますと、私立大学入学者総数47.6万人のうち、推薦入試による者は19.5万人、
AO入試によるものが約5万人います。

合わせて51.4%、すなわち半数以上が12月までに合否が決しているわけです。

このため基礎学力不足の生徒が入学し、一般入試の生徒との学力差が入学後の授業の進行を妨げています。

このため難関私立大学でもリメデイアル(学力不足を補う授業)を実施しなければならないのが実情です。


2つ目は、大学入試センター試験の利用者増大に起因する問題です。

毎年約50万人が受験するようになりましたが、この中には既に推薦・AO入試で
合格した学生が毎年10万人程度含まれています。

実際2010年度に成績開示を希望しなかった生徒が14万2000人もいました。

これは高校側が、推薦やAO入試で決まった生徒に、勉学の動機付けを課すために
言わば強制的に受けさせているからだと思います。

真剣にセンター試験向けの準備をしてきた生徒と受験することを余儀なくされている生徒が
同じ土俵で行われているのが実態なのです。

本来センター試験は6割の得点率を平均点になるように設計されて作られています。
フタコブラクダになるとは関係者も予想だにしていなかったのです。


3つ目は、昨今大学の入試形態がかなり複雑になってきたことです。

これは同レベルの大学間で小さなパイを取り合うため、複数回の受験日を設定することで
自校への受験機会が失われることを回避する作戦を大学側が取っているためです。

このため大学側の作問体制が取れず、外部に作問を依頼する大学がいくつか現れてきています。
このまま進めば、問題作りから採点までを外部機関に丸投げする大学が出てくるようにも思えます。


このような流れの中で大学の入試制度改革への動きが起こってきたわけです。

2010年4月大学入試センターの中に設置された入学者選抜研究機構は、
高大接続を念頭に置いた「高大接続テスト」を考えています。

これは大学教育の中で求められる学力と高校課程で履修する内容とを一致させようとする動きです。

この動きに合わせて、現状のセンター試験を改革しようとする動きが1つあります。
これは極めて重要な論点ではありますが、未だ議論の方向すら見えていないというのが実情でしょう。

もう1つの動きがセンター試験を難易度別に2段階に分けることです。

これは2010年10月25日付けの朝日新聞に掲載されたものですが、
この真偽の如何ははっきりしていません。

ただ先に述べたことを踏まえると、解決策に一つにはなるように思えますが、
大学入試センターの負担が増加するため現実的な方図とは考えにくい所があります。

何れにせよ大学入試制度改革には不確定な要素が多く、これからの進展を見通すのは難しいです。

大事なことは、センター試験などの官主導型の改革より、各大学がグローバル時代に応じた大学改革と、
それに見合う入試改革を進めていく態勢が出来つつあることです。

こうした動きを志望校に合わせて確実に掴んでいくことが、受験生本人だけでなく、
われわれ塾人や保護者の方々の取り組む視点であると思います。

教育工房あ~く 塾長 岡田 雅

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