だけど、そうなると当面のライバルCircle of Thornsを出し抜かない限り、奴らに悪魔のパワーをかっさらわれちまう。恐らくレガシーチェインの報告書にあったキングの支配から外れたクロックワークは、悪魔をコントロールする魔法の実験だったのだろう。と、なれば奴らもすでに悪魔をコントロールするすべを持っていることになる。
「そのとおり。お前もわかっているだろうが、イーオンのPTSの力は本当は火山の主人となったバットズルから得ているのじゃ。そのエネルギーがおちたということはサークルが何らかの方法を使って妨害したということなのだ。
ワシのポータルはすでに準備が完了している。お前たちを奴らの隠された地底都市に送り届けよう。そしてそこで奴らが何をたくらんでいるのか発見するんじゃ」

まあ、うまく乗せられた気もしないでもないが、ここまで来て引くわけにはいかないさ。
いってやろうじゃないか、奴らの本拠地、古代の地下都市オランベガに。
「我々の都市に侵入者だと?不可能だ!(An intruder in our city? Impossible!)」
私たちがタリコスのポータルでオランベガにあらわれたときの奴らのあわてようったら傑作だったね。奇襲だったということもあるのかも知れないけどアラクノスの医療センターの診察記録を作った我らがストライクフォースにしては、今度は首尾よくいった。
まあ、決して戦闘不能にならなかったというわけじゃないんだが、このストライクフォースにとっては全滅さえしなければうまくいったといえる状況だったのさ。
そしてまもなく私たちは奇妙な本を大事そうに抱えている魔法図書館司書ホズーリ(Librarian Hozthiri)を倒して、何か関係のありそうな本を奪い取ったんだ。そいつは奇妙な言語で書かれていて、何が書いてあるのかはわからなかったけど、挿絵から火山に巨大な悪魔がとらわれていることが見て取れた。恐らくこいつに何らかのヒントが隠されてるはずさ。
案の定タリコスによると、その本は失われた地下都市古代オランベガの言語で書かれていたらしい。奴らはバットズルとPTSのパワーを切り離し、力の独房をつかってこの囚人を火山から分離しようとしているというんだ。何のために?つまりはバットズルの意思をCircle of Thornsがコントロールするまでの間、彼を手元に封じ込めておくことで、悪魔との契約に必要な時間を稼ごうとしているってことらしい。
だが考え方を変えれば、これは私たちにもチャンスだ。バットズルを封じ込めている魔法障壁の中に侵入できれば、奴らの気先を制してこの悪魔の力を横からかっさらうことだって不可能じゃないんだから。
「そのとおりじゃ。魔法障壁に穴を開け、ワシのポータルを貫通させねばならん。だがその方法をCircle of Thoronsの魔術師がしゃべることはあるまい。だが心配は無用。ポータルコーポレーションの技術者たちがその方法を知っておる。そしてその方法さえ分かれば、その技術を魔法的にコピーするのはたやすいことなのじゃ。」
相変わらずとんでもないことをさらっとしゃべるジジイだが今はこの禿ジジイの魔法に頼るしかない。
「それともうひとつ。Circle of Thoronsはヒーローのインファナル(Infernal)の攻撃を受けたようじゃ。奴は自身の栄光のためにバットズルを消し去ろうともくろんでおる。努々警戒を怠る出ないぞ。」
こんどはよりによってヒーローか。嫌な予感が頭を掠めたが、それでもこのときは手に入るだろう悪魔の力に私も夢中だったんだ。
そして実際、ポータル社の襲撃は予想以上にうまくいった。なにせ今回の一連のミッションで戦闘不能者を出さなかったのは始めてだったんだからね。もちろん肝心の目的のほうも完璧さ。ポータル社のデータベースから魔術的バリアを迂回する為の技術について書かれた文書を入手したんだ。どうやらそれはリクティが研究したものを翻訳したものだったようだ。
「うむ、この情報ですべての準備ができた。早速ポータルを準備しよう。今こそ未来永劫バットズルの力をワシらが支配するときだ。もちろんそれは容易ではない。奴は容易ならざる存在で更に多くの部下を持っておる。それにCircle of Thornsは当然お前たちを止めようとするだろう。レガシーチェインとインファーナルもまたしかりじゃ。」
ポータルを準備しながらタリコスの奴がいった。ああ、私、胸がどきどきしてきた。だってついに世界を支配できる力が手に入るんだからね。だけど、うわの空の私に特に注意を喚起するように、タリコスが力をこめていったんだ。
「いいか、よく聞くんじゃ!たしかにバットズル強大だ。だかCircle of Thornによって既にその力は拘束を受けている。実際のところお前らが5つの祭壇を破壊しなければ奴は姿を現すことさえできんのじゃ。」
「そして、じゃ。奴と戦い、一度奴の物質フォームを破壊するのだ。そうしたら私はここから奴を支配するために必要なことをする。途中バットズルのデーモンスポーンどもが前たちを止めようとするだろうが、脅威は他にもある。既にインファーナルとレガシーチェインのメンバーが中に入り込んでおるのじゃ。だが心配は無用。あの中ではヒーローはその力を発揮することはできぬ。奴は獣を捕らえることも、お前たちを止めることもできんだろう。そうだ!栄光はお前たちだけのものなのじゃ!」

そして私たちは何の疑いもなくタリコスのポータルをくぐった。そこに世界を支配する力があると信じてね。そしてそこは、まごうことなき地獄の風景が展開されていたんだ。
これは比喩なんかじゃない。赤く煮えたぎった溶岩に無数の悪魔があふれかえるその光景は、本当に地獄、そのものだったのさ。
「きさまの恐怖もここでおわることになろう(This will be end of your avarice)」
そのとき不意に低く力強い声がこの地獄の洞窟に響き渡った。私も新聞で見たことがある。奴こそParagon Cityのヒーロー、インファナルだ。
ああ、もしここが地獄じゃなかったら、あんな名の知れた相手じゃいくつ命があっても足りなかっただろうよ。だけどこの地獄の中ではヒーローはその力を発揮できないらしい。愉快じゃないか、この世に(あの世かもしれないが)正義より悪の方が強い世界があるなんてさ。

そして奴の最後はまた傑作だった。あいつは無様にも足をとられて転落した挙句、溶岩の海に落ちて焼死(まあ例のテレポートシステムのおかげで本当は死んではいないだろうけどね)しちまったのさ。これがあの有名なヒーローかと思うとざまあないって感じじゃなないか。
だけど、私たちも人のことを笑っている場合じゃなかった。何せHorbinger of batzulとかいう悪魔の子分どもが次から次へと襲ってきたのさ。もはやその場は阿鼻叫喚の地獄絵図だった。当の昔にAwakenも使い切っちまった私たちは何度全滅して病院送りになったかわかりゃしない。これが本当のこの世の地獄って奴さ。
そしていよいよ地獄のパーティはそのクライマックスを迎えたんだ。ああ、遂に主賓の登場って奴だよ。そいつは凄まじく巨大で、身震いするような何ともいえない禍々しいオーラをまとって私たちの前に現れた。私はその時直感したんだ。数百年前のローグアイランズを地獄に変えた惨劇・・・火山の大爆発とされている・・・は実は奴、バットズルの仕業だったんだって。そりゃ覚悟はしてたさ、だけど私は急に怖くなったんだ。本当にこんな怪物を外に出していいのかって?本当に奴をコントロールできるのかって?だって数百年前に奴を呼び出したイーノスの子供達の連中だって奴をもてあましたあげく、こんなところに封印したんじゃなかったのかい?奴らができなかったことを、どうして私たちができるっていうのか?

だけどもう引くわけにはいかなかった。タリコスの言う奴の物理的ボディを破壊しない限り、死ぬのは私たちなんだから。
それは本当の地獄だった。だけどパーティのフィナーレは、奴のボディを破壊し、まるで雷鳴のような奴の最後の声が響いた瞬間、突然訪れたんだ、しかも予想もしない形でね。
「汝、知るがいい!ヴァージル・タリコスはタリコス・ザ・ヴィジラント(Vigilant 油断のならない奴)として知られているのだ。あいつの正体は善と公平の同盟のバランスの守護者だ。奴は余を火山から切り離し、再び山の中に封じ込め、永久に監獄に縛り付けようとしているのだ。お前は奴の犠牲者だ!いけ!そして邪悪と復讐を奴にみせつけよ!」
・・・、ま、まさか・・・いくらなんでもそんなこと。
タリコスが善の同盟の守護者だって?バットズルを封じ込めるために、私たちを利用したんだって!?嘘だ、そんなことは!
「ん、悪魔がおまえににそういったというのか?は、は、はっ、もはや偽る必要もなかろう。その通り、ヴァージル・タリコスはおまえ達への表向きの仮面だ。悪魔の言うとおり私の名はタリコス ザ ヴィジラントじゃ。ワシはおまえ達をまんまとペテンにかけたというわけだ。」
必至の思いであの地獄から生還した私たちに、あの禿野郎の高笑いが響いた。いったい私たちは何だったって言うんだ。
「き、貴様!いったい何のためにこんなことを!」
「あの悪魔をもう一度縛り付けられる必要があったのじゃよ。しかし、私は恐れたのだ、純粋なハートや英雄的な志を持つ者達が、あのビーストの罠にはまることをな。
だからその代わりにワシは卑怯で邪悪で、だがミスをしない者を送ることにした・・・そうだ、おまえ達のようにな。レガシーチェインはそれをとても冷酷だと考え、私を止めようとした。奴らはワシの考えを理解できなかったのじゃ。だがおまえ達は成し遂げた」
そうだ。あの地獄の中ではヒーロー達の力は十分に発揮することができない。だが逆に言えば邪悪な心を持つ者ならその力を発揮することができるってことさ。タリコスはヒーロー達の損失を押されるため、我々を集め、人身御供にしようとしたんだ。奴が何度も悪の心云々と念を押していたのは、そのためだったんだよ。

「こんなことをしてただですむと思うな!覚悟しろタリコス!」
怒りのあまり奴に襲いかかった私を、奴はひらりとかわすや不敵に笑った。
「もはやこれ以上おまえ達に危害はあたえんよ。これを教訓とするのだな。おまえ達がその小さな闇を選択したとき、おまえ達はその真実を見抜くことができなかったのだ。
だが考えてもみよ、ワシはおまえ達を騙したが、結果としておまえ達は島を、いやあるいは世界をも救ったのだぞ。おまえ達にとって結果は同じことだったのじゃよ」
そしてタリコスは笑いながら、私たちの前からその姿を消したんだ。一言捨て台詞をはいてね。
「・・・・・さらばだDiry Lala!これで君の仕事は終わりだ」
これで地獄についての私の話はおしまいさ。
なあ、あんた、これ以上のこの世の地獄をみたことってあるかい
To Someone who I have not seen yet
From Dirty Lala
(StrikeForce Complete!)
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