10月の東京行きのメイン目的のもうひとつが「いけふくろうの会」におじゃますることでした。
元々は目的に入ってなかったのですが、滞在中の日程をあれこれ考えてるときに、ちょうどいけふくろうの会の定期開催日である第二土曜が期間内であることに気付いたんです。
そこで参加できるかを会の世話人である伊藤書佳さんに問い合わせたところ、快く了承してくれたという流れです。

いけふくろうの会とは、池袋で月一で行われている不登校・ひきこもりの当事者、関係者、支援者、ちょっと興味・関心がある人たちが集まる飲み会です。
基本、毎月第二土曜日開催ですが、別な日に行うこともあるそうです。

そもそも、いけふくろうの会をどうやって知ったかといいますと、8月末に札幌のフリースクール漂流教室主催で行われた、ひきこもり名人・勝山実さんを招いてのイベント「Just 40 Life」に出席したときに、勝山さんと一緒にいらっしゃっていた伊藤書佳さんのことが気になって、イベント後ちょっとばかりネットで調べてみたんです。
その過程で伊藤さんが世話人をされている「いけふくろうの会」の存在を知ったというわけです。
で、それ以来ちょっとばかり気になっていたときに、良いタイミングで今回の機会が訪れたと。
ちなみに伊藤さんは『安心ひきこもりライフ』の編集を担当した人でもあります。

そんなこんなで、まぁとにかくいけふくろうの会に参加する運びとなりました。
参加者たちは、だいたい午後6時くらいにJR池袋駅東口にある待ち合わせスポット「いけふくろう像」の前に集まります。
いけふくろうの会の名前の由来は、ここから来てるんですね。
その後、店名は失念してしまいましたがいつもの開催場所である居酒屋に移動し、そこで飲み食いすることになります。

いけふくろう像の周辺、そして居酒屋までの道のりは繁華街で、ものすごい人だかり。
正直、自分も先導してくれる人を見失いそうになるくらい。
ひきこもりの当事者はこういうシチュエーションが苦手という先入観を自分は持っていましたが、必ずしもそういうわけではないということが改めて分かりました。
や、もちろん苦手な人もいるとは思います、ひきこもってるかどうかに関わらず。

参加人数は、毎回平均して20人前後。
これは自分が今まで接してきた当事者・関係者グループの月単位の集まりとしては、かなり多い方です。
今回もそれくらいの人数になっていたと思います。
そんな中、固定メンバーというのはそう多いわけではなく、毎回新しい参加者がいるとのこと。
このときは初めて来てから2〜3ヶ月目という方もいました。
会自体は開始してから、今回で約1年半。
それで平均してこれだけの人数が集まるのなら、そこそこ定着したと言えるのかも。
顔ぶれは当事者の方が多かったですが、フリースクールのスタッフや、ひきこもり当事者による起業のための勉強をされている方もいました。

いけふくろうの会の基本コンセプトは、伊藤さんによると「いきなり2次会」。
堅苦しい挨拶は抜きにして、初めから交流と親睦をメインにしたかったからなんだそうです。
一応、会の最初に参加者の自己紹介がありますが、それが終わったら後は各自好きなように飲み食いしてもらって構わない。
その自己紹介もしたくなければパスしていいし、さらには遅刻・早退・ばっくれもOK。
喋りまくっても、終始だまっていても全然構わないのがスタンスという、かなりステキな集まりです。

形式が飲み会なのは世話人の方々が単に飲んで喋るのが好きだからということでもあるそうです。
これは良いですよね。
最悪、他の参加者が誰も集まらなくても、世話人だけで飲み食いすればいい。
皮肉で言ってるわけじゃなくて、こういう形でも「いけふくろうの会」が成立するのなら、それでとりあえずの継続に繋がるわけです。
『場』さえ確保されていれば、また人が集まる可能性があるわけですから。

レギュラーメンバーに『安心ひきこもりライフ』の著者・勝山実さんがいるのも、この会の特徴のひとつです。
自分なんかからみれば勝山さんはかなりの有名人ですが、いけふくろうの会の中ではあくまで参加者の一人という位置付けだったのが印象的でした。
自分が「勝山さんって有名人ですもんね」的な話をしたら、他の参加者の方から「えっそうなんですか!?」といったリアクションがありましたから。
そんな勝山さんとは少しの時間、隣り合っての話ができました。
いきなり「私は『〜の会』という集まりは嫌いなんですよ」という、ぶっちゃけトークから始まったりもして。
その後も堅苦しい話はほとんどなく、終始なごやかに話ができました。
それと前回の江別・札幌でのイベントは勝山さんにとって好印象だったようで、北海道をかなり気に入ってもらえてるようでした。

何度か座る場所を変えて、他の参加者の皆さんともちょっとだけではありますがいろいろと話をしました。
パッと見、30代の方が多い印象がありましたが、40代やそれ以上の方もちらほら。
東京都内のみならず、近場の関東圏からも集まってるようでした。
女性は伊藤さんを含めて3人。
相手によって話題は変化し、その内容も多岐にわたります。
ここからも、ひきこもりというのは単なる状態像で、その状態の中にいる人は多様なんだというのがよく分かります。

伊藤さんを含めて世話人の方が数人いますが、世話人のやることは会の告知と店の予約、そして会計くらい。
会計も世話人が全額負担するわけではなく、参加者全員の割り勘です。
その内訳も、たくさん飲み食いした人が”なんとなく”多く支払うという緩いシステム。
明確な管理者がいて、カッチリと場を仕切るという雰囲気の集まりではないようです。
伊藤さんも「いけふくろうの会は支援じゃなくて、なにかあるとしたら互助」と言ってましたし。

この形がひきこもり支援の正解、新しいスタンダードってことでは、もちろん無いと思います。
こういうくだけた雰囲気とは真逆の場所があっても構わない。
要は「多様な行き場所」があって、それを当事者の人たちが自由に選べるのがいいと思うわけです。
で、多様な行き場所って実は潜在的にいろいろありそうな気もするんですよね。
そういうのを見つけていくと面白んじゃないかな、などと思うんです。
その辺を掘り下げていくと、たぶん「ひきこもり」というカテゴリーからも外れていって、ひいては全体的な閉塞感の打破にもつながるんじゃないか的な妄想を抱いたりもするわけですが、どんなもんでしょうかね。

いずれにしても今回のいけふくろうの会への参加は、上記のような自分の関心を良い感じで刺激する、なかなか面白いイベントでした。