中1の1次方程式の文章題に比べて、中2の連立方程式の応用は数段やさしくなります。
但し、「2けたの整数」の問題だけは、ほとんどの子がいやがる、正解率の低い問題です。
また、「2けたの整数」の問題には、中学校数学の範囲で出てくる文章題を解くために必要なエッセンスのほとんどが含まれています。
今日は「2けたの整数」の文章題を取りあげて、連立方程式の文章題の式の立て方、解き方を考察します。

例題1
2けたの正の整数がある。この整数の十の位の数の2倍から一の位の数をひいた差は4になる。また、この整数の十の位の数と一の位の数を入れかえてできる整数は、もとの整数より9大きくなる。もとの整数を求めなさい。

問題を解く前の確認

2けたの数の表し方は中1の文字式で習いました。例えば58という2けたの数は、10×5+8であり、5にあたるのが文字のx、8にあたるのが文字のyですから、2けたの数は10x+yと表します。
例題の冒頭、「2けたの正の整数がある」の文言を見て、10x+yが頭に浮かんでこないと、この問題を解くためのスタートラインにすら立てません。

2けたの整数を10x+yとする、が必要な予備知識です。

言葉の意味

文章題は、問題中の「言葉の意味」を正確に知らないと絶対に解けません。
数学の文章題の文言中には「無駄な言葉」、「見落としてもよい言葉」は一言もありません(これは数学の問題をつくるときの大切な約束事の一つです)。
数学で「問題を読む」とは、「一つ一つの言葉の意味をしっかりと押さえていく」ということです。それができない人は、ただ「問題を眺めている」だけで、「問題を読んでいる」とは言えません。

この問題を解けない、間違えてしまう人のほとんどは、問題文中の「十の位の数」を10xと安易に考えてしまう人です。
「十の位の数」とは、「十の位」の「数」、つまり「10の位に使われている数字」という意味です。
例えば58という数であれば、「十の位の数」は50ではなく5です。十の位が5だから、全体が50なのです。
「十の位の数」とは、「10の位に使われている数字」、つまり、この問題では10xではなくて、ただのxのことです。

文章題の式の立て方

数学の文章題を解くには何か特別な数学的思考が必要だと思っている人がいますが、誤解です。ただただ、日本語の文章を式に置き換えていけば、自然に式はできてしまいます。このことが理解できると、文章題は誰でもできるようになります。

例題の、「この整数の十の位の数の2倍から一の位の数をひいた差は4になる。」まず、この部分の文章を、素直に式に書きなおしていきます。

「十の位の数」はxだから、「十の位の数の2倍から一の位の数をひいた差」は2x−y
日本語の「〜は」は数学でも原則「=」です。
最後に、「〜は4になる」で=4
つまり、「この整数の十の位の数の2倍から一の位の数をひいた差は4になる。」をこの通りに式に書き写して、2x−y=4と、簡単に1つ目の式はできてしまいます。

2つ目の式も全く同じ要領です。

「この整数の十の位の数と一の位の数を入れかえてできる整数は、もとの整数より9大きくなる。」
注意するのは、「この整数」とは「2けたの数」、つまり、10x+yのこと、「もとの整数」も「2けたの数」、すなわち10x+yのことだということくらいです。
「この整数の十の位の数と一の位の数を入れかえてできる整数」とあり、10x+yのxとyを入れかえるわけだから、10y+x
「〜は」が式の=
「もとの整数より9大きくなる」だから10x+y+9
以上より、「この整数の十の位の数と一の位の数を入れかえてできる整数は、もとの整数より9大きくなる。」すなわち10y+x=10x+y+9となります。

文章題の式を簡単につくるコツは、「日本語の文章を素直に数学の式に置き換える」に尽きます。

以上述べたことをおさらいしておきましょう。

例題1

2けたの正の整数がある。
2けたの数が10x+yだと確認しておく。

この整数の十の位の数の2倍から一の位の数をひいた差は4になる。
文章を素直に式になおして2x−y=4

また、この整数の十の位の数と一の位の数を入れかえてできる整数は、もとの整数より9大きくなる。
文章を素直に式になおして10y+x=10x+y+9


立てた式を解く

式がたったので、あとは連立方程式
2x−y=4
10y+x=10x+y+9
を解けばよいだけです。

ここで1つ、覚えておくと、ミスが大幅に減り、計算も数段速くなる技があります。

数学では、「できるだけ小さい数で計算せよ」が鉄則です(だからこそ、分数は約分しなくてはいけないし、比は簡単にしないといけない)。

下の式10y+x=10x+y+9で、文字の項を左辺に移項すると−9x+9y=9となります。
連立方程式を加減法で解くとき、誰でも両辺を何倍かしてから解いていきます。等式ですから、両辺に同じ数をかけることができるからです。
同様に、当然、両辺を同じ数で割ることもできます。
この−9x+9y=9、両辺が9で割れることに着目して、−x+y=1と変形してから解いていきます。
「両辺が割れるときは同じ数で割ってできるだけ小さい整数にしておく」という技も覚えましょう。

こうして、連立方程式を解くと、x=5、y=6が求められます。


すぐに答えを書くな

解けたら大喜びですぐに答えを書かないように(10人中2人くらいは、答えの欄にx=5、y=6と書く人がいます)。
答えを書く前にもう一度、問題文を見てください。「数学の問題文に無駄な言葉は一言もない」、問題の最後に、「もとの整数を求めなさい。」と書いてあります。
x=5、y=6とは、10の位の数字が5、1の位の数字が6だということですから、問題が要求している「もとの整数」とは2けたの数の56、つまり答えは56です。

まとめ

(1)「2けたの整数」は10x+yと表す。
(2)「10の位の数」とは10xではない。10の位にある数字、つまり、ただのxである。
(3)問題の文をそのまま素直に数式になおしていく。
日本語の「〜は」を数学でも「=」とすると、楽に式ができることが多い。
(4)連立方程式の計算では、両辺を同じ数で割ることもできる。
(5)答えは2けたの数を書く。


類題

2けたの正の整数がある。この整数の十の位の数の3倍から一の位の数をひいた差は12になる。また、この整数の十の位の数と一の位の数を入れかえてできる整数は、もとの整数より18大きくなる。もとの整数を求めなさい。


3x−y=12
10y+x=10x+y+18

答え
79

発展問題

3けたの自然数がある。この自然数の十の位の数は4で、各位の数の和は17である。また、この自然数の百の位の数と一の位の数を入れかえてできる自然数は、もとの自然数より297小さい。もとの自然数を求めなさい。


x+4+y=17
100y+40+x=100x+40+y−297

答え
845