中1が理科で最初に習う単元『植物』は、教える方も習う方もどちらかというと気楽な単元です。すべて子どもたちに身近なものが題材で、難しい公式類も出てこないからです。

私のただ一つの不満は新しい教科書の配列です。
花、葉と光合成、根、茎の順に学び、最後に植物の分類を習います。
最後の「植物のなかま分け」で、双子葉類と単子葉類の区別が出てくるのですが、葉で葉脈、根で主根・側根とひげ根、茎で維管束の並び方を習った後でもう一度まとめることになります。毎年、子どもたちから「先に双子葉類・単子葉類の違いを教えてくれてたら、苦労しなくてすんだのに」という苦情が出ます。私もそう思います。
ばらばらのものを個別に覚えるより、複雑ではあっても関連するものをまとめて覚える」ほうが、ずっと覚えやすく、効率がよいことを、子どもたちは知っているのです。

今日は、「植物のなかま分け」をテーマに、ものごとを覚えるコツについて書いてみます。

植物の分類

まず、大きく植物の分類からです。
植物はソウ類コケ植物シダ植物種子植物に分類できます。
生活する場所によって、水中のソウ類と、陸上のコケ植物・シダ植物・種子植物に分かれます。
次に、根・茎・葉の区別がないソウ類・コケ植物と、根・茎・葉の区別のあるシダ植物・種子植物とになかま分けできます。
最後に、胞子で増えるソウ類・コケ植物・シダ植物と、種子で増える種子植物とにグループ分けされます。

覚え方ですが、「なぜかを常に考えながら覚える」と、苦労せずに覚えられますし、忘れません。

植物の場合(動物も)、「なぜか」にあたるものは、植物の発達の歴史、いわゆる「進化」の過程です。

地球には最初、海しかなかったことから、まずソウ類が生まれたことがわかります。陸地ができ、陸地のほうが圧倒的に呼吸しやすいので、陸地の植物であるコケ植物・シダ植物・種子植物が表れます。
すべてのものは、単純なものから複雑なものへ進化します。根・茎・葉といった器官の未分化なソウ類・コケ植物から根・茎・葉の分業化が進んだシダ植物・種子植物に進みます。
最後に、生物の究極の生存理由は、子孫を残し、種を絶やさないことです。発芽の不確実な胞子で増えるソウ類・コケ植物・シダ植物より、種子で増える種子植物のほうが発展形態だと推測できます。

種子植物の分類

次に種子植物の分類です。
種子植物は、裸子植物被子植物に分かれます。

胚珠しか持たない裸子植物より、胚珠子房に包まれた被子植物のほうが進化した形態です。植物にとって大事なのは、子孫を残すための種子になる胚珠ですが、胚珠がむきだしの裸子植物は受精が風まかせで不確実です(風媒花)。受精後果実になる子房が胚珠を包んでいる被子植物は、虫や鳥の助けをかりることで種子が発芽する可能性が高まります(虫媒花)。

テストでは、ある植物が裸子植物か被子植物かが問われます。
ある植物がどちらであるか、一つずつ覚えられるはずがありません。この場合、ものを覚えるときは「数の少ないほうを確実に覚える」という技を使うべきです。
私は、裸子植物として、マツ、スギ、イチョウ、ソテツ、ヒノキ以外が出題されているものを見たことがありません。被子植物は、数が多すぎて羅列できません。だから、この裸子植物の5つさえ覚えておけば、問題が解けるということになります。

さあ、裸子植物5つの覚え方です。
こんなとき、一つの方法として、頭文字を覚える方法があります。例えば、ス・イ・ソ・ヒ・マ(水素ひま)、スギ・イチョウ・ソテツ・ヒノキ・マツ、なんてのはありそうです。
が、私はこういった語呂合わせがどうも好きになれません。「水素ひま」なんてのを覚えるひまがあったら、何も遠回りしないでさっさとそのまま覚えた方がよいと思うのです。
というわけで、私は「お経のように唱えて覚える」派です。マツ、スギ、イチョウ、ソテツ、ヒノキをこのまま何回か口で唱えて覚えます。
実は、この、マツ、スギ、イチョウ、ソテツ、ヒノキの配列は、ある工夫がされています。マツゥのウの口でスギィ、イの口でイチョウォ、オの口でソテツ、最後におまけのヒノキと、お経として唱えやすい配列で並べてあります。
すぐに覚えられますから試してみてください。

被子植物の分類

最後に、被子植物はさらに双子葉類単子葉類に分かれます。
双子葉類は、子葉が2枚、根は主根・側根、茎は維管束(道管・師管)が輪に並んでおり、葉の葉脈は網状脈です。
これに対して単子葉類は、子葉は1枚、根はひげ根、茎の維管束(道管・師管)は不規則、葉脈は平行脈です。

実は、今日この稿を書こうと思ったきっかけは、私のブログを見に来た人の検索語として、「双子葉類 覚え方」とか、「単子葉類 覚え方」という言葉がよくあることに気づいたからです。意外でした。無理して覚えなくても自然に頭に入っているだろうと思っていました。私は大人で、あらかじめ知っているから覚えようとしなくてよいだけで、初めて習う人にとってはそうでもないということを、教える立場の人間はついつい忘れがちです。反省しました。

というわけで、双子葉類、単子葉類の覚え方です。

最初の決め手は漢字です。「漢字を見たら答えがわかる」。日本語は意味をもつ表意文字、漢字を使ってくれているから、活用しない手はありません。
単子葉類は「単」の子葉をもった類、「単」は「単一」の「単」、つまり子葉が1枚ということです。双子葉類の「双」は「双子(ふたご)」の「双」、子葉は2枚です。

2つ目の覚えるためのカギ、「なぜか」は、「進化」です。生物は、単純なものから複雑なものへと進化します。単子葉類が原始形態、双子葉類は進化形態です。
子葉が1枚と2枚、2枚のほうが複雑です。分化していないひげ根より、主根と側根と分かれているほうが複雑です。ばらばらの維管束より、規則正しく輪になっている維管束のほうが進化形です。網状脈と平行脈、どう見たって網状脈のほうが複雑でしょう。
だから、子葉が1枚、ひげ根、維管束が不規則、平行脈が単子葉類で、子葉が2枚、主根・側根、維管束が輪、網状脈が双子葉類ということになります。

最後に、では具体的な植物が単子葉類、双子葉類のどちらに分類されるのか。
例えば、エンドウ、ユリ、イネ、アサガオ、アブラナ、ススキ、ツユクサ、ツツジ、ヒマワリ、トウモロコシは単子葉類か双子葉類か。
一つ一つの植物がどちらなのか、すべての植物を覚えられるはずがありません。私も覚えてなんかいません。
でも、大丈夫です。「目に見えるもので答えがわかる」。発芽したばかりの子葉、地中の根、茎の断面、この3つを見るなんていう経験をほとんどの人はしていないでしょうが、葉だけはほとんどの人が見たことくらいあるはず。
葉を思い浮かべると、エンドウ、アサガオ、アブラナ、ツツジ、ヒマワリは網状脈であり、だから双子葉類、ユリ、イネ、ススキ、ツユクサ、トウモロコシは平行脈で単子葉類だとわかります。


ものの覚え方をまとめる

今日出てきた「ものを覚えるためのコツ」をまとめてみましょう。

(1)ばらばらのものを個別に覚えるより、複雑ではあっても関連するものをまとめて覚える
(2)なぜかを常に考えながら覚える
(3)数の少ないほうを確実に覚える
(4)お経のように唱えて覚える
(5)漢字を見たら答えがわかる
(6)目に見えるものを手がかりに答えをさぐる


***** 理科の全目次はこちら、ワンクリックで探している記事を開くことができます *****