いよいよ「光」の難所、凸レンズです。
凸レンズが難しい理由は
(1)虫めがね(ルーペ)は誰でも知っているが、虫めがねに使われている凸レンズの本当の働きをほとんどの人は知らない
(2)凸レンズでものが写ったり(ヒトの目、カメラ)、拡大して見えたり(虫めがね)する仕組みが非常にわかりにくい
(3)作図をして理由、法則を見つけ出すという学習の仕方を初めて経験する
(4)凸レンズでできる像、5種類を場合分けして正確に覚えなければならない
という点にあります。
あせらずにじっくり勉強しないといけない単元です。


焦点と焦点距離

まず、言葉の確認から。
虫めがねを使って、太陽の光を集め、紙を焦(こ)がしてみるといういたずら、私もした覚えがありますし、皆さんもしたことがあるでしょう。

焦点2はるか遠くにある太陽から出た光は平行に進んできています。その平行光線は、凸レンズを通ると屈折して左図のように1点に集まります。この点を焦点(紙をこの位置においたら焦げるからその名がついたのでしょう)といい、レンズの中心から焦点までの距離を焦点距離といいます。

約束事2つ

凸レンズでの、約束ごとの確認もしておきましょう。
凸レンズの屈折
レンズ(ガラス)を通過する光は、本当は左上の図のように2回、屈折しているはずです。
しかし、凸レンズの単元では光の通る道筋を書くとき、左下のように、レンズの中心線で1回だけ曲がるように書きます。
実際とは違いますが、そう書くという約束事ですから、素直に従ってください。


もう一つ、約束事があります。
いろいろな光が、ありとあらゆる方向からやってきてレンズを通り過ぎているはずですが、ほとんどの光は無視します。どこへ行くかわからない光を相手にしても疲れるだけです光の進路から、あるけど「ない」ものとして無視します。

進み方のわかっている光、3本だけ、大事に大事に何度も使います。
その3本の光とは、上の図の光軸(レンズの中心を通る横軸)に平行に進んできた光(必ず焦点を通る)と、焦点を通った光(光軸に平行に進む)と、レンズの中心を通る光(そのまま向きを変えないで進む)、の3つです。
これも、そういう「きまり」ですから、逆らわないで従順に従ってください。


実際の凸レンズでみんなが知っていること

虫めがねでものを拡大して見た経験は誰でもあるはずです(この拡大して見えたものを虚像といいます)。
そのとき、虫めがねを持った自分がものからだんだん離れていくと、どうなりましたか。
まず、あるところから見ていたものがぼやけていき、虫めがねに何も映らなくなります。
さらにものから遠ざかると、今度は見ていたものが逆さ、上下反対向きに小さく見えるようになります(レンズを持った手を伸ばして目から離すとそう見えるようになります)。この、上下がひっくり返って見えるものを、実像といいます。

この順に、なぜそうなるのかを考察していきましょう。


凸レンズでものが拡大される理由

まず、見慣れている経験から。
焦点より内側左のように、見たいものが焦点より内側(レンズに近いほう)にあるとします。ものの先端から出た(反射した)光のうち、光軸に平行な光は焦点を通り、レンズの中心を通り抜けた光はそのまま進みます。

レンズの反対側から見ている目は、光がレンズで屈折していることには気づきません(目は光は直進するものだと常に錯覚します)から、実際のものの左にある(ように見える)大きな矢印の先端から光がきていると騙されてしまいます。
これが、虫めがねでものが大きく拡大されて見える理由です。
このときの、もとのものよりは大きく見える像を、虚像といいます(そこにスクリーンをおいても映らない像だから虚像だという説明をされますが、目がだまされた、嘘の像だから虚像だと覚えてもよさそうです)。


途中でぼやけて何も見えなくなる理由

焦点上ものを焦点上においたとき、やはり平行光線は焦点を通り、レンズの中心を通る光はまっすぐ進みます。

もの(矢印)の先端から出た光はレンズを通り過ぎた後すべて平行に進み、集まらないということは、目には見えない、隠れてしまうということになります。


いよいよ実像です

私の机の中には虫めがねが1つ入っています。
虫めがねを取り出し、ホワイトボードの前にかざします。上手に位置を調節すると、天井の蛍光灯が、並んだままの姿で(逆さ向きですが)ホワイトボードに写ります。
ここで必ず子どもたちはオオオッという声を上げます。私もそうでしたが、ものを拡大して見る以外の使い道が凸レンズにあるなんて誰も知らないのです。
ホワイトボードに蛍光灯の「像」が映しだされていますから、いやでもその理由を考えなくてはならない。
で、やっと説明を聞いてくれるようになります。

焦点の2倍より外側やはり説明に使うのは、矢印の先から出た、進む道のわかっている優等生の光、3本です。平行光線は焦点を通る、レンズの中心を通った光はまっすぐ進む、焦点を通った光は光軸に平行に進む、そうすると3本の光はある1点で交わります。矢印の先から出た光はすべてこの1点に集まっているということです。

空気中は、光は通過するだけです。1点に光が集まっていても、人間の目には見えません。しかし、ここに何か壁をつくってやると(この壁を理科ではスクリーンといいます)、そこで乱反射し、人の目にその光が届きますから、矢印が反対向きになって(倒立といいます)映るのを見ることができます。
これが実像です。

このとき、3本の光のうち2本で出会う場所はわかりますから、普通は3本のうち2本を使って作図します。軸に平行な光と、レンズの中心を通る光の2本をつかうことが多いのですが、問題に指定してなければ焦点を通って平行に進む光を使っても構いません。

また、この図は、もの(矢印)が焦点距離の2倍よりもさらにレンズから遠いところにおかれた場合です。このとき、実像はもとのものより小さい像になります。

焦点の2倍上ちょうど焦点距離の2倍の場所にもの(矢印)をおくと、もとのものと同じ大きさの実像ができます。




焦点の2倍と焦点の間焦点距離の2倍よりはレンズよりで焦点よりは外側にもの(矢印)をおくと、もとのものよりは大きい実像ができます。


もとのものと実像の大きさとの関係は「相似」を使って説明できるのですが、今日は割愛します。

また、このように、凸レンズで実像ができることを応用した道具がカメラであり、カメラとほとんど同じ仕組みで網膜に映してものを見ているのがヒトのであることも知っておきましょう。


最後に、覚えておこう

やっと最後ま到達することができました。
しかしテスト問題を解くにはあと一つ、踏ん張ってしておかないといけないことがあります。5つの作図の結果を、きちんと覚えておかないと満点はとれません。

ものが焦点よりはレンズよりにあるとき 正立虚像ができる
ものが焦点上にあるとき 実像も虚像もできない
ものが焦点よりは外側、焦点距離の2倍よりはレンズよりにあるとき もとのものよりは大きい倒立実像ができる
ものが焦点距離の2倍の位置にあるとき もとのものと同じ大きさ倒立実像ができる
ものが焦点距離の2倍よりさらにレンズから遠い位置にあるとき もとのものより小さい倒立実像ができる

お疲れさまでした。



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