「1次関数とは何か」で理解した、
(1)最初にある数量があり、そこから決まった割合で増えたり減ったりしているものを1次関数という
(2)1次関数はy=ax+bという式で表される
(3)aは決まった割合で増えたり減ったりしている量(xが1増えたときのyの増える量)、bは最初に存在する数量(x=0のときのyの量)である
の続きです。


「変化の割合」の意味

1次関数y=ax+bのa、「決まった割合で増えたり減ったりしている量」、「xが1増えたときのyの増える量」を、数学では『変化の割合』と呼びます。

例えば、y=3x+2だと、y=ax+bでa=3のときですから、この関数は「3ずつ増えていく」、さらに厳密に言うと「xが1増えるとyは3増える」、つまり変化の割合は3であるということです。

では、y=3x+2でxが4増加するとyはいくら増加するかと聞かれたら、3ずつ増えるものの4倍だから3×4の12だということになります。

別の例でもう一度確認しておきます。y=−2x−3だと、2ずつ減る、つまり−2ずつ変わるから変化の割合は−2です。
もしxが5増加したときyはいくら増加するかと聞かれたら、−2の5倍、すなわち−2×5の−10増加する、が答えです。

ここまでのまとめ
1次関数y=ax+bで、aにあてはまる数を「変化の割合」という
「変化の割合」の意味は、xが1増えたらyはa増えるという意味である
だから、1次関数y=ax+bでxがn増えたら、yはa×n増える



「変化の割合」を求める公式

では、xが3増えたとき、yは12増えることがわかっている1次関数があるとします。このときの変化の割合はいくらになるでしょうか。

「変化の割合」とは、「いくらずつ増えるか」さらに詳しく言うと、「xが1増えたら」+「yはいくらずつ増えるか」ということです。xが3増えて、そのときyは12増えたわけですから、xの1増加分にあたるyの量は4のはずですね。

このときの式が肝心で、なぜ4という数が出てきたかといえば12÷3で4だったからです。
xが3増えたときyは12増えた、xの増加量のときyの増加量12であった、このとき変化の割合を求める式は12÷3、つまり変化の割合yの増えた量÷xの増えた量、すなわち変化の割合yの増加量÷xの増加量
以上より、変化の割合を求める公式ができました。
変化の割合=yの増加量÷xの増加量

1


です。

以上、ここまで、ほとんどわかりにくいことは出てこなかったと思います。ところが、実際の問題を解く段になると、非常に出来が悪くなります。教えるほうもなかなか上に書いたように詳しく説明する時間の余裕がない、問題を解く中学生もきちんと意味をわかったうえで問題に取りかかる心の余裕がない。
もう一度、上で説明したことを見直してみてください。見直せたら、次のような問題を考えてみましょう。


問題1
1次関数y=−6x+1の変化の割合はいくらか。

解答
1次関数y=ax+bで変化の割合はaのことですから、答えは−6です。


問題2
1次関数y=2x+7でxの増加量が6のとき、yの増加量はいくらか。

解答
yは2ずつ増える、xが1増えるごとにyは2ずつ増えるわけですから、xが6増えたらyは2の6倍、2×6=12、増えるはずです。答えは12。


問題3(変化の割合とは関係ない問題)
1次関数y=2x+7でxの値が6のとき、yの値はいくらか。

解答
皆さんが問題2と混同して間違える問題です。
「増加量」と「値」では全く問題の意味が違います。この問題では単純に「xの値が6」と言っているだけですから、y=2x+7のxのところにx=6を代入するだけです。答えはy=2×6+7でy=19となります。
「数学の問題文ではすべての言葉に意味がある」、「値」と「増加量」をしっかりと区別してください。


問題4
y=ax+1で、xの値が3増加するときyの値が15増加した。aの値を求めなさい。

解答
1次関数y=ax+bのa、変化の割合を尋ねる問題です。

変化の割合とは、xが1増えるごとにyがいくらずつ増えるかと言う意味である、xが3増えたらyが15増えたということは、xが1増えるときのyの増加量は5のはず、だから変化の割合は5、よってa=5ということになります。式は15÷3=5です。

あるいは、変化の割合=yの増加量÷xの増加量、

1


の公式を覚えていたら、

2

と求めることもできます。

最後にまとめの問題です。


問題5
1次関数y=2x−3で、xが1から4まで増加するとき
(1)xの増加量を求めよ
(2)そのときのyの増加量を求めよ
(3)変化の割合を求めよ

解答
(1)
xの「増加量」という言葉で困惑する人が出てきます。「増加量」でびびらないように。
要するに、「増加量」=「いくら増えたか」です。1から4までで「いくら増えたか」と言われたら、誰だって3とわかります。答えは3です。

複雑な数字が出てきても簡単に解けるように、公式化しておきましょう。
1から4になったわけだから答えは3ですが、どういう式だったのでしょうか。当然、4−1=3ですね。後で出てきた4から、先に書いてあった1を引いたわけです。
先に出てきたxだからそのxを
3


と表します。
後に出てきたx、2番目に出てきたxは
4


です。
ここで、
5

と、公式をしっかりと覚えておきます。

(2)
xのときと同じように考えなければいけません。

ところがyはどこにもまだ書いてありません。だからyがいくらからいくらになったのか、求める必要が出てきます。
手がかりは、式のy=2x−3と、「xが1から4まで増加する」という語句のみです。yがいくらになったかを知りたいわけですからy=2x−3に代入するしかありません。
代入するのは、「xが1から4まで増加する」と書いてあるので、x=1と、次にx=4です。

y=2x−3にx=1を代入して、y=2×1−3=−1、
y=2x−3にx=4を代入して、y=2×4−3=5
これで、yが−1から5になったことがわかりました。

「yの増加量」はいくらか、つまり、yは「いくら増えたか」、−1から5になったのだから6とわかりますが、やはり後々のために公式化しておきます。

先に出てきたyを
6


後の2番目に出てきたyを
7


ここで式は
8

5−(−1)、すなわち6
よって6です。

(3)
頭脳明晰な人は次のように考えます。
変化の割合」とは、y=ax+bのaのことである。式がy=2x−3だからaにあたる数は2、答えは2。

あっさりしすぎですね。こんなに簡単でいいのだろうかという疑いもわいてきます。しかし、もちろんこれで正解です。(1次関数では、この問いのように、ちゃんと言葉の意味をしっかりと理解しておけば難なく解けるということがよくあります。)

しかし、もう一つの解き方もできないといけません。
上で出てきた、
9

を使う解き方です。
10


この問題5が一番重要ですから、類似問題でわかったかどうか確認してください。


問題6
1次関数y=0.5x−4で、xが1から4まで増加するとき
(1)xの増加量を求めよ
(2)そのときのyの増加量を求めよ
(3)変化の割合を求めよ

解答
(1)4−1=3
(2)x=1のときy=−3.5、x=4のときy=−2、
−2−(−3.5)=1.5
(3)
9

より、
11

よって1/2または0.5

または、変化の割合はy=ax+bのaのこと。y=0.5x−4でaにあたる数は0.5、だから0.5。