文字式の計算で次のように解く人がいます。

2(x−1)−3(2x−4)
2x−2−6x+12
−4x+10

答え −4x+10

どこがよくないかわかりますか?

2行目以降の計算式の前に等号=をつけていないこと、そこが致命的な間違いです。

正しい解き方は、
2(x−1)−3(2x−4)
=2x−2−6x+12
(=2x−6x−2+12)
=−4x+10
です。
((カッコ)に入れた行は、慣れてきたら書かなくてもよい行です。)

よくない書き方と正しい書き方の違いは、2行目以下の式の前に等号(=)をつけているかどうか、たったそれだけですが、この両者の間には大きな違いが存在します。


中2、中3の人がよくする間違い

高校入試直前になると、計算問題を間違える人なんかほとんどいません。
ところが、多くの人が間違えてしまう計算問題があります。
「式の計算」の分数の問題です。
多くの人が分母をとってしまうという間違いをおかしてしまいます。

式の計算1

単純なミスのように思われがちですが、これはただのミスではありません。その人の数学のセンスの根幹にかかわる、重大な誤りです。

式の計算では、分母をはらっては(とっては)いけません。分母をつけたまま計算をします。

式の計算2
なぜ、分母をつけたまま計算しないといけないのか、説明できますか?


等号=を書かないといけない理由

「式の計算」は、2行目の前に等号=をつけて、等しいままで計算をしていくだけです。
各行の先頭に等号をつけることで、与えられた問題の式を「等しいままで」計算していくのだと意識することができます。
分数の式だと、分数のままで計算しないと、「等しい」とは言えません。
だから、式の計算では、分母をとってしまってはいけないのです。

分母をはらうという間違いをおかす人は、「式の計算」と「方程式」をごっちゃに混同しているのです。

方程式だと、普通、分母をとってしまってから計算します。

方程式

方程式では、等号=の位置は中央です。
つまり、方程式は、左辺と右辺を等号でつないだ等式です。

等式は、両辺に同じ数をかけても成り立ちます。
だから、分数だと計算が複雑になるので、両辺に分母の公倍数をかけて分数でなくしてから計算するのです。

「式の計算」は等式ではありません。
2行目の前に等号=をつけて、等しいままで計算をしていくだけです。
だから分母なんか、とれるはずがありません。


式の計算で等号=を必ず書くくせがついているかどうか、それだけだとたいした違いはないように見えます。

しかし、数式の意味を本質的に理解できているかどうかが、=を書くか書かないかで左右されるわけで、そこには大きな違いが存在するのです。



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