化学反応式を理解し覚えるには、丸暗記ではなくて、「なぜそうなるのか」を考えて導き出す方法を先に理解しておいたほうがよい。
この稿では前半で、「なぜ」を考えながら化学反応式を書けるようになる方法を説明し、後半で、覚えなければならない化学反応式をまとめてある。

また、化学反応式が「なぜそうなるのか」を考えるには、その前提としておもな物質の原子記号化学式をあらかじめ理解しておく必要がある(原子記号・化学式については『原子記号・化学式』に説明がある)。
特に、単体の気体の化学式は、水素はH2、酸素はO2のように、必ず2個結びついた形になっていると徹底して覚えておくことが必要である。


簡単な化学反応式

硫黄を加熱すると硫化鉄ができる。この化学反応を、化学反応式で書いてみよう。

まず、日本語で書いてみる(鉄と硫黄で硫化鉄ができることを知っていないと書けない)。
鉄+硫黄→硫化鉄

次に、このことを原子記号と化学式で書き換える(原子記号を覚えていないと書けない)。
Fe+S→FeS

これで終了。この式が、もっとも易しい化学反応式である。


炭素を燃焼させると二酸化炭素ができる。このときの化学反応式は少しだけ複雑になる。

まず日本語で書いてみる(物質を燃焼させるということは酸素と結びつくことだと知っていないと書けない)。
炭素+酸素→二酸化炭素

次に、原子記号と化学式を使って書き換える(酸素の化学式はO2、二酸化炭素の化学式はCO2であることを覚えていないと書けない)。
C+O2→CO2
これで完成。


標準的な化学反応式

次に、電気分解したときの化学反応式を書いてみよう。

まず、物質名で反応を書く(やはり、何ができるかを知っていないと書けない)。
水→水素+酸素

次に、このことを、化学式を使って書き換える(化学式を覚えていないと書けない)。
2O→H2+O2

ここで、矢印の左辺と右辺で原子の数が合わないことに気づかなければならない。水素の数は合っているが、酸素Oは左辺には1個、右辺には2個で、個数が合わない。
原子の数が合わないときは、多い方にそろえる。この場合、右辺のOが2個だから、それにそろえるために、左辺のH2Oを2倍して2H2Oとする。
2H2O→H2+O2
今度は、原子Hの個数が合わなくなった。酸素は合ったのでO2はいじらないで、Hの個数を合わせることを考える。個数の多い方にそろえる。左辺は2H2でHは4個、右辺のH2を4個にするには2H2とすればよい。
2H2O→2H2+O2
これで完成である。


が燃焼して酸化銅ができる反応を化学反応式で書いてみよう。

まず、物質名で化学反応を書く。
銅+酸素→酸化銅

これを化学式を使って書き換える。
Cu+O2→CuO

左辺と右辺で銅と酸素の原子の数を確認する。銅は1個ずつで合っているが、酸素は左辺が2個で右辺は1個。
個数の少ないほうを多い方と同じになるように変形する。右辺を2倍して、
Cu+O2→2CuO
このとき、2倍した2は化学式の前につく(2CuOとなる、銅の化学式CuOが成り立たなくなるからCuO2とはならない)。
これで、酸素の個数は2個ずつでつりあったが、今度は銅が左辺は1個、右辺は2個で、まだ不十分。多い方に合わせるために左辺のCuを2個にして2Cu。これで、
2Cu+O2→2CuO
これで終了。


マグネシウムを燃焼させて酸化マグネシウムができるときも同様の式になる。
2Mg+O2→2MgO

水素が燃焼してができるときは、左辺の水素分子がH2になるだけで、他は同じである。
2H2+O2→2H2


やや複雑な化学反応式

炭酸水素ナトリウムを加熱して分解するときの化学反応式を考えてみよう。

まず、化学反応を物質名で記述する(この場合も、分解で何ができるかをしっかりと覚えておかないと式を書けない)。
炭酸水素ナトリウム→二酸化炭素+水+炭酸ナトリウム

次に、化学式に置き換えていく。
「物質名は化学式をうしろから読んだものである」ことを思い出し、また、「炭酸」はCO3と表わされることを知っておかないといけない。それで、炭酸水素ナトリウムはNaHCO3
また、炭酸ナトリウムは、ナトリウム原子2個が炭酸CO3と結びついたものであることも覚えておく必要がある(「イオン」について学ばないと、ここは暗記するしか方法がない)。
NaHCO3→CO2+H2O+Na2CO3

最後に、左辺と右辺の原子の個数を合わせる。右辺の水素HとナトリウムNの個数が2個であるのに対し、左辺のH、Naは1個である。合わせるために左辺を2NaHCO3にする。
2NaHCO3→CO2+H2O+Na2CO3

これで左辺と右辺のすべての原子の個数が合致したので完成である。


酸化銅炭素を加熱し、酸化銅が炭素によって還元されてにもどる反応の化学反応式を考えてみよう。

まず、物質名。
酸化銅+炭素→銅+二酸化炭素

化学式で記述する。
CuO+C→Cu+CO2

他の原子の個数は左右同じなのに、酸素だけ左辺は1個、右辺は2個。だから、左辺のCuOを2倍して、
2CuO+C→Cu+CO2

今度は銅が左辺2個、右辺1個だから、右辺のCuを2倍して、
2CuO+C→2Cu+CO2


中学生が知っておかないといけない化学反応式

中学生が覚えておかないといけない化学反応式を、教科書に記載されているグループごとにまとめると以下のようになる。

分解

炭酸水素ナトリウムの分解 2NaHCO3→CO2+H2O+Na2CO3

酸化銀の分解 2Ag2O→4Ag+O2

水の電気分解 2H2O→2H2+O2

塩化銅の電気分解 CuCl2→Cu+Cl2

中和

塩酸+水酸化ナトリウム→水+塩化ナトリウム HCl+NaOH→H2O+NaCl

硫酸+水酸化バリウム→水+硫酸バリウム H2SO4+Ba(OH)2→2H2O+BaSO4

酸化

炭素の燃焼 C+O2→CO2

銅の燃焼 2Cu+O2→2CuO

マグネシウムの燃焼 2Mg+O2→2MgO

水素の燃焼 2H2+O2→2H2

鉄の燃焼 3Fe+2O2→Fe3O4

化合

鉄+硫黄→硫化鉄 Fe+S→FeS

銅+硫黄→硫化銅 Cu+S→CuS

還元

酸化銅の炭素を使った還元 2CuO+C→2Cu+CO2

酸化銅の水素を使った還元 CuO+H2→Cu+H2O

金属と酸の反応

鉄+塩酸→水素+塩化鉄 Fe+2HCl→H2+FeCl2

亜鉛+塩酸→水素+塩化亜鉛 Zn+2HCl→H2+ZnCl2

マグネシウム+塩酸→水素+塩化マグネシウム Mg+2HCl→H2+MgCl2

その他

塩化アンモニウム+水酸化カルシウム→アンモニア+水+塩化カルシウム
2NH4Cl+Ca(OH)2→2NH3+2H2O+CaCl2

石灰石(炭酸カルシウム)+塩酸→二酸化炭素+水+塩化カルシウム
CaCO3+2HCl→CO2+H2O+CaCl2

石灰水(水酸化カルシウム)+二酸化炭素→水+炭酸カルシウム
Ca(OH)2+CO2→H2O+CaCO3




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