1次関数の利用の問題のうち、図形のからんだ問題を楽に確実に解ける方法について、説明します。

重要なポイントは、(1)グラフに座標を書き込めば絶対解ける、(2)交点→連立、x軸→y=0、y軸→x=0、中点の公式を使いこなす、(3)どんな難問も必ず解ける、ある技がある、の3つです。

関数と面積

直線lは関数y=−x+9のグラフ、直線mは関数y=3x−3のグラフである。直線lとy軸、直線m、x軸との交点をそれぞれA、B、Cとし、直線mとy軸、x軸との交点をそれぞれD、Eとする。
関数と面積(1)△ADBの面積を求めなさい。
(2)△BECの面積を求めなさい。













問題を解く前に

与えられたグラフに、まず、「直線の式」を記入します。応用問題ほど、「手」と「目」を使って解いていきます。「頭」を使うようでは解けません。グラフや図に式が書いていないとき、問題をさっと読んだ段階で式を記入しておきます。

(グラフの問題に関わらず、問題文を何度も読み直すようでは応用問題は解けません。問題文に書いてあることはすべて図やグラフに書き写しておいて、図やグラフだけを見て解くようにしないと、応用問題は永遠に解けません。)

(1)の解き方

1次関数のグラフを使った応用問題は、「座標」さえ書き込んでおけば絶対に解けます。(1)では、点A、B、Dが出てきました。この3点の座標をグラフに書き込んでいきます。
点Aは、直線lと、y軸との交点です。「y軸との交点」と気がつけば、直線lの式にx=0を代入します。なぜなら、y軸上の点は、(0,1)、(0,2)・・・と、すべてx座標は0だからです。
y=−x+9に、x=0を代入してy=9
だから点Aの座標は(0,9)です。

点Dも同様に、直線mとy軸との交点ですから、mの式y=3x−3にx=0を代入します。そうすると、y=−3
よって、点Dの座標は(0,−3)とわかります。

重要:「y軸との交点」を求めるときは、x=0を式に代入する


最後に点Bの座標を求めます。
点Bが、直線lと直線mとの交点であることに気づかないといけません。そして、習ったように、直線の交点の座標は2つの式を連立方程式として解いたときの解となる。たびたび出てきますから、「交点」=「連立」と頭にたたき込んでおきます。

重要:交点と気づけば連立方程式をたてて解く

直線l:y=−x+9、直線m:y=3x−3、この連立方程式を解いて、点Bの座標を求めます。

交点の座標













左図より、点B(3,6)



この段階で、問題の図、グラフには、式と座標の書込みができていないといけません

関数と面積2あとは、自分の書き込んだ座標を見て、答えを求めるだけです。
△ADBの面積ですから、底辺はADの長さで書き込んだグラフより9+3=12、高さはBのx座標にあたるので3、よって、面積は12×3÷2=18








重要:座標をグラフに書き込むと、簡単に解ける

(2)の解き方

1次関数のグラフを使った応用問題は、「座標」さえ書き込んでおけば絶対に解けます。(2)では、点C、Eが出てきたので、この2点の座標を求めて、グラフに書き込んでいきます。

C、Eは、直線とx軸との交点です。x軸上の点はすべて、(1,0)、(2,0)・・・というふうに、y座標が0です。つまり、「x軸との交点」は、すべてy=0なので、式にy=0を代入すればよいことになります。

直線lの式にy=0を代入すると、0=−x+9
この方程式を解いて、x=9
よって、Cの座標は(9,0)

直線mの式にy=0を代入して、0=3x−3
この方程式を解いて、x=1
よって、Eの座標は(1,0)

重要:「x軸との交点」を求めるときは、y=0を式に代入する

関数と面積3△BECの底辺はECで8、高さは点Bのy座標で6
よって、面積は8×6÷2=24













面積を2等分する直線の問題

3点A(0,8)、B(−3,2)、C(5,6)を頂点とする△ABCがある。点Aを通り、△ABCの面積を2等分する直線lの式を求めなさい。

問題を解く前に

グラフに「座標」を書き込んで、グラフだけを見て解くようにします。

二等分解き方

直線の式を求める問題ですが、やはり、その前に座標を求めて書き込みます。「座標」さえ書き込んでおけば、どんな問題でも解けます。







ここでは、さらに「面積を2等分」という問題のやり方を知っておかないといけません。
「面積を2等分」の問題の場合、三角形の面積を求めてそれを半分にする問題もないことはありませんが、きわめて例外です。

二等分は中点図を見たらわかるように、面積を求めなくても、底辺の中点を通る直線で三角形の面積は2等分されます。面積を二等分する直線の問題は、実は、「中点」を求める問題なのです。

重要:面積を二等分する問題は、中点を求める問題である






ですから、この問題も、BとCの中点を考えてそれをMとし、点Mの座標を求めればよいのです。

では、中点の座標はどうやって求めればよいのでしょう?

中点とは、2つの点の真ん中です。真ん中とは、2つのものの平均のことです。例えば、1と5の真ん中は3です。式は(1+5)÷2。1と5の平均値です。
座標でも同様、2つの点の真ん中、平均をとれば、それが中点です。ただし、座標はx座標とy座標に分かれますから、それぞれの真ん中、平均だということになります。
中点のx座標は、2つの点のx座標の平均、(一方のx座標+他方のx座標)÷2、y座標も、(一方のy座標+他方のy座標)÷2で求められます。
x座標は、2点のx座標をたして2で割る、y座標は、2点のy座標をたして2で割る、と覚えておきましょう。

中点の公式






中点を求める公式より、点Mのx座標は、B、Cのx座標をたして2で割って(−3+5)÷2=1、
点Mのy座標は、B、Cのy座標をたして2で割って(2+6)÷2=4
ゆえに、M(1,4)となります。

二等分2点Mの座標(1,4)を書き込むと、直線lは、2点A(0,8)、M(1,4)を通っています。
2点さえわかれば、直線の式は求められます。

この2点の座標を1次関数y=ax+bの式に代入して、
8=b
4=a+b
この連立方程式を解いて、a=−4、b=8

だから、直線lの式はy=−4x+8


発展問題は、たった1つの技ですべて解ける

1次関数の入試問題、発展問題は何種類もあるように見えますが、実はたった1種類しかありません。「ある点の座標の一方がわかれば、その点を通る直線の式から他方の座標を見つける」、これで、すべて解けます。
そのことを見ていきましょう。

直線lは関数y=2x+1のグラフ、直線mは関数y=−x−2のグラフである。点P(t,0)を通りy軸に平行な直線と直線l、mの交点をそれぞれQ、Rとする。QR=15のとき、tの値を求めなさい。ただし、t≧0とする。
発展問題1
解くための最優先事項はこれまでと同じです。
問題に関係のあるすべての座標をグラフ中に書き込む」です。













この問題では、点Qと点Rの座標も書き込まないと解けません。それに気づけば解けたも同様です。

点Qから考えます。

x座標は点Pと同じになるはずですからtです。

問題はy座標です。どこにもヒントがないように見えます。しかし、ヒントのない数学の問題はありません。
この場合のヒントは、点Qを直線lが通っていることです。
直線lの式はy=2x+1ですが、その意味は、「直線l上の点はすべて、y=2x+1の関係が成り立つ」、つまり、「直線l上の点は、y座標=2×x座標+1になっている」ということです。
ですから、点Qのy座標はy=2x+1のxにtを代入して、2×t+1

これで、点Q(t,2t+1)と書き込めます。

点Rも同様です。

まず、x座標はt。

y座標は、通っている直線の式、y=−x−2より、x=tを代入してy=−t−2。
よって、点R(t,−t−2)

発展問題2あとは、座標を見て、問題に合った方程式をしっかりとつくるだけです。

QPの長さは、Qのy座標だから2t+1。

特に要注意なのは、PRの長さです。

Rのy座標が−t−2だからといって、PRの長さを−t−2とすると誤りです。
なぜなら、点Rのy座標は「負の数」だからです。
もし、点Rの座標が(1,−3)だったとしたら、PRの長さは−3ではありません。長さは常に「正の数」であり、−3の長さはただの3です。
ですから、点Rのy座標が−t−2であれば、長さは正負を入れかえた−(−t−2)にしないといけません。

以上より、QP=2t+1、PR=−(−t−2)=t+2
よってQR=QP+PR=2t+1+t+2

方程式はQR=15より
2t+1+t+2=15
3t=12
t=4

重要:座標が(t,?)のとき、その点を通る式を見つけてx=tを代入すれば、y座標(?の部分)がわかる(これが、すべての発展問題を解くための武器です)

重要:座標が負の数であれば、その長さ−(負の数)にしないといけない



もう1問、やや難しくなりますが同じやり方で解ける問題で復習してみましょう。

直線lは関数y=2xのグラフであり、直線mは関数y=−x+15のグラフである。2つの直線の交点をA、OA上の点をP、点Pを通りx軸に平行な直線とmとの交点をQ、点Pを通りy軸に平行な直線とx軸との交点をR、点Qを通りy軸と平行な直線とx軸との交点をSとする。長方形PQRSが正方形になるとき、点Pの座標を求めなさい。

解き方

座標さえ入れていけば、絶対に解けるはずです。

発展問題3問題の最後に、「点Pの座標を求めなさい」とあるので、点Pのx座標をtと決めてしまいます。直線l、y=2xが点Pを通っているので、x=tを代入してy=2t
このように、点Pの座標を、(t,2t)と入れてしまいます。

ここで、PRの長さは2tと表せます。

正方形なので、PQも2t。そうすると。点Qの座標は、x座標がt+2tの3t、y座標はPRの長さと同じで2tです。

点Qは、(3t,2t)と表せる。

ところが、その点Qを直線mが通っています。ということは、y=−x+15が成り立ちますから、この式に、点Qの座標のx=3t、y=2tを代入して、
2t=−3t+15

この方程式を解いて、t=3

よって、点Pの座標は、(t,2t)にt=3を入れて、(3,6)


しつこくまとめ

(1)グラフに式と座標、特に座標書き込めば絶対解ける

(2)交点は連立、x軸はy=0、y軸はx=0、中点の公式を使いこなす

(3)どんな難問も必ず解ける、ある技がある


その技とは・・・

関数の応用はこれだけ