古代ギリシャの哲学者、エンペドクレスは、万物は4つの元素(火・土・空気・水)からできていると考えました。
また、中国の陰陽五行説は、森羅万象の本質は五つの状態(木・火・土・金・水)に還元されると説きました。
古代人にとっても、複雑な現実を、わかりやすい数字を使って説明しようとする試みは魅力的であったようです。

私たちが子どもたちに勉強を教えるときも、子どもたちが覚える気になるように、「この単元の重要事項はたった2つだ。」なんて教え方をよくします。案外、数字というものは、物事を考えたり覚えたりする際に便利な代物であったりします。


物事を覚えやすい数字は「3」かもしれない

社会科が苦手な子でも、ほとんどの子が答えられる質問に、「日本国憲法の基本原則は何?」と、「国民の義務は何?」があります。
前者の答えは「国民主権・基本的人権の尊重・平和主義」であり、後者の答えは「納税の義務・子どもに教育を受けさせる義務・勤労の義務」です。
憲法の3原則とか、国民の3大義務と言われるもので、なぜか子どもたちはすっと覚えてくれます。

今日の最後の授業は中1理科、力の単元だったのですが、たった40分の授業の中でも、力がはたらくとはどういうことか?(答えは、「変形する」、「支える」、「動きが変わる」)、力の3要素とは何か?(答えは、「作用点」、「力の大きさ」、「力の向き」)と、3のからんだ事柄が出てきました。
子どもたちは、簡単にすぐに覚えてくれます。

授業中、「案外、世の中のいろいろなものって、3つでできているのかもしれないね。」と私が言ったら、前の席の子がテキストをぱらぱらめくって、「先生、光の性質も3つやで。」と。確かに「直進・反射・屈折」の3つです。するとすぐさま他の子が、「方程式の解き方も3つや。代入する、等式の性質を使う、移項する。」「ほんまや、ほんまや。」

3つと区切ってあげると、覚えやすいのは確かです。


無意識に3が好きなのかも

そういえば、国民の3大義務も、あれは実はこじつけに過ぎません。

旧憲法、大日本帝国憲法では確かに3大義務だったのです。「納税」「義務教育」そして「兵役」の義務です。
それに3「大」義務でもあった。国の基礎を固めるのに、税を確実に納めさせることは喫緊の課題であったし、1873年の地租改正に際しては各地で反対の一揆が頻発しました。
また、ほとんどが農民であった明治の最初は、農村の労働力である若者が兵役にとられたり、農作業の手伝いを期待されていた子どもたちを学校にやらなければならなかったりすることは、「大変な」義務だったわけです。義務教育を定めた学制が発布されたときも、やはり各地で一揆が起こっています。

平和主義の日本国憲法ができたとき、当然「兵役の義務」はなくなりました。
だから、国民の2大義務で本当はよかったのです。ところが、伝統というか、おさまりが悪いということで、「兵役の義務」のかわりとして「勤労の義務」をでっち上げたらしい。
それが証拠に、義務といいながら、勤労の義務に違反しても何の罰則もない。他の2つの義務に違反したりしたら(例えば税金を納めなかったりしたら)それこそ大変です。脱税は、悪質な犯罪として厳罰に処せられます。

あるいは嘘か本当か知りませんが、心理学の実験で、「1から4までの数字のうち、1つだけ心に思いうかべてください。」と発問して、「今、あなたが思っている数字は3でしょう!」とあててびっくりさせる実験があるらしい。人間は両端の1と4をまず排除し、残った2と3のうちではほとんどの人が3を選択すると、ものの本に書いてありました。

日本の過去の野球選手の中で、人気者として他の人の追随を許さないのは長嶋茂雄氏ですが(現役時代の人気者ぶりは今のイチローなんかの比ではない、長嶋が現役を引退したときはおそらく日本中の男子のほぼ全員が涙を流しました)、その人気の秘密の何%かは、打順3番・守備位置サード・背番号3のおかげであったかもしれません。

ことわざ、「鼎(かなえ)の軽重を問う」の鼎(かなえ)も3脚だし、どうも我々は、無意識のうちに3という数字が好きなようです。


1や2や4はダメみたい

「ここで大事なことはたった1つ、だから絶対覚えてや!」と言っても、子どもたちはまず覚えませんね。1では、少なすぎて、脳のひだにひっかかりができなくて、だから数は少ないのに覚えにくいのでしょう。

2もダメです。連立方程式の解き方は2つ、加減法と代入法、たった2つなのに、数学が苦手な子はすぐに代入法を忘れてしまう。
1でもダメなくせに、2だと面倒くさがって、すぐに何でも1つでやってしまおうとする。

4は、もはや複雑すぎるのでしょう。社会保障制度の柱は4つ、「社会保険」・「社会福祉」・「公的扶助」・「公衆衛生」なんてのは、なかなか覚えてくれないし、教える私自身が「社会福祉と社会保障、どっちがどっちやったかいな?」てなことになる。


勉強は3でいこう

実は、勉強をつかさどる数は3であるというのを書こうと、この何日か、朝・昼・晩、3度の食事のあとに、考えておりました。

そろそろまとめないといけない小論文の書き方も、3というキーワードで上手く書けるのではないかと思っています。



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