大学入試の小論文(基礎入門編)、大学入試の小論文(時間配分)の続きです。
何をするときでも、『型』を決めておけば非常に楽です。
よく例にあげられるのが打席でのイチローの所作(しょさ)。右手でバットを上げて投手と正対して左手でユニフォームの右肩をたぐっての、あれです。『型』が決まっているから、逆にどんな状況、いかなる投球にも対応できる。
小論文で私の提案したいのが、「3」で型を決めてしまう方法です(「3」の覚えやすさについてはこちらに書きました)。
小論文は3種類
1、「〜について述べよ」の『作文タイプ』
2、問題の長文や英文を要約した後で持論を書く『課題文タイプ』
3、グラフや資料を検討した後で自論を述べる『図表タイプ』
評価対象は3つの能力
小論文で判定される学力は、読解力、考察力、表現力の3つです。
受験生は、小論文といえば表現力を判定されるものと思いがちですが、その先入観を払拭してください。
一番得点を左右するのは読解力です。
問題作成者の要求を無視した答案は、どれだけすぐれた内容であっても零点です。問いの文章をいかに正確に読み取るか、国語以上に「文章読解力」が要求されます。
小論文も学力試験です。考察力が重視されるのは当然です。
小論文の場合、考察力を発揮できるかどうかは準備で決まります。普段の準備と、試験時間内の小論文を書き始めるまでの準備が考察力となって表われます。
表現力の重要性は3分の1でしかありません。
しかし、表現力は、スポーツでいえば試合や演技のようなものです。形として外に表われるのは表現力だけなので、やはり磨きをかけておかなければなりません。
試合ですから、いかなる状況の、どんな相手の変化にも対応できないと負けてしまいます。現場での応用力が試されるわけですが、応用力は堅めあげた『型』がないと発揮できないのです。
この稿は、その、表現する際の「型」について述べようとするものです。
時間配分は3分割
1、問題読解
2、書く内容を頭から掘り起こしメモに書き出す
3、文章化する
時間配分については、こちら。
小論文の構成単位は3つ
1、序論
2、本論
3、結論
量的には、序論は全体の10〜15%、本論は70〜80%、結論は10〜15%が目安です。
序論で問題を提起し、本論で自論を述べ、結論で発展・普遍化します。
序論・本論・結論をさらに3分割する
序論の内容は3つ
まず、問題文の内容を概観します。
次に、問題文の主張にふれます。
3つ目に、自分自身に対して問題を提起します。
本論は3部構成で
例1:過去・現代・未来展望型
1、自分の過去の経験を書く
2、自分の現在の状況を述べる
3、過去の反省、現状認識を踏まえ、将来の展望を論として主張する
例2:現状・原因・対策型
1、ある現象の現状を述べる
2、その現象の原因を考察する
3、原因を除去し現状を改善するための対策を提案する
例3:攻撃・反撃・喧嘩仲裁型
1、強い主張のA案について述べる
2、A案を批判するB案について書く
3、A案、B案の長短についてふれた後、その上をいくC案を提示する
(AもBもどちらももっともだ、では喧嘩は終わりません。どっちもまちがっている、では収拾がつかなくなります。Aの言い分もわかる、Bの言うことももっともだ、だったらAとBをふまえたCでどうだ、これならどちらも納得するだろう、が喧嘩仲裁の理想型です。)
例3のバリエーション:プラス・マイナス・判定の後上乗せ型
1、ある事象のプラス面を述べる
2、その事象のマイナス面について書く
3、プラス面とマイナス面を比較考量し、自分の評価を下してさらに自論を展開する
(単なる折衷、いいとこどりは「論」とは言えません。自分の主張、上乗せがいります。)
本論の3部構成をさらに3つの構成単位で
例えば、上の分類の例2:現状・原因・対策型の本論を書くとき、さらにそれぞれを3つに細分することにこだわると随分気が楽になります。
一例として、小論文の題名が『少子化』であったとしましょう。
まず、現状の分析として、3つの事例をあげられないか、考えます。
1、出生率を取りあげて数字で説明する
2、消費支出の減少など経済に影響を与えていることを述べる
3、高齢社会を迎えるにあたって福祉面への危惧を記述する
現状の分析例が1つや2つでは心許ない。逆に、4つも5つも思いつくのは大変だし、後で論をまとめる際に苦労します。
3つくらいなら、なんとか脳裏に浮かびあがってくるような気がしてきませんか。
次に、少子化の原因として3つ、考えます。
1、結婚年齢の上昇
2、女性の社会進出
3、経済の低迷
3つくらいは、やはりすぐに頭に浮かんできます。
最後に対策を3つ、提案します。
1、男性にも積極的に育児休暇
2、保育施設の拡充
3、扶養手当などの国の施策
これも、3つだとなんとかなりそうです。
注意すべきは論証力です。
小論文における表現力とは、筋道のたった論理を貫く能力です。論証過程に説得力がないと小論文としては失格です。書こうとする内容を羅列する際に、相互に関連性がないといけません。
対策を述べるときに、現状分析で述べたことや、原因として考察した内容と、対策として提案する事項の間に論理のつながりがないと説得力は生まれません。
論理の連続性の維持を意識した上で、3つを目標に、書くべき内容を思いつけばよいのです。
「3つは必要」、「3つもあれば充分」、そう思ったらすんなりと『型』が決まり、安心感が湧いてきませんか。
結論も3部構成で
1、本論の内容を敷衍し簡単にまとめます
2、本論の結論を再主張します
3、最後に普遍化、一般化をめざします
上の「少子化」の例だと、
1、少子化はかくかくかような問題点を含んでいる
2、その対策としてこのようなものが有効である
3、しかし、「その背後には、女性だけに育児の全責任を背負わせてきた日本社会の問題点がひそんでいる。真の男女同権意識の実現こそが、実は少子化対策の根本的な解決に直結するのである。」と、社会一般、意識全般の問題として普遍化、一般化する
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何をするときでも、『型』を決めておけば非常に楽です。
よく例にあげられるのが打席でのイチローの所作(しょさ)。右手でバットを上げて投手と正対して左手でユニフォームの右肩をたぐっての、あれです。『型』が決まっているから、逆にどんな状況、いかなる投球にも対応できる。
小論文で私の提案したいのが、「3」で型を決めてしまう方法です(「3」の覚えやすさについてはこちらに書きました)。
小論文は3種類
1、「〜について述べよ」の『作文タイプ』
2、問題の長文や英文を要約した後で持論を書く『課題文タイプ』
3、グラフや資料を検討した後で自論を述べる『図表タイプ』
評価対象は3つの能力
小論文で判定される学力は、読解力、考察力、表現力の3つです。
受験生は、小論文といえば表現力を判定されるものと思いがちですが、その先入観を払拭してください。
一番得点を左右するのは読解力です。
問題作成者の要求を無視した答案は、どれだけすぐれた内容であっても零点です。問いの文章をいかに正確に読み取るか、国語以上に「文章読解力」が要求されます。
小論文も学力試験です。考察力が重視されるのは当然です。
小論文の場合、考察力を発揮できるかどうかは準備で決まります。普段の準備と、試験時間内の小論文を書き始めるまでの準備が考察力となって表われます。
表現力の重要性は3分の1でしかありません。
しかし、表現力は、スポーツでいえば試合や演技のようなものです。形として外に表われるのは表現力だけなので、やはり磨きをかけておかなければなりません。
試合ですから、いかなる状況の、どんな相手の変化にも対応できないと負けてしまいます。現場での応用力が試されるわけですが、応用力は堅めあげた『型』がないと発揮できないのです。
この稿は、その、表現する際の「型」について述べようとするものです。
時間配分は3分割
1、問題読解
2、書く内容を頭から掘り起こしメモに書き出す
3、文章化する
時間配分については、こちら。
小論文の構成単位は3つ
1、序論
2、本論
3、結論
量的には、序論は全体の10〜15%、本論は70〜80%、結論は10〜15%が目安です。
序論で問題を提起し、本論で自論を述べ、結論で発展・普遍化します。
序論・本論・結論をさらに3分割する
序論の内容は3つ
まず、問題文の内容を概観します。
次に、問題文の主張にふれます。
3つ目に、自分自身に対して問題を提起します。
本論は3部構成で
例1:過去・現代・未来展望型
1、自分の過去の経験を書く
2、自分の現在の状況を述べる
3、過去の反省、現状認識を踏まえ、将来の展望を論として主張する
例2:現状・原因・対策型
1、ある現象の現状を述べる
2、その現象の原因を考察する
3、原因を除去し現状を改善するための対策を提案する
例3:攻撃・反撃・喧嘩仲裁型
1、強い主張のA案について述べる
2、A案を批判するB案について書く
3、A案、B案の長短についてふれた後、その上をいくC案を提示する
(AもBもどちらももっともだ、では喧嘩は終わりません。どっちもまちがっている、では収拾がつかなくなります。Aの言い分もわかる、Bの言うことももっともだ、だったらAとBをふまえたCでどうだ、これならどちらも納得するだろう、が喧嘩仲裁の理想型です。)
例3のバリエーション:プラス・マイナス・判定の後上乗せ型
1、ある事象のプラス面を述べる
2、その事象のマイナス面について書く
3、プラス面とマイナス面を比較考量し、自分の評価を下してさらに自論を展開する
(単なる折衷、いいとこどりは「論」とは言えません。自分の主張、上乗せがいります。)
本論の3部構成をさらに3つの構成単位で
例えば、上の分類の例2:現状・原因・対策型の本論を書くとき、さらにそれぞれを3つに細分することにこだわると随分気が楽になります。
一例として、小論文の題名が『少子化』であったとしましょう。
まず、現状の分析として、3つの事例をあげられないか、考えます。
1、出生率を取りあげて数字で説明する
2、消費支出の減少など経済に影響を与えていることを述べる
3、高齢社会を迎えるにあたって福祉面への危惧を記述する
現状の分析例が1つや2つでは心許ない。逆に、4つも5つも思いつくのは大変だし、後で論をまとめる際に苦労します。
3つくらいなら、なんとか脳裏に浮かびあがってくるような気がしてきませんか。
次に、少子化の原因として3つ、考えます。
1、結婚年齢の上昇
2、女性の社会進出
3、経済の低迷
3つくらいは、やはりすぐに頭に浮かんできます。
最後に対策を3つ、提案します。
1、男性にも積極的に育児休暇
2、保育施設の拡充
3、扶養手当などの国の施策
これも、3つだとなんとかなりそうです。
注意すべきは論証力です。
小論文における表現力とは、筋道のたった論理を貫く能力です。論証過程に説得力がないと小論文としては失格です。書こうとする内容を羅列する際に、相互に関連性がないといけません。
対策を述べるときに、現状分析で述べたことや、原因として考察した内容と、対策として提案する事項の間に論理のつながりがないと説得力は生まれません。
論理の連続性の維持を意識した上で、3つを目標に、書くべき内容を思いつけばよいのです。
「3つは必要」、「3つもあれば充分」、そう思ったらすんなりと『型』が決まり、安心感が湧いてきませんか。
結論も3部構成で
1、本論の内容を敷衍し簡単にまとめます
2、本論の結論を再主張します
3、最後に普遍化、一般化をめざします
上の「少子化」の例だと、
1、少子化はかくかくかような問題点を含んでいる
2、その対策としてこのようなものが有効である
3、しかし、「その背後には、女性だけに育児の全責任を背負わせてきた日本社会の問題点がひそんでいる。真の男女同権意識の実現こそが、実は少子化対策の根本的な解決に直結するのである。」と、社会一般、意識全般の問題として普遍化、一般化する
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