中学生の古文(2)の続き、『気楽に古文を読もう』シリーズの第2弾です。
公立高校入試で出題された文章ですが、入試問題と身構えないで気楽に読みましょう。
今日取り上げる問題文は『醒酔笑(せいすいしょう)』からとられた文章です。『醒酔笑』は、江戸時代初期にまとめられた笑話集で、もともと中国の笑い話であったものを日本風にアレンジしたものも多く、また明治以降につくられた古典落語の中には『醒酔笑』の話をもとにしたものがいくつかあります。その意味で、中学生にも読みやすい古文だと言えます。
前回述べたように、(1)音読を心がける、(2)「何がおもしろいのか」を理解する、の2点に留意して、まず読んでみましょう。
( )内の平仮名は問題につけてあった読み仮名です。
また、下線を引いた語は、問題文に最初からついている注釈をあとにのせておいたので、注を参考にしながら読み進んでください。
小僧あり。
小夜(さよ)ふけて長棹(ながさお)をもち、庭をあなたこなたと振りまはる。
坊主(ばうず)これを見つけ、「それは何事をするぞ」と問ふ。
「空の星がほしさに、うち落とさんとすれども落ちぬ」と。
「さてさて鈍なるやつや。それほど作がなうてなるものか。そこからは棹がとどくまい。屋根へあがれ」といはれた。
お弟子(でし)はとも候(さふら)へ、師匠の指南ありがたし。
星一つ見つけたる夜の「****」は月にもまさる五月雨(さみだれ)の空
(注)
とも候(さふら)へ:ともかくとして)
指南:教え
五月雨(さみだれ):梅雨
『醒睡笑』(鈴木棠三校注)岩波書店による
どこが会話部分かを正確に把握しておこう
古文に会話部分を示す「 」はついていません(この問題でも、「 」は出題者がつけたものです)。
それで、入試問題だと、どこが会話部分かを聞く問題がよく出ます。「 」をとった文を再録しますので、自分でかぎかっこをつけてみましょう。
目印は、『〜と』とあるとき、「と」の前の部分が会話部分です。
小僧あり。
小夜(さよ)ふけて長棹(ながさお)をもち、庭をあなたこなたと振りまはる。
坊主(ばうず)これを見つけ、それは何事をするぞと問ふ。
空の星がほしさに、うち落とさんとすれども落ちぬと。
さてさて鈍なるやつや。それほど作がなうてなるものか。そこからは棹がとどくまい。屋根へあがれといはれた。
お弟子(でし)はとも候(さふら)へ、師匠の指南ありがたし。
星一つ見つけたる夜の「****」は月にもまさる五月雨(さみだれ)の空
簡単な現代語訳(少なくとも3回音読したあと、見てください。)
小僧さんがいました。夜がふけてから長い棹をもって、庭をあちらこちらと(棹を)降りまわしております。(師匠の)坊主がこれを見つけて、「それは何をしているのか」と尋ねました。「空の星がほしいので、(棹で)打ち落とそうとするのですが落ちないのです」と(小僧は答えました)。「ほんとうに頭の悪いやつだ。そんなに工夫がなかったらだめではないか。そこ(庭)からだと棹が届かないだろう。屋根へあがってみろ」と(坊主は)おっしゃった。弟子の小僧はともかくとして、師匠の坊主の教えはありえない(とんでもない)。
星をたった一つでも見つけた夜の「****」は月を見つけた「****」にまさるなあ、梅雨の空だと
最後に、出された問題も解いておきましょう。
次の文章を読んで、あとの問いに答えなさい。
小僧あり。
小夜(さよ)ふけて長棹(ながさお)をもち、庭をあなたこなたと振りまはる。
坊主(ばうず)これを見つけ、「それは何事をするぞ」と問ふ。
「空の星がほしさに、うち落とさんとすれども落ちぬ」と(1)。
「さてさて鈍なるやつや。それほど作(2)がなうてなるものか。そこからは棹がとどくまい。屋根へあがれ」といはれた。
お弟子(でし)はとも候(さふら)へ、師匠の指南ありがたし。
星一つ見つけたる夜の「****」は月にもまさる五月雨(さみだれ)の空
(注)
とも候(さふら)へ:ともかくとして)
指南:教え
五月雨(さみだれ):梅雨
『醒睡笑』(鈴木棠三校注)岩波書店による
(1)1のとのあとにことばを補うとすれば、どのようなことばがよいか。次のうち、最も適しているものを一つ選び、記号を書きなさい。
(ア)思ふ
(イ)聞く
(ウ)答ふ
(工)行く
(2)2の作は、ここでは「工夫」という意味である。本文中で坊主が工夫として述べているのはどのようなことか。現代のことばで十字以内で書きなさい。
(3)次のうち、「****」に入れるのに最も適していることばはどれか。一つ選び、記号を書きなさい。
(ア)つめたさ
(イ)うれしさ
(ウ)おほきさ
(エ)かなしさ
(4)本文中で小僧が欲しいと述べているものを、漢字一字で抜き出しなさい。
解答
(1)ウ
(2)屋根へあがること。(他の表現でも内容が同じであればよい。一部正解のときは部分点。)
(3)イ
(4)星
(平成21年度大阪府公立高校学力検査後期問題より、配点は80点中13点)
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公立高校入試で出題された文章ですが、入試問題と身構えないで気楽に読みましょう。
今日取り上げる問題文は『醒酔笑(せいすいしょう)』からとられた文章です。『醒酔笑』は、江戸時代初期にまとめられた笑話集で、もともと中国の笑い話であったものを日本風にアレンジしたものも多く、また明治以降につくられた古典落語の中には『醒酔笑』の話をもとにしたものがいくつかあります。その意味で、中学生にも読みやすい古文だと言えます。
前回述べたように、(1)音読を心がける、(2)「何がおもしろいのか」を理解する、の2点に留意して、まず読んでみましょう。
( )内の平仮名は問題につけてあった読み仮名です。
また、下線を引いた語は、問題文に最初からついている注釈をあとにのせておいたので、注を参考にしながら読み進んでください。
小僧あり。
小夜(さよ)ふけて長棹(ながさお)をもち、庭をあなたこなたと振りまはる。
坊主(ばうず)これを見つけ、「それは何事をするぞ」と問ふ。
「空の星がほしさに、うち落とさんとすれども落ちぬ」と。
「さてさて鈍なるやつや。それほど作がなうてなるものか。そこからは棹がとどくまい。屋根へあがれ」といはれた。
お弟子(でし)はとも候(さふら)へ、師匠の指南ありがたし。
星一つ見つけたる夜の「****」は月にもまさる五月雨(さみだれ)の空
(注)
とも候(さふら)へ:ともかくとして)
指南:教え
五月雨(さみだれ):梅雨
『醒睡笑』(鈴木棠三校注)岩波書店による
どこが会話部分かを正確に把握しておこう
古文に会話部分を示す「 」はついていません(この問題でも、「 」は出題者がつけたものです)。
それで、入試問題だと、どこが会話部分かを聞く問題がよく出ます。「 」をとった文を再録しますので、自分でかぎかっこをつけてみましょう。
目印は、『〜と』とあるとき、「と」の前の部分が会話部分です。
小僧あり。
小夜(さよ)ふけて長棹(ながさお)をもち、庭をあなたこなたと振りまはる。
坊主(ばうず)これを見つけ、それは何事をするぞと問ふ。
空の星がほしさに、うち落とさんとすれども落ちぬと。
さてさて鈍なるやつや。それほど作がなうてなるものか。そこからは棹がとどくまい。屋根へあがれといはれた。
お弟子(でし)はとも候(さふら)へ、師匠の指南ありがたし。
星一つ見つけたる夜の「****」は月にもまさる五月雨(さみだれ)の空
簡単な現代語訳(少なくとも3回音読したあと、見てください。)
小僧さんがいました。夜がふけてから長い棹をもって、庭をあちらこちらと(棹を)降りまわしております。(師匠の)坊主がこれを見つけて、「それは何をしているのか」と尋ねました。「空の星がほしいので、(棹で)打ち落とそうとするのですが落ちないのです」と(小僧は答えました)。「ほんとうに頭の悪いやつだ。そんなに工夫がなかったらだめではないか。そこ(庭)からだと棹が届かないだろう。屋根へあがってみろ」と(坊主は)おっしゃった。弟子の小僧はともかくとして、師匠の坊主の教えはありえない(とんでもない)。
星をたった一つでも見つけた夜の「****」は月を見つけた「****」にまさるなあ、梅雨の空だと
最後に、出された問題も解いておきましょう。
次の文章を読んで、あとの問いに答えなさい。
小僧あり。
小夜(さよ)ふけて長棹(ながさお)をもち、庭をあなたこなたと振りまはる。
坊主(ばうず)これを見つけ、「それは何事をするぞ」と問ふ。
「空の星がほしさに、うち落とさんとすれども落ちぬ」と(1)。
「さてさて鈍なるやつや。それほど作(2)がなうてなるものか。そこからは棹がとどくまい。屋根へあがれ」といはれた。
お弟子(でし)はとも候(さふら)へ、師匠の指南ありがたし。
星一つ見つけたる夜の「****」は月にもまさる五月雨(さみだれ)の空
(注)
とも候(さふら)へ:ともかくとして)
指南:教え
五月雨(さみだれ):梅雨
『醒睡笑』(鈴木棠三校注)岩波書店による
(1)1のとのあとにことばを補うとすれば、どのようなことばがよいか。次のうち、最も適しているものを一つ選び、記号を書きなさい。
(ア)思ふ
(イ)聞く
(ウ)答ふ
(工)行く
(2)2の作は、ここでは「工夫」という意味である。本文中で坊主が工夫として述べているのはどのようなことか。現代のことばで十字以内で書きなさい。
(3)次のうち、「****」に入れるのに最も適していることばはどれか。一つ選び、記号を書きなさい。
(ア)つめたさ
(イ)うれしさ
(ウ)おほきさ
(エ)かなしさ
(4)本文中で小僧が欲しいと述べているものを、漢字一字で抜き出しなさい。
解答
(1)ウ
(2)屋根へあがること。(他の表現でも内容が同じであればよい。一部正解のときは部分点。)
(3)イ
(4)星
(平成21年度大阪府公立高校学力検査後期問題より、配点は80点中13点)
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はじめまして。ぼぼぼつんです。
数学なんですけど、高校入試の解き方って中二でも解けるんでしょうか?
だとしたら・・・やばい(笑)