20年近く所属している塾の団体の、今月の例会の研修テーマは「小論文の指導法」でした。入試に小論文を課している総合学科の高校の先生にお越しいただいて、指導法や採点基準などをお聞きしました。
一番得点が低いのは課題に答えていない小論文だと教わったり、非常に参考になりました。

質疑に入り、東大阪のNゼミナールのC先生が自塾の作文指導法の話をされたのですが、「子どもたちは接続詞が使えない。それで、接続詞の表をつくって各自の机の上に置き、それを見ながら作文を書かせている。」とおっしゃったのが強く印象に残りました。
名案です。

作文の添削をするとわかるのですが、接続詞を上手に使える人はほとんどいません。逆に言えば、接続詞をうまく使っている人の作文は、それだけで相当レベルが高く見えてしまいます。
ところが、接続詞について体系的に学ぶ機会なんかほとんどありません。文法でも、接続詞の章には一番時間をかけないのではないでしょうか。

そういう思いから、接続詞の文法的な性質について、前の稿でまとめてみました。

今日は、接続詞の実践的な活用法についてあれこれ書きたいと思います。接続助詞や副詞など、文法的には接続詞と区別されますが、文章を書くときには同じようなはたらきをする言葉にも言及するかもしれません。


使える接続詞、使えない接続詞

前の稿で羅列した接続詞を、作文・小論文で使ったほうがよい接続詞と、使ってはいけない接続詞に分類してみましょう。


使わないほうがよい接続詞

私が、使わないほうがよいと考える接続詞は2種類です。

1つ目は、幼児語、口語に属するもの。

例えば、中学生の作文を添削していて、2人に1人くらいの割合で書き直させるのは、「けど」です。「私は頑張った。けど、〜」、あるいは「私は頑張ったけど、〜」。
幼児語であって、作文に使うべきではない。せめて、「けれども」か、「が」、「だが」にしなさいと指導します。
(全然関係ありませんが、子どもたちは「すごく」もよく使います。幼い感じがする口語表現なので、使うと文全体の評価を下げます。)
この、幼稚くさいので使わないほうがよい接続詞として、順接の「では」(転換の「では」は使えます)、逆接の「けれど」「だけど」「でも」があります。

2つ目は、長すぎる接続詞です。

接続詞を使う長所の一つは、文章の歯切れやテンポががよくなり、話の筋道を理解しやすくなることです。長い接続詞はこの長所を殺してしまいますし、意味をぼやかしてしまうものさえあります。
指示語から派生した接続詞は長くなる傾向があり、あまり使わないほうが無難です。
順接の「それでは」「それなら」「それで」「そのために」、逆接の「それなのに」「それにもかかわらず」「それにしても」「それでも」、説明の「というのは」、転換の「それはさておき」「それはそうと」が、このグループに含まれます。

最後に、注意すべき接続詞に、「よって」、「したがって」、「ゆえに」、「かつ」があります。
数学の論述や小論文では積極的に使ったほうがよい接続詞ですが、作文に使うと、とってつけたような硬い感じがして、文章の自然さを損なってしまうように思います。


使える接続詞

以上の理由から、使える、使ったほうがよい接続詞をまとめると、次のようになります。

順接

それから・すると・そこで・だから・その結果・したがって・よって

逆接

しかし・けれども・だが・ところが

並立

そして・また・かつ

添加

しかも・さらに・そのうえ・それから

選択

それとも・あるいは・または

説明

ただし・もっとも・なお・ちなみに・つまり例えばなぜなら

転換

ところで・さて・では

小・中学生の作文・小論文を見て、「ちょっと下手だな」と感じてしまう例として、同じ接続詞の繰り返しがあります。特に、よくある、「そして」と「だから」の繰り返しは非常に危険です。文章全体がすこぶる幼稚に見えてしまいます。
使えるからといって、使いすぎると逆効果になります。

接続詞は、料理でいえば調味料、香辛料、うどんにかけた唐辛子、ラーメンの上にのったシナチクのようなものです。やや控えめに用いると料理全体が引き立ちますが、かけすぎると食えたものではありません。
ここにはこの接続詞しかないと思える接続詞を吟味して使うべきです。


使う接続詞を決めておく

プロの文筆家であればいろいろな接続詞を駆使して名文を書けるでしょうが、入試の作文や小論文ではそうはいきません。短い試験時間中に、あれこれ迷っている余裕などないからです。
そこで提案したいのが、あらかじめ使う接続詞を決めておくことです。いろいろな場面で使えて、使いまちがいの起こりにくい接続詞を自分自身で先に用意しておいて、このときはこれを使うと前もって決めておけば、文章を書くときに迷わなくてすみます。

順接

順接の接続詞を頻繁に使う必要性はあまりないのではないでしょうか。文章は本来、前の続きがあと、前の発展があとというように、「順接」が原則のはずです。

「それから・すると・そこで・だから・その結果・したがって・よって」などが使えると思っている程度でよいと思います。

逆接・・・しかし

使い勝手がよく、破綻する可能性が少ない。

並立・・・また

無難です。

添加・・・さらに

選択・・・または

語と語をつなぐときに使えるくらいで、文章の最初に使う接続詞ではありません。

説明・・・なおつまり・例えばなぜなら

説明の接続詞は、使えそうなものが多い。

転換・・・ところで

以上9個(「または」を除くと8個)が、厳選した「使い勝手のよい接続詞」です。

逆のことを言いたいときは「しかし」、同じ種類のものを並べるときは「また」、つけ加えるときは「さらに」、説明を加えるときは「なお」「つまり」「例えば」「なぜなら」、場面を転換するときは「ところで」、これくらいを使いこなせれば充分です。

大書して見える場所に張り出して、何か文章を書くたびに使いこなしておくと、接続詞をうまく使った上手な文章が書けるようになります。



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