1、相似

最初に、相似の単元に出てくる要点と定理をまとめておきます。

相似な図形(1)一方の図形が他方の図形の拡大または縮小した図形であるとき、2つの図形は相似であるという。




相似の位置(2)2つの相似な図形の対応する点をむすぶ直線が1点で交わるとき、2つの図形は相似の位置にあるといい、まじわる1点を相似の中心という。




(3)相似な図形では、対応する線分の長さのは等しい(線分の長さの比を相似比という)。
相似な図形では、対応するの大きさは等しい。




(4)三角形の相似条件
3組の辺がすべて等しい
2組の辺が等しく、その間の角が等しい
2組の角がそれぞれ等しい


2、平行線と比
平行線と比









平行線と比の2









3、中点連結定理
中点連結定理
△ABCの辺AB、ACの中点をD、Eとするとき、DEとBCは平行で、DEはBCの2分の1








4、(発展)重心
重心三角形の頂点と、向かい合う辺の中点を結ぶ線分を中線といい、3本の中線は1点で交わる。この点を重心といい、重心は3本の中線を2:1に分ける。










5、(発展)角の二等分線
角の二等分線
△ABCの∠Aの二等分線と辺BCの交点をDとすると、BD:DC=AB:AC






相似な図形で成り立つ基本的な定理を、三角形の相似条件を利用して証明してみよう。

例題1(平行線と比):三角形ABCで、DE//BCのとき、AD:AB=AE:AC=DE:BCであることを証明せよ。
例題1
(解答例)
△ABCと△ADEにおいて、
∠Aは2つの三角形に共通に含まれる・・・(1)
またDE//BCより、同位角は等しいので∠ADE=∠ABC・・・(2)
(1)(2)より、2組の角がそれぞれ等しいから△ABC∽△ADEだといえる。
相似な図形の対応する辺の比は等しいので、AD:AB=AE:AC=DE:BCである。


例題2(平行線と比):3本の平行な直線と、1本の直線がA、B、Cで交わり、もう1本の直線がD、E、Fで交わっている。このとき、AB:BC=DE:EFであることを証明せよ。
例題2(解答例)
点Aを通り直線DFに平行な直線と、直線BE、直線CFとの交点をそれぞれG、Hとする。
△ABGと△ACHにおいて、
共通に含まれる角だから、∠BAG=∠CAH・・・(1)
BG//CHより、同位角は等しいので∠ABG=∠ACH・・・(2)
(1)(2)より、2組の角がそれぞれ等しいので△ABG∽△ACHだといえる。
相似な図形の対応する辺の比は等しいから、AB:AC=AG:AH・・・(3)

ところが、仮定のAD//GE、AG//DEより、2組の対辺が平行だから四角形AGEDは平行四辺形である。
よって、対辺の長さが等しいのでAG=DE・・・(4)

同様に、四角形GHFEも平行四辺形だから、GH=EF・・・(5)

(3)(4)(5)より、
AB:AC=AG:AH=DE:EF


例題3(中点連結定理):三角形ABCの辺AB、ACの中点をD、Eとする。このとき、DE//BC、DE=1/2BCであることを証明せよ。

例題3
(解答例)
三角形ADEと三角形ABCにおいて、点Dは辺ABの中点だからAD:AB=1:2・・・(1)
同様に点Eは辺ACの中点だからAE:AC=1:2・・・(2)
また、∠DAEと∠BACは共通な角である・・・(3)
(1)(2)(3)より、2組の辺の比が等しく、その間の角が等しい。
だから、△ADE∽△ABC

相似な三角形の対応する角は等しいから、∠ADE=∠ABC
同位角が等しいので、DE//BC

また、△ADEと△ABCの相似比は1:2なので、DE=1/2BC


例題4(重心):三角形ABCで辺BCの中点をD、辺ACの中点をE、辺ABの中点をFとする。線分ADと線分BEの交点をGとするとき、BG:GE=CG:GF=2:1になることを証明せよ。
例題4
(解答例)
辺ABの中点Fと辺ACの中点Eを結ぶ。

△GEFと△GBCにおいて、中点連結定理よりFE//BC
平行線の錯角は等しいので
∠GFE=∠GCB・・・(1)
同様に∠GEF=∠GBC・・・(2)
(1)(2)より、2組の角がそれぞれ等しいので△GEFと△GBCは相似である。

また、中点連結定理よりBC:FE=2:1であり、△GEFと△GBCの対応する辺の比は等しいから、BG:GE=CG:GF=2:1


(別解:中点連結定理を使わない証明)辺ABの中点Fと辺ACの中点Eを結ぶ。
△AFEと△ABCは、AF:AB=AE:AC=1:2・・・(1)
共通に含まれるから∠FAE=∠BAC・・・(2)
(1)(2)より、2組の辺の比が等しく、その間の角が等しいから、△AFE∽△ABC
2つの相似な三角形の相似比は1:2なのでFE:BC=1:2・・・(3)

また、相似な図形の対応する角は等しいので∠AFE=∠ABC
同位角が等しいのでFE//BC

△GEFと△GBCいおいて、FE//BCより錯角が等しいので∠GFE=∠GCB・・・(4)
同様に∠GEF=∠GBC・・・(5)
(4)(5)より、2組の角がそれぞれ等しいから△GEF∽△GBC

(3)より、FE:BC=1:2であり、△GEF∽△GBCだからBG:GE=CG:GF=2:1


例題5(角の二等分線):三角形ABCの∠Aの二等分線と辺BCの交点をDとする。このとき、BD:DC=AB:ACであることを証明せよ。

例題5
(解答例)点Cを通り、ADに平行な直線と、辺ABを延長した直線との交点をEとする。

AD//ECだからBD:DC=BA:AE・・・(1)

ところで、平行線の同位角は等しいので∠BAD=∠AEC
また、錯角も等しいので∠DAC=∠ACE
仮定より∠BAD=∠DACだから∠AEC=∠ACE

△ACEで∠AEC=∠ACEだから、△ACEは二等辺三角形である。
ゆえにAE=AC・・・(2)

(1)(2)より、BD:DC=BA:AE=AB:AC