大阪府教育委員会によると、来年度入試で新学習指導要領にそった移行措置の内容も出題範囲にするとのことだ(『中学校新学習指導要領の移行措置の取扱いについて』)。

新たに出題範囲となるのは、
運動とエネルギー分野の「力学的エネルギー」「仕事とエネルギー(仕事の原理)」、
化学変化とイオン分野の「水溶液とイオン」、「水溶液の電気伝導性」、「原子の成り立ちとイオン(電子と原子核、陽子、中性子、イオン式)」、「電極で起こる反応」、
細胞と生殖分野の「遺伝の規則性と遺伝子(分離の法則、遺伝子の変化による形質の変化、遺伝子の本体はDNAであること)」、
地球と宇宙分野の「月の運動と見え方(日食や月食)」。

移行措置の内容は学校で教えないといけない事項なので、入試の出題範囲に含まれるのは当然だが、いろいろ問題点も多い。


現実の学校の授業

教科書に記載されていない事項(現行の教科書は旧学習指導要領に準拠している)については、子どもたちは学校で小冊子を配布されている。しかし、移行措置の内容について詳しく学んでいる様子はない。

さらに今年は、新型インフルエンザの影響もあって、授業の進度、履修内容が大幅に乱れている。中学校によっては、中2の数学で、『式の計算』は計算問題のみ、『連立方程式』も文章題をとばして計算分野のみ、『一次関数』も利用にはふれない、などというところさえある。
冬に予想される休校などの事態に備えて、単元を消化することだけを優先している。


また繰り返される過ち

現実の子どもの姿を知らない文部科学省の「ゆとり教育」は、子どもたちの学力を大きく破壊した。「学力崩壊」を指摘されると、新学習指導要領で履修事項だけを増やして責任逃れを図った。
現場の教師は、「ゆとり教育」と指示されると唯々諾々と従い、次に新学習指導要領と命じられると間に合わせに小冊子を配布する。
目の前の子どもたちは、10年間の「ゆとり」で読む力と計算力を失い、武器を奪われた裸の姿で小冊子(竹やり)を渡され、増強された敵軍に立ち向かわなければならない。

この姿は何かに似ている。太平洋戦争だ。
国の指導者は冷静な現状分析をすることなく無理な戦争を始めて美辞麗句で戦争を美化し、参謀本部は武器・兵站を無視した無謀な作戦で過去の失敗を糊塗しようとする。現場の指揮官はいいなりに作戦を遂行し、犠牲になった前線兵士は徒手空拳で敵に立ち向かい、倒される。そして、誰も責任をとる者がいない。
この国の姿は、まったく変わっていないのかもしれない。



塾は何ができるのか

では塾のしなければならない仕事は何か。

世の風潮に流されることなく、一粒の市井の民として、子どもたちを守る防空壕を深く掘ることだ。未来を託す子どもたちが、社会の表面がどう動揺しようとゆるがない「自分で考える力」を持てるように、「正しい」学習の仕方を深く教えることだ。

そう思うと、頑張らなくては、という気持ちがちょっとわいてきた。


追記:では、正しい学習の仕方とは何か。その例は、ここここここにあります。



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