今日は、子どもたちの苦手分野、平行線と比です。基本的な入試問題を使って、いつものように、楽に解くコツを考察します。
解くための道具
形が等しいものが相似である。
実は、相似な図形の基本形は2種類しかない。
左の相似形(基本形1)はわりと見つけやすい。
右の相似形(基本形2)がからむと、苦手になる。「形が等しい」のが相似だから、当然2つの三角形は相似。出るぞ、出るぞと警戒しておくことです。
まず、もっとも基本的な問題から。
例題1:左の図で、AB//PQ//DCである。次の問いに答えなさい。

(1)BP:PDを求めなさい。
(2)PQの長さを求めなさい。
解き方:
この種類の問題を解く過程を、5cm、8cmの長さが書いてある場所から推測できるようになれば数学の達人に近づいていると言えます。

5cm、8cmから、左図の相似形を使うんだな、と気づいてください。ただし、「気づく」と「できる」は別問題。気づいたことを「書き込み」できて、初めて解くことができます。
相似形で、比が等しいはずだから、BP:PDも5:8。これを図に記入します。
そうして問題の(1)を見ると、BP:PDが問いになっている(これが数学の問題を解くときの至福の瞬間なんですね)。
答えは5:8です。
次に問い(2)ですが、問題を見た瞬間に、求めたいPQにxと書き込みます(これができない人は予選落ち)。
もう一つ、頭の中で、(1)で求めたものを(2)で絶対使うはずと再確認しておきます(これも数学の問題の大原則)。
そうすると、書き込みは左図のようになります。
比の5と8を、実際の長さの5cm、8cmと区別できるように、マルで囲むなどの工夫をしておくと、変なミスを減らすことができます。
あとは、△BQPと△BCDが相似であることを利用して比例式を作るだけです。
5:13=x:8
13x=40
x=40/13
解き方のまとめ
1:(問題に隠されたヒントを手がかりに)相似な三角形の組(基本形2のほう)を見つける
2:相似な三角形の辺の比を(基本形2の)別の辺にも書き込んでおく
3:書き込みを利用して別の相似形(基本形1)を使って答えを求める
次に、確認の意味で、もう少し難しい問題にチャレンジしてみましょう。
例題2:左の図の平行四辺形で、辺AD上にAE:ED=1:2となる点Eをとり、CEとBAの延長との交点をFとする。また、BDとCFとの交点をGとする。このとき、次の問いに答えなさい。
(1)BF:DCを求めなさい。
(2)FG:GCを求めなさい。
(3)EG:GCを求めなさい。
(4)GC=6のとき、EFの長さを求めなさい。
問題の本文を読んだ段階では、まだ書き込みは1:2のみです。
ただし、「自分のために」、わかりきった当然のこと、BC=3を書き込んだ人だけが、あとを楽に解くことができます。
また、図中に含まれる相似な図形の組み合わせはおそらく次のようなものです。

左図の基本形1は多分、見つけやすいはずです。

左図の、基本形2が気づきにくい相似形です。
おそらく、こちらを上手に見つけて活用できるかどうかが、解けるかどうかの分岐点でしょう。
解き方:
(1)BF:DCを求めなさい。
AE:BC=1:3より、FA:FB=1:3に気づきます。
そうすると、AB=2。
AB=DCなのでDC=2。
よって、BF:DC=3:2
(2)FG:GCを求めなさい。
△FBG∽△CDGを活用します。
FB:CD=3:2より
FG:GC=3:2
(3)EG:GCを求めなさい。
△EGD∽△CGBを利用します。
ED:CB=2:3より
EG:GC=2:3
(4)GC=6のとき、EFの長さを求めなさい。
青色どうしの△FBG∽△CDGよりFG:CG=3:2、GC=6だからFG=9
黄色どうしの△EGD∽△CGBより
EG:CG=2:3、CG=6だからEG=4
EF=FG−EG=5
最後に、入試問題でまとめです。
例題3:左の図のような、∠C=90度の直角三角形ABCがある。点D、EはそれぞれAB、AC上の点であり、DE//BCである。また、点Fは、∠ABCの2等分線とDEを延長した直線との交点であり、点Gは、BFとACとの交点である。このとき、次の問いに答えなさい。(佐賀県の問題を一部改題)
(1)△DBFが二等辺三角形であることを証明しなさい。
(2)BC=10cm、DE=4cm、AB=15cmとして、BDの長さと、EG:GCの比を求めなさい。
解き方:
(1)二等辺三角形の定理は2つです。1つ目は、「二等辺三角形の底角は等しい」、2つ目は、「二等辺三角形の頂角の二等分線は底辺を垂直に二等分する」。前者の「底角が等しい」のほうを使うことがほとんどです。
この問題も、「二等辺三角形の底角は等しい」の逆、「2つの角が等しければ二等辺三角形である」を使って証明するのが目標です。
(証明)
仮定DE//BCより、錯角が等しいから∠FBC=∠DFB
また、仮定の、BFは∠ABCの二等分線より∠DBF=∠FBC
ともに∠FBCと等しいから∠DFB=∠DBF
2つの角が等しいから、△DBFは二等辺三角形である。
証明し終わったら、結論の「△DBFは二等辺三角形である」を次の問題で活用するはず、使うはずと、あらかじめ予想しておきましょう。
(2)BC=10cm、DE=4cm、AB=15cmとして、BDの長さと、EG:GCの比を求めなさい。
問題(2)を読んだ段階で、左の図の状態まで書き込んでおきます。
特に、求めたいBDにx、ADに15−xを書きこんでいない人は「予選落ち」で、おそらく解けません。
△ADE∽△ABCより
15−x:15=4:10
この比例式を解いて
10(15−x)=60
150−10x=60
−10x=−90
x=9cm
(1)の証明を絶対使うはずですから、BD=9がわかった段階でDF=9も書き込んだ人だけが「決勝進出」です。
そうすると、EF=9−4=5cm
△EGF∽△CGBで、EF=5、BC=10より、相似比は1:2
よって、EG:GC=1:2
解くための道具
形が等しいものが相似である。
実は、相似な図形の基本形は2種類しかない。
左の相似形(基本形1)はわりと見つけやすい。右の相似形(基本形2)がからむと、苦手になる。「形が等しい」のが相似だから、当然2つの三角形は相似。出るぞ、出るぞと警戒しておくことです。
まず、もっとも基本的な問題から。
例題1:左の図で、AB//PQ//DCである。次の問いに答えなさい。

(1)BP:PDを求めなさい。
(2)PQの長さを求めなさい。
解き方:
この種類の問題を解く過程を、5cm、8cmの長さが書いてある場所から推測できるようになれば数学の達人に近づいていると言えます。

5cm、8cmから、左図の相似形を使うんだな、と気づいてください。ただし、「気づく」と「できる」は別問題。気づいたことを「書き込み」できて、初めて解くことができます。
相似形で、比が等しいはずだから、BP:PDも5:8。これを図に記入します。
そうして問題の(1)を見ると、BP:PDが問いになっている(これが数学の問題を解くときの至福の瞬間なんですね)。
答えは5:8です。
次に問い(2)ですが、問題を見た瞬間に、求めたいPQにxと書き込みます(これができない人は予選落ち)。
もう一つ、頭の中で、(1)で求めたものを(2)で絶対使うはずと再確認しておきます(これも数学の問題の大原則)。
そうすると、書き込みは左図のようになります。比の5と8を、実際の長さの5cm、8cmと区別できるように、マルで囲むなどの工夫をしておくと、変なミスを減らすことができます。
あとは、△BQPと△BCDが相似であることを利用して比例式を作るだけです。
5:13=x:8
13x=40
x=40/13
解き方のまとめ
1:(問題に隠されたヒントを手がかりに)相似な三角形の組(基本形2のほう)を見つける
2:相似な三角形の辺の比を(基本形2の)別の辺にも書き込んでおく
3:書き込みを利用して別の相似形(基本形1)を使って答えを求める
次に、確認の意味で、もう少し難しい問題にチャレンジしてみましょう。
例題2:左の図の平行四辺形で、辺AD上にAE:ED=1:2となる点Eをとり、CEとBAの延長との交点をFとする。また、BDとCFとの交点をGとする。このとき、次の問いに答えなさい。
(1)BF:DCを求めなさい。(2)FG:GCを求めなさい。
(3)EG:GCを求めなさい。
(4)GC=6のとき、EFの長さを求めなさい。
問題の本文を読んだ段階では、まだ書き込みは1:2のみです。ただし、「自分のために」、わかりきった当然のこと、BC=3を書き込んだ人だけが、あとを楽に解くことができます。
また、図中に含まれる相似な図形の組み合わせはおそらく次のようなものです。

左図の基本形1は多分、見つけやすいはずです。

左図の、基本形2が気づきにくい相似形です。
おそらく、こちらを上手に見つけて活用できるかどうかが、解けるかどうかの分岐点でしょう。
解き方:
(1)BF:DCを求めなさい。
AE:BC=1:3より、FA:FB=1:3に気づきます。そうすると、AB=2。
AB=DCなのでDC=2。
よって、BF:DC=3:2
(2)FG:GCを求めなさい。
△FBG∽△CDGを活用します。FB:CD=3:2より
FG:GC=3:2
(3)EG:GCを求めなさい。
△EGD∽△CGBを利用します。ED:CB=2:3より
EG:GC=2:3
(4)GC=6のとき、EFの長さを求めなさい。
青色どうしの△FBG∽△CDGよりFG:CG=3:2、GC=6だからFG=9黄色どうしの△EGD∽△CGBより
EG:CG=2:3、CG=6だからEG=4
EF=FG−EG=5
最後に、入試問題でまとめです。
例題3:左の図のような、∠C=90度の直角三角形ABCがある。点D、EはそれぞれAB、AC上の点であり、DE//BCである。また、点Fは、∠ABCの2等分線とDEを延長した直線との交点であり、点Gは、BFとACとの交点である。このとき、次の問いに答えなさい。(佐賀県の問題を一部改題)
(1)△DBFが二等辺三角形であることを証明しなさい。(2)BC=10cm、DE=4cm、AB=15cmとして、BDの長さと、EG:GCの比を求めなさい。
解き方:
(1)二等辺三角形の定理は2つです。1つ目は、「二等辺三角形の底角は等しい」、2つ目は、「二等辺三角形の頂角の二等分線は底辺を垂直に二等分する」。前者の「底角が等しい」のほうを使うことがほとんどです。
この問題も、「二等辺三角形の底角は等しい」の逆、「2つの角が等しければ二等辺三角形である」を使って証明するのが目標です。
(証明)
仮定DE//BCより、錯角が等しいから∠FBC=∠DFB
また、仮定の、BFは∠ABCの二等分線より∠DBF=∠FBC
ともに∠FBCと等しいから∠DFB=∠DBF
2つの角が等しいから、△DBFは二等辺三角形である。
証明し終わったら、結論の「△DBFは二等辺三角形である」を次の問題で活用するはず、使うはずと、あらかじめ予想しておきましょう。
(2)BC=10cm、DE=4cm、AB=15cmとして、BDの長さと、EG:GCの比を求めなさい。
問題(2)を読んだ段階で、左の図の状態まで書き込んでおきます。特に、求めたいBDにx、ADに15−xを書きこんでいない人は「予選落ち」で、おそらく解けません。
△ADE∽△ABCより
15−x:15=4:10
この比例式を解いて
10(15−x)=60
150−10x=60
−10x=−90
x=9cm
(1)の証明を絶対使うはずですから、BD=9がわかった段階でDF=9も書き込んだ人だけが「決勝進出」です。
そうすると、EF=9−4=5cm
△EGF∽△CGBで、EF=5、BC=10より、相似比は1:2
よって、EG:GC=1:2

















