直角三角形の直角をはさむ2辺の長さをa、b、斜辺の長さをcとするとき、

短い辺aの2乗+短い辺bの2乗=長い斜辺cの2乗が成り立つ
これが3つの辺の2乗(=平方)で式ができているので、三平方の定理と呼ばれる定理です。
直角三角形であれば、常に三平方の定理が成り立つことを証明してみましょう。
三平方の定理には数え切れないくらい多くの証明方法があるそうです。
中学生向けの教科書や参考書に記載されているものは、ほぼ3種類に分類できるように思います。
(1)直角三角形を組み合わせて正方形などを作り、面積を2通りの方法で表し、等式を作って証明する
(2)直角三角形の相似を利用して、等式を作って証明する
(3)直角三角形の外にそれぞれの辺を1辺とする正方形を3つかいて、小さい正方形+別の小さい正方形=大きい正方形を証明する
証明1:
台形ABDEの面積を2通りの方法で表してみます。
まず、直接台形の面積を求めます。
上底a、下底b、高さa+bの台形だから、その面積は、(a+b)×(a+b)÷2
次に、台形ABDEの面積を、三角形3つの和として求めます。
△ABCと△CDEの合計は、(a×b÷2)×2
△ACEはすぐには求められません。まず、∠ACE=90度の直角三角形であることを見つけます。
△ABCと△CDEは、AB=CD、BC=DE、∠B=∠D=90度より、2辺とその間の角が等しいから△ABC≡△CDE
よって∠BAC=∠DCE
したがって、∠BAC+∠ACB=90度から、∠DCA+∠ACB=90度
だから、∠ACE=90度
以上より、△ACEは∠ACE=90度の直角三角形です。
△ACEの面積はc×c÷2
同じ台形の面積を2通りの方法で表すことができたので等式にします。

同じ場所を2通りの方法で表せたら証明できますから、△ACEの面積を2通りに表すことでも証明できます。挑戦してみてください。
証明2:
正方形CDEFの面積を2通りの方法で表せたら証明できます。
まず、1辺a+bの正方形と見て面積を求めると、(a+b)×(a+b)
次に、4つの三角形と、中にある小さい正方形(正方形であることの証明が必要ですが)の和としても求められます。
4つの三角形の面積の和は、(a×b÷2)×4
また、中の四角形BAGHが正方形であることを証明してその面積を求めます。
(正方形であることの証明は少し簡略化して書きます。)
2辺がaとbで、その間の角が90度で等しいから4つの三角形は合同
よって∠BAG=∠AGH=∠GHB=∠HBA=90度
また4つの辺の長さはcで等しい
4つの辺の長さが等しく、角もすべて90度だから四角形BAGHは正方形である
よって、面積はc×c
これで2通りの方法で正方形CDEFの面積を表すことができたので、等式を作ります。

同じ場所を2通りの方法で表せたら証明できますから、四角形BAGHの面積を2通りに表すことでも証明できます。挑戦してみてください。
同じような証明を、別の形の正方形をつくって証明することもできます。

左の図でも2通りの証明の仕方が考えられます。
チャレンジしてみてください。
証明3:
直角三角形の中に相似な三角形を2つつくり、相似を利用して証明することもできます。
Cから底辺ABに垂線を引き、できた△ABC、△ACD、△CBDが相似であることを先に証明します。
△ABCと△ACDにおいて
仮定より、∠ACB=∠ADC(=90度)
どちらの三角形にも共通に含まれるから∠BAC=∠CAD
2組の角がそれぞれ等しいから△ABC∽△CAD
同様に、△ABC∽△CBD
次に辺ABの長さを表す式を2通り見つけることができたら等式をつくることができます。
1つ目は、当然AB=cです。
2つ目は、相似を利用して、ADとDBをa、b、cを使って表し、AB=AD+DBでABを表せないか、考えてみます。
AD=x、DB=yとして式をつくってみましょう。
△ABC∽△ACDより、AB:AC=AC:AD
つまり

△ABC∽△CBDより、AB:BC=CB:BD
つまり

辺AB=x+y=a2乗/c+b2乗/c
これで、辺ABを2つの式で表すことができました。
最後に等式をつくります。

証明4:


が、三平方の定理の式です。
素直に考えたら、直角三角形の各辺を1辺とする正方形の面積を表していると見るのが自然です。
証明4はその観点からの証明です。
ちょっとわかりにくいのが難点ですが、私はこの証明が一番好きです(私の好みなんかどうでもいいですが)。
この証明の目標は、次の図のようになります。

正方形ACIJの面積の半分の△ACJの面積と、長方形ADKHの半分の△ADHの面積が等しいことが言えれば、その2倍どうしの正方形ACIJと長方形ADKHの面積が等しいことが証明できたことになります。
同じように、△CBFの面積と、△HEBの面積が等しいことを論証して、正方形BFGCの面積=長方形HKEBを言います。
これで、小さい正方形の面積+もう1つの小さい正方形の面積=大きい正方形の面積が証明できたことになります。
では、順に証明しましょう。
結構難しいので、頑張らないといけません。
△ACJの面積=△ADHの面積の証明
まず、△ACJの面積=△ABJの面積を証明します。
∠BCA=∠JAC=90度より、錯角が等しいのでJA//CB
△ACJと△ABJにおいて、底辺はAJで共通
2つの三角形の高さは平行線JAとCBの距離(幅)と等しいから等しい
よって、△ACJの面積=△ABJの面積
次に、△ABJの面積=△ADCの面積を証明します。
正方形ADEBの辺だからAB=AD
正方形ACIJの辺だからAJ=AC
90度+∠CABで共通だから∠JAB=∠CAD
2辺とその間の角がそれぞれ等しいから△ABJ≡△ADC
合同な三角形なので、△ABJの面積=△ADCの面積
最後に、△ADCの面積=△ADHの面積を証明します。
AD//CKより、底辺が共通で高さが等しいので△ADCの面積=△ADHの面積
以上より、△ACJの面積=△ABJの面積=△ADCの面積=△ADHの面積
つまり、△ACJ面積=△ADHの面積
2つある四角形の半分の面積が等しいことが証明できたので
正方形ACIJの面積=長方形ADKHの面積
△BFCの面積=△HEBの証明

同じ要領で、左の図を使って、△BFCの面積=△HEBを証明して、正方形BFGC=長方形HKEBを論証してみてください。
まず、△BFCと同じ面積の三角形を見つける。
次に、その見つけた三角形と合同な三角形を見つける。
最後に、その合同な三角形と面積の等しい三角形を見つける。
以上の証明によって、正方形ACIJの面積=長方形ADKHの面積、
正方形BFGCの面積=長方形HKEBの面積、
よって、正方形ACIJ+正方形BFGC=正方形ADEB
つまり、

が、証明できたことになります。

短い辺aの2乗+短い辺bの2乗=長い斜辺cの2乗が成り立つ
これが3つの辺の2乗(=平方)で式ができているので、三平方の定理と呼ばれる定理です。
直角三角形であれば、常に三平方の定理が成り立つことを証明してみましょう。
三平方の定理には数え切れないくらい多くの証明方法があるそうです。
中学生向けの教科書や参考書に記載されているものは、ほぼ3種類に分類できるように思います。
(1)直角三角形を組み合わせて正方形などを作り、面積を2通りの方法で表し、等式を作って証明する
(2)直角三角形の相似を利用して、等式を作って証明する
(3)直角三角形の外にそれぞれの辺を1辺とする正方形を3つかいて、小さい正方形+別の小さい正方形=大きい正方形を証明する
証明1:

まず、直接台形の面積を求めます。
上底a、下底b、高さa+bの台形だから、その面積は、(a+b)×(a+b)÷2
次に、台形ABDEの面積を、三角形3つの和として求めます。
△ABCと△CDEの合計は、(a×b÷2)×2
△ACEはすぐには求められません。まず、∠ACE=90度の直角三角形であることを見つけます。
△ABCと△CDEは、AB=CD、BC=DE、∠B=∠D=90度より、2辺とその間の角が等しいから△ABC≡△CDE
よって∠BAC=∠DCE
したがって、∠BAC+∠ACB=90度から、∠DCA+∠ACB=90度
だから、∠ACE=90度
以上より、△ACEは∠ACE=90度の直角三角形です。
△ACEの面積はc×c÷2
同じ台形の面積を2通りの方法で表すことができたので等式にします。

同じ場所を2通りの方法で表せたら証明できますから、△ACEの面積を2通りに表すことでも証明できます。挑戦してみてください。
証明2:

まず、1辺a+bの正方形と見て面積を求めると、(a+b)×(a+b)
次に、4つの三角形と、中にある小さい正方形(正方形であることの証明が必要ですが)の和としても求められます。
4つの三角形の面積の和は、(a×b÷2)×4
また、中の四角形BAGHが正方形であることを証明してその面積を求めます。
(正方形であることの証明は少し簡略化して書きます。)
2辺がaとbで、その間の角が90度で等しいから4つの三角形は合同
よって∠BAG=∠AGH=∠GHB=∠HBA=90度
また4つの辺の長さはcで等しい
4つの辺の長さが等しく、角もすべて90度だから四角形BAGHは正方形である
よって、面積はc×c
これで2通りの方法で正方形CDEFの面積を表すことができたので、等式を作ります。

同じ場所を2通りの方法で表せたら証明できますから、四角形BAGHの面積を2通りに表すことでも証明できます。挑戦してみてください。
同じような証明を、別の形の正方形をつくって証明することもできます。

左の図でも2通りの証明の仕方が考えられます。
チャレンジしてみてください。
証明3:

Cから底辺ABに垂線を引き、できた△ABC、△ACD、△CBDが相似であることを先に証明します。

仮定より、∠ACB=∠ADC(=90度)
どちらの三角形にも共通に含まれるから∠BAC=∠CAD
2組の角がそれぞれ等しいから△ABC∽△CAD
同様に、△ABC∽△CBD
次に辺ABの長さを表す式を2通り見つけることができたら等式をつくることができます。
1つ目は、当然AB=cです。
2つ目は、相似を利用して、ADとDBをa、b、cを使って表し、AB=AD+DBでABを表せないか、考えてみます。
AD=x、DB=yとして式をつくってみましょう。
△ABC∽△ACDより、AB:AC=AC:AD
つまり

△ABC∽△CBDより、AB:BC=CB:BD
つまり

辺AB=x+y=a2乗/c+b2乗/c
これで、辺ABを2つの式で表すことができました。
最後に等式をつくります。

証明4:


が、三平方の定理の式です。
素直に考えたら、直角三角形の各辺を1辺とする正方形の面積を表していると見るのが自然です。
証明4はその観点からの証明です。
ちょっとわかりにくいのが難点ですが、私はこの証明が一番好きです(私の好みなんかどうでもいいですが)。
この証明の目標は、次の図のようになります。

正方形ACIJの面積の半分の△ACJの面積と、長方形ADKHの半分の△ADHの面積が等しいことが言えれば、その2倍どうしの正方形ACIJと長方形ADKHの面積が等しいことが証明できたことになります。
同じように、△CBFの面積と、△HEBの面積が等しいことを論証して、正方形BFGCの面積=長方形HKEBを言います。
これで、小さい正方形の面積+もう1つの小さい正方形の面積=大きい正方形の面積が証明できたことになります。
では、順に証明しましょう。
結構難しいので、頑張らないといけません。
△ACJの面積=△ADHの面積の証明

∠BCA=∠JAC=90度より、錯角が等しいのでJA//CB
△ACJと△ABJにおいて、底辺はAJで共通
2つの三角形の高さは平行線JAとCBの距離(幅)と等しいから等しい
よって、△ACJの面積=△ABJの面積
次に、△ABJの面積=△ADCの面積を証明します。
正方形ADEBの辺だからAB=AD
正方形ACIJの辺だからAJ=AC
90度+∠CABで共通だから∠JAB=∠CAD
2辺とその間の角がそれぞれ等しいから△ABJ≡△ADC
合同な三角形なので、△ABJの面積=△ADCの面積
最後に、△ADCの面積=△ADHの面積を証明します。
AD//CKより、底辺が共通で高さが等しいので△ADCの面積=△ADHの面積
以上より、△ACJの面積=△ABJの面積=△ADCの面積=△ADHの面積
つまり、△ACJ面積=△ADHの面積
2つある四角形の半分の面積が等しいことが証明できたので
正方形ACIJの面積=長方形ADKHの面積
△BFCの面積=△HEBの証明

同じ要領で、左の図を使って、△BFCの面積=△HEBを証明して、正方形BFGC=長方形HKEBを論証してみてください。
まず、△BFCと同じ面積の三角形を見つける。
次に、その見つけた三角形と合同な三角形を見つける。
最後に、その合同な三角形と面積の等しい三角形を見つける。
以上の証明によって、正方形ACIJの面積=長方形ADKHの面積、
正方形BFGCの面積=長方形HKEBの面積、
よって、正方形ACIJ+正方形BFGC=正方形ADEB
つまり、

が、証明できたことになります。
わざわざお教えして頂き、ありがとうございました。