今日は、相似の章の後半に出てくる、中点連結定理と重心の問題をとりあげます。

中点連結定理とは、中点連結定理
左の図のように、中点と中点を横に結ぶ(連結する)と、その線分は底辺と平行で、長さは底辺の2分の1になる、という定理です。

名前は立派ですが、中身はたいしたことない。この定理を知らなくても、相似で解決することが可能です。使えたら、時間を節約できる、いわばショートカットのようなものです。




重心
重心のほうは、教科書の必修事項からはずれていますが、ものにはすべて重心があり、そこの1点を支えればもの全体を支えることができる場所であるわけで、大事といえば大事です。
ある辺の中点と、その辺の向かい側にある頂点を結んだ線分を中線といい(左図のAD、BE、CF)、中線の交点が重心です。中線は重心によって、2:1に分割されます。




(中点連結定理そのもの、重心の性質そのものの証明はこちらをご覧ください。)


では、中点連結定理と重心の性質を使って解く問題をながめていきましょう。


例題1:

中点連結定理の1△ABCの辺BAを延長し、BA=ADとなるように点Dをとり、辺BCを3等分する点をそれぞれE、Fとする。辺ACと線分DFの交点をGとする。DGの長さを求めなさい。(青森県)





解き方:
問題文を読んだ段階で記入しておくべき目印は下のようになります。

1の(1)AがBDの中点、EがBFの中点であることに気づき、△DBFで中点連結定理を使うことを考えます。
中点連結定理の長所はショートカットですから、ぱっ、ぱっと素早く解くのが大事。
AEが3cmだからDFは6cm!くらいの、瞬間的判断で。

1の(2)次に、FがECの中点、GがACの中点ですから、△AECで中点連結定理を使います。
やはりショートカットで。
AEが3cmだからGFは1.5cmと、瞬時に。



以上より、DG=DF−GF=6−1.5=4.5cm。



例題2:

4の(1)三角形ABCの辺BC、CAの中点をそれぞれD、Eとし、ADとBEの交点をFとする。AD=9cmのとき、FDの長さを求めなさい。







D、Eが中点なのでAD、BEは中線、Fは重心です。したがって、AF:FD=2:1、ADの比は2+1の3。
FDの長さはADの3分の1だから9÷3=3cm。



例題3:

中点連結定理の2
平行四辺形ABCDの対角線の交点をO、辺ADの中点Eと点Cを結び対角線BDとの交点をFとする。次の問いに答えなさい。(徳島県)

(1)△EFDと△OCFの面積が等しいことを証明しなさい。
(2)四角形AOFEの面積は、平行四辺形ABCDの面積の何倍か、求めなさい。


(1)の解き方:
いろいろな解き方ができる、面白い問題です。私なら、入試ということを忘れて遊んでしまいそう(入試で一番やってはいけないことです。どんなに才をひけらかしても配点以上の得点はもらえません。アホのまねはしないように)。

(1)1つ目の解き方。
△ECDの面積は△ACDの半分で平行四辺形ABCDの4分の1、△OCDの面積も△ACDの半分で平行四辺形ABCDの4分の1。それぞれから△FCDの面積を引いた残りだから△FED=△OCF。

2つ目の解き方。
△AODの面積は平行四辺形ABCDの面積の4分の1で、△FEDの面積=△AOD−四角形AOFE。
△ACEの面積は平行四辺形ABCDの面積の4分の1で、△OCFの面積=△ACE−四角形AOFE。
よって、△FED=△OCF。

3つ目の解き方。
2の(1)△EFD∽△CFBに着目してもいろいろできそうです。

まず、ED:CB=1:2より、EF:CF=1:2
底辺の比が1:2だから、△EFDの面積:△DFCの面積=1:2

同様に、DF:BF=1:2
よって、BD=1+2=3、OはBDの中点だから3÷2=1.5
よって、FO=2−1.5=0.5
ということは、FO:DF=0.5:1=1:2
底辺の比が1:2だから、△OCFの面積:△DFCの面積=1:2

ともに△DFCの面積の半分だから、△EFD=△OCF

4つ目の解き方。
中点連結定理の問題として取り上げたのに、遊びすぎてまだ中点連結定理を使っていません。正気に戻って、中点連結定理を用いて解いてみましょう。

2の(2)
仮定よりEはADの中点、平行四辺形ABCDの対角線の交点だからOはACの中点。
よって、中点連結定理よりEO//DC。
したがって、底辺が共通で、高さが同じ長さだから△ECD=△OCD。
よって△ECD−△FCD=△OCD−△FCD。
すなわち△EFD=△OCF。



(2)の解き方:
(1)で遊びすぎたので、今度はテーマにそって、あっさりと解いていきましょう。
2の(3)EがADの中点、OがACの中点であることから、Fが三角形ACDの重心であることに着目します。

OF:FD=1:2になりますから、△EOFの面積:△EFDの面積も1:2。
ここで、いつものように、一番小さい△EOFの面積を1と決めてしまいましょう。△EFDの面積は2です。
次に、△AOEの面積と△EODの面積は、AE:ED=1:1ですから等しくなります。△EODの面積は1+2=3なので、△AOEの面積も3です。

以上より、四角形AOFEの面積は、△AOE+△EOF=3+1=4。

平行四辺形ABCDの面積は、△AODの面積の4倍だから、(3+1+2)×4=24。

よって、四角形AOFEの面積は、平行四辺形ABCDの面積の、4÷24=1/6。
6分の1倍です。


例題4:

中点連結定理の3すべての辺の長さが8cmの正三角錐(正四面体ともいえる)がある。点Eは辺BCの中点であり、点Fは辺BDの中点である。点Eから辺ACと辺ADのどちらにも交わるように点Fまで線をひく。
このような線のうち、最も短い点Eから点Fまでひいた線の長さを求めなさい。(平塚江南高)




最短距離「最も短い線」、「最短距離」を求める問題です。

「寄り道しないでさっさと帰りや。」と塾を出る子どもたちに呼びかけます。なぜかというと、(あたりまえのことですが)寄り道をすると家までの道筋が遠くなるからです。直線で2点を結ぶのが一番短い道筋です。
数学的には、三角形の長い辺をa、短い辺をb、cとするとき、a<b+cということになります。

説明のほうも寄り道をしてしまいましたが、最も短い線を求める問題ですから、EからFへ至る直線を求めないといけません。最短距離=直線です。
ところが立体図形の場合、立体に直線は書けません。この問題に与えられた図でも、EからFへ至る線は2箇所で折れ曲がっています。しかし、直線なのです。
では、どうすればよいか。平面にしか直線は書けないわけですから、立体を平面にしてしまいます。つまり、展開図を書けばよいわけです。

展開図
左の図の赤色の直線が最も短い線、EからFへの最短距離です。
E、FがBC、BDの中点ですから、中点連結定理より、EG=4cm、GH=4cm、HF=4cm。
よって、EFの長さは12cmです。