円と相似がからんだ問題も入試ではよく出題されます。

まず、円についての定理のまとめから。

1、円周角の定理(1)

円周角の定理(1)中心角∠BOCは円周角∠BACの2倍の大きさになります。
なぜそうなるのかの証明は、図に書いてある記号と補助線を参考に自分で考えてみてください。





2、円周角の定理(2)


円周角の定理(2)同じ弧の円周角、∠BACと∠BDCは常に等しくなります。
円周角の定理(1)を使うと簡単に証明できます。補助線を参考に自分で考えてみてください。





3、内接四角形の定理


内接四角形の定理円に内接する四角形があるとき、∠BAD=∠DCX、∠BAD+∠BCD=180度となります。
なぜそうなるかは、円周角の定理(1)を使うと証明できます。補助線を参考に考えてみてください。



4、接弦定理


接弦定理円に接する直線BXと、接点Bを通る弦AB、BCがあるとき、∠CBX=∠BAC。
接線と弦があるとき成り立つ定理なので接弦定理とよばれます。
接弦定理が成り立つことの証明は、ややむずかしめですが、左図の記号と補助線を使えば証明できます。


以上4つの円に関する定理を念頭において、円と相似がからんだ問題を解いていきましょう。


例題1:

円と相似(2)円Oの周上に、4点A、B、C、Dがある。線分ACと線分BDの交点をEとし、線分ADの延長線と線分BCの延長線との交点をFとする。このとき、次の問いに答えなさい。(和歌山開智高)
(1)∠AEB=75度、∠DBC=24度のとき、∠ADEの大きさを求めなさい。

解き方:


(1)の1仮定の∠AEB=75度、∠DBC=24度を図に記入したあと、それからわかる角度を書き込んでいきます。
このとき、やみくもに探してはだめです。図から浮かんでくる円の定理を念頭において、その導きで(円周角の定理を使うことに狙いをしぼって)探します。

∠ACB+∠DBC(24度)=∠AEB(75度)。
よって、∠ACB=51度。
弧ABの円周角だから、∠ACB(=51度)=∠ADE=51度。

これが多分、もっとも手っ取り早い解法ですが、∠CAD(=∠DBC)=24度からも見つけられますし、∠DEC=75度を使って見つけることもできます。


(2)△ABFと△CDFは相似である。このときの相似条件を答えなさい。

解き方:

(1)の2辺の長さが書いてないので、9分9厘、相似条件の3番目、「2組の角がそれぞれ等しい」ですが、確認しておきましょう。

△ABFと△CDFで、
共通に含まれる角だから∠AFB=∠CFD・・・(1)
内接四角形の定理より∠BAF=∠DCF・・・(2)
内接四角形の定理を使うと∠FBA=∠FDCもいえます。(2’)
(1)と(2)または(2’)より、やはり「2組の角がそれぞれ等しい」でした。


もし、内接四角形の定理を知らなかったら

内接四角形の定理を習っていなくても(内接四角形の定理は、教科書の必修事項ではありません)、2組の角が等しいことを何とか見つけようと諦めずに頑張れば、方法はあります。

上の図において、円周角の定理より等しいといえる角にマル印と×印をつけておきました。
△ABDの内角の和は180度ですから、∠BAF=180度−∠ADB(マル)−∠ABD(×)です。
また、1直線が180度であることより、∠DCF=180度−∠ACB(マル)−∠ACD(×)です。
これで、∠BAF=∠DCFを、内接四角形の定理を使わないで見つけられます。



(3)AB=6cm、CD=3cm、CF=6cm、DF=4cmのとき、次のものを求めなさい。
(1)の31、ADの長さ
2、AE:DE
3、AE:EC







解き方:

1、ADの長さ
数学の大原則、「(2)を利用して(3)を解く」より、△CDF∽△ABFを活用します。
CD:BA=3:6=1:2より、△CDFと△ABFの相似比は1:2です。そして、△CDFの3辺の長さが3cm、4cm、6cmなので、△ABFの辺の長さは、AB=6cm、BF=8cm、AF=12cm。
よって、AD=12−4=8cm。

2、AE:DE
AEとDEの2辺を含む三角形は△AEBと△DECです。この2つの三角形は、「2組の角がそれぞれ等しい」ので相似です。
その相似比は、AB:CD=6:3=2:1。
よって、AE:DE=2:1

3、AE:EC

同じように、AE、ECが含まれる相似な三角形の組を見つけます。
△AEDと△BECです。
相似比は、AD:BC=8:2=4:1。
しかし、これで言えるのは、DE:EC=4:1で、AE:ECではありません。

ううん、どうしようってなったときの最終兵器が、「前の問題で解いたことを使え!」です。
一つ前のAE:DE=2:1は、実はここで使うために求めたのです。
DE:EC=4:1で、AEはDEの2倍だから、AE:EC=8:1。



例題2:

円と相似(1)円に内接する四角形ABCDがあり、AB=AD=5cm、BC=7cm、CA=8cmとする。また、対角線ACとBDの交点をEとする。次の問いに答えなさい。(大阪桐蔭高)
(1)△ABE∽△ACBであることを証明しなさい。
(2)CDの長さを求めなさい。







(1)△ABE∽△ACBの証明

解き方:

(2)の1やはり、「2組の角がそれぞれ等しい」が言えるのではないか、から出発します。
共通に含まれる角が、1つあります。
また、弦AB=弦AD=5cmより、弧AB=弧ADと言えますから、それぞれの円周角4つすべてが等しいことも見つかります。
これで、方針が立ったので、あとは落ち着いて証明を書くだけです。

(証明)△ABEと△ACBにおいて、
共通に含まれる角なので、∠BAE=∠CAB・・・(1)
弦AB=弦ADより弧AB=弧AD
弧AB=弧ADより、それぞれの円周角は等しいから∠ABE=∠ACB・・・(2)
(1)、(2)より、2組の角がそれぞれ等しいので、
△ABE∽△ACB


(2)CDの長さ

解き方:

(2)の2
いろいろ考えるより、ここでも、大原則「(1)を使って(2)を解く」に解き方をしぼってしまうことがもっとも有効です。
つまり、(1)で証明した、△ABE∽△ACBを利用して解こうと決めてしまいます。
そして、△ACBは3辺の長さがすべてわかっていますから、△ABEの辺、AE、BEの長さを求めることができるはずです。

また、等しい角に印をつけておくことで、xを含む△CDEと△CABが相似であることがわかります。

以上の考察を経て、次のように解いていきます。

△ABE∽△ACBより、AE:5=5:8
比例式を解いてAE=25/8

そうすると、CE=8−25/8=39/8

△CDE∽△CABより、x:8=39/8:7
7x=39
x=39/7cm