円の問題でも、直角三角形を見つけることで三平方の定理を使って問題を解くことができます。


弦と三平方の定理

例題:円Oに12cmの弦をひいたとき、中心Oからの距離が4cmになった。この円の半径を求めなさい。

円と弦(円の定理:弦に垂直な半径は弦を二等分する。弦の垂直二等分線は円の中心を通る。)






直角三角形を見つけて、三平方の定理を使います。

円と弦解き方











円の接線と三平方の定理

例題:半径2と半径1で、中心と中心との距離が4の2つの円O、O’がある。2つの円の共通接線がP、Qで円と接するとき、PQの長さを求めなさい。

2つの円(円の定理:接線と接点を通る半径は垂直に交わる。)






2つの円の解き方O’を通り、PQに平行な直線をひき、OPの延長との交点をRとします。
求めたいPQをxとすると、O’Rもx。

2つの円の式










三角形と内接円

重要例題1:図のように∠A=60度、∠C=90度の直角三角形ABCに内接する半径1の円Oがある。辺BC、AC、ABとの接点をそれぞれD、E、Fとするとき、次の問いに答えなさい。
内接円
(1)線分AEの長さを求めなさい。

(2)線分BFの長さを求めなさい。

(3)色をつけた部分の面積を求めなさい。





(1)
内接円(1)△AFOと△AEOにおいて
接線は接点を通る半径に垂直だから∠AFO=∠AEO=90度・・・(1)
共通にふくまれる辺だからAO=AO・・・(2)
半径の長さは等しいからOF=OE・・・(3)
(1)(2)(3)より、直角三角形で斜辺と他の1辺が等しいので
△AFO≡△AEO

したがって、∠FAO=∠EAO=30度
だから、OE:AO:AE=1:2:√3
よってAE=√3

(2)
内接円(2)△ABCで、AC:AB:BC=1:2:√3
AC=√3+1だから
AB=(√3+1)×2=2√3+2
AF=AE=√3だから
BF=AB−AF
=2√3+2−√3
=2+√3




(3)
まず、影のついた部分や斜線部の面積を求めるときは、大きな図形から不要な部分をひくのが原則です。
次に、私たちが求めることのできる面積は、三角形おうぎ形くらいしかありません。

だから、色のついた面積を求めるには、四角形AFOEから弧FEのおうぎ形をひけばよいことがわかります。
この問題では、∠AOE=60度なので、おうぎ形の中心角FOE=120度です。

内接円と面積



















重要例題2:辺の長さが3、4、5の△ABCに内接する円の半径を求めなさい。
内接円の2










解き方1:辺で等式をつくる
内接円の2(1)中心と接点D、Eを結びます。
半径のOD=OE=xとすると、DC=EC=x

AE=3−xだから、AF=3−x
BD=4−xだから、BF=4−x

辺ABで等式ができます。

4−x+3−x=5
−2x=−2
x=1

内接円のときの書き込みの仕方を知っておかないといけません。
三角形から見たら内接円ですが、円から見たら三角形の各辺は接線です。
接線の性質、「接線は接点を通る半径と垂直である」を利用するためには、上のような書き込みの仕方しかありません。


解き方2:面積で等式をつくる

三平方の定理の2(2)△ABCの面積は2通りの方法で表わすことができます。

まず、底辺4、高さ3の三角形と見ることができますから、4×3×1/2=6
△ABCの面積は6とわかりました。

次に△ABCは、△ABOと△BCOと△CAOの、3つの三角形の合計と考えることもできます。
このことを式に表わすと、
内接円の2(2)











以上から方程式をつくります。

6x=6
x=1


この解き方も、知っておかないといけません。