30度の作図
例題1:30度の角を作図せよ。
(考え方)
「30度の角度を直接作図するにはどうしたらよいのか?」と考え始めたらアウト。数学の作図はルールのあらかじめ決められたゲームのようなものです(というか、ゲームそのものです)。
使えるアイテムから出発して、そのアイテムの範囲内で何ができるか、から思考していきます。
中学生の作図では、作図(1)で述べたように、4つの作図法しか使えません。(1)線分の垂直二等分線、(2)角の二等分線、(3)垂線、(4)三角形の、4つです。この4つで何ができるか、から思考していかないといけません。
例えば、(3)の垂線の作図で、90度は書くことができます。(2)で、90度を二等分することで45度や135度が書けます。さらに二等分すれば22.5度も可能です。
この問題も、「4つの作図法のどれかを使って、30度を書く方法を考えよ」という問題だと考えてください。
4つの作図法のうち、角度に関するものは垂線と角の二等分線です。
垂線で90度は書けます。
このように考え始めると、90度から60度を引いたものが30度だから、60度が書けないだろうか、という発想が出てきます。
60度は何の角度か?そうだ、正三角形の角度だ、とわかれば正解。(4)番目の三角形の作図で、正三角形は書くことができます。
(作図1)
1、適当な長さの線分ABをひく
2、ABの長さを半径にして、点A、点Bを中心とした円をかき、交点をCとする(これで、正三角形ABCがかけました)
3、∠CAB=60度だから、∠CABを二等分すると30度がかける
(作図2)正解は1つではありません。次のような方法でも30度をかくことができます。

1、適当な線分ABをかく
2、点Aを通る垂線を先に作図する
3、点Aを通る垂線上に、適当な長さの線分ACをとる
4、ACを辺とする正三角形△CADを作図すると、辺ADと線分ABとの間の角が30度になる
最短距離の作図
例題2:直線L上に点Pをとり、AP+BPの長さが最も短くなるようにしたい。点Pを作図せよ。

(考え方)点Aから直線Lまで行き、そこから点Bに至る線のうち、最短距離のものを求めさせる問題です。
2点間の最短距離は、2点を結ぶ線分です。
この問題では、2点ABを直接結ぶことは問題の条件に反しますが、それでも、最短距離はなんらかの意味で直線になっているはずだと発想します。
そうすると、次のようになります。
(作図1)

1、点Aから直線Lにむかって垂線をひき、直線Lとの交点をCとする
2、その垂線上に、AC=A'Cとなる点A’を、コンパスを用いてかきこむ(この点を、直線Lについて点Aと対称な点といいます)
3、点Bと、見つけた点Aの対称点A’を、直線で結ぶ
4、直線A'Bと直線Lとの交点が求める点Pである
この問題を、いきなりできる人はおそらくいません。最初、見当もつかなくて、説明されてもまだ理解できなくて、何度か聞いてやっと「ああ、そうか」とわかる問題です。
対称点A'とBの2点の最短距離が線分A’B(A'P+PB)だということはわかると思います。
AC=A'C、CP=CP、∠ACP=∠A'CPだから△ACP≡△A'CPより、AP=A'P
A’P+PBが最短だから、AP+PBも最短だ、ということになります。
この作図の問題は非常に重要で、数学だけでなく理科でも出てきます。
中1の光の単元で、「鏡のどこに像ができ、どこで光は反射するか」の問題が、実はこの問題とまったく一緒の問題です。
(作図2)
三角形の書き方で、対称点を見つけることもできます。

直線L上に2点、D、Eをとります。
1、ADと同じ長さの半径の円を、直線LのAとは反対側にかきます
2、同様に、AEを半径にして円をかき、1、でかいた円との交点をA'とします
3、これで、点Aと直線Lについて対称な点A'を求めることができました
4、あとは、作図1と同じです
円の中心を求める作図
例題3:3点A、B、Cを通る円を作図せよ。

(考え方)
円をかくには、コンパスの針をあてる中心を見つけなければなりません。円の作図の問題は、実は、中心を求める問題です。
円周はどんな点が集まったものか?
コンパスを開いときのコンパスの幅が半径です。当然、半径の長さはどこでも同じです。
つまり、円とは、中心から等しい半径のぶん離れた点の集合、中心までの距離の等しい点が集まったもの、と思いつくことができます。
ここまで考えることができたら、「そうだ、2点からの距離の等しい点の作図は垂直二等分線だった」と正解を見つけることができます。
以上の考察より、線分ABの垂直二等分線、線分BCの垂直二等分線をかいて、その交点を見つけることで、どの3点からも等しい距離にある、円の中心を見つけることができ、円をかくことができます。
(作図)

接線の作図(1)
例題4:図で、点Pを通る円Oの接線を作図せよ。

(考え方)
教科書によっては、接線の性質を習わないで、この作図のほうが先に出てきます。
すぐ後に習うので、先に接線の性質を知っておいたほうがよいでしょう。
接線の性質:接線は、接点を通る半径と垂直である
この、接線の性質より、半径OP上の接点Pを通る垂線をかけばよいことがわかります。
OPを延長しないとうまくかけません。
(作図)
1、OPを延長する
2、点Pを通る垂線を作図する
3、その垂線が、点Pを接点とする接線である
以上で、知っておかないといけない作図の発展問題は終わりです。
最後に、復習、まとめの問題を出しておきます。
接線の作図(2)
例題4:図で、点Aを通り、点Bで直線Lに接する円を作図せよ。

(考え方)
この稿で学んだ、円の作図、接線の作図の両方を組み合わせた問題だから、すぐにかけると思います。
まず、円の中心は2点A、Bから等距離の点なので、2点ABを結ぶ線分ABの垂直二等分線をかく。
次に、接線は、接点を通り、接点を通る半径に垂直な直線だから点Bを通り、直線Lに垂直な直線を作図する。
2つの作図で求めた直線の交点が求めたい円の中心である。
以上の考え方にしたがってかいていきます。
(作図)

例題1:30度の角を作図せよ。
(考え方)
「30度の角度を直接作図するにはどうしたらよいのか?」と考え始めたらアウト。数学の作図はルールのあらかじめ決められたゲームのようなものです(というか、ゲームそのものです)。
使えるアイテムから出発して、そのアイテムの範囲内で何ができるか、から思考していきます。
中学生の作図では、作図(1)で述べたように、4つの作図法しか使えません。(1)線分の垂直二等分線、(2)角の二等分線、(3)垂線、(4)三角形の、4つです。この4つで何ができるか、から思考していかないといけません。
例えば、(3)の垂線の作図で、90度は書くことができます。(2)で、90度を二等分することで45度や135度が書けます。さらに二等分すれば22.5度も可能です。
この問題も、「4つの作図法のどれかを使って、30度を書く方法を考えよ」という問題だと考えてください。
4つの作図法のうち、角度に関するものは垂線と角の二等分線です。
垂線で90度は書けます。
このように考え始めると、90度から60度を引いたものが30度だから、60度が書けないだろうか、という発想が出てきます。
60度は何の角度か?そうだ、正三角形の角度だ、とわかれば正解。(4)番目の三角形の作図で、正三角形は書くことができます。
(作図1)

2、ABの長さを半径にして、点A、点Bを中心とした円をかき、交点をCとする(これで、正三角形ABCがかけました)
3、∠CAB=60度だから、∠CABを二等分すると30度がかける
(作図2)正解は1つではありません。次のような方法でも30度をかくことができます。

1、適当な線分ABをかく
2、点Aを通る垂線を先に作図する
3、点Aを通る垂線上に、適当な長さの線分ACをとる
4、ACを辺とする正三角形△CADを作図すると、辺ADと線分ABとの間の角が30度になる
最短距離の作図
例題2:直線L上に点Pをとり、AP+BPの長さが最も短くなるようにしたい。点Pを作図せよ。

(考え方)点Aから直線Lまで行き、そこから点Bに至る線のうち、最短距離のものを求めさせる問題です。
2点間の最短距離は、2点を結ぶ線分です。
この問題では、2点ABを直接結ぶことは問題の条件に反しますが、それでも、最短距離はなんらかの意味で直線になっているはずだと発想します。
そうすると、次のようになります。
(作図1)

1、点Aから直線Lにむかって垂線をひき、直線Lとの交点をCとする
2、その垂線上に、AC=A'Cとなる点A’を、コンパスを用いてかきこむ(この点を、直線Lについて点Aと対称な点といいます)
3、点Bと、見つけた点Aの対称点A’を、直線で結ぶ
4、直線A'Bと直線Lとの交点が求める点Pである
この問題を、いきなりできる人はおそらくいません。最初、見当もつかなくて、説明されてもまだ理解できなくて、何度か聞いてやっと「ああ、そうか」とわかる問題です。
対称点A'とBの2点の最短距離が線分A’B(A'P+PB)だということはわかると思います。
AC=A'C、CP=CP、∠ACP=∠A'CPだから△ACP≡△A'CPより、AP=A'P
A’P+PBが最短だから、AP+PBも最短だ、ということになります。
この作図の問題は非常に重要で、数学だけでなく理科でも出てきます。
中1の光の単元で、「鏡のどこに像ができ、どこで光は反射するか」の問題が、実はこの問題とまったく一緒の問題です。
(作図2)
三角形の書き方で、対称点を見つけることもできます。

直線L上に2点、D、Eをとります。
1、ADと同じ長さの半径の円を、直線LのAとは反対側にかきます
2、同様に、AEを半径にして円をかき、1、でかいた円との交点をA'とします
3、これで、点Aと直線Lについて対称な点A'を求めることができました
4、あとは、作図1と同じです
円の中心を求める作図
例題3:3点A、B、Cを通る円を作図せよ。

(考え方)
円をかくには、コンパスの針をあてる中心を見つけなければなりません。円の作図の問題は、実は、中心を求める問題です。
円周はどんな点が集まったものか?
コンパスを開いときのコンパスの幅が半径です。当然、半径の長さはどこでも同じです。
つまり、円とは、中心から等しい半径のぶん離れた点の集合、中心までの距離の等しい点が集まったもの、と思いつくことができます。
ここまで考えることができたら、「そうだ、2点からの距離の等しい点の作図は垂直二等分線だった」と正解を見つけることができます。
以上の考察より、線分ABの垂直二等分線、線分BCの垂直二等分線をかいて、その交点を見つけることで、どの3点からも等しい距離にある、円の中心を見つけることができ、円をかくことができます。
(作図)

接線の作図(1)
例題4:図で、点Pを通る円Oの接線を作図せよ。

(考え方)
教科書によっては、接線の性質を習わないで、この作図のほうが先に出てきます。
すぐ後に習うので、先に接線の性質を知っておいたほうがよいでしょう。
接線の性質:接線は、接点を通る半径と垂直である

OPを延長しないとうまくかけません。
(作図)

2、点Pを通る垂線を作図する
3、その垂線が、点Pを接点とする接線である
以上で、知っておかないといけない作図の発展問題は終わりです。
最後に、復習、まとめの問題を出しておきます。
接線の作図(2)
例題4:図で、点Aを通り、点Bで直線Lに接する円を作図せよ。

(考え方)
この稿で学んだ、円の作図、接線の作図の両方を組み合わせた問題だから、すぐにかけると思います。
まず、円の中心は2点A、Bから等距離の点なので、2点ABを結ぶ線分ABの垂直二等分線をかく。
次に、接線は、接点を通り、接点を通る半径に垂直な直線だから点Bを通り、直線Lに垂直な直線を作図する。
2つの作図で求めた直線の交点が求めたい円の中心である。
以上の考え方にしたがってかいていきます。
(作図)

感動するくらい分かりやすかったです!
ありがとうございました!