割合や比の問題は、1にあたる量を求めることに専念すると簡単に解けることがあります。

比の基本的な問題

例題1:2400円を兄と弟の分の比が9:7になるように分けるとき、兄の分は何円になりますか。

教科書にのっているやり方、「お金全体の比は9と7を合わせた16になるから、16:9=2400:( )」でもよいし、分数を使って、「2400×9/16」でも求められますが、ともに問題文中に書いてない16という比を先に求めないといけません。
問題自体は簡単ですが、書いてある数字をそのまま使うやり方に染まりきっている今の子はこの問題が苦手です。

一番子どもたちの理解が速いのは、次のような解き方です。

ややこしい問題ほど図をかかないと解けませんから、この問題でも図をかきます。

比の基本問題図をかくとき、金額などの実際の量を表わす数字はそのまま数字で、割合や比を表わす数字は丸で囲むようにします。

そうすると、2400÷16=150で、割合の1にあたる量が150円であることを求められます。兄の比(割合)は9ですから、150×9=1350円です。

この方法が、今の子どもたちにとっては一番やりやすい方法ではないのかと最近思っています。
他の長所もあります。(1)図をかいて解くという、よい癖がつく。(2)応用問題も同じ発想で解くことができる。


比の応用問題

例題2:はじめ、姉と妹の金額の比は4:3でした。姉が200円使ったら、姉と妹の金額の比が6:5になりました。妹は何円持っていますか。

やはり、最初に図をかきます。
比の応用問題最初の比と後の比は別物なので、最初の比は丸で囲み、後の比は四角で囲むなどして区別しておくとわかりやすくなります。

この問題は、もう一つの技、「公倍数を利用する」も活用します。
4と3の公倍数12か、6と5の公倍数30に無理やりそろえます。
例えば、姉のすべての数字を3倍、妹を4倍して、比の3と4を公倍数の12にそろえた図をかいてみましょう。
比の応用(2)
公倍数の12はそろったので無視します。
四角で囲んだ比の違いは20−18=2、それが600円ですかから、600÷2=300で、四角で囲んだ割合の1にあたる量が求められました。

問題で尋ねられているのは妹の金額で、四角の比は5です。四角の1にあたる量の5倍だから、300×5=1500円。


分配算

例題3:三角形ABCがあります。角Bの大きさは角Aの大きさの1.5倍より4度大きく、角Cの大きさは角Aの大きさの3.5倍より4度小さくなっています。角Bの大きさは何度ですか。

角度Aの割合を1とします。
そうすると∠Bは割合の1.5+4度、∠Cは割合の3.5−4度。
1+1.5+3.5+4度−4度=180度
割合の1+1.5+3.5=6が180度なので、180÷6=30度。

割合の1にあたる角度が30度とわかりました。
だから、∠B=30×1.5+4=49度。

この問題などは、算数本来の「もとにする量」を1と考える問題であって、この稿でいう「1にあたる量」を求める趣旨にはやや反するのですが、「1にあたる量」を求める問題と一括するとわかりやすくなるのではないかと思います。