「証明の書き方の基本」の続きです。

合同の証明でよく出る問題を取り上げ、上手な証明の書き方についてさらに考察します。


辺や角が等しいことを証明する問題

例題1:AD//BCの台形ABCDの辺CDの中点をEとし、AEの延長と辺BC証明1の延長との交点をFとする。このとき、AD=FCであることを証明しなさい。







解く前の準備

問題文を読んで、仮定を図に書き込んでおきます。
証明1の2この問題の仮定は、AD//BC、DE=ECです。

証明問題は結論から逆にさかのぼって考えます。

この問題の結論はAD=FCです。そのことを言うためには、その前提として三角形の合同を言わないといけません。

なぜなら、「合同な三角形の対応する辺の長さは等しい」と言う以外に、辺と辺が等しいことをいう方法がないからです。

したがって、この問題の証明で書くことの筋道を最初に決めておくと、

三角形の合同

合同な図形の対応する辺は等しい

結論のAD=FC

ということになります。


証明

△AEDと△FECにおいて、
仮定より、DE=CE・・・(1)
仮定AD//BCより、平行線の錯角は等しいから、∠ADE=∠FCE・・・(2)
対頂角は等しいから、∠AED=∠FEC・・・(3)
(1)(2)(3)より、1辺とその両端の角がそれぞれ等しいから
△AED≡△FEC
合同な図形の対応する辺は等しいから
AD=FC



知っ得(しっとく・・・知っていると得)
(1)よく、「仮定よりAD//BC」と書く人がいますが、三角形が合同であることの根拠・理由として平行は使えません。合同条件にないからです。
仮定のAD//BCは、錯角が等しいことの根拠になるだけです。

(2)三角形の合同条件は、「3辺が・・・」、「2辺と・・・」、「1辺と・・・」と最初に辺がきます。だから、合同の証明をするときにも、先に等しい辺を見つけておくべきです。
この問題でも、先に「仮定より、DE=CE・・・(1)」を見つけておきます。そうすると、合同条件「1辺とその両端の角がそれぞれ等しい」を使えばよい、そのためにはDEとCEの両端の角が等しいことを言えばよい、と見つける場所がわかってきます。

(3)この問題の証明の書き方で最も重要な場所は、下から2行目の「合同な図形の対応する辺は等しいから」の部分です。
合同な図形があって、その対応する辺だから等しいと言えるわけです。
この部分を「よって」で片づけて、「△AED≡△FEC、よってAD=FC」と書く人が多いのですが、私はよくないと思います。
くどいくらいに根拠をきちんと書くことが数学では大事だと思うからです(中学校の先生や入試問題を採点する高校の先生でも同じことをおっしゃる方が多い)。


覚え得(おぼえとく・・・覚えると得)
辺や角が等しいことを証明するには、その辺や角がふくまれる三角形の合同を言えばよい。


やや難しい合同の証明問題

例題2:△ABCの辺AB、ACをそれぞれ1辺として、三角形の外側に正方証明2形ADEB、正方形ACFGを作る。このとき、DC=BGであることを証明せよ。










解く前の準備

仮定を図に書き込むのですが、この問題だと仮定全部を書き込むことは無意味です。
この問題の仮定は、「正方形ADEB、正方形ACFG」であり、式で書くと、AD=DE=EB=BA、∠BAD=∠ADE=∠DEB=∠EBA=90度、AC=CF=FG=GA、∠GAC=∠ACF=∠CFG=∠FGA=90度」となり、これをすべて図に書きこんだら、かえってわかりにくくなるからです。

辺DC=辺BGを結論として証明したいわけですから、その前提として言わなければならないのは辺DCをふくむ三角形と辺BGをふくむ三角形の合同です。
だから、辺DC、辺BGをなぞっておいて、この2辺を含む三角形を見つけておき、その三角形に関係する部分の仮定だけを書き込みます。
証明2の2そうすると、左の図のようになります。


証明

△ADCと△ABGにおいて、
仮定より、正方形ADEBの辺だからAD=AB・・・(1)
同様に、正方形ACFGの辺だからAC=AG・・・(2)
また、∠DAC=∠DAB+∠BAC=90度+∠BAC
∠BAG=∠GAC+∠BAC=90度+∠BAC
よって(ともに90度に∠BACを加えたものだから)∠DAC=∠BAG・・・(3)
(1)(2)(3)より、2辺とその間の角がそれぞれ等しいから
△ADC≡△ABG
合同な図形の対応する辺は等しいから
DC=BG



知っ得
正方形の問題では、「正方形の角度90度+ある共通な角」で2辺の間の角が等しいことがいえる。


同じような問題として、正三角形の問題があります。ここまで学んだことを参考にチャレンジしてみてください。

例題3:左の図は、△ABCの辺ABを1辺とする正三角形ADBと、辺ACを証明31辺とする正三角形ACEを、△ABCの外側に作ったものである。このとき、∠ABE=∠ADCであることを証明せよ。







解く前の準備

証明3の2









証明

△ADCと△ABEにおいて
仮定より、正三角形ABDの辺だからAD=AB・・・(1)
同様に、正三角形ACEの辺だからAC=AE・・・(2)
また、∠DAC=∠DAB+∠BAC=60度+∠BAC
∠BAE=∠EAC+∠BAC=60度+∠BAC
ともに60度+∠BACだから∠DAC=∠BAE・・・(3)
(1)(2)(3)より、2辺とその間の角がそれぞれ等しいので
△ADC≡△ABE
合同な図形の対応する角は等しいから
∠ABE=∠ADC