去年(2009年)の5月15日に書いた『正の数・負の数の加法』の補足です。


加法の単元の授業の冒頭に、

「正の数・負の数の加法は全然難しくありません。」と宣言します。

「+は『勝ち』、−は『負け』と考えます。ただそれだけです。」
「+5なら5点の勝ち、あるいは5点とったと考え、−3なら3点の負け、つまり3点とられたと考えます。」
「これを徹底すると、加法の問題はすぐに簡単に解けるようになります。」
「どれだけ簡単か、試してみましょう。」

と、前置きをして、問題を取り上げます。


(1)(+5)+(−3)

「5点とった後、3点とられた。勝ち?それとも負け?」

「勝ちです。」

「そう、勝ってるよね。じゃあ、いくらの勝ちか?」

「2。」

「うん、だから、答えは+2。わかりやすいでしょ?」

ここまでは去年と同じです。


今年はさらにバージョン・アップ、2段階で考える(というか答えを書く)ことを徹底することにしました。


(2)(−6)+(−2)

「勝ちか、負けか?」

「負けです。」

「その通り。さあ、負けとわかったから、答えの−をまず書く。その後、何点負けかたかを考える。何点、負けてる?」

「ううんと、8!」

「そう、だから、答えは−と書いた後に8をつける。わかった?」

これが今年バージョン。


今年度バージョンの狙いは、中学1年生がミスしたときの決まり文句、「ちょっとミスった。惜しかったんやで、わかってたんやけど、マイナスをつけ忘れてん。」を根絶することにあります。
小学生の延長で、子どもたちはマイナスの符号を軽いつけたしくらいにしか最初は思っていません。

「今勉強しているのは何?正の数・負の数でしょう?正か負か、プラスかマイナスかが一番大事なのに、マイナスをつけ忘れるなんて一番してはいけない間違いでしょ?それをミスとは言いません。」の徹底を図るためです。

最初が肝心ですから、「マイナスを忘れなや!」とうるさく言うかわりに、子どもたちが半ば無意識に、いわば自然に、マイナスを先につける癖をつけておきたい。

(3)(−15)+(+2)

「勝ちか、負けか?」

全員「負けぇぇ!」

「負けだから−とまず書く。じゃあ、いくらの負け?」

全員「13ぁぁん。」

「よし、−の後ろに13と書く。」

こんな感じです。


全員が楽々とできるようになった後、最初のうちは「項」(この言葉も早目に教えておきます)は( )に入れるのが普通であること、項と項の間が+のときが加法であることをわかってもらって、授業を終えます。

子どもたちの頭が熟成する期間が必要なので、減法にはすぐには進みません。子どもたちが加法に飽きた頃に、やっと減法に入ります。


学校で、「同符号の加法は2数の絶対値の和に共通な符号をつける」とか、(−8)+(−2)=−(8+2)=−10などという書き方とかを習う前に、問題を見ただけで瞬時に答えを書けるようにしておくことが肝要ではないかと思っています。